幼少期から今に至るまで……これからもずっと、感謝です
鳥山明さんが亡くなったというニュースを見て、思わず目を疑いました。まだそんな年ではなかったと思うのが初めで、つい最近もSAND LANDという漫画の中での新たなキャラクターが発表されたりと、まだまだお仕事頑張っていらして、お元気にされているのかと思っていた矢先で目にしたニュースでした。
まだまだこの先、やりたいことはたくさんあったのではないかと思われます。68歳という年齢は、今ではまだそれほどの年には感じない、と思うのは私自身も年を重ねたからかも知れませんが、これからもまだ先のお仕事を抱えていたご様子で、これからも鳥山さんのお仕事を見てみたかったというのが多くの方の思いなのではないでしょうか。
知った人が亡くなると、それこそ心に穴が空いたようと、得も言われぬ喪失感を覚えます。今まで自分の中にあった大事なものが一つ、綺麗な穴が空いたようにぽこんと無くなって、もう戻ってこないんだなぁと思うと、その穴をどうにか埋めたいという思いで必死に鳥山さんのイラストを眺めたりしています。その度に、心底完成された絵だなと、思わず溜息が漏れます。
子供の頃からずっと鳥山さんの絵が好きで、ドラゴンボールのキャラクターを真似して書く練習を日常的にしていました。もちろん、ドラゴンクエストのキャラも。どう真似をしても、完全に真似はできない絵、です。やはり人の手で描かれる絵というのは、完全であって不完全であり、不完全ながらも完全な絵、だと思うんです。そこが何とも美しい。心の奥底から湧き上がるような興奮を覚えるわけです。これだよ、これ、みたいな。なんでしょうね、絵そのものに命が宿るんでしょうね、きっと。絵に人の思いが乗るんだと思います。一つの線を書いている時にも、その人のその時の何かしらの思いが乗っていると考えるだけで、一つの線の太さの強弱にまで、その時の人の思いを想像してしまいます。
私の年だと、アラレちゃんはテレビで見ていて、主にはドラゴンボール世代、というところです。とは言え、私の人生自体、大体兄の影響を受けているので、ドラゴンボールにしてもドラゴンクエストにしても、兄が読んでいたもの、買って来たものだから知っているというのがほとんどです。兄二人の三兄妹の末っ子なんてきっと、そんなものでしょう(笑)
年代を考えれば、私の子供時代はずーっと鳥山さんの作品が傍にあったようなものですね。今考えると、なんと運の良いことか。アラレちゃんはあのとんでもなくアホらしい世界観が好きでした(笑) 地球割りができるのはアラレちゃんだけでしょう。キーン、とか、バイチャ、とか、おはこんばんちわ、とか、う〇ちをつんつんできるのもアラレちゃんのキャラとビジュアルだから許された、はず。マシリトやスッパマン、おぼっちゃまくん、がっちゃん、ターボくん……もう全部面白い。キャラに外れがない。これって元々、頭の中が明るくて優しくておおらかで、ある程度バカまっしぐらにならないと思いつかないキャラクターなんじゃないかしら。そう言うものが全て詰まっているのがもう素晴らしいとしか言いようがない。
ドラゴンボールにしても、第1話から読んでいましたが、ブルマとの出会いからこの先ワクワクするしかないじゃん、と思える内容でした。ド田舎に一人で、動物たちと生きるちっこい少年と、はっきりと都会人のブルマがバイクに乗って走ってくる……この女の子がバイクに乗っているというのがもうかっこいいんですよね。メカニックがまた何でもカッコイイ。頑張って摸写したりしていました。牛魔王とか芭蕉扇とか、ヤムチャにウーロンもブルマも、西遊記が元ネタなんですよね。そもそも主人公が孫悟空ですもんね。……まあ、大分違いますけど(笑) そんな感じで始まって、天下一武道会でジャッキー・チュンが出てきて(名前……(笑))、本当はその辺りで鳥山さんはドラゴンボールを終わらせたかったなんて話も聞いたことがありますが、その後とんでもなく続いてしまいましたね。
週刊連載は非常に体力的にも辛いようで、ジャンプを連載している間も二、三回かな、連載をお休みされたことがありました。それでも「連載お休みしてごめんなさい」のイラストがちゃんと描かれていました、ジャンプに。そのイラスト一つを取っても、鳥山さんの優しいお人柄が滲み出ていて、今それを思い出すだけでも何だか泣けてきます。いるはずの人がいないと考えるだけで、辛いですね。亡くなるにはまだ早すぎるんじゃないかな。
ドラゴンクエストはもう、言わずもがな、私の人生を今でも彩ってくれています。ゲーム性もストーリーも音楽も、当然最上に良いものなんですが、鳥山さんのイラストのお陰で、ドラクエの世界は暗くじめっとしたものではなく、どこかあっけらかんとした明るさのある世界になったような気がします。とんでもなくダークな内容がぶっ込まれていたりするんですけどね。私としては、ドラクエ3のテドンの村が今でもトラウマです。まだ小学生だったし。
あのスライムはもはやあのイラスト自体が伝説でしょう。堀井さんが発注したどろどろとしたスライムのイメージを、完全に無視して描いてますもんね(笑) 出来上がりに唖然としなかったのかな、堀井さん。こんなん、頼んでたっけ?って。でももう今ではあの雫形の笑ったスライムが「スライム」になっちゃいましたもんね。絵の力と言うのは本当に偉大なものです。百聞は一見に如かず。スライムと言う魔物は、どろどろしていて、人の顔にへばりついて窒息させてしまうような恐ろしいものだとようなことを言葉で色々と聞いていても、見るイラストがあれになると、言葉で聞く情報は全て違うやん、ってなるなぁ(笑)
ドラクエは新しいシリーズが出る度に、その新しいキャラクターのビジュアルを見る度に、子供の頃から変わらないワクワク感が押し寄せてきて、しばらくイラストをまじまじとみる羽目になるのはいつものことです。かつてドラクエ5が発売となった時ももちろん、そうなりました。それまでの勇者像からかけ離れた旅人然とした見た目に、今度はどんな世界が広がっているんだろうと、こう、喉の奥から胸の奥から期待感が溢れて来る感覚は特別なものでした。あれがアドレナリンってやつなんでしょう。そしてそのアドレナリンが出ている状態のまま、ひたすらゲームのパッケージを見て、真似をして書いて見たりと、あの頃は多分全身でゲームを楽しんでいたように思います。今みたいに簡単に情報を得られる時代でもなく、手元にある数少ない情報だけで、できる限り想像を膨らませて、ゲームの世界を楽しんでいました。楽しむための大事なものとして、鳥山さんの描くキャラクターがいたのは幸運以外の何者でもなかったんですね、今思うと。
ドラクエ5はリメイク版も出ていて、ドラクエの中でも人気のあるシリーズだと思いますが、私としてはやはり初めのスーパーファミコンのパッケージの裏に描かれていた主人公の、あの何とも言えない優しさ滲む表情が一番好きです。手にしているのも剣ではなく杖、顔の角度、目、眉、切り揃えられ気味の前髪には勇ましさではなく優しさ、なのに後ろにはバカでかいキラーパンサー、このギャップだけでも十分です。もうこれだけで、彼らが動き回る映像が目に浮かびます。この主人公だったら、絶対にこのキラーパンサーの頭を撫でてるでしょって。キラーパンサーだって主人公の足にすり寄るようにして丸くなってますし。
その隣に立つビアンカも完璧な佇まいなんですよね。両手を腰に当てて、目線を下方へと向けて、自然と口を開けて笑っているのは、それだけで気さくで頼れるお姉さん。お淑やかさとは無縁です。主人公とビアンカとが並んで立つ姿だけで、主人公はきっとビアンカに甘えるし、ビアンカは主人公を甘やかすし、という構図が目に見えちゃうんですよね(笑) 基本は姉と弟。だからこそ、私はフローラルートも当然あるよね、と考えています。人生ってのはその時の一瞬で、どっちに転がるか分からないもんですからね。
鳥山さんの絵には本当に人生そのものを支えられ、彩を持たせていただきました。鳥山さんが生涯書いてきた全ては残るものですから、これからもずっと楽しませてもらおうと思います。キャラクターにしても背景にしても建物にしてもメカにしても、全て緻密に描かれ、絵を見る時は気が休まりませんが、それが何とも楽しい。この楽しい思いをずっと教えて下さって、感謝の言葉しかありません。世界にいる数多のファンの中の一人として、心から感謝申し上げたいと思います。
鳥山明先生のご冥福をお祈り申し上げます。
人生を楽しいものにしていただき、本当にありがとうございました。
bibi
Comment
bibi様。
小説二つUPされていますね、まだ拝見できていないのです…すみません、もう少し待ってくださいね。
鳥山明先生の訃報が飛び込んで来て思わず「ええ~!」と職場の昼休憩中に大声をあげてしまいました…。
いや…ありえない…なんで…だってまだそんな年じゃ…頭の中がパニックになり暫く放心状態になり…。
急性硬膜下血腫…この病気の主な原因は…頭部外傷。
頭をおもいっきりぶつけてしまい頭の中で出血してしまう病気、脳出血の一つ。
おそらく鳥山先生は、なんらかのことがあり頭を強打したんだと推測されます。
ケアルのように雪国なら考えられますが(この前、おもいきり滑り転び頭を打ちそうになったがリュックサックで助けられる)でも雪国でない鳥山先生はなぜ……。
ドラゴンボールシリーズ、アラレちゃん全部見ました、再放送を含めて全部見ました!
「キーーン」ってマネして走りました、かめはめは!かいおうけん、げんきだま!マネしました
「クリリンのことか~!」って悟空が切れてスーパーサイヤ人になった時は興奮しました。
無念です…悲しいです…。
すぎやまこういち先生も高いしてしまい、ドラクエはもう終わりを迎えてしまうのだろうか…ドラクエ12までは発売されるという、それじゃあ13は?…絶望的です…。
声優の、たらこさんまで病死してしまったと同じ時に…、ダブルで驚きと悲しみがケアルはありました。
まるちゃんの声が…もう…63歳でしたっけたしか…早すぎですよなぜ。
病死としか発表されないのは、世間に知られたくない病気なんだろうか…。
今年になり闘病生活が続いたらしく、たった3ヶ月ほどで亡くなってしまうなんて…ありえない…。
今後、アニメまるちゃんはどうなるの?まるちゃんに似た声優さんがいればいいですが…。
さくらももこ先生が数年前に乳がんで亡くなりました…たらこさんのその時の弔辞は涙でした…。
お二人とも、謹んでお悔やみ申し上げます…。
ケアル 様
鳥山先生は本当に残念無念としか言いようがありません。ご本人もこれからもっとやりたいことがたくさんあったでしょうに。年齢を重ねて、かなり熟してきた頃合いで生まれる作品もまた見てみたかったです。漫画の絵のセンスも話のセンスも、唯一無二の方でしたから。真似しようにも真似できない、でも真似したい、と思わせるものがありました。カラッと笑えるあのセンスが本当に面白かったです。
……雪道は怖いですよね。背中のリュックに救われる……危なかったですね。重々お気を付けくださいませ。
ドラゴンボールは全巻持っていて、今も実家に置きっぱなしです。新しい巻が出る度にワクワクしながら買っていました。まあ、すでにジャンプで読んではいるんですが、単行本はまた別物で楽しいんですよね。扉絵も背表紙も楽しみにしていました。絵が本当に見やすくてまとまっていてきれいなので、いつも食い入るように見ていました。
今後、ドラクエは……どうなるんでしょうね。引き継ぐ方がいなければなかなか難しいのかも知れません。すぎやま先生も、鳥山先生も、代わりとなる方ってちょっと考えられないですもんね。そうなるともういっそ、ドラクエというタイトルには区切りをつけて、また別のタイトルでドラクエを引き継いでいってほしいなぁなんてことも思ったりします。別タイトルだけど、どこかうすぼんやりと繋がっている、みたいな。で、もしそうやって引き継ぐとしても、あくまでもドラクエという作品に敬意を払って、ドラクエという作品を愛している方に作品を作って行ってほしいなぁなんて思います。勝手な希望ですが。
まるちゃんの声優さんのニュースも驚きました。たらこさんもまだお若かったですもんね。今の60代はまだまだ若いはず。どうして……という思いが自然と出て来ちゃいますね。近頃、外を走る救急車のサイレンの音が多いような気もします。毎日数台、確実に走っています。何となく世の中、おかしい気がして、気持ちが落ち着きません。嫌な感じです。
自分も年齢を重ねてきているので、他人事とは思わずに、毎日気を付けて過ごして行ければと思っています。ケアルさんもくれぐれもお体に気を付けてお過ごしくださいね。