「天皇と皇族」 世界最長を誇る日本の王朝の現在と未来 (著:竹田恒泰)を読んで

 

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日本に暮らす日本人の中で一体どれほどの方々が、日本の皇室について知識があるのでしょうか。恐らく、ほとんどの方が皇室について何も具体的なことは知らないまま、過ごしているのではないでしょうか。かくいう私も、当然のように何も知りませんでした。学校で教えられることもなく、父母から教わることもなく、知識を得る切欠がないまま大人になり、それでも特別困ることもないためにそのまま過ごしている方が私を含めほとんどではないかと思います。

それ故に、皇室をよく理解している方々には一般的な『男系男子』や『万世一系』と言った言葉の意味も、俄かには分からないまま過ごす方が大半だと思われます。その言葉がどれほどの意味を持つのか。知れば、それがとんでもないことなのだと、誰もが理解できると思うのですが、そこに至るまでにはそれなりの時間をかけて天皇や皇室について知識を得なければならないために、タイパやコスパと言われるような今の時代ではなかなかその知識を身に着けるまでに至らないという……そんなところなのではないかと思います。

ただ、今の今、そんなことは言っていられないと、皇統を説明するための本が出版されています。ということで、今回はこちらの本を読んでみました。

「天皇と皇族」 世界最長を誇る日本の王朝の現在と未来

著者の竹田恒泰さんは、テレビにも出演される有名な方ですが、この方の特別は何といっても“元皇族”であるということでしょう。私のようなゲームに染まった子供時代を送った人間からすれば、元皇族という肩書だけでもうどうしようもないワクワクがあったりもするのですが(すみません)、たとえ竹田さんの口が悪くとも滲み出る品の良さが垣間見えると、やはり元皇族の方なのだろうなぁと、動画チャンネルを拝見していてそう思ったりもします。話が面白く分かりやすく聞き取りやすいのは、やはりその育ちもあるのではないかと、半ば夢を見てしまいます。

今、政治の世界では皇統のことについても議論が重ねられているようですが、この議論についても私たちは本当のところをどれだけ理解できているか、疑問に思うところです。学校でも家庭でも皇統なんて言葉は一度たりとも出たことはない、という方がほとんどではないでしょうか。

よく言われる“女系天皇”や“女性天皇”という言葉についても、ほとんどの方がその意味を正確に理解していないと思っています。言葉には、表面に見える意味と、その内側に込められている意味とがあります。表面上は、いかにも男女平等を描いたような雰囲気で、女性でも天皇になる権利を持つべきだ、という意見が出てくるのも時代的にはあることなのだろうとは思います。しかし、皇統というものを知って、さらにはこの日本という国がこの先もずっと続いて欲しいと思うのならば、この女系天皇や女性天皇という考え方はそもそも生まれないということに行き着くはずです。

私はこの日本という国が好きです。若い頃には、少ないですが海外旅行の経験もあり、その度に日本人に生まれたことがどれだけ恵まれているかを実感しました。一度は、どこから来たのかと尋ねられ、日本人と応えると、それだけで握手を求められた経験もありました。私は別に何もしていないけれど、何故そのような温かな反応を示してくださったのかを考えれば、それは私たちの先人の方々のお陰、ということに尽きます。そのような日本という国を築いて、海外にもその評判を知らせてくれたから。本当に、先人の方々には感謝の思いを忘れないようにしたいと思います。

今上陛下は第126代の天皇陛下です。……よく考えてみてください。126代です。一般に、商売でも3代続けるのも難しい、5代、6代と続いていればそれはもう江戸時代にまで遡れるかもしれない、10代なんて続いていたら……と考えた上で、この126代をもう一度考えてみると、これがいかにとんでもないことなのかが想像できると思います。世界で最も古くから続く国、それが日本という国です。ということを、日本人が最も理解していないという現実があるんですよね。海外の方の方がよほどこの現実離れした現実を理解してくれそうな気もします。

女系天皇がもし日本に誕生したとしたならば、それはこの126代続いた“王朝”が途切れることになります。永らく続いてきた日本の王朝についても様々な議論があるところですが、それでも126代続いていると言えるだけの歴史も証もあるわけですから、この歴史を簡単に否定することはできないでしょう。その歴史は、もし女系天皇が誕生したら、はい、また1代から始まりね、ということになってしまう。これが“皇統の断絶”です。

もしこのような状況となっても、多くの日本人はもしかしたら、「それの何が問題なのか?」と思うくらいにのんびりしているかも知れません。何となくですが、私はそんな雰囲気も感じます。それが戦後教育の悲しいところではありますが。

この状況となった時には日本国内よりも寧ろ、対外的に、外国に向けての日本としての大いなる強みが一つ、喪われてしまうという大問題が発生するんです。126代続く万世一系という血筋、この歴史の積み重ねに勝るものはこの世広しと言えど、存在しないと言っても過言ではないでしょう。唯一無二の価値、というものがあります。今を生きる私たちは、日本という国が持つこのような価値を正確に知らなければならないのだと思います。特に、世界情勢が不安定な時こそ、この唯一無二の安定は他の何よりも頼りにできるものでもあるでしょう。

そのような価値を知ることも大事なことですが、日本における「天皇」がどのような存在なのかを知ることも大事なことかと思います。

天皇は常に、日本の為に、日本国民の為に、「祈る」存在です。ただただ私たちのために「祈り」を捧げてくださっています。今時の物質主義的な世の中では、一見するとあまり意味のないようにも思う方もいるかも知れませんが、それこそ実際にその行為を自分ごとにして考えてみてください。あなたは知らない誰かの為に、毎日毎日祈りを捧げることができますか? それこそ、私心を一切なくして、ただただ国民の為に「祈る」ことができるでしょうか。それは決して仕事と割り切って行うものではありません。ひたすら心の底から、国の為に、国民の為に、ただただ「祈る」。これがどれほど難しいことか。

そう考えてみると、それは究極の『親』の姿なのではないかと、ふと思いました。多くの親は、何かのメリットを受けるために、我が子の安寧を祈るものでしょうか? 多分、そんなことはないですよね。子供が幸せならそれでいい、と思う親がほとんどのはずです。そして、親が無償で子を思うから、それに安心して子は伸び伸び活動できる、と。この親と子の精神の結びつきがそのまま、天皇と国民の精神の結びつきなのかなと、今さらながらに戦前の方々の想いが感じられるようで少し鳥肌が立ちました。

先の大戦で様々大きな断絶があったのは事実ですが、それでも皇統は戦後もずっと途切れることなく続いています。日本が敗戦し、昭和天皇とマッカーサーとの会見で、昭和天皇が「自分はどうなっても構わないから国民を助けてほしい」と伝え、それを受けるようにマッカーサーは米国に「皇室は日本に不可欠だ」という報告を送っている……。マッカーサーは初め、昭和天皇が自らの命乞いをするものと思っていたようです。しかし寧ろその反対で、自らの命を顧みることなく、ただ国民を助けてほしいと言う昭和天皇の姿に、マッカーサーは感動すら覚えたのだと。このようなことも、私たちの多くは知らないまま、存続しているこの日本という国に甘えて生きている、ということです。

こちらの本には、竹田さん特有の視点から、今の皇室についても様々書かれています。先ずは知識を得るためにも、こちらの本を手に取って読んでみることをお勧めします。文章は丁寧で、品よく、日本語の美しさに触れることもできます。皇室の今時のカジュアルな姿も見え、一般的には遠い存在にも思える皇室を身近に感じることができるのは、こちらの本ならではの味わいかと思います。戦後に皇籍離脱した旧十一宮家についても説明があったりと、私たちが普段知ることのない日本の芯の部分に触れることができます。

色々と知識を得た上で初めて、今話題にもなっている皇室典範改正について、その内容が分かってくるものと思います。大事なことは、日本という国をこのままずっと存続させること。そのためにどうするのが望ましいのか、私たち国民一人一人が今や知らなければならない、というところにまで来ているのかなと思っています。

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