空いた時間を埋めていく
「リュカ」
「ん?」
「何だか、とても忙しそうね」
「う~ん、まあね。でも今やらなきゃいけないことだからさ」
そう言いながら、リュカはまだ早朝のグランバニア国王私室の中で、身支度を整える。ようやく夜が明けた頃だが、一刻も早く人々の生活を取り戻させるためにと、リュカは今日も朝食も取らずに城を出て天空城へ向かう予定だ。
「起こしてごめんね。まだ寝ていた方がいいよ」
そう言いながらリュカは国王としての正装に身を包み、旅に使用する擦り切れたものではなく、儀礼用に用意されている濃紫色のマントを上から羽織る。リュカの早朝からの行動を織り込み済みで、王室の扉の外では数人の兵士がリュカを待っている。
「私ももう起きるわ」
「でも……」
「あのね、私は子供じゃないの。そんなに過保護にならないでよ」
ビアンカは小さく笑いながらそう言うと、両側に眠る子供たちを起こさぬように静かにベッドを抜け出した。子供たちの眠りは深い。ようやく母が戻って来た安心感からか、双子はこれまでに見たこともないほどの安らいだ顔つきで、健やかな寝息を立てている。
「昨日ね、時間があったから用意しておいたの」
リュカが外に出ている間、ビアンカはグランバニアの国王私室で凡そ過ごしている。彼女の体調はまだ完全には戻っていないと、リュカは侍女から聞いている。
ビアンカが魔物に攫われたのは、まだティミーとポピーが赤ん坊の頃で、彼女は愛しい二人の赤ん坊に乳を飲ませる母親だった。その時の光景を思い出せば、リュカの顔には自然と幸福を表す笑みが浮かぶ。赤ん坊を育てる日常を奪われた母親は、時を止め、再び時が動き出した時にもまだ、赤ん坊を腕に抱く母としての日常がそこに戻って来るものだと感じていた。
しかし赤ん坊二人は、見違えるように成長した子供二人に変身していた。意思にそぐわぬ時間旅行をさせられた母はまだ、この状況の変化に完全には追いついていないだろう。離れ離れになっていた母子の間を埋めるには、とにかく傍にいて対話をし続けることだとリュカは自身の経験からそう思っている。特にティミーはそれまでの距離など構わず、容赦なく誰とでも距離を縮められる開けっ広げな性格をしている。そして同じ女という性別のポピーとも様々話せることがあるだろう。子供たちと、そしてグランバニアの人々と絶えず話をして、ビアンカの中にある空白の時間をどんどん埋めて行けばいいと、リュカはただ彼女の体と心の回復を願っている。
ベッドから下りたビアンカは夜着のまま、いかにも体力は戻ったのだと言わんばかりの問題ない歩きぶりで、隣室の広い食事のテーブルが置かれる場所へ向かった。リュカがマントの襟を整え、ピンで留めたところで、彼女は手に一つの小さな籠を持って戻って来た。
「少しは食べて行かないとダメよ」
そう言いながらビアンカは籠の上に被せてあった白い布を取り去り、リュカに籠の中身を見せる。そこにはビアンカが昨日の内に作ったサンドイッチが二切れ、そろって入っていた。
「何かに夢中になって食事を忘れるの、リュカの悪い癖だわ」
「特別お腹も空かなくってさ。つい忘れちゃうんだよね」
「それでも何か食べないと、人間生きていけないのよ」
はい、と言って取り出されたサンドイッチをリュカはそのまま口にする。
「自分で持って食べなさいよ。そんな、子供みたいに」
笑いながらそんなことを言うビアンカを見て、リュカは彼女からサンドイッチを受け取らず、そのまままた二口目を口にする。あれからあまりビアンカと話をしていない。彼女は双子の母親として常に子供の傍に、リュカは天空城へ通う日が続き、グランバニアを殆ど空ける生活を送っている。再びオジロンに国王代理としての務めを任せているが、今回は半月とかからないと話し、オジロンも納得してくれている。
「本当は私も一緒に行ってみたいんだけどね」
「天空城へ?」
「そりゃそうよ。だって、とっても綺麗なんでしょう? それに空に浮かぶ城だなんて、そんな御伽噺にしか聞いたことがないようなところ、行ってみたいに決まってるじゃない」
彼女の元気な話しぶりを耳にするだけで、リュカの胸の中には幸福感が満ちて来る。そうだった。彼女はこうして未知のものに対する興味が尽きない人だ。そしてそれを素直に言葉にして伝えてくれる。その姿は息子のティミーに似通うものがあり、やはり彼の母親なのだと感じれば、それもまたリュカの幸せの一部になる。
「そのうち子供たちとも一緒に、連れて行ってあげるよ」
「ホント?」
「ホント」
まだ早朝の、ようやく空が少し明るくなってきた頃だ。森に生きる鳥たちは既に朝を迎えており、そこここで鳴き声を立てているが、まだ静かなものだった。ティミーとポピーが同時に寝返りを打ち、同じ向きで同じように身体を丸めて寝ている姿を見ると、思わず笑みが零れてしまう。リュカの周りには今、幸せが溢れている。それ故に、大神殿から解放された人々にも同じような幸せが訪れて欲しいと、リュカは家族がいるという自身の幸福を元に、己の為すべきことに向かえるのだ。
ビアンカが夫の口元にサンドイッチを近づければ、リュカはそれをまた齧る。起きたばかりの、早朝に食べるのにちょうど良いような、干し果物がたっぷりと入った甘いサンドイッチだった。リュカが好んで食べる豆もすり潰した状態でパンに塗られているようだ。ビアンカはこの国の王妃として、凡そ料理などする立場にないが、彼女は元々料理をすることが好きだった。魔物に攫われる前にも、城の厨房を借りて料理をしていたことがある。
「このサンドイッチ、美味しいね」
「そう? 良かった。昨日ね、ポピーと一緒に作ったのよ。ティミーがお勉強だって学者さんの部屋につかまっている間にね。だからティミーはまだ知らないの。二人には後でおやつに食べてもらうつもり」
「そっか。ティミー、喜ぶだろうな。ポピーも楽しんでた?」
「ええ。お料理……とは言えないけど、自分で食事を作るのが面白かったみたいね。またやりたいって」
「フローラさんのところでもサンドイッチを食べたことがあるけど、あの時は中に肉が沢山入ってたかな。僕たちに力をつけてもらおうとしたの、か、な……」
リュカの言葉は尻切れトンボになり、彼の視線はゆっくりと妻を見る。彼女が手に持つ小さな籠はそのままだが、手の位置が知らず下がっていた。目は合うが、リュカにはビアンカの水色の瞳が訴えようとしていることが、分かるような分からないような、しかし何か自身の望まない感情があることが明らかなのは分かるような気がした。
「…………」
「…………」
「…………え~と……」
「………………」
「………………違うよ?」
「何がよ」
「いや、ごめん」
「そこで謝っちゃダメ」
「だって、他にどう言ったらいいのか」
「私に説明できない何かがあるわけ?」
「いや、全部説明しても構わないんだけど、ちょっと時間がかかるかなぁって」
「それは時間をかけてでも説明するべきじゃないかしら」
「あ、でも今はちょっと時間がないからさ。ほら、僕もうそろそろここを出ないと……」
何も疚しいことなどしていないというのに、ビアンカの水色の瞳に怒りの炎が燃え上がっているように見え、リュカの背筋には冷たい汗が一筋流れる。
「あの、そのサンドイッチ、残りをもらっても……」
リュカの言葉の途中まで聞いたビアンカは、苦い顔つきのまま手にしていた食べかけのサンドイッチをリュカの口に突っ込んだ。口のサンドイッチを手に取ったリュカの、もう片方の手に残りのサンドイッチが入った籠を強引に押し付けると、ビアンカは夫に背を向けるように窓の方へと身体を向けてしまった。
「ビアンカ、怒らないでよ」
「怒ってないわよ」
「戻ったらちゃんとその時のこと説明するよ」
「戻ってくるまで待ってろって?」
「……ごめん」
「だから、どうしてリュカが謝るのよ」
気を遣うような言葉とは裏腹に、ビアンカはリュカに背を向け窓の外を見つめている。取り付く島もないようなビアンカの態度に、リュカはこれ以上言葉をかけることもできない。彼女が少し寒そうに身を縮こまらせていても、リュカが自身のマントを外そうと襟首に手をかけたところで、察しの良い彼女はそれを拒むようにリュカから離れて行ってしまうような気さえする。
その内に彼女が鼻を啜る音が聞こえた。泣いているのかと思わず彼女の肩に手をかけて顔を覗き込めば、彼女は顔を背けながらもリュカの手を振り払うようなことはしなかった。
「ビアンカ、言ってよ。何でも言ってよ。言ってくれないと分からない」
リュカはこれから天空城に向かい、まだあの場に残る人々の話に耳を傾ける予定だ。人々のこれからの生活を築いていくために、一人一人の言葉に耳を傾けなくてはならないと、時間を削り身を削り、グランバニアの国王としてと同時に、あの場所に囚われていた者の一人としてその務めに当たっている。
リュカの手の温かさに触れているビアンカの目から、涙が止まらない。自分はこれほど涙もろくはなかったはずだと、石の呪いを受ける前の自分を思い出すが、今の自分は十年前とはまるで違っているような気がしてくる。
子供たちと過ごしている時は凡そ悲しみなど感じられないほどに楽しい。リュカは言っていた。二人の子供たちは容赦なくビアンカの子供でいてくれるから心配ないと、彼は自らの経験の中に思ったことをそのまま妻に伝えていた。傍にいる時には絶え間ないほどに話すティミーとポピーの言葉を、ビアンカは我が身に染み込ませるように聞いている。
「……不安、なのかな」
ようやく彼女の口から洩れたのはその一言だった。しかしその一言が、彼女の今の全ての感情だった。前を向こう、前を向こうと、そう自らに何度も言い聞かせるのは、まだ自然と前を向けないからだ。その内に自然と前を向けるようになるだろうと、のんびり待って構えられるような性分でもない。本当に前を向くためには、意識の前に行動を起こさなくてはならないのだと、ビアンカは己の胸の中に湧き上がる衝動のまま、リュカの正面に向き直った。
「ねえ、私も連れてって」
彼女が素直に自身の願いを口にする姿を見て、リュカはそんな彼女が可愛くて愛しくて、深く考えないまま「うん」と返事をしてしまった。むしろ即座に返事をされたビアンカの方が驚きに目を丸くしている。
「ホントに?」
「ホントに」
一言返事をする間にも、リュカの頭の中にはこれからの予定の中にビアンカが隣にいるという景色がはっきりと浮かんでいた。国王と王妃という立場になったものの、それ以前には世界を魔物の仲間たちと旅して回っていたのだ。そして彼女自身、外の世界を見ることを楽しみ、冒険に憧れるだけではなく、冒険を体験することを心から喜ぶ強い女性だ。
「ビアンカの体調が良ければ、の話だけどね」
「大丈夫よ。問題ないわ」
「オジロンさんにも話しておかないと、怒られるよね」
「そりゃそうよね。また私たちが揃っていなくなるなんて、あってはならないことだものね」
「でもこんな朝早くにオジロンさんのところに話に行くのも気が引けるなぁ」
「まだ寝ている時間よね」
「いや、起きてるよ。オジロンさん、毎朝ドリスと一緒に朝の鍛錬を欠かさないから。元気だよね」
「そうそう、オジロンさんもドリスもとっても強いんですって? ドリスはもっと小さい頃から元気な女の子だったけど、オジロンさんも武道に長けてるだなんて知らなかったわ」
こうしてビアンカと言葉を交わしていると時を忘れ、このままずっと隣で話していたくなってしまう。今まで離れていた分を取り戻すのだと話を続けようと思えば、これからずっと離れることなく話をしていたい思いに駆られる。元々話すことが好きな彼女の事だ。話したい話題に尽きることはない。
「そうと決まったら、私も仕度をしなくっちゃ」
「でもビアンカ、君が行くとなったら、子供たちは……」
「一緒に連れて行くに決まってるでしょ」
さも当然のことのようにそう口にする彼女を見て、リュカは彼女の相変わらずの強引な頼もしさに、本心で喜びが沸きあがると同時に、現実的にはそうすべきではないと諫める心が持ち上がる。
手にしていた残りのサンドイッチを一気に頬張り飲み下すと、早速身支度を整えようと着替えを準備し始めるビアンカにリュカは小さな籠を手にしたまま話しかける。
「天空城は今度連れて行くよ」
「え?」
「今日はね、天空城にいる子供たちを地上へ連れ出すつもりだったんだ。少しずつだけど、人々を地上へ送り届けているんだよ」
リュカは数日の内に、今も天空城で過ごしている人々を、戻るべき場所が明らかな者たちだけでもと地上へと運び、送り届けている。移動呪文ルーラで送り届けるには限界があると、リュカは竜神マスタードラゴンに助力を求め、その広い背で人々を各地へ運んでいた。しかし帰る場所のない人々も当然多くいる。その中には子供たちもおり、彼らのこれからの居場所を用意しなくてはならないことを予め、リュカはサラボナに手紙を出し知らせている。
「君を救い出せたことも、もう知らせてあるんだ」
ビアンカを捜す旅をする道中、リュカは子供たちと魔物の仲間たちと世界各地を訪れ、魔物に攫われた妻を捜している旨を知人友人らに伝え、情報を得ようとしていた。グランバニアの悲劇を知った彼らは一様にして、リュカや双子の子供たちのことを心配していた。リュカはそんな彼らに、既に手紙を送り妻が国に戻ったことを伝えている。
「だから近いうちにビアンカを連れて挨拶に行こうとは思ってたんだよ」
「……どこへ?」
「今回は、サラボナ」
リュカの口からその地名を聞いて、ビアンカの脳裏に真っ先に浮かんだのは、美しいステンドグラスからの光降り注ぐ、巨大な聖堂にも見える教会の景色だった。あの時に一度、人生で最も輝かしい時を迎えた。全ての景色、全ての人々、町の外で待っていた魔物の仲間たちも、全てのものが自分たち二人を祝福してくれていた。生きていてこれほどに幸せな瞬間があるものだろうかと、ずっとふわふわと落ち着かない心のまま、まるで自分ではない誰かが指輪の交換をしているようだった。
「一緒に行ってくれる?」
「……もちろんよ」
そう返事をしながら、ビアンカはリュカの正面からその漆黒の瞳を覗き込むように、じっと見上げた。リュカは何事かと不思議そうに、首を傾げて妻の目を見返す。
「うん、大丈夫そうね」
「何が?」
「浮気はしてないってこと」
「……やっぱり疑ってたんじゃん」
「ふふっ、冗談よ」
リュカの口からフローラの名が出た時にビアンカの胸中を占めたのは、夫の浮気を疑う心などではない。ただ自分がいない間にも時間は進み、その時間をリュカは過ごしていたのだと思えば、ただただ寂しい気持ちが込み上げたのだ。しかし自分がその気持ちを正直に言うのは我儘というものだと、彼女は理解している。自分が寂しいと思う以上に、子供たちには長い間寂しい思いをさせた。そしてリュカにも、恐らく自分が思っているよりも深い寂しさを感じさせていたに違いない。そうでなければ彼は、彼女の手に持つサンドイッチをそのまま何度も齧るような甘えたことはしないに違いない。
「このサンドイッチは一度ここに戻ってきてから、子供たちと一緒に食べようかな」
リュカはそう言いながら、手渡されていた小さな籠を近くのテーブルの上に置いた。天空城に行き、サラボナに連れて行く子供たちを移動呪文ルーラで町近くまで運んだら、一度グランバニアに戻ってくるとビアンカに告げる。彼女を今、天空城へは連れて行きたくないという本心がリュカにはある。大神殿に囚われていた者たちがまだ多く残る天空城に彼女を連れて行けば、何か嫌な思い出に苛まれるかも知れないと、リュカはあくまでも妻の心身を第一に考えていた。
「僕からオジロンさんに話しておく。それで、僕が戻るまで少し時間がかかるだろうから、子供たちとゆっくり仕度をしておいてね」
リュカはそう言いながらその場を離れようとするが、いつもは彼女も子供たちと一緒に大きなベッドの上で眠っている状況で部屋を出るため、目の前に愛しい妻が自分を見つめている状況ではただ離れがたい思いだけが胸を占める。どうにか天空城に待つ人々のことを積極的に思い出し、この場を離れようと意を決しかけた時に、ビアンカに言葉をもらった。
「愛してるよ、リュカ」
これほど素直に自分の気持ちを言葉にする妻の姿に、リュカはまだ慣れない。彼女はどちらかと言えば、愛情表現においては控えめだったように思う。愛を言葉にすることへの恥ずかしさが勝り、これほど自然に微笑みながら、リュカの両手を取りながら、間近に目を合わせながらそんな言葉を口にするビアンカの姿を見ている内に、リュカは己の顔が途端に上気するのを感じた。
その時、部屋にクスクスと小さく息の漏れるような音が聞こえた。
「お父さん、お顔真っ赤ね」
広いベッドの上ですやすやと眠っていたポピーがうつ伏せの体勢で、両肘を柔らかいベッドに埋めつつ顔を上げて、どこか揶揄うような表情で父と母を見ている。
「お母さんに愛してるって言われて嬉しいね?」
「……う、うん、そうだね」
「ねえ、お母さん、ボクは? ボクは?」
ポピーの隣では同じ体勢のティミーもすっかり目を覚ましていた。一体いつから起きていたのか気になったが、それを聞きたいとは思わなかった。どのような答えが返ってきたところで、更なる羞恥で顔が茹蛸のようになるのは分かっている。
「二人とも愛してるに決まってるでしょー!」
そう言いながらビアンカは元来のお転婆気質を思い出したかのように、早足でベッドに歩み寄ったかと思えば、子供たちが寝転がっているベッドの上に自らも身を投げ出した。身を起こした双子を両腕に収めるように抱きしめ、母としての喜びを噛み締めているようにリュカには見えた。
「じゃあちょっと行ってくるね。すぐに戻るよ」
「ええ。行ってらっしゃい。気を付けてね」
これが日常の夫婦の会話、なのかも知れない。しかしつい数日前まで、彼らにはこの日常がなかった。ようやく取り戻せたあるべき日常を、リュカもまた噛み締めるように胸に思い、温かな気持ちのまま部屋を後にした。
天空城に待つ人々にはみるみる生きる力が沸いてきているようだった。その理由の一つとして、天空人たちが生み出す水にその力があった。リュカも口にしていた水だが、それは死者をこの世に呼び戻すという世界樹の葉を浸した水を使っていたらしく、その絶大なる効力により人々の生きる力は予想を遥かに上回る勢いで戻っているようだ。世界樹の雫という天空人にのみ作ることのできる強力な回復薬を作るには相応の時間がかかるようだが、この場にいる人々に与えているものはその回復薬を百倍にも二百倍にも薄めたような液体だった。
帰るべき場所が分かっている者たちを送り届けるのに、リュカは竜神マスタードラゴンの力を借りた。竜神に直に相談した際、人間の世界にこれ以上手を貸すわけには行かないなどと宣っていた竜神だが、リュカがかつて竜神は人に化けて何十年も地下洞窟のトロッコから降りられなくなっていた実は情けない神だということを晒すと言えば、竜神は苦い顔をしつつも一人一人の人間を地上へ帰すことに手を貸してくれた。リュカが移動呪文ルーラで行ける場所ならば問題ないが、リュカには特定できない場所となれば、一人送り届けるのにも相当の時間がかかってしまう。それほど時間をかけている場合ではないのだと状況も合わせて竜神を説得し、神の力にあやかることができた。
一塊になっていた子供たちの集団を前に、リュカは彼らの一人一人の状況を見渡し確認した。己の故郷の事も何も分からず、これからの人生に道筋の立てられない者たちだ。この中にはもしかしたら、どこかの故郷で彼らを待つ家族がいるのかもしれない。いずれは彼らが再会できるようにと、リュカは世界を股にかける大富豪のいるサラボナを中心に、世界へと情報を発信して家族を探していくつもりだった。
そして子供たちには数人の、保護者となる女性がついていく。彼女らもまた帰る場所を失ったり、分からないままだったりする人々だ。サラボナの街を治めるルドマンは、あの街を更に大きく発展させようとしている。限りはあるものの、人が増えることは望ましいことだと快く人々を受け入れてくれるという。
サラボナの地に降り立った直後は狐につままれたような顔をしていた人々だが、案内人に連れられたどり着いたサラボナの丘にある大きな建造物と目にすると、そこがこれから生きる場所なのだという実感がじわりじわりと湧いてきているようだった。
サラボナの巨大学校には既に十数人の子供たちが入り生活をしていたが、そこにリュカが百人近くの子供たちを連れて行けば、途端に学校に賑わいが生まれた。ここで子供たちはこれから生きるための教養や道徳を身に着ける。そしてゆくゆくはサラボナの街を発展させていく一人一人となり、各々が生きる意味を見い出していく。
リュカが一度グランバニアに戻ろうとしたところで、リュカと離れがたく思った数人の子供たちがリュカの周りにまとわりついたが、それを解いてくれたのは少し遅れて姿を現したフローラだ。彼女は学校の中にいたようだが、遅れて来た原因が彼女の姿を目にしてすぐに分かった。リュカは一言告げると一分一秒が惜しいと言うようにすぐさま移動呪文ルーラをとなえた。
国に戻れば既にビアンカと子供たちは出かける支度を終えていた。久しぶりの外出に、ティミーもポピーも喜びを隠せないように明るい表情をしていた。三人とも、凡そ王族の雰囲気を微塵も出さないような、旅装に身を包んでいた。リュカ自身も同様に、いつもの簡素な旅装に身を包み直した。
「お父さん、フローラさんのところに行くのに、本当にこんなカッコウでいいの?」
「うん、『ぜひ動きやすい服装でいらしてくださいね』って言われてるからね。これで大丈夫」
「お母さんも動きやすいカッコウだね!」
「お父さんと旅をしていた時は、ずっとこの格好だったのよ。……でも何だか子供が二人いるお母さんの格好じゃないわよねぇ。もう少しスカートの丈を長くした方がいいかしら」
「えー、私はとってもステキだと思うな! こんなにキレイで若くって、キレイなお母さん、自慢したくなっちゃう」
子供たちが母ビアンカの旅装姿を目にしたのはこれが初めてだ。それまでは常に足元まで隠れるような長いスカートを身に着け、グランバニアの城の中も静々と歩いていた母がまさか膝丈のスカートに、いくらかくたびれたようなブーツを履いているような姿は、子供たちの目に非常に新鮮に映った。
「ねぇ、お父さんもお母さんのことステキって思うよね?」
ポピーの問いかけに、リュカは改めてビアンカの姿に目をやる。オレンジ色のマントに深緑色の簡素なワンピース、それを腰のベルトで絞めて動きやすさを重視した彼女の姿は、リュカにとっては珍しいものでもなんでもない。ただただ懐かしいだけだ。
「そうだね。僕はお母さんのこの服装が一番、好きかな」
「うん! やっぱり動きやすい格好が一番だよ! そうじゃないと早く走れないんだもん!」
久しぶりに身軽な旅装に身を包んだティミーは生き生きとした表情でそう言いながら、床の上をぴょんぴょんと跳ねている。魔物との遭遇免れない外を旅する時には、ティミーは凡そ天空の武器防具に身を包むが、彼にとっては旅人の服に類する今の身軽な服装が当然好ましいようだった。
「じゃあ、そろそろ……」
「行きましょう、サラボナへ!」
久しぶりの外出を楽しみにしているのは何も子供たちだけではない。子供たちよりもむしろ、ビアンカが最もこの外出を楽しみにしているのは明らかだった。髪も以前のように一つの三つ編みにまとめ、右肩から胸へと下ろしている。そして顔には傍目には分からないほどの化粧を施していた。彼女自身、あれから十年の月日が経っていることをこの数日間でどうにかしっかりと理解できたようで、それならば年相応の化粧をしなくてはと思ったようだった。侍女に相談して化粧を始めたようだが、ポピーが「お化粧なんかしなくてもキレイなのに」とぽつりと言うのを聞き、分かるか分からないかくらいの薄化粧に留めたらしい。
移動呪文ルーラの情緒のない特徴は相変わらずで、サラボナの地を懐かしむビアンカの心情を強引に引っ張り込むように、あっという間に彼の地に到着した。彼女がこの地を訪れたのはもう十年以上前になる。しかしその頃と今と、多くの花々に彩られた街の美しさは変わっていないはずだ。幸いにして、以前リュカたちがこの街を訪れた際に遭遇した巨大怪物ブオーンとの戦いは、サラボナの街を傷つけることなく終わったために、街は今も変わらず生き生きとしている。
「街に入るんじゃないの、リュカ?」
リュカがルーラの到達点に定めたのは町の入口ではなく、見晴らしの塔から望む広大な丘の上だった。ルドマンの屋敷の裏手に広がる丘で、そこにはビアンカが目にしたことのない大きな建物が建っている。
何人もの旅人を泊めることのできるような巨大な宿屋だろうかと、ビアンカは一目見てそう思った。宿屋の娘として育ったビアンカには、規則正しくいくつもの部屋が内部に収まっているような造りの学校が、世界を股にかける大富豪ルドマンが客人をもてなすための宿泊施設に見えたのだった。
「こんなに大きな宿屋だったら、何人もの人を雇っていないと無理よね。食事を用意するのも大変そう。さすがはルドマンさん……」
そう言いかけて、ビアンカは言葉を止めた。彼女の目に映ったのは、学校の門から出てくる一人の麗人、フローラだ。そして彼女の腕には、一人の小さな乳飲み子がすっぽりと収まっている。
言葉もなく、ただ目頭を熱くして遠くに見つめ合い、佇むビアンカとフローラを見て、リュカは己の知らない彼女二人の絆を見たような気がした。思い出すのはリュカとビアンカがサラボナの教会で挙げた結婚式の日のことだ。式の後に行われた祝宴で、ビアンカとフローラがまるで姉妹のように打ち解けていたのをリュカは覚えている。二人に似たところなど一つもないが、彼女らは互いに遠い昔にどこかで会っているのかも知れないと思えるほどに、近しい雰囲気を感じ取っていた。
「ビアンカさん……」
リュカは既にルドマン家に手紙を送り、ビアンカが無事にグランバニアに戻ったことを知らせている。行方不明となっていたビアンカが戻ったことを知っていたフローラだが、実際にビアンカの姿を見れば感動も一入だ。続く言葉もなく、ただ当時と変わらぬ様子のビアンカを見つめている。
「……ご心配おかけして、本当にごめんなさい、フローラさん」
「いいえ、いいえ……そんなこと、どうでも良いですわ。それよりも無事にお戻りになって、本当に、良かったです……」
彼女が両腕に抱きかかえている乳飲み子はそれまですやすやと眠っていたが、フローラの目から零れ落ちた涙を受けると、ぼんやりと目を覚ましてすぐに顔を歪ませる。そして赤ん坊の仕事と言わんばかりに、弱い泣き声を上げ始めた。
「あら、いけない、起こしてしまったわ」
「その子はフローラさんの赤ちゃん?」
「いいえ、違うんです。この子は屋敷近くに置かれていて、私たちのところで引き取った子なんです」
丘の上に建つ大きな学校には年齢様々の子供たちがいる。そこにリュカが連れて来た百人近くの子供たちが加わり、学校は途端に賑やかな場所になった。その中にはフローラが腕に抱いているようなまだ生まれて間もない赤ん坊もいる。今彼女の腕の中でふにゃふにゃと泣いているのもみなしごの一人で、天気の良い丘の上を一緒に散歩をしようと彼女が外に連れ出していたのだった。
「まだ慣れなくて……抱っこの仕方が悪いのかしら」
「そんなことないわ。とっても素敵なお母さんに見えるもの」
まだ身体のどこもかしこも頼りない赤ん坊を抱くフローラの表情はどこか不安に苛まれている。しかし彼女は自らこの子の母になるのだという意思をはっきりと持っている。どのような理由でこの赤ん坊が屋敷の裏に置かれていたのかは知る由もないが、この子を育てるのは自分しかいないのだと、彼女は不安ながらも母を目指している。
「ねえ、お母さんが抱っこしてみたら?」
赤ん坊を見ていたポピーがふと隣に立つ母ビアンカに視線を移す。
「私が?」
「そうだわ。ビアンカさんはポピーちゃんとティミー君のお母さんですもの。私、ビアンカさんに色々と教わりたいですわ」
そう言うなりフローラは目の前に立つビアンカに向かって一歩近づくと、腕に抱える小さな赤ん坊を静かに丁寧にビアンカの腕の中に渡した。赤子を胸に抱く小さく温かな感覚に、ビアンカの幸せに満ちていた感覚が否応なく蘇る。
子供を産んだ母親だからと言って、突然に完全無欠の母親になどなれるわけはないのだ。子供が愛しいのはまごうこと無き事実だが、この小さな命を守り育てなければならないという重責はそれまでに感じたことのないものだった。この子にとっての母親は私しかいないのだと思うと、赤ん坊だけではなく、自身も怪我や病気などになっている場合ではないと、切羽詰まる責任が自然と胸の内に生じた。
しかしそのような責任だけに追い詰められないのは、やはり腕の中にある小さく温かな命が愛しくて仕方がないからだった。この子のために自分はしっかり母親にならなければならない、という思いよりも、この子のために自分はしっかりとした母親になりたいと、希望を抱くことができた。子供は育ち、いずれは自分の足で立つようになる。それまで自分は母親として、この子たちにできうることをするのだと思えば、胸の中に起こる不安も幸せの中に包むことができた。
「ティミーもポピーも、こんなに小さかったんだね」
ビアンカが胸に抱く赤ん坊の頬を、リュカは人差し指で優しくつつく。その僅かな感覚にも驚いたのか、赤ん坊の泣き声が大きくなる。リュカは思わず少し身を引いて、「ごめん、ごめん」と謝ると思わずビアンカの横顔を見た。
ビアンカは過去にそうしたことを身体で思い出すように、赤ん坊をしっかりと両腕に包みながらゆっくりとしたリズムを刻み、ゆらゆらと自らが赤ん坊の揺り籠となる。かつてその腕に抱いたティミーを、ポピーを思い出しながら赤ん坊をあやすビアンカの姿は、紛れもなく母親の姿だった。そんな母の姿を、かつてその腕に抱かれていた双子が無意識にもじっと見入っていた。
「さすがお二人のお母様ですわ。ほら、こんなに大人しくなっちゃって」
柔らかく温かな母の腕の中でゆらゆらと揺れている感覚は、もしかしたら赤ん坊がまだこの世に生まれる前の、母の胎内にいた時の感覚と似ているのかも知れない。生まれ故郷と言うよりは、生まれる前の故郷に戻るようなものだ。これ以上安全な場所などないのだと言うように、ビアンカの腕の中の赤ん坊は泣くことも忘れて、瞼を重くしている。
「お母さん」
「なあに」
赤ん坊の眠りを妨げないようにと囁くような声で呼びかけるポピーの声に、ビアンカも同じように囁き声で返す。
「私もお兄ちゃんも、この赤ちゃんみたいだった?」
ポピーはそう問いかけながらも、母の胸に眠り始めた赤ん坊をまじまじと見つめていた。一方で兄のティミーはビアンカを見上げている。同じようなことを思いながらも見つめる対象の異なる双子の様子に、ビアンカは小さく笑いながら応える。
「違うかな」
「えっ?」
「二人は本当に良く寝てくれたのよ」
「そうなの?」
「うん。でもね、一度目が覚めて機嫌が悪くなったら、なかなか泣き止まなくて大変だった」
言葉にしながらその時を思い出すビアンカだが、その時を経験したのもひと月にも満たないのが現実だ。母親としての経験を語れるほどにはないのだと、ビアンカは子供たちとの思い出の少なさに思わず黙り込んでしまう。
「ボクとポピーだったら、ポピーの方がたくさん泣いてたでしょ?」
「そんなことないよね、お母さん。私の方が大人しく寝ていたでしょ?」
「絶対になかなか泣き止まなかったのはポピーの方だよ」
「お兄ちゃんこそ、最近はずっとお母さんから離れないでとっても甘えてるから、きっと赤ちゃんの時も……」
「何だよ、それ! ねぇ、お母さん、ボク甘えてなんかいないよね? 普通だよね?」
「お城でだって、お母さんの姿が見えないとすぐに探すじゃない。ただお手洗いに行ってるだけなのに」
「そんなの! ポピーも同じようなもんだろ! すぐにボクに『お母さん、どこにいるか知ってる?』って聞くじゃないかよ」
「だ、だって、お母さんがまたどこかに……」
ポピーの言葉を最後まで言わせずに、リュカは喧嘩を始めたティミーとポピーを同時に両脇に抱いた。
「行かないよ。お母さんはもうどこにも行かない。ずっとティミーとポピーの傍にいるから安心していいんだよ」
この数日間を天空城でほぼ過ごしていたリュカにとっては、ティミーとポピーが今も抱いている不安を目の当たりにして、普段は表に現れない子供たちの心の傷は全く癒えていないのだと痛感した。十歳になり、子供としては身体もとても大きくなった。しかしそれとは裏腹に、彼らの心は一種の赤ちゃん返りをしたような幼さがあった。父リュカといる時にはしっかりしている子供の姿を見せていても、いざ母の隣にくれば彼らはまだまだ甘えん坊の幼い子供だった。
「そうよ。もう二度と、同じ過ちは繰り返さないわ」
そう言いながらビアンカは自分を見上げる二人の愛しい子供たちを見つめる。腕に抱く赤ん坊は、今の騒がしい二人の子供たちの声にも目を覚まさずにすやすやと眠っている。不思議なものだと思う。安心しきっている時はどれほど大きな音が傍で鳴っていようとも、赤ん坊は目を覚まさないことがある。深い眠りに就いている時、赤ん坊はどこかこことは異なる場所にでも旅に出ているのではないかと思うこともある。
「もう二度と、ね」
人が深い眠りに就いている時、それは心の底から安心しきっている時に違いない。最大の信頼を寄せる母や父が傍にいて、子供である自分を包み守ってくれるという、他では味わえない安心感が、ちょっとやそっとのことでは起きない熟睡を生み出しているのかも知れない。そのような無類の安心感を、ビアンカはこれからティミーとポピーの心の中に育てて行かねばならないのだと、二人に優しく微笑む。
「今日はこの子にとっても、とても良いお散歩になりましたわ。ありがとうございます、ビアンカさん」
「いいえ、こちらこそ。何だか……赤ちゃんの頃のこの子たちを思い出せて、幸せな気持ちになれたわ」
「リュカさんも抱っこなさいますか?」
「え、僕? いや……折角眠ってるみたいだしさ、そのままビアンカが抱っこしていた方が……」
「そんなこと言って、自信ないんでしょ」
ビアンカはふざけてそう言ったつもりだったが、リュカにとってはそれが真実だった。まだ首も座らないふにゃふにゃとした眠る赤ん坊を渡されても、自分の硬い筋肉質の腕では赤ん坊も安心していられずに目を覚ましてしまうのではないかと、過去の記憶が蘇る。
「皆さん、あまりお時間がないですよね。今、夫も呼んで屋敷にお招きいたしますわ。そちらで少し……本当は一日でも二日でもお話していたいところですけれど、ビアンカさんが無事にお戻りになったことをお祝いさせてくださいませ」
フローラはそう言うと、眠る赤ん坊をビアンカに預けたまま、丘の上に建つ学校へと軽やかに駆けて行く。丘の上を吹く風に乗るように、清らかな笛の音が学舎の中から聞こえて来た。それに合わせて子供たちが思い思いに手を叩いたりして、弾むようなリズムの笛の音を楽しんでいる。
「とっても楽しそうな笛の音ね」
「子供たちもだけど、きっと一番楽しんでいるのは笛を吹いている人なのかも知れないよ」
「誰が吹いてるのかしら?」
「楽しそうだから、ボクたちも行ってみようよ!」
そう言うなりティミーはフローラの後を追うように丘の上を駆け出した。学舎の中から聞こえる多くの子供たちの声に誘われるように、ポピーも兄の後を追って駆け出す。近頃はグランバニアの城に籠りっきりになっていた双子の子供たちだが、彼らにとってはあの広いグランバニア城も狭い鳥籠のようなものなのだろう。まるで背中に羽でも生えたかのように生き生きと丘の上を走る二人の後姿を、リュカはビアンカと並びながら様々な感情の中に見つめていた。
Comment
bibi様。
執筆ありがとうございます。
久しぶりのビアンカとリュカの言い合いにニヤニヤしています(笑み)
ビアンカの嫉妬を文字で表現するの難しくなかったですか? 二人の無言とサンドイッチを口に放り込む描写がリアルで(ニヤニヤ)
ビアンカ、フローラがアンディと結婚したこと…たぶん…知らないはずですよね? ビアンカの心情と行動が気になりますね。
bibi様にも息子様がいるから、子育てとは? 赤ちゃんとは?
そんな心理や状況が分かっているからこそ、こんなシリアスな子供の、赤ちゃんの描写ができるんですね(笑み)
ちなみにビアンカもしかして…まだ授乳できたりしちゃったり? 誘拐された時のままだから年齢はリュカと同じで、え~と…何歳?18歳?20歳?bibi様、どうだったでしょうか?後でbibi年表確認しないと!
フローラとアンディにはゲームでも子供が居ない設定になっていますから、フローラにとってこの乳飲み子は欲しかった赤ちゃんになりそうですね。
でも、サラボナにも「赤ちゃんポスト」みたいなことをする母親がいるんですねぇ(汗)
この赤ちゃん、今後のbibiワールドのフラグになったりして?
次回は、ルドマン、ルドマン妻、アンディ登場になりますね。 個人的にはリリアンがきになりますけどね(笑)
次話お待ちしています。
ケアル 様
コメントをどうもありがとうございます。
もうね、ようやくビアンカを救出できたので、これからは存分にコミュニケーションを取ってほしくてこうして色々と喋ってもらっています。うざったいわ~と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが(汗)、ご容赦くださいませ。まあ、ほどほどにはします・・・。
そうですね、ビアンカは今はまだ浦島太郎状態なので、色々とついて行けない話ばかりだと思います。サラボナもテルパドールも、ラインハットにおいてはまだ行ったこともないという。これからその辺りもちょこちょこ書いて行ければと思います。あまりのんびりはしていられないんですけどね。
子育ては一様には語れないものだと思うので、あくまでも私の想像の範疇で書いています。一人一人、持って生まれたものも異なるし、対応も異なるしで、それらを書いて行けばキリがないので、ここで書く子供に関する表現はあくまでもその中の一つということで。キレイごとだけじゃないですからね~。あ、仰る通り、ビアンカはまだ授乳できる状態ですね。まだ身体が戻り切っていない感じだと思います。
フローラは、私のお話の中ではリュカと結ばれない運命となりましたが、彼女もまた大きな運命を背負っている一人です。ルドマンの娘として、彼女はこの世界のために何ができるかと考え、行動しています。そのうちサラボナにも一つの国が建国されたりして。ドラクエワールドは色々と想像が広がるので、その辺、本当に楽しいです。
bibiさん
リュカとビアンカのこのやり取り、凄く懐かしいです…
本当の意味で帰ってきたんだなと実感出来た気がします。
二人の世界に入って子供達に聞かれちゃうのも含めて美味しいです(笑)
フローラと再会し、母として語らう二人も良かったですね。
赤ちゃんを通じて失った時間に想いを馳せるビアンカ。何となく、3人目への布石なのかなとも思ったり…!
ピピン 様
こちらにもコメントをどうもありがとうございます。
リュカとビアンカのやり取りには私も力が入ります。と同時に、こんな感じでいいんだっけ?と不安になりながら書いていたりします(汗) 彼女を救うまでの期間が長すぎた・・・。リュカも二年ぶりの愛する妻なので、二人で話していると子供たちに気遣う余裕を失うという(笑) もしかしたら一番彼女の救出を望んでいたのはリュカ自身だったのかも。
フローラさんにはゲーム中には子供がおられなかったようなので、そして彼女はきっととても強い人だと思うので、先を見据えて行動しているだろうなと、ゲームにはない設定で人生を進んでもらっています。私の中ではこのゲーム中に登場する女性で、ビアンカ、フローラ、マリアの三人の中ではフローラが一番強い人だと思っています。・・・あ、多分、最強なのはアイシス女王かな(笑) 三人目への布石・・・それはこれからもどこかで書かれるかも。