「ザ・ロスチャイルド」を読んで

 

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今回は夏目漱石から離れて、全く異なるジャンルの本を読んでみました。フィクションの物語ではなくて、ノンフィクションの物語。しかしその内容はフィクションよりもフィクションしているという・・・いや、ホントにこれ、あったことなの? と思ってしまうような一冊です。

こちらの本は、ロスチャイルドの初代マイヤーから始まり、その息子たち、その子孫へと続いていく歴史を追いながら、世界に起こった歴史的事実の真相を見ていく、というようなお話となっています。

学生生活を送ってきた方々ならば、社会科の授業でさらーっと聞いてきたような大きな歴史の出来事の数々ですが、その裏側に悉く彼らがいたのかと気づくと、背筋が凍るような思いがします。でもこれって、全く隠されていないんですよ。誰もが知ろうと思えば知れることなんです。・・・当然、知っている方からすれば「今更そんな初歩的なことに気付いたの?」と思うようなことなんでしょうね・・・。

たとえば、ナポレオン戦争、たとえばアヘン戦争、日露戦争、南北戦争、第一次世界大戦・・・ここまで見ても、戦争だらけ。これだけでも恐ろしいものです。それらだけではなく、マルクス、リンカーン暗殺、連邦準備制度(FRB)、日本で言えば高橋是清、伊藤博文、吉田茂・・・もう、世界の全てを牛耳ってるんじゃないかと思うほどに彼らの足跡は至る所に残っているのだと、この本は教えてくれます。

彼らの行動原理には一体何があるのかと思うと、書籍の中に下記のような箇所があります

「貨幣がユダヤ人の世俗的神だった」という小段落があり、そこでの文章を引用すれば、

”少年時代にラビを目指したことがあるマイアーは、金(カネ)の「力」の絶対性を信じていたと伝えられています。
ユダヤ教の世俗的基礎は実際的な欲求・私欲であり、ユダヤ人の世俗的神は貨幣であるとも言われています。
貨幣は、神をも含むすべてのものを商品に変えます。貨幣は人間世界ならびに自然から固有の価値を奪い、人間を支配し、人間はそれを礼拝します。
貨幣が世界の権力となり、実際的なユダヤ精神がキリスト教民族の実際的な精神となることによって、ユダヤ人はユダヤ人的方法で自己を解放していくと言うのです。政治もまた金の力に従属します。
これは実際的なユダヤ精神、すなわちユダヤ教が、キリスト教社会それ自体の内部に存立し、しかも最高の完成を示していくことを表していました。”

ラビ、というのは宗教指導者兼学者、という意味です。マイアー、というのは初代のロスチャイルドの名です。

そもそも、彼らユダヤ人は長年、ヨーロッパで嘲られ人間扱いされていなかった背景があります。日本に生まれ育った私には想像し切れないところですが、法律的・社会的制約も厳しく、正式な苗字も許されず、土地所有も許されず、ゲットーというユダヤ人居住区に住まいを限られていたそうです。なんなんでしょうね、こういうことが人間が人間に出来てしまう辺りがもう、理解が及ばないと言うか、理解したくないというか、同じ人間同士で醜いし、力で押さえつければ当然反発があるだろうに、それを分かっていても力で押さえつけてしまうのはいかがなものかと思うけれども、これが現実の世界ということなんですね。

そうしてそのユダヤ人の中からでてきたのが、ロスチャイルド一族。で、今の世の中を実質動かしているのがもし彼らに連なる人々だとしたら・・・途轍もなく深く長い怨念がそこにあるのかしらと想像してしまいます。分かりませんけどね、本当のところは。

それと一つ、奇妙な一致があったので、それを下記に記しておきます。

「5本の矢」という段落で、

初代マイヤーは5人の息子たちをヨーロッパの主要都市にそれぞれ配します。フランクフルト、ロンドン、ウィーン、ナポリ、パリ。そして事業は5人の息子たちのみが携わり、男子の跡継ぎが生まれなければお家断絶となる・・・似ていますね、日本と。

それと、初代マイヤーが亡くなる直前に息子たちに言葉を遺しています。5人の兄弟が協力しろと。その内容をよくよく伝えるためにと、スキタイ(古代の騎馬遊牧民国家)の王の行為の話を持ち出したそうです。

その話というのが・・・この王は息子たちにはじめ、強く縛った矢の束を差し出し、息子たちはそれを誰も折ることが出来なかった。次に王は矢の束を解いて、一本一本の矢を折るのは容易いと示した。

聞いたことがありませんか? 日本にも「3本の矢」として知られていますよね。

そしてこの「5本の矢」は、今もロスチャイルド家のシンボルであり続けています。それとロスチャイルドというのはあくまでも英語読みであって、本当は「ロート・シルト」。意味は「赤い盾」。代々、赤い盾の表札が付いた店舗兼住宅で暮らしていたので、その屋号を使うようになったとか。

これまでに挙げたお話は、こちらの本の内容のほんのほんの一部に過ぎません。この本を一冊読めば、いままでさらりと過ぎて行った世界史の裏側にいきなり迫ることができるという・・・このような本を読むと、事実は小説よりも奇なりという諺が事実なんだとつくづく思わせられます。読後はついつい放心します。自分が抜け殻になったように感じます。そして今までとは異なる視点で、これからの世界を見るようになります。全て疑うことから始まりそう・・・。

私は学者でも何でもないので、このような本を読んで今まで知らなかった真実を知ることくらいしかできませんが、世界の流れに良いようにされるだけなのはお断りなので、また何か興味があるものには目を通して行ければと思います。

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