2017/12/03
祝宴
サラボナの町は明るい日差しに照らされ、町が輝きを放っているようだった。町を象徴する大きな教会の前に広がる噴水広場では祝宴が始まり、人々は各々いつもはお目にかかれないような豪華な食事や酒を口にし、楽しんでいる様子だ。純白の衣裳に身を包む花嫁を見て、新郎新婦を知らなかった町の人も口々に祝福の言葉をかけてくる。サラボナの町民性は穏やか且つ開放的で、新郎新婦の二人は彼らからかけられる祝福の言葉に礼を述べ、心から感謝する思いだった。
祝宴の準備はすべてルドマンの手配によるものだ。それもこれも、本来であればルドマンの一人娘のフローラのためのものだった。しかし世界的な大富豪は惜しげもなく赤の他人であるリュカとビアンカにその舞台を譲り、そしてルドマン自身も二人に心からの祝辞を皆の前で述べた。ルドマンの人柄は、サラボナの町民に信頼されるもので、彼は世界的な大富豪であるとともに多くの人々に愛されるカリスマ性も持ち合わせている。その彼が娘のフローラの横で堂々とリュカとビアンカに祝辞を贈る姿を見て、町民たちは皆、リュカとビアンカという新郎新婦を素直に祝う心が生まれたようだった。
リュカはビアンカと共に広場を歩きながら、様々な人から祝辞を贈られ、その度に礼を述べつつ、しかし勧められる酒は断り続けていた。一度、葡萄ジュースと間違えて葡萄酒を飲みそうになった時には、隣のビアンカがグラスをそっと抑えて、リュカにグラスを渡してきた町民にやんわりと返していた。『リュカの酔ったところも見てみたいけど、酔うにはまだ早い時間だわ』と少し意地悪そうな笑みを見せるビアンカに、リュカはただ頭を掻くばかりだった。
「もう良い夫婦になっているようだな」
二人のそんな様子を後ろから見ていたルドマンが、愉快そうに声をかけてきた。ルドマンの左手にはワイングラスがあり、心地よく酔っているようだった。
「ルドマンさん、本当にありがとうございます。どれだけお礼の言葉を言っても……」
「いいんだ、いいんだ。人が幸せになる手伝いができるのは嬉しいことだよ」
そう言いながら笑顔で葡萄酒を一口飲む。今、噴水広場で開かれている祝宴の費用は全て、ルドマンの懐から出ているのだ。二人の結婚の祝宴のために準備された豪華な食事、酒、広場全体に広がるテーブルや椅子、そこにあしらわれる色とりどりの花など、祝宴を盛り上げる全てのものはルドマンの手によって用意されている。サラボナの町の人々に聞いた話によれば、これほどの盛大な結婚式が行われるのは初めてかもしれないと言うことだった。その機会を自分たちに与えてくれたことに、リュカもビアンカもルドマンに感謝しきれない言葉を持っている。
「フローラにも良い友人ができたことだし、私にも得るものがたくさんあったのだ。こちらこそ感謝しているよ」
「そうですわ。リュカさんがヴェールを取りに行く旅に出ている間、ビアンカさんとお友達になれたのですもの。私、今回ほど同年代の女性と楽しくお話したことなどありませんのよ」
ルドマンのすぐ後ろについてきていたフローラが、この祝宴に心躍る様子で明るい声を響かせる。リュカは自分が旅に出ている間にビアンカとフローラが何を話していたのかは知らないが、ただ二人の間にはリュカの立ち入れない独特の世界が生まれているのをどことなく感じていた。それは女友達という特有の世界で、男であるリュカには理解できない世界だった。
「私も同じ年くらいの女友達っていなかったのよね。まさかフローラさんとそんな風になれるとは思わなかったけど」
「あら、どうしてですの?」
心底不思議がるフローラを見て、ビアンカは改めて彼女と友達になれて良かったと思う。
「だって、私たちって言わば敵同士みたいなものだったのよ。と言うか、私が勝手に横恋慕したようなものだけど……」
「まだそんなことを仰っているのですか、ビアンカさん。私は一度もあなたを敵だなんて思ったことはありませんのよ。初めて見た時から、なんて言うか……楽しく話せそうな気がしましたわ」
「そうなの?」
「ええ。何だか初めて会った気がしなかったんです。もしかしたら遠い昔にどこかで会っているのかも知れないって思うくらい……不思議なこともあるものですね」
「そう言われればそんな気もするかも。前世ってものがあるとしたら、私たちって姉妹とか親子とか、そんな関係だったのかも知れないわね」
「そうそう、それほど近しいものを感じますわ」
楽しそうに話す二人の姿を見ながら、リュカは安堵する思いがした。ビアンカとフローラがまさかこれほど親しくなるとは思わず、むしろその親しさに嫉妬する思いさえ沸き起こった。
「僕が旅に出ている間に何を話していたのか聞かせてよ」
子供のような嫉妬心から、リュカはつい二人の会話へ割り込むように話しかける。そんなリュカの態度に、ビアンカとフローラは顔を見合わせて同時に微笑む。
「あら、女友達同士の会話を聞きたいだなんて、リュカさんったら、それは野暮というものですわ」
「そうよ、男のリュカには分からない話を色々としていたの。きっとあなたに話しても理解できないことだと思うわ」
「そう言うものなの?」
「そう言うものなの」
いつものようにぴしゃりと言うビアンカを見て、リュカは口を噤まざるを得なかった。少々不安そうな表情を見せるリュカの背中をトントンと叩きながら、ビアンカは笑って言う。
「心配しないで。あなたの悪口なんか一つも言ってないから」
「そうですわ。ただあなたたちの小さい頃のお話を少し聞いていただけですの。何でも、子供二人だけで外に冒険に出たのだとか……」
「お化け退治の時のこと?」
「そうそう、その時の話をし始めたら、フローラさんがとても楽しそうにしていたから、つい……」
「つい……って、何を話したの?」
「えーと、それは言えないわね。ねぇ、フローラさん」
「そうですわね、うふふ」
リュカを安心させようとしたビアンカの話は、結局リュカをさらに不安に陥れるだけのものだった。ビアンカとフローラが楽しそうに笑い合う姿は、女友達と言うよりはどこか本当の姉妹のようにも見えた。容姿は全く似ていないが、彼女たちにはどことなく通じる雰囲気があるようだった。
「フローラ、私たちだけで長話をしていてはせっかく来てくれているご友人に申し訳ない」
ルドマンがそう言いながら視線を向ける方向には、サラボナの町の人と談笑するヘンリーとマリアの姿があった。ルドマンの視線にすぐさま気づいたヘンリーが、話していた町人との話を切り上げ、リュカたちのところへ向かってくるのが見える。
「ルドマンさん、先に主役を独占するなんてずるいぜ」
「そのつもりはなかったんだがね。しかし君たちと話が始まると、もうそれきりになってしまうだろう?」
「それは仕方ないさ。なんせ俺たちは昔からの知り合いだからな」
「親友じゃないの?」
「お前、しつこいぞ。俺と親友になるなんざまだまだ早い」
「そっか。じゃあ僕はもっと頑張らないといけないね」
「そうだ……って、何をどう頑張るつもりだよ」
ふざけた二人の会話を聞くルドマンたちはそろって笑い声を上げた。
「久しぶりに会ってこれほど息も合ってるのに、まだ親友ではないのですか?」
「ほーんと、ヘンリーさんが女じゃなくて良かったわ。最大のライバルになるところだったかも知れないものね」
「私もそう思います。リュカさんとこの人が男女だったらって考えると……ちょっと不安になっちゃいます」
フローラとビアンカとマリアがそんな言葉をかけてくるのを聞いて、リュカとヘンリーは思わず互いに顔を見合わせる。
「……そんな目で俺を見るな」
「それはこっちのセリフだよ。なんか気持ち悪くなってきた」
二人でしかめ面を見せる傍をちょうど給仕の女性が通り、配っていた飲み物から二人はオレンジジュースと葡萄ジュースを手にした。不快になった胸の中をすっきりさせるために、ジュースを喉に流し込むと、同時に一息つく。
「さて、私たちはここらで外そう、フローラ。私たちも他の方々に挨拶して回らねば」
「はい、お父様。それでは皆さん、また後ほどお話に混ぜてくださいませね」
ワイングラスを手にしたまま、ルドマンは娘のフローラを伴ってその場を去っていった。彼らの後ろ姿を目にしながら、ビアンカは思わずほうっとため息をつく。
「あれほどのお嬢様と親しくなれるなんて、何だか夢みたい。本当だったらお目にかかることもできないだろうに」
祝宴の主役であるビアンカは、最も輝く純白のドレスを身にまといながらも、慎ましやかなドレスで美しく歩くフローラの後ろ姿にふと自身の境遇を振り返る。山奥の村で父と共に静かに暮らす生活を長年続けていたビアンカにとって、フローラの存在はあまりにも眩しすぎた。
「だけどすっかり仲良しになってるよね」
「それはフローラさんがとても優しい人だからよ。そうでなければ、私なんてとてもお話できる人じゃないわ」
「フローラさんだけじゃなくて、ビアンカちゃんもそうだから、仲良く話せるようになったんだろ」
葡萄ジュースを飲みながら話しかけてくるヘンリーに、ビアンカは視線を落として小さく首を横に振る。
「そんなことないわ。私がもっと優しければ、こうしてリュカと一緒にサラボナの町に来ることなんてなかったもの」
「なんだそれ? と言うか、俺たちは突然リュカの結婚式の招待状をもらってここに来たんだけど、詳しい話は何にも知らねぇんだよな」
「お二人の結婚までのいきさつを話してくださいますか? 私も知りたいです」
マリアの柔らかくも好奇心の見える言葉に、リュカとビアンカはこれまでのいきさつを大まかに話し始めた。リュカがサラボナの町に訪れた時、ルドマンがフローラの結婚相手を募集していたこと、彼女の結婚相手には家宝の盾が授けられること、結婚の条件として伝説のリングを見つけ出すこと、リングを見つける旅の最中にビアンカと偶然再会したこと、水のリングを探索する旅にビアンカも同行したことなどをざっと話すと、ヘンリーは話をまとめるように一言口にする。
「いわゆる運命ってやつだよな。俺、そういう言葉ってあんまり好きじゃないけど」
「私もそう思います。お二人は知らないところで既に結ばれていたのではないでしょうか」
「でも、私があの時一緒に旅に出なければ……」
「それでもそうできなかったってのは、その時にはもうリュカのことが好きだったんだろ?」
「人を好きになる気持ちは抑えようとしても、むしろ強まるもののような気がします」
まだ新婚の域を出ないヘンリーとマリアだが、ビアンカから見れば既に数年連れ添った夫婦に見えるほど落ち着いた雰囲気が彼らにはあった。夫婦になるということはそういうことなのかと、彼らの間に見える絆にふと憧れを抱く。しかしそれと同時に、彼らの間にはまるで恋人同士のような初々しさも漂う。それはふと視線を合わせ、逸らす時にそっと表れる。そんな彼らに、ビアンカは自分のことのように胸がときめくのを感じた。
「僕もそう思うよ」
「え?」
「あの時君と再会したのは運命だったんだって」
まるでプロポーズのような言葉に、ビアンカは顔を真っ赤にし、ヘンリーは呆れるような顔をして、マリアは感動するように両手を合わせてリュカを見る。皆揃って固まってしまった状況に、リュカは眉をひそめて首を傾げる。
「どうかしたの?」
「どうかしたのじゃねぇ。お前ってやつはホントに……。ビアンカちゃん、この先色々と苦労するかも知れないけど、こいつをよろしく頼むな」
「リュカ、そういう言葉を誰にでも言わないでね」
「悪気なく言いそうですもんね、リュカさんって」
「僕、何か悪いこと言ったの?」
「状況によってはな。そうやって気のない女性も惹きつけちまいそうで怖いってことだよ」
「よく分からないけど、まあ、気をつけるよ」
「分からないんじゃ気をつけようもないわよね……。ま、仕方ないわよ。そんなリュカを好きになっちゃったんだから、せいぜい私も浮気されないように頑張るわ」
そう言いながら苦笑いする花嫁姿のビアンカも最高に綺麗だなと、リュカはついじっと見つめてしまう。
「ねぇ、私とリュカのことをお二人に話したんだから、リュカとヘンリーさんたちのことも知りたいわ。とても仲が良いみたいだけど、どういう知り合いなの?」
ビアンカが持ち前の好奇心を前面に出し、目を輝かせながらリュカとヘンリー夫妻を見る。ビアンカはリュカからヘンリーとマリアという親しい友達がいるという話しか耳にしておらず、彼らの間にあった様々なことを何一つ知らない。今、ビアンカの目に映るヘンリーとマリアは、その装いから非常に身分の高い人物であることは自ずと分かった。身に着けている衣服が普通に町で買えるようなものではなく、特別に仕立てたような高価なものなのだ。リュカとビアンカの結婚式に参列するために仕立てたにしても、そのような衣服を着慣れている雰囲気が二人にはあった。そのような身分の高い友人がいるなど想像もしていなかったビアンカは、彼らがどういういきさつで友人に、しかもかなり親しい間柄になったのか、知りたかった。
しばらく誰も言葉を発しなかった。リュカは考え込むように俯いていたが、ヘンリーの視線を感じると、言葉を選んでビアンカに説明する。
「ヘンリーとは子供のころからの知り合いなんだ。初めはとっても嫌なヤツでさ、僕のことを子分子分って、どうしても友達になってくれようとしなかったんだよ」
「何よそれ、子分ってどういうこと? ヘンリーさんって一体どういう人なの?」
結婚式を挙げ、皆が幸せな気分に浸っている祝宴の最中、リュカはビアンカに自身の暗い過去の話などしたくなかった。彼女には一生、知らせないでも良いと思っている。父パパスに強い憧れを持っていた彼女に、ヘンリーとの関係を伝えるのは困難を極めるどころか、嘘をつくぐらいのことをしなくては説明できないと、リュカは頭の中で必死に話を作り出そうとする。
しかし元来正直で嘘のつけないリュカに、とっさに嘘をつく器用さはない。話を考えてもすぐにその話は破綻すると、リュカは頭の中で架空の話が堂々巡りするのを止められない。
リュカがそうする理由は、結局、誰も傷つけたくないということだった。正直に話をすることで、恐らくビアンカも、ヘンリーも、マリアまで傷つけてしまうことになる。輝かしい太陽に照らされた美しい噴水広場で、主役となる自分が最も傷つけたくない人々を傷つけてしまうことは、どうしても避けたかった。
困ったようにじっと黙り込むリュカから、ヘンリーはしっかりと彼の考えを感じていた。ビアンカと言う幼馴染は、リュカを子供のころから知っている。幼い頃、唐突にサンタローズから姿を消したリュカのその後の人生を知りたいと思うのは当然だ。しかしリュカにはそれを説明する勇気が出ない。大好きな彼女には、今の明るい陽射しだけを浴びていてほしいのだと、困惑顔のリュカが無言でそう言っている。
「なあ、ちょっと小腹が空いたな。マリア、何か適当に持って来てくれないか?」
「あ、はい、わかりました。では何か持ってまいりますね」
ヘンリーが何か考えてそう言っているのだろうと、マリアは素直に夫の言葉に従う。
「それと、リュカ、グラスが空になってるぜ。マリアと一緒に行って何かもらって来いよ」
「え? あ、ホントだ」
そういうリュカに、ヘンリーの意図は見えない。単純にグラスの中が空になったことを知らせてくれたのだと思っている。
「じゃあ、ちょっと行ってくるね。待ってて」
そう言うとリュカはマリアと話をしながら、祝宴の食事や飲み物を出す広場の店を回ってみることにした。残されたヘンリーとビアンカは互いに視線を合わせ、同時にふっと笑みをこぼす。
「ま、あんたは気づいてるよな」
「気づかないのはリュカくらいよ。二人を遠ざけたのはどういう理由?」
「俺から話していいのか分からないけど、このままだとあいつからビアンカちゃんに話すこともなさそうだからな」
ヘンリーの口調は軽いが、乾く口を湿らすのに飲んだ葡萄ジュースは既になくなっていた。見た目の明るい雰囲気とは別に、彼がどこか緊張している空気がビアンカに伝わる。
「俺から話せることだけを話すよ」
「ええ……」
ビアンカはリュカとヘンリーがとても仲の良い友人だとしか思っていなかった。友人になった経緯など分からなくとも、今の彼らの様子を見ていれば、無二の親友と言ってもおかしくはない親しい雰囲気が二人にはある。それがただ彼らの過去のいきさつを聞こうとしただけで妙な雰囲気になり、ヘンリーがリュカとマリアを遠ざけてしまったことに、訳も分からず汗が滲み出る。
「俺のことはただの友人だって聞いてるんだよな?」
「ただの友人と言うか、大親友だ、みたいな調子で話しているのを何度か聞いてるわ。だって私たちの結婚式に誰か招待したい人がいるかってルドマンさんに聞かれたら、すぐにあなたたちのことを言ったらしいもの」
「そうか……ありがたいことだな」
礼を呟くヘンリーだが、その表情はどこか苦しげだ。ビアンカは話を促すこともできず、じっとヘンリーの言葉を待つ。
「ラインハットは知ってるよな?」
耳障りなその国名に、ビアンカは思わずさっと表情を曇らせる。彼女にとってラインハットという国は憎むべきものでしかない。憧れのパパスに王子誘拐の罪を着せ、そのパパスが住んでいたサンタローズを無残に焼き払ってしまった恐ろしい国で、ビアンカはラインハットという国名を聞いただけで寒気や怒りがこみ上げるほど嫌悪感を持っている。
「知らないわけがないわ、あんなひどいことをした国を」
怒気を隠さないビアンカの強い雰囲気に、ヘンリーは一瞬怯んでしまう。しかしそれが彼女の現実であり、今までもこれからも突き付けられる現実だった。非人道的なことをしたラインハットという国を、パパスやリュカを不幸な目に遭わせた国を、リュカの妻となる彼女が許すはずがないと、ヘンリーは今一度覚悟を決める。
「ラインハットがあんなひどいことをしたきっかけを作ったのは、俺だ」
絞り出すような苦しげなヘンリーの声に、ビアンカは彼を窺うように見つめる。すると今まで気づいていなかったことに気付き始める。
ルドマンの屋敷前で初めてヘンリーとマリアを見た時、彼らのまとう雰囲気にどこか違和感を感じた。それは身なりであり、話し方であり、どことなく感じられる上に立つ者が持つ独特の空気だった。ビアンカは無意識にこぶしを握り締め、震わせていた。
「あなたが……もしかして……」
「ああ、俺がパパスに誘拐されたと言われてたラインハットの王子だ」
低い声のヘンリーの告白に、ビアンカの頭の中には一気に様々な感情が巡り始めた。目の前のヘンリーが言う通り、全ての悲惨な現状を引き起こしたのは彼自身の存在だったのかも知れない。彼が攫われなければ、全ての悲劇は起こらなかったに違いない。それだけを考えると、目の前のリュカの友達が憎い。
しかし彼はあくまでも誘拐された立場なのだ。しかも当時彼はまだリュカと同じほどの子供だった。リュカとヘンリーの今の関係を説明するには、まだまだ言葉が足りない。ビアンカは一度深く呼吸をすると、冷静にヘンリーに問いかける。
「あなたはパパスおじさまでなくて、一体誰に攫われてしまったの? それに、それからどうやってリュカと友達になったの? 全く分からないわ」
ビアンカのもっともな疑問に、ヘンリーは継母との関係の悪さ、継母の義弟への愛情、それがきっかけとなってラインハットを追いやられるように誘拐が実行されたこと、そして誘拐された自分を助けようとしたパパスとリュカのことを話した。ヘンリーの話すことがまるで作り話のようにふわふわと聞こえ、ビアンカはただ彼の話を耳に流していただけだった。
「それで……俺を助けに来たせいで……パパスは死んだ」
そう言いながら、ヘンリーは震えているようだった。その時のことを思い出しているのだと分かり、ビアンカは瞬時にして彼の話が現実にあったことで、とてつもない悔恨と恐怖がそこにあるのだと感じた。
「それから俺たちは二人で生きていかなきゃならなくなった。それからのことは……後でリュカに聞いてくれ。あいつが話すかどうかは分からないけどな」
そう吐き捨てるように言うヘンリーの心の中にはまだ抱える闇が残されているようだった。しかしビアンカは出会ったばかりのヘンリーの過去を根掘り葉掘り聞きだすつもりはない。それがリュカに関するものでも、ヘンリーは十分に話せることを話してくれたに違いないと感じた。
「……ありがとう、話してくれて」
「礼を言われることなんかじゃない。俺はあんたに殺されたっておかしくないようなことをしてるんだ」
「結婚式っていうおめでたい時なのよ。そんな物騒な言葉を使わないで」
最も輝いていなければならない花嫁の顔を曇らせたことに、ヘンリーは正直に頭を下げる。
「ああ、悪い……」
「でも、本当にありがとう」
「だから礼を言われることじゃ……」
「だって二人で生きていかなきゃならなくなって、今までリュカがこうして生きてこられたのはあなたのおかげなんでしょう? きっとあなたがいなければ、今頃リュカは……そう考えると、怖いわ」
「だけど俺が全てを引き起こした元凶なんだぜ」
「あなたの何が悪いの? あなたは連れ去られてしまったのよね? あなたこそ辛い目に遭っているんじゃない」
いつかのリュカと全く同じことを言うビアンカに、ヘンリーは絶句した。ビアンカはヘンリーの幼い頃を知らない。彼がラインハットでイタズラ王子として知られ、日々人々を困らせていた事実を知らない。彼女はただ、まだ幼いヘンリーが抵抗することもできずに連れ去られ、ラインハット王子を助け出そうとしたパパスを死なせ、その息子のリュカとともにその後の人生を共にしたということを知ったに過ぎない。淡々とした彼の過去をたどるだけでは、一体彼の落ち度がどこにあるのか分からなかった。
「あなたはずっと、そうやって辛い思いを抱えているのね」
リュカが長年共に過ごしてきたヘンリーと言う人物が悪い人のわけがないとビアンカは思う。自分も辛い人生を送っているはずなのに、それでも常に胸の中でパパスを死なせてしまったと思う罪の意識を忘れずにいる彼が、悪い人のはずがない。自身の背負う罪の意識と共に、リュカの人生を長年支えて来てくれたことに、ビアンカはただ感謝する思いだった。
「私にはあなたのその辛い思いをどうすることもできないけど、これからもリュカとずっと友達でいてね」
「それはあいつ次第だ」
「リュカがあなたをかけがえのない友達と思っているのは、これからも変わらないと思う」
「さあ、それはどうかな。あいつだって心のどこかでは俺のせいでパパスさんが死んだって思ってるはずだ。それって俺を拒絶する十分な理由になる」
「じゃあ……リュカとずっと友達でいることが、あなたが思う罪を償うことになるのかも。リュカと友達でい続ける限り、あなたは一生自分が思う罪から逃げられないんだもの」
今日初めて会い、初めてこうして話しているというのに、ビアンカが次々と自分の心を暴いてしまうことに、ヘンリーは思わず舌を巻いた。リュカから聞いていたビアンカという少女はただお転婆で、怖いもの知らずで、常に先を走っているような向こう見ずな少女なのだと思っていた。しかし目の前で話している花嫁の姿をした美しい女性は聡明で、機転が利き、相手を気遣う心を持ちながらも自分の意思はしっかりと伝えるという器用さを兼ね備えている。そんな女性を人生の伴侶に選んだリュカの目に狂いはないと、ヘンリーはどこか安心するようにため息をついてふっと笑う。
「あなたにはその覚悟があるのね?」
「あの時から俺はその覚悟を持ってる。一生をかけてあいつにも国にも、償い続けるつもりだ」
「リュカを敵に回したら怖いわよ~。なんせ魔物が仲間なんだから」
「ああ、そうだった。あいつはそういうヤツだったな。ところで魔物の仲間たちは外に待たせてるんだろ? 後で会わせてくれよ」
「そうか、ヘンリーさんは知ってるのよね。じゃあリュカとマリアさんも連れて外に出てみましょうよ。マリアさんは平気?」
「あいつはガンドフと仲が良かったよ。あんな熊みたいなのと普通に話せるんだから平気平気」
「じゃあ二人を探して一緒に外に出てみましょう。どこに行ったのかしら……」
ビアンカとヘンリーがキョロキョロと見渡す景色に、リュカとマリアの姿は見当たらない。二人は少しばかりの不安を抱えつつ、リュカとマリアを探しに噴水広場内を歩き回ることにした。
「リュカさん、それはお酒ですよ」
「ええっ? うわ、ホントだ。危ない危ない」
グラスのオレンジ色の液体の匂いを嗅いで顔をしかめ、リュカは手にしたグラスをテーブルに戻した。その手でついでにと言わんばかりに、リュカが皿の中にたくさん残る木の実を手に取ると、そのまま口の中に流し込むように食べた。バリバリと音を立てて食べる気ままな新郎の姿を見て、マリアは楽しそうに笑う。
「リュカさんって木の実が好きなんですね。旅にご一緒させてもらった時は食料が限られているから木の実を食べているのかと思っていたけど、お好きなんですね」
「うん、そうみたい。僕も知らなかった」
バリボリと一通り木の実を味わってから、リュカはマリアに渡されたオレンジジュースで喉を潤す。新鮮なオレンジを絞っただけのフレッシュジュースは、リュカの喉を爽やかに通っていく。そんなリュカの様子にマリアはほっとしながらも、遠くに見えるヘンリーとビアンカの姿をちらと見る。純白のウェディングドレスに身を包む花嫁の隣で話す男がとても自分の夫とは思えず、マリアは静かにヘンリーの姿から視線を逸らした。まるでお似合いのカップルの姿を見ているようで、ラインハットを代表する人物にはビアンカくらい華のある女性が似合うのではないかと考えてしまう。マリアは自然と落ち込んでしまう気持ちを上げようと、笑顔を作ってリュカに話しかける。
「リュカさんはこれからも旅を続けるんですよね? ビアンカさんも一緒に旅に出るんですか?」
マリアの言葉に、リュカは困ったような顔をして答える。
「僕が止めたってビアンカはついてくるよ。小さい頃から冒険好きな女の子だったんだもん。旅に出られるなんて願ったり叶ったりだと思うよ」
「まあ……頼もしい人なんですね、ビアンカさん」
「本当は村に残っていてほしいけど……残っていて……いや、でもやっぱり一緒にいたいなぁ」
「大好きなんですね、ビアンカさんのこと」
「うん、そうだね。でもマリアも同じでしょ? ヘンリーとずっと一緒にいたいって思うでしょ?」
「はい、私はそう思っています。けど……」
途端にマリアが顔を曇らせる状況に、リュカは窺うように彼女の顔を覗き込む。
「どうかしたの?」
「あの……リュカさんに言っても良いのかどうか分からないんですけど」
「いいと思うよ、多分」
「あの人は義務感で私と一緒になってくれたんじゃないかって、そう思うことがあって……」
「何それ、義務感って何のこと?」
あくまでも重く受け止めないリュカの調子に、マリアはむしろ話しやすくなる雰囲気に乗じて、彼に話し始める。
「兄に『妹を頼む』と言われて、それで私をどうにかしなければと思って、こうして一緒になってくれたんじゃないかって。そんな風に思う時があるんです」
全く予想していなかったマリアの思いに、リュカは彼女が何のことを話しているのか理解するのにしばし時間をかけた。
マリアの言う通り、リュカたちはあの大神殿建造の地より逃れる時、その手はずを整えてくれたマリアの兄ヨシュアから『マリアを無事に地上まで連れて行ってくれ』と彼女の無事を託された。恐らくヨシュアは、命を賭して妹のマリアを守らなければならないという思いでリュカとヘンリーにたった一人の肉親を託した。彼の思いはリュカにも、もちろんヘンリーにも痛いほど伝わり、今でも彼の言葉は忘れることなどない。
たとえヘンリーのマリアへの想いのきっかけがヨシュアの言葉だったとしても、今となっては誰もが認める相思相愛の二人だ。それは以前、リュカがルーラの呪文を使ってラインハットを訪れた時に確認した事実だ。ラインハット城の人々は皆、ヘンリーとマリアの仲睦まじさを羨んでいた。リュカ自身も、ヘンリーがマリアと一緒にいるだけでとても幸せな表情をするのを、どこか寂しい気持ちで見た。自分には一生できないことだと、マリアに筋違いな嫉妬を感じたりもする。
「きっかけって色々だよね。僕だって、もしかしたらビアンカじゃなくて、フローラさんと結婚していたかも知れないし」
水のリングを探索する旅の途中で偶然にもビアンカと再会し、今は彼女との結婚式の祝宴の席にいる。もしビアンカと再会せずに水のリングの探索を終えていたら、恐らくリュカは予定されていた通りフローラと結婚していたに違いない。それはそれで、また違う未来が開けていたのかも知れない。
「でも今はもう、ビアンカ以外の人と結婚するなんて考えられない。きっかけがどうだとか、どうでもいい。振り返ったところで、その時の気持ちにも戻れない」
リュカの純粋で強く、隠し事のない言葉に、マリアは自身の気持ちも強まるのを感じる。こうして不安を覚えるのは偏に、夫のことをこれ以上ないほどに好きだからなのだと、マリアも分かっている。リュカの言葉は自分の心を代弁しているようで、マリアは胸の中が温まる思いがした。
「過去を忘れないのも大事だけど、マリアはもっと未来を見た方がいいと思う。ヘンリーのためにも、ヨシュアさんのためにも、そうして欲しいな」
「はい、そうですね……。何だか前にも同じようなことを仰ってくださったような気がします。私が成長していないってことですね」
そう言いながらマリアは目に浮かぶ涙を指先で拭う。リュカはそんなマリアの小さな頭をぽんぽんと軽く叩く。
「成長なんて言ったら、僕なんて小さい頃から全然成長してないってビアンカに馬鹿にされそう。いまだに何一つ敵わなそうだもんなぁ」
「そう言いながら、リュカさん、幸せそうですよ」
「そうかな? ……そうだね。だって大好きな人とこれからも一緒にいられるんだから」
「私も幸せです。これからもずっと、大好きなあの人と一緒にいる限り」
そう言い合うと、リュカとマリアは互いに微笑み、抜けるような青空に視線を投げる。それぞれに描く未来の景色は、途中に様々なことがあろうとも、その先は今の青空よりも果てしなく明るい。
「……話は済んだか?」
「あ、ヘンリー。いたんだ」
「ビアンカさんもご一緒で。どうかなさったのですか? お二人ともお顔が少し赤いような……」
「え? あはは、私はお酒のせいじゃないかしら」
リュカとマリアの会話を少し前から盗み聞きしていた二人が、その内容に顔を赤くせざるを得なかったことに、リュカもマリアも気づいていない。あまりにも直接的な感情表現をする互いの伴侶に、ヘンリーもビアンカもしばらく声をかけられずに言葉を失っていたのだった。
「リュカ、外で待ってもらってるみんなのところへ行ってみない? ヘンリーさんたちも久しぶりに会いたいでしょうから」
「そうだね。みんなもヘンリーとマリアに会いたがってるよ、きっと。行ってみよう」
「でも流石に新郎新婦がこの場を抜け出すのはマズいような気もするけどな。どうやったって目立つだろ」
リュカとビアンカのために用意された祝宴の席で、真っ白な衣装に身を包んだ主役の二人がそろって町の外に出てしまうのはさすがに人の目を集める。魔物が徘徊する町の外に、幸せの頂点にいる新郎新婦をやすやすと出してしまうほど、サラボナの町の人々も無責任ではないだろう。
「あ、そうだ。呪文で行ってみよう」
「呪文って、移動呪文か? ラインハットに来た時に使ってた……」
「町の外に出るだけでも使えるものなんですか?」
「やってみないと分からないけど、多分できるよ。何となく想像できるから、きっと大丈夫なはず」
「それだけあやふやな言葉が並ぶと、とても不安になるわね……」
「失敗しても大したことにはならないよ、きっと」
「失敗前提かよ」
「でも楽しそうですよね、あの呪文。以前、リュカさんが空を飛んでいく姿を見て、楽しそうだなって思ってました」
「そう言えば私と旅をしている時には使わなかったわね。どうして?」
ビアンカを連れて水のリングを探す旅をしていた時は、あえて彼女といられる時間を長くするために使わなかったのだとは言えず、リュカはビアンカの言葉をそっと流した。
「……じゃあみんな、僕につかまって。と言うか、僕、何人かでルーラを使うの、初めてだな」
「この期に及んで不安を助長するな」
四人が輪になる姿に、周囲の人々は少々ざわついた。一体何が行われるのかと、祝宴を楽しむ人々は期待の目を向ける。しかしそんな雰囲気には飲まれない令嬢が一人、ぱたぱたと早足で彼らに近づいていく。
「あの皆さん、父が皆さんとお話を……」
「あっ、フローラさん!」
リュカが呪文を発動しようとしたその時、フローラがにこにこと彼らに近づいてきた。意図なく近づいてきたフローラにも、ルーラの呪文効果が及び、四人と共に彼女の体も薄い光の膜に包まれた。それに気づいたビアンカとヘンリーが咄嗟にフローラの手をつかみ、輪の中に入れてしまった。
「えっ? えっ? なんですの?」
「フローラさんならきっとみんなと仲良くなれるわ」
「大丈夫だ、リュカの仲間に悪いやつはいないから」
「一体何のお話ですか? それにこれは一体……」
「ルーラってこんな感じなんですね。心までふわふわしそうです」
「それじゃ行くよ。しっかりつかまって」
リュカはそう言うと、イメージ通りにルーラの呪文を発動した。フローラを加えた五人の体はゆっくりと宙に浮きあがり、サラボナの町を見下ろすほど高いところまで上がると、目にも留まらぬ速さで町の外へと飛んで行った。
「……リュカ、お前、わざとやったろ」
「そんなことないよ、たまたまだよ」
「まだまだ練習が必要みたいね、この呪文」
「あ、でも楽しかったです。空を飛べるなんて夢みたいです」
「あの、とにかく、皆さんご無事でよかったですわ」
サラボナの町のすぐ近く、青々した草原の上でヘンリーが一人、尻餅をついていた。そのすぐ横で彼の衣服についた草を手で取り払うマリアと、彼の様子を心配そうに窺うフローラ。ルーラの途中、地面への着地段階に入った際、五人の先陣を切るように地面に突っ込んでいくのがフローラの位置だと気づき、リュカが慌てて軌道修正したのだ。その結果、地面に投げ出されたヘンリーは足から着地する余裕もなく、そのまま地面を転げる形になり、草まみれの状態になった。
「お前、善人っぽい面しながら実は……ってところがあるから信用できねぇんだよな」
「僕のことそういう風に見てるの? ショックだなぁ」
「言いながら笑ってるわよ、リュカ」
「でもあのままではフローラさんが危なかったです。だから……仕方なかったかも」
「そりゃそうだけどさ。でもマリアまでそんなこと言うのかよ。すねるぞ、俺」
「マリアは正しいことを言ってるだけだよ。ねぇ」
「まあ、リュカが身体を張ってみんなを助けるって手もあったとは思うけどね~」
「ああ、そうですね。リュカさんならそうしそうでしたけど、思いつかなかったですか?」
「僕も痛いのは嫌だもん。あの勢いで落ちたら痛いに決まってるし」
「そうか、それで俺を……って、やっぱりそうなんじゃねぇか。ふざけんなっ」
リュカはヘンリーに頭をはたかれ、結局男二人で痛みに顔をしかめていた。そんな二人をビアンカとマリアが笑って見守る。もしかしたら誰かが大怪我でもしかけなかった状況だが、そんな状況をふざけて笑い飛ばしてしまう彼ら四人の姿に、フローラはただぽかんと口を開けていた。
「ここって、町の外ですよね?」
突然、ルーラの呪文に巻き込まれたフローラは少し離れたところに見えるサラボナの街並みを眺めてそう言った。ルーラの呪文で移動する速度はそれこそ目にも留まらぬ速さのため、気づいたら町の外に放り出されていたような感覚なのだ。まるで無防備な状態で町の外に出てきてしまったことに、フローラは不安を隠さず顔に表している。
フローラが見上げる先に、大きな羽を広げて羽ばたく鳥のような影が見えた。太陽の光に暗く見えるそれは、鳥ではなく、サラボナ周辺にも生息すると言われるキメラという魔物の姿だった。フローラは小さく息を吸い込むと、リュカに駆け寄り魔物の存在を知らせる。
「リュカさん、あそこに魔物が……」
「メッキー、ちょうどよかった。ここにいてくれたんだ。みんなは?」
「キッキッキー」
「あっちの森の中にいるんだね。じゃあみんなで行ってみよう。ついてきて」
「あいつ、お前の新しい仲間か?」
「うん、こっちで仲間になってくれたんだ。メッキーって言うんだよ」
「またどうせお前がセンスのない名前をつけたんだろ? キメラにメッキーなんて、ひねりのない」
「名前は分かりやすい方がいいよ。下手に凝った名前をつけても、多分僕が真っ先に忘れる気がする」
「まあ、それもそうだな」
「あ、あ、あの……!」
リュカとヘンリーが普段通りに会話をする姿に、フローラは目の前で起こっている問題を忘れかけたが、リュカのすぐ上にはキメラと言う魔物がばさばさと飛んでいるのだ。しかも彼らは魔物を『仲間』と言っている。まるで事情が呑み込めないフローラは、頭が混乱しそうだった。
「フローラさん、とにかくついてきて。大丈夫、悪い魔物が出てきたら私たちで何とかするから」
「悪い魔物って、どうことなのでしょうか。あのキメラは悪い魔物ではないのですか?」
「リュカさんのお仲間なんですね、メッキーさん。私も初めてお目にかかるので、後でちゃんとご挨拶させていただこうかな」
魔物との戦闘の経験のなさそうなマリアまで落ち着いた様子でいるところを見て、フローラはようやくいくらか冷静になれた。良い魔物がいるという話は聞いたことがないが、とにかくすぐ近くを飛んでいるキメラがリュカたちに襲い掛かってくることはなさそうだ。
サラボナのすぐ近くに広がる森にも当然、魔物は棲息している。そんな危険な場所に、ほぼ丸腰の人間が五人、特に警戒をするわけでもなく歩み進んでいく。いざという時に戦えるのはリュカとビアンカ、ヘンリーの三人だが、彼らも武器を持ち合わせていないため呪文での戦闘となる。そんな状況にも関わらず、彼らの足取りは軽い。
森の中に見えた影に、リュカは顔を明るくした。森の中の少し開けた場所に、仲間たちはいた。大きな白馬パトリシアの姿が見え、そのすぐ近くに彼女が引く馬車の荷台が外され置かれていた。メッキーが森の中で待つ仲間に呼びかけると、馬車の荷台や近くの茂みなどからわらわらと仲間たちが姿を現す。
「みんな、待たせちゃってごめんね」
「なんじゃ、結婚式とやらをしとったんじゃないのか」
「うん、教会で式は挙げたよ。今は町で宴会してる」
「お二人が主役なのではないですか? 外に出てきてしまって平気なのですか?」
「ちょっとくらい大丈夫だよ」
「ビアンカ、キレイ……」
「ありがとう、ガンドフ。そうだ、ガンドフにもこのお花をつけてあげるわね」
そう言うと、ビアンカは自分の頭を飾ってあった白い大きな花を取り、ガンドフの頭に乗せてやった。ガンドフはほぼ肌身離さず持っている真実の鏡を手に取ると、鏡に映る自分の姿にうっとりしている。
「相変わらずだな、ガンドフは」
「変わっていなくて良かったです。ピエールさんもスラりんさんもお久しぶりです」
リュカとビアンカの後ろから聞こえてきた声に、パトリシアの背の上に乗るスラりんが驚いたように目を見開いて飛び降りてきた。地面を踊るように跳ねて来て、真っ先にマリアの腕の中に飛び込む。受け止めたマリアから、ヘンリーがスラりんを引きはがす。
「俺の許可を得てからそういうことはしてくれよな」
「スラりんに焼きもちを焼くなんて、子供っぽいのね~」
「ヘンリーは前からそういうところあるよね」
「うるせぇ。何かお前に言われると無性に腹が立つ」
「ヘンリー殿こそ前と変わらず了見の狭いままだということですな」
「久しぶりに会って話す言葉がそれかよ。お前こそ相変わらず生意気なままだな、ピエール」
「私は生意気を言っているわけではない。ただ事実を言っているだけです」
「なんじゃ、お主か、ヘンリーと言うのは。話に聞いていた通りのヤツじゃの」
緑色のローブを来た老人に話しかけられ、ヘンリーはフードを目深に被るリュカの仲間をまじまじと見つめる。
「こいつもこっちに来て仲間になったヤツか? なんだ、普通のじいさんじゃないか」
「いやいや、これを見ても普通のじいさんと思うかの?」
そう言ってフードを上げるマーリンの骸骨のような魔物の姿を見て、ヘンリーとマリア、そして後ろにいるフローラは揃って息を呑んだ。ふらふらと覚束なくなるフローラの体をビアンカが支える。
「お前さ、仲間にするヤツも少しは選べよ」
「マーリンはとっても頼りになる仲間だよ」
「そうじゃそうじゃ、わしのお陰でリュカの旅もスムーズに進んでおるわい」
「自らそういうこと言うヤツって大体怪しいんだよな」
「ところでリュカさん、あちらの方もお仲間なんですか? そうでなければ今すぐに警戒した方が……」
マリアがそう言いながら指さす先には、いかにも人を襲いそうな大きな虎の姿をした魔物がいる。彼らの様子を窺うその姿勢は低く、喉の奥でぐるるると威嚇のような音を鳴らしている。今にも飛びかかってきそうな雰囲気を出す虎の姿に、ヘンリーがぎょっと目を開く。
「あいつ、もしかして……」
「そうか、ヘンリーさんは知ってるのよね。プックル、おいで。あなたも覚えているんでしょう?」
「がうがうっ」
ビアンカの声に荒っぽい返事をするプックルは、再び喉の奥で威嚇のような音を鳴らしてヘンリーを見つめる。リュカはそんなプックルを楽しそうに眺めている。
「リュカ、あの猫、本当に俺のこと覚えてるのか?」
「さあ、どうだろう。覚えてなかったら襲いかかるかも」
「そうならないようにどうにかしろよ、飼い主として」
「そうなったら僕には手をつけられないよ、あんなに大きいんだから」
「それは無責任ってもんだろ。飼い主の自覚がない」
「僕はプックルを飼ってるわけじゃないからなぁ」
リュカがゆるゆると会話する間に、プックルはじりじりとヘンリーに近づいていた。そして一度大きな声を出すと、ヘンリーに向かって飛びかかった。声も出せないほど驚くヘンリーの上にのしかかり、その顔をべろべろと舐め始めた。
「プックルはしっかり覚えてるよ、君のこと」
草地に倒された格好のヘンリーの傍で、リュカが笑いながら言う。
「それならそうと早く言え」
「忘れるわけないよ、あの場所に一緒にいたんだから」
「……ああ」
リュカとヘンリー、そしてプックルは、ラインハット東の遺跡で離れ離れになった。彼らにとって忘れられないあの場所での記憶は、十余年の時を経ても全く色あせることなく、絶望に包まれたものとして残っている。死にかけた窮地の記憶は、彼らに自然と仲間意識と作り出す。そして旅の最中、ヘンリーの話を聞いていたプックルは、いざ彼を目の前にしてからかってやろうという気持ちと、感謝したい気持ちと、両方を伝えたいと思っていたのだ。
「お前、良く生きてたな。リュカに会えて良かったな」
「ゴロゴロゴロ……」
彼らの間に漂う立ち入れない雰囲気に、ビアンカはふと寂しい気持ちを抱く。先ほどヘンリーから、彼らの過去の一部を聞いた。しかしそれはほんの一部で、自分はまだまだリュカのことを知らないのだと気づかされ、目の前で親し気に会話する彼らから遠ざかった思いがした。
「ビアンカさんはこんな方たちと旅をされていたんですか?」
ふと隣で話しかけられ、ビアンカは鈴を鳴らすような可愛らしい声に振り向く。つい先ほどまで魔物の仲間たちを怖がっていたフローラが、今は目を輝かせるようにして彼らを見ている。
「みんなリュカが旅の途中で仲間にしてしまったみたいよ。私が旅に加わるときにはみんないたもの」
「何だか……とても素敵ですね」
普通の人間であれば到底受け入れることのできない魔物たちを、フローラはすぐに受け入れたようだった。近くに飛んできたメッキーの姿に反射的に一瞬身を引くものの、メッキーが首を傾げながらフローラを見ると、彼女はその頭をそっと撫でた。その感覚は飼い犬であるリリアンを撫でる時と変わらず、外見がキメラという魔物であること以外、他の生き物と何ら変わりはないのだとフローラは新たな発見に心躍る思いがした。
「もう怖くはない?」
「はい。見た目に惑わされてはいけないということですね。私は修道院でそのような教えを頂いていたはずなのに、まだまだ修行が足りなかったようですわ」
「見た目で判断することもあるけど、それだけじゃないってことよね。プックルなんてああ見えてかなりの甘えん坊なんだから」
「そうなんですか? ふふ、そう考えると可愛いですわね」
「良かった~。フローラさんならきっと分かってもらえると思ったの。あ、でも町の人たちには内緒よ」
「ええ、分かってますわ。何だか内緒って、楽しいですわね。連れて来てくださってありがとうございます」
「うーん、まあ、連れて来ざるを得なかったんだけどね」
「こんな素敵な方々と、リュカさんと、これから旅に出られるんですね……」
フローラの言葉の中に、どことなく滲む後悔が感じられ、ビアンカは返す言葉に詰まった。もしかしたらリュカと魔物の仲間たちと旅に出るのはフローラだったのかも知れないのだ。まるでお嬢様のフローラだが、世間知らずと言うわけではない。そして彼女にはその時となったら旅に出る覚悟もできるほどの気概も持ち合わせている。世界的に有名な大富豪ルドマン家の一人娘ともなれば、ちょっとやそっとのことでは動じないくらい肝も据わっている。
キラキラと目を輝かせてリュカや魔物の仲間たちを見つめるフローラの横で、ビアンカは思わず俯いて考え込んでしまった。ウェディングドレスを身にまといながら考えるようなことでもないと思いつつ、ビアンカはつい後ろ向きの思考を止められない。
「ビアンカさん、フローラさん、あちらで一緒にお話しませんか?」
二人の後ろから声をかけてきたのは、頭に白い花飾りをつけたガンドフを伴ってきたマリアだった。大きな熊のようなガンドフの隣に並ぶと、小柄なマリアはもはや小さな少女のようにすら見える。
「いいですわね。こうしてゆっくり話す機会なんて、今しかないですもの。行きましょう、ビアンカさん」
「ええ……。……そうだわ! マリアさんとヘンリーさんってどういういきさつで結婚したの? 私たちのことは話したけど、お二人のことはまだ聞いてないわ」
ビアンカの言葉に、マリアは一瞬表情を曇らせた。輝く太陽の下で、世界一幸せであるべき美しい花嫁に、あの大神殿建造の地での出会いからの話をするわけにはいかない。マリアはすぐに笑みを取り戻すと、新しく人生を歩み始めた修道院での出来事から話すことにした。
「あら、話しちゃっても大丈夫かしら。あの人には内緒にしていてくださいね」
「何か話してはいけないことがあるのですか?」
「それは話してみないと分かりませんよね」
そう言いながら微笑むマリアに、どこかいたずらっぽい雰囲気が漂う。その表情はどことなく、ヘンリーに通じるものがあると、ビアンカもフローラも感じていた。夫婦は夫婦として一緒にいると、徐々に似てくるものなのかも知れない。
「話してから『これは話しちゃまずかった』って気づいても、遅くない?」
「その時はその時です。話しちゃったらもうどうしようもないです」
「そうですわよね。私もお二人の馴れ初めをお聞きしたいですわ。とっても仲が良さそうですものね。聞いているだけで幸せになれそうな気がします」
「じゃああっちで女三人……じゃなくて四人でお話しましょ」
そう言いながらビアンカはガンドフに目配せした。ガンドフは大きな一つ目をパチクリさせ、そしてにっこりと目を細めた。
「ガンドフモ、オハナシ」
「ガンドフさんと仰るのですね。見た目は……少し怖いですけれど、とても優しそうな方ですわね」
熊のような外見のガンドフに必然的に及び腰になるフローラだが、その大きな一つ目をじっと見つめるとガンドフの穏やかさが伝わり、話しかけることができた。そしてビアンカ、フローラ、マリア、ガンドフは止めてある馬車のすぐ近くにあった切り株に腰を下ろしてとりとめもない話を始めた。
「良かったな、ビアンカちゃんと会えて」
「うん、本当に……会えて良かった」
ヘンリーと東の大陸を旅していた時、彼と共にアルカパの町を訪れたことがあった。まだ新しい人生を歩み始めた矢先に直面した故郷の惨状は二人を打ちのめし、そこから回復するためにもリュカは幼い頃の記憶を頼りに隣町のアルカパを訪れた。しかしそこに彼女の姿はなく、リュカは予想を遥かに超えるショックを受けた。
「頼りになる姉ちゃんじゃなくて、頼りになる嫁さんになったんだな」
「人生って何が起きるか分からないもんだね」
「お前の人生ほど何が起きるかわからない人生もないと思うぜ」
「そんなことないよ。ヘンリーだってマリアと一緒になるとは思ってなかったでしょ」
「そりゃそうだけどさ。お前の身に起こることはいつでも劇的だ」
「そうかな」
「そうだよ」
二人はプックルの横腹にもたれかかりながら話をしていた。いつもはリュカかビアンカのどちらかにしかその場所を許さないプックルだが、ヘンリーには快くその特等席を差し出していた。
「さっき町で、俺とお前のこと、少しだけ話しておいたからな」
不意をつくヘンリーの言葉に、リュカは返す言葉を失った。絶句しているリュカに、ヘンリーが笑って付け足す。
「話さないわけにはいかないだろ」
「どこまで話したの?」
「俺がラインハットの王子で、俺が原因でパパスさんが……」
「君が原因なんかじゃないって言ってるだろ。君は悪いやつらに連れ去られただけなんだから」
「全く同じことを言われたよ、ビアンカちゃんに。似たもの夫婦だな、お前たちは」
「……話したのはそこだけ?」
「俺から話せるのはそれだけだ。後のことは俺から話すわけにもいかないからな」
「そうか……」
ヘンリーは自ら懺悔のためにも、ビアンカに過去の出来事の引き金となった自分の行動を伝えておきたかった。彼のその気持ちが良く分かり、リュカにはヘンリーを責める気持ちは全く生まれなかった。むしろ彼女に当時のことを話してくれたことに感謝する思いだった。自分から当時の出来事を伝えてしまえば、どうしてもヘンリーが悪者になってしまう。それだけは避けたいと思い、リュカからビアンカに過去の出来事を伝えるのは先延ばしになっていたのだ。
「後のことは、お前から伝えてやれよな」
「伝える必要って、あるのかな。知らなくていいこともあると思うんだよね」
「まあ、それはお前次第だけどさ。話さないことでいずれ無理が出てくると思うぜ」
「あんまり……話したくないなぁ」
「そりゃそうだ。俺だって話したくないさ。思い出すだけで体が震える」
それはセントベレス山の頂の寒さになのか、十余年と言う月日をあの場所で過ごしたことになのか、ヘンリーにもリュカにも分からない。しかし彼らはあの場所での奴隷として生きていた時間を思い出すだけで、いくら軽口を叩こうが吐き気を催すほどに苦しんでしまう。
「彼女だったら一緒に乗り越えてくれると思うぜ」
「そんな時が来たら、考えてみるよ」
そう言いながらも、リュカはビアンカに、ヘンリーと過ごした十余年の出来事を話す気は全くなかった。いつも笑っていて欲しいビアンカに、わざわざ闇に包まれた話をして、その表情を曇らせる必要もない。リュカは自身の暗い気持ちをかき消すように、空に広がる色の濃い青を見上げた。
「リュカ殿、ところで結婚式というのはどのようなものなのですか?」
近くの小川に水を汲みに行っていたピエールが、戻ってくるなりリュカにそう話しかけた。プックルの背にもたれかかっていたリュカは体を起こし、思い返しながら話をしようとした。しかし彼の隣で同じように寝そべっていたヘンリーが、にやりと笑いながら口を挟む。
「ここで同じようにもう一度式を挙げてやればいいじゃねえか」
「えっ?」
「できるものなのですか? 何やら教会というところで行われていたようだと、メッキーが言っていましたが」
「場所なんてどこでもいいんだよ。それに本来だったら、リュカの友人として参列すべきなのは仲間たちのはずだろ。俺が神父役をやってやるから、ここにいるヤツらでやろうぜ」
「ヘンリーが神父役? 何だか胡散臭い」
「そこにケチつけんのかよ。じゃあマリアなら問題ないだろ。さあ、やろうやろう」
ヘンリーはそう言うや否や、お茶会を始めていたマリアたちを呼び寄せ、もう一度ここでリュカとビアンカの結婚式を行うことを断定的に述べた。ビアンカは戸惑ったが、マリアもフローラも楽しそうに賛同し、魔物の仲間たちも何やら楽しい雰囲気に、異を唱える者はいなかった。
マリアが神父役を務めながら、サラボナの町の外でリュカとビアンカの結婚式が再び執り行われた。町の教会で挙げた式とは違い、終始賑やかに式は進み、リュカとビアンカと、祝福する者たちの顔には絶えず笑顔が浮かんでいた。ビアンカが伸び上がってしてきた二度目の誓いの口づけに、リュカは顔を真っ赤にしながらも嬉しさを隠しきれない様子で、そんな二人を祝福するように冷やかすように、仲間たちの明るい声が飛び交っていた。
Comment
[…] 「祝宴」 […]
更新お疲れさまです。楽しく読ませてもらいました。
個人的に気になっていた、ビアンカとフローラやヘンリーとのやり取りが丁寧に描かれていて大興奮でした。
ビアンカはヘンリーに辛く当たるような人ではないと思っていましたが、実際に辛く当たっていなくてホッとしました。ビアンカとフローラも友人となり、良好な関係を築けていけそうで良かったです。もしかしたらマリアとも仲良くなれそうな感じでとても嬉しいです。
仲間の魔物たちにも祝福され、2人の照れ臭くもとても幸せそうな顔が目に浮かぶようです。これからも応援しています。頑張って下さい。
まゆげ 様
コメントをどうもありがとうございます。
今回はゲームではほぼ全カットの部分を自分なりに描いてみました。一堂にこれほど集まることもないので、このチャンスを逃さず色々と話をしてもらいました。書いていて楽しかったです^^
基本、私の中ではリュカ、ビアンカ、フローラ、ヘンリー、マリアはみんな仲良しさんです。(後ほどアンディにも加わってもらいたいところ……)本当はもっとみんなで話をしてほしかったのですが、続けるとそれだけで一冊の本ができてしまいそうなので、断念しました(笑)
幸せの余韻に浸りながら、次のお話も書き進めてまいります。応援もどうもありがとうございます。大変励みになります。
今回も素敵なストーリーをありがとうございました。
しかも今回のは全くゲーム上には存在しないところを
鮮明に描いてbibiさんのお力で、命を吹き込み
情景が色鮮やかに浮かんできました。
どこかでリュカとヘンリーの過去話は出てくると
思っていましたが、ヘンリーから言葉が出てきたところなどは
ビアンカだけではなく、私も胸が詰まる思いにかられました。
過去を乗り越えて今がある。
そして、ビアンカ、マリア、フローラ(withガンドフ)が仲良くなる。
この女子会もどこかで、サブストーリーでもう一度見たいです。
これから嫌な季節になってきますが
お身体にお気をつけて、次回も楽しみ待っています。
YORI 様
コメントをどうもありがとうございます。
今回のお話はゲームでは完全にすっ飛ばされた時間の話なので、好きに書かせていただきました。書いていて楽しかったです^^
リュカとヘンリーの過去話は、リュカから話してしまうとどうしても「リュカがヘンリーをかばっている」とビアンカに思わせてしまいそうだったので、ヘンリーから話してもらいました。と言うのもあるのですが、私自身、ビアンカとヘンリーに話をさせてみたかったのというのがありました。この二人こそ、姉と弟のようだと思っているので。似たもの姉弟。
女子会は私も余力があれば書きたいところです。一体どんな話をしたのやら。なかなか勝手なことを話していそうです。
これからこちらは梅雨です。嫌な季節ですね、ホントに。YORI様こそお体にお気をつけてお過ごしくださいませ。
お疲れ様です!
前回の結婚式は原作に近くて良かったですが、今回のbibi様の世界観を堪能することもできまして、個人的にとても楽しく読むことができました!
今後もお忙しいとはおもいますが、更新よろしくお願いします。
タイーチ 様
コメントをどうもありがとうございます。
今回のお話はゲームでは完全に端折られている部分なので、好きに書かせてもらいました。楽しく読んでいただき幸いです^^
次回更新まではまだ時間がかかると思いますので、今しばらくお待ちくださいませ。
ビビ様!
相変わらずの文才能力に感動であります!
ビアンカがフローラに「初めて会った気がしない」と言ってたのは、もしかして二人とも、天空人だからですか?
過去の話、ようやっと少しだけ話が進みましたね…ヘンリーに説明させたのは正解ですね。やはり、ヘンリー自信のけじめのためにも必要なシーンのように思います。
ただ…ドレイ生活の話は、リュカがきちんと、話をしないと…。ビビ様が書いてて困って来るように思うんです。
ゲマとの戦闘、石化状態になり、セントベレスに祭られるビアンカ自信、ジャミがビアンカを誘拐、イブールの神殿の中にいるヨシュアさんの死体と壁のメッセージなど。やはり、リュカにはビアンカに説明する機会が必要かなと…。でも、説明の描写も、難しいですねぇ…どうしますか?ビビ様。
マリアはビアンカに、きっとずっと修道院にいて、二人に出会ったみたいに説明したんでしょうね…
魔物の仲間たちの所にルーラで行く描写、さすがはビビ様です。よくルーラという発送がでましたね(笑)しかも、フローラまで(驚)
ビビ様、次回はいよいよ出港ですか?あ!その前にいよいよリュカとビアンカの結婚初夜ですね(笑み)次回も楽しみです!
ケアル 様
ビアンカとフローラの「初めて会った気がしない」のセリフは、ゲーム中に出てくるものを引用させてもらいました。この時点でのセリフではないけど、二人が仲良くなったここで出すのも良いかなぁと思ったので。
過去話はいずれリュカからビアンカに……いつにしようかなと言うのは思案中です。さて、どうしたものか(´・ω・`)
ルーラは便利な呪文なので、ゲーム中ではこの場面で使えませんが、ちょっとふざける感じで使わせてもらいました。いやー、便利な呪文ですね。私も使ってみたい。
次回はサラボナを出たいと思います。また話が長くなりそうで怖い(-“-) 結婚初夜は……さらーっと流すかもしれないので、あまりご期待せずにお待ちください(汗)
今回もとても面白かったです! これからも頑張って下さい! 短文失礼しました・・
くりまつ 様
コメントをどうもありがとうございます。こうしてコメントを頂けると大変励みになります。
更新の遅い当サイトですが、今後ともよろしくお願いいたしますm(_ _)m