「銀河英雄伝説」を視聴して

 

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ある時、唐突に動画のオススメに出てきたんです、こちらの「銀河英雄伝説」が。それで少し内容を調べてみたら、これは面白そうだし、何よりも見ることの意義がありそうだと感じたので、家族で時間がある時に一緒に視聴して、ようやく本編を見終わりました。外伝も色々とあるようで、それらを全て見るにはまだまだ時間がかかりそうなので、とりあえず本編を見終わったこのタイミングで感想を書いておこうかなと。

見終わって、家族の間で話したところ、こちらの「銀河英雄伝説」を別名で「銀河任侠伝説」と呼ぶことになりました(笑) いや、呼ぶことにはなっていないのですが、お話の内容が英雄と言うよりも、義理と人情の世界だなと……それって任侠? ということで、銀河任侠伝説。銀河という響きと、任侠という響きが何とも相容れないですね。

このお話の良いと思ったところは挙げればキリがなさそうですが、先ずは「現実の歴史を土台にしているところ」がリアリティを出しているなと感じました。私が視聴したのはあくまでもアニメで……本来は小説で世に出ている作品なんですよね。多分、そちらの小説を読まないと完全にこの作品を理解することはできないように思いますが、それでも私たちの世界の現実の過去の歴史を土台にしていることは、それだけで私たちの教養にもなり得るものだと思います。

お話の骨子は、内容の異なる主義のぶつかり合い。独裁主義と民主主義。物語を見ていれば、どちらが正しく、どちらが正しくないなどと一言で片づけられないものなのだと理解できます。第一、〇〇主義って言うのも、とある状況を最も適当なとある言葉に当てはめただけのもので、その中身というのも本来は”幅”のあるものでしょう。ただとりあえずは人々に分かりやすいように、〇〇主義という名をつけて呼んでいるだけということなのだと思っています。

この独裁主義と民主主義という二つの主義の違いは、独裁主義は独裁者の質によるし、民主主義は民の質による、ということ。独裁主義の世界では、優れた独裁者がいれば民は救われるでしょうし、民主主義の世界では民が優れていれば良い世界が作れると。簡単に言ってしまえばそう言うことなんですが、この”簡単”にさっくりと当てはまるほど、人間世界は単純でもないと。

因みに、私たちの生きる世界では実は独裁主義の国に住む人口の方が多いんですよね。日本に生まれ暮らしている私から見ればそれが異常にも思えるんですが、実際は民主主義の国の方が少ない。独裁主義と民主主義とを比べて考えてみても、同じ国を作るとしたら、独裁主義の方が楽に作れるのではないかと思います。ただ、維持をするのは大変そうです。常に優れた指導者が生まれれば、何も問題は生まれないのでしょうが、それこそ歴史を振り返ってみても、そう上手く行った事例もないでしょう。

かと言って、今の日本を見てみるとどうでしょうか。……何とも言えない状況のような気もしますが、民主主義というのも到底完全なものではないと痛感します。というか、完全な民主主義というのもないのでしょうが。どんな制度にしても、人間が言葉にして名付けた制度に完全なものはないんでしょうね。名付けただけなんだから。ただ、民主主義のダメなところというのは、とどのつまり、民のダメっぷりがそのまま反映しているということですよね。……だから民主主義の国に在るならば、私たち一人一人がしっかりしなきゃいかんということに尽きるということですな。民主国家は民が賢くならなきゃいけないということを、この作品を通じて改めて考えさせられるところです。

真面目な話から一転、こちらの作品の中でのお気に入りの登場人物はやはり、ヤン・ウェンリーですね。やはりというのは、まあ、私がドラクエ5のお話を書いていて、主人公の性格や雰囲気に似たところがあるから、ということになっちゃいます。あの一見頼りない感じが良いのです。魅力ある人間と言うのは、欠点があるもの……というのが私の持論です(笑) 作中でいなくなってしまったのは悲しかったですが、それも含めてリアリティに富んだ作品ということでしょう。

それともう一人、ジークフリード・キルヒアイスくん。赤毛のノッポさん。こちらはヤンとは対照的(?)に完璧な人物。主人公であるラインハルトを常に隣で支える部下でありながらも、主であるラインハルトと少年期からの友人関係を築いてきた唯一の人物。この設定で痺れない人っているのでしょうか。いませんよね、うん。しかもラインハルトの姉アンネローゼを心の中で慕い、結局悲恋に終わってしまうところも……痺れます。突っ走りがちなラインハルトを抑えるという役柄も、個人的に好きです。参謀役って良いですよね。

他にも魅力的な人物が沢山いるのですが、何せ登場人物が多いこと多いこと。名前を覚えるのには苦労しました。初めなんかヒドイもので、ラインハルト・ジークフリードなどと勝手な名前をつけたりしていました。混ざってる混ざってる。どうしてもジークフリードという名前が最強という印象が強く、主人公につけたがったんでしょうね、本能的に(笑) 伝説の名前ですもんね、ジークフリード。少し前にニーベルンゲン物語を読んだばかりなので、尚更印象が強かったのかと思われ。

今はネットで様々な過去の作品も見られるので、そういう意味ではとても良い時代になったものだと感慨深いものがあります。この銀河英雄伝説においても、作品自体はもう三十年以上も前に放映されたものなんですもんね。それほど前にこのような作品が既にあったとは……”現実の世界”をもっとよく知るにも、こちらの作品は見ておいて損はないと思います。寧ろ有益。しかも面白い。ぜひオススメです。

全く異なる話になってしまいますが、現実の世界を知って危機感を持つためにも、ジョージ・オーウェル著の「1984年」もオススメです。今となっては洒落にならない世界がこの本には書かれている、と感じます。しかもこの本を書き終えた翌年、著者は46歳の若さで亡くなっています。結核の後、肺動脈破裂のために。非常に辛い病状の中書き上げたこの作品には、著者の深い思いがあったのは間違いないでしょう。とても有名な作品なので、多くの方が読んだことがあるかなとも思いますが、もしご存じない方がいらっしゃれば一度手に取ってみることをお勧めします。

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