父の従者

 

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チゾットの村を出て山を下り、グランバニアに向かう道は深い森に覆われている。鳥の明るい鳴き声が聞こえ、生き物の気配をそこかしこに感じる。蒸し暑さを感じる気候で、道の近くには小川が流れ、木々には食べられるような実がなり、厳しい旅を経験してきたリュカたちにとってはグランバニアへ続く森の道は楽しい旅となった。木になる実は熟して美味しく、マッドが木の上から摘み取ってくる実を皆で口にしながら、体力も十分にグランバニアへの道を進み続けた。
途中で分かれ道もあったが、その都度メッキーが空から道を確認し、迷うことなくグランバニアまで進むことができた。当然、道中で魔物とも遭遇し、戦闘を余儀なくされたこともあったが、リュカたちが戦う態勢を取ることなく、すぐに逃げる姿勢を見せれば、敵が深追いしてくることもなく無駄な戦闘を避けることができた。それと言うのも、リュカたち一行が人間と魔物のパーティーであり、その奇妙な一向に敵が戸惑っている内にリュカたちが早々に逃げてしまったためでもあった。
深い森を抜けると、唐突に森が開けた。そこにはまるで違う世界から現れたかのような巨大な城が建っていた。一見すると、それが城だとは気づかないほど巨大で、一つの大きな町がすっぽりと入ってしまうほどの巨大な建物に、リュカたちはしばらく呆然とその景色を眺めていた。
建物の周りは頑丈な壁がぐるりと取り囲み、巨大な城を厳重に守護している。しかし建物の周りにも城壁の近くにも、人の気配はない。しんと静まり返る巨大な城の姿に、リュカは不安を覚える。
「ここ、本当に人がいるんだよね?」
「とにかく中に入ってみないことには何も分からないわ」
「でも外に誰もいないなんて、おかしいよ。少なくとも、城を守るために国の兵士が見張りをしているはずじゃあ……」
「ここまで来て中に入らないの? そんなバカな話もないわ。さあ、行ってみましょう」
リュカの不安とは裏腹に、ビアンカは奇妙な静寂に包まれた巨大な城に期待を抱いているようだ。まるで何か楽しいものが入っている宝箱を開ける前のような心持ちで、ビアンカは無防備に意気揚々と城壁の間を通っていく。進む馬車につられて、魔物の仲間たちも城壁の間を通り、ぴったりと閉じられた城の大きな門の前まで進み出る。
「我々がここまで入っても、何の問題も起こりませんね……」
「じゃあせっかくじゃから、ワシらはこの辺で待つことにしようかの。人間もいない、魔物もいない場所とは、休むのに好都合じゃ」
通常、リュカやビアンカが人間の町や村に入る時、魔物の仲間たちは外で待機するのが暗黙の了解となっている。魔物の仲間たちは外で待つことに特に不便はないが、それでも人間の旅の仲間として旅を続ける彼らにとっては、外にいる魔物にもかなり気を遣う意識を持っている。その土地その土地で棲息する魔物の種類も異なり、チゾットの山で仲間になったマッドはまださほど珍しい目で見られることはないが、他の仲間たちはこの地方では見られない種類の魔物であり、同じ魔物とは言え奇異な目で見られることがあるのだ。突然攻撃を仕掛けられることはほとんどないが、何故こんなところにいるのかと不思議がられることはある。そのため、たとえ外の世界でも魔物の仲間たちは完全に気を抜いて休んでいるわけではないのだ。
「パトリシアはどうしますか?」
ピエールにそう言われ、リュカはグランバニアの巨大な城を再び眺めた。中から何か音が聞こえるわけではない。分厚い石の壁に阻まれ、中の様子は一切感じられない。しかし正面に構える入り口も城同様に巨大で、パトリシアが引く馬車も悠々通れるほどの大きさがある。その状況を見て、リュカは手綱をしっかりと握る。
「パトリシアも連れて行くよ。この山越えでもかなり頑張ってくれたから、彼女にもゆっくり休んで欲しいしね」
「確かに。パトリシアがいなければ、恐らくここまで進んでは来られなかったでしょうね」
「ほかの馬では確実に旅が詰んでおったわい。パトリシアほど勇敢な馬もおるまいよ」
マーリンが手放しで褒める言葉に、パトリシアは照れるように下を向いてブルルルッと小さく首を振る。長い旅の間に、パトリシアはすっかり言葉が分かるようになっているように感じられた。
城壁の内側とは言え、人間の姿が一つも見えないことに、魔物の仲間たちは特に警戒する様子も見せずすでにゆったりと休み始めている。プックルなどは気ままに城壁の周りをうろつき始め、赤い尾を揺らしながら散歩を楽しんでいる。マーリンの言う通り、魔物も人間もいない特別な環境に、今までにない楽しさを味わっているようだ。
リュカもビアンカも、すっかりくつろぎ始めた魔物の仲間の様子に安心しながら、グランバニアの巨大な城の中へと入るべく、城門をゆっくりと押し開いた。その途端、中から人間の生活の匂いが溢れ出してきた。
城門をくぐると、当然のようにグランバニア兵が城門脇に数人立っていた。リュカとビアンカが大きな馬車を引いて中へ入ってくるのを見るや、にこやかに挨拶をする。しかし装備している武具防具を見ると、今までに見たことのない強固な防具に身を包み、腰に提げられている剣も常に手入れを怠らない雰囲気がある。表面上はにこやかながらも、隙のない空気が漂っている。
「旅の方ですね。ようこそグランバニアへ!」
「長旅をご苦労様でした。グランバニアでゆっくりと休まれてください」
「ありがとうございます。ところで、宿屋はどこにありますか?」
新しい町や村に着けば、まず探すのは宿屋だ。体を休めるための場所を確保し、それから町や村の様子を見て回る。ここがたとえ自分の故郷だったとしても、故郷の思い出が何一つないリュカにとってこの場所はただの旅の休息地だ。突然、ここで「僕はパパスの息子です」と言ってしまえば、不審者として扱われ、城を追い出されかねない危険がある。
城の兵士に宿の場所を教えてもらい、リュカは礼を言ってビアンカと共に馬車をガラガラと進めた。城の中とは思えない広さがあり、建物の脇には必ずランプが灯されている。町と言っても過言ではない景色が広がるが、ここは城の中なのだ。日の光が届かない城下町には、至る所に明かりが灯され、城下町全体がオレンジ色の光に浮かび上がっている。常に夜のようで、常に昼のようでもある不思議な景色に、リュカもビアンカも無言のまま景色を眺めながら歩いていた。
大通りを進んだところに、大きな噴水が見える。グランバニアは森林に囲まれ、水も潤沢だ。噴水の水は小川か地下から汲み上げたもので、常に新鮮な水を噴き上げている。噴水の水を飲んでも問題ないようで、グランバニアの人達は噴水の周りに座って、気ままに水を飲んだりしている。
「リュカ、宿屋はこっちよ」
ビアンカに呼び止められ、リュカは進もうとしていた足を止めた。噴水の景色に吸い込まれるように、そこまで歩いて行ってしまうところだった。
「ああ、ごめん。つい……」
「綺麗な噴水ね。ランプの明かりでキラキラしてる」
噴水までの道には人々が腰かけて休めるような椅子がいくつも並べられており、グランバニアの人間も旅人も思い思いに腰を掛けて休み、談笑したりしている。城の中にすっぽりと収まる城下町はほとんど日の光の差さない空間ではあるが、魔法がかった明るいランプの光に照らされ、人々の表情は想像以上に生き生きとしている。グランバニアの周辺には手ごわい魔物がうろつき、そのような魔物の手から守ってくれる強固な城の中にいるという安心感からか、人々は太陽の光をさほど浴びずとも明るい表情をしている。
「リュカのことを知ってる人がいるかもしれないわ。いろんな人に話しかけてみましょう」
リュカとビアンカは一先ず宿屋に向かい、宿泊手続きを済ませパトリシアを預けると、身軽になってグランバニアの城下町に再び足を踏み出した。町の暗さにも目が慣れると、もはやここが建物の中だということを忘れるぐらいに普通の街歩きをする気分になっていた。城下町の建物の至る所に取り付けられているランプは、各々建物の住人が取り付けたわけではなく、グランバニア国として設置しているようで、皆同じような形のランプが取り付けられていた。ランプの燃料は恐らく油ではなく、魔力に違いないとリュカもビアンカも思っていた。一つとして燃料切れでランプの灯が消えているところがないのだ。常に一定の明るさを保つ特別なランプは、魔力の燃料で明かりが灯され、しっかりと管理されているに違いない。
二人は宿屋近くの噴水周りを歩き、近くで営業していた軽食を扱う店でドーナツを買うと、さっそく腰を下ろしてドーナツを頬張った。久しぶりに口にする甘いお菓子に、リュカもビアンカも思わず顔が綻ぶ。ビアンカなどはそれこそあっという間に食べてしまい、隣でまだ食べているリュカのドーナツをちらちらと見ていた。にじり寄ってくるビアンカに、リュカは仕方なく一口ドーナツを分けてやった。
「ずるいよ、ビアンカ。自分の分はもう食べただろ」
「あら、私は別に欲しいなんて言ってないわよ。目の前にドーナツが来たから、一口食べただけじゃない」
「そんなに食べたいなら、もう一つ買ったらいいじゃないか。それくらいのお金はあるはずだよ」
「そんなんじゃないわよ。何よ、人を食いしん坊みたいに言って」
「似たようなものだろ」
「わざわざもう一つ買って食べたいとは思わないわ。目の前にドーナツが来たから、ちょっとかじっただけよ」
そう言いながら気を紛らわせて空腹を我慢しているビアンカを見て、リュカは自分の残りのドーナツを彼女の目の前に差し出した。ビアンカは口を尖らせながらドーナツをじっと見て、ふいっとそっぽを向いてしまう。
「いいよ、食べなよ」
「……そんな風にされたら、横取りしてるみたいで嫌な気分になるわ」
急に機嫌を損ねたビアンカを見て、リュカは手にしている残りのドーナツを半分に割ると、片方をビアンカの手に乗せた。
「これで半分こ。じゃあ、これを食べたら人に話を聞きに行こう。早く食べてね」
「……どうしてそんなに優しいのよ、あなたは……」
そう言いながら、リュカがさっさと残りのドーナツを食べて立ち上がったのを見て、ビアンカも手に置かれた一口大に割られたドーナツをさっさと食べてしまった。リュカよりも多くのドーナツを食べているというのに、ビアンカの腹はまだまだ満たされない。まだ空腹を感じる腹に眉をしかめながら、ビアンカも立ち上がろうとした。
「恋人同士で旅をしてるのかい? 旅人さんだよね?」
気さくに二人に話しかけてきたのは、グランバニアに住む一人の男性だ。手に大きな荷物を持って、近くの店から出てきたところを見ると、これから仕事で他の店を回るところのように見えた。頑強な城の中に入り込んだ町の中で暮らすからか、警戒心はさほど強くない。やはり城の中は安全に守られているという安心感があるのだろう。
「夫婦で旅をしているんです。色々と世界を回ってきたけど、ここは面白いところですね」
「ここはグランバニアの城下町だよ。先代のパパス様はとてもできた王様でね。国民の安全を考えて町もお城の中に作ったんですよ」
思いがけずパパスの名を耳にしたリュカだが、話の内容からとても自分の父を想像することはできなかった。どこかの偉い王様が国と国民を守るために、大規模な城の建設を行ったのだろうと、まるで他人事のように考えるだけだ。
「パパス王って本当にリュカのお父さんのパパスさんなのかな? 何だかあんなにスケールの大きな話を聞いたら分からなくなってきちゃった」
こそこそと耳打ちをしてくるビアンカに、リュカも同意するように頷いてしまう。幼い頃、共に旅をしていた父は確かに強くて頼りがいがあって、皆から慕われるような人柄であったことはリュカが自負しているところだが、それにしても自分の父がこのような巨大な城を作ってしまうことなど、容易く想像できることではない。父との旅の最中も、サンタローズでの束の間の旅の休みも、父は質素倹約を心掛けていたように思う。決して豪勢な食事が出されたこともないし、破格なものを買って貰った記憶もない。それだけに父と国王という立場はどうしても結び付けて考えられなかった。
「おーい、そんなところで油売ってないで、早くこっちまで運んでくれ」
リュカたちが買ったドーナツの店から体格の良い大柄の男が出てくると、リュカたちに話している男に大きな声で呼びかけた。どうやらドーナツ店に運ぶ材料を、話好きの男が運ぶ途中だったらしい。「悪い悪い」と言いながら、男は大きな袋を抱えて歩いて行ってしまった。代わりに話好きの男と入れ違いに、体格の良い男が店から出てきてリュカたちに気さくに話しかける。
「あの男は旅人と話すのが好きでね。あのまま放っておいたら、あんたら今頃旅の話を根掘り葉掘り聞き出されてたぜ」
険しい山と深い森に囲まれるグランバニアは、恐らく外の世界との交流はあまりないのだろう。当然グランバニアの国民は外国のことを知っているわけでもなく、外の世界のことを知るには旅人に話を聞くのが一番だ。外の世界にあこがれる先ほどの男のような者にとって、旅人というのは憧れの的なのかも知れない。
「ああいうのに邪魔されないうちに、あんたらも早いとこ用を済ませた方がいいぜ」
「ありがとうございます。でも、僕たちもここに初めて来たので、この国のことを知りたいんです。この城を先代の王様が作ったって話だけど、どういう人だったんですか?」
他にも色々な聞き方がリュカの頭の中を巡ったが、とりあえず口に出てきたのはそんな普通の言葉だった。まだこの城を作ったというグランバニアの国王が父パパスとは結び付かず、他人の話をする気持ちでリュカは男に話しかけている。
「この国はずいぶん長い間王様が旅に出てしまって王のいない時代が続いたんだぜ。みんな王様の帰りを待ったさ。しかし旅に出たままついに戻ってこなくて……。数年前、王位に就いたオジロン様が今の王様ってわけさ」
「みんな、先代の王の帰りを待ちわびていたのね」
「まあな。だってよ、そりゃあ大した王様だったんだぜ。第一、俺たち国民のことを考えてこんな城を造っちまうような方なんだ。国民のことをどれだけ大事に考えてくださっていたか。あんな立派な王様は後にも先にもいねぇな」
うんうんと頷く男に、先ほどドーナツ店に材料を運んだ男が「おーい、お前も早くこっちに来て仕事しろー」と呼びかけた。体格の良い男は肩をすくめて、適当に返事をしながら店へと戻っていった。
「もう、パパスさんで間違いないわね。リュカ、やっぱりお城の人に直接話をしましょうよ。その方が手っ取り早いわ。きっと分かってくれるわよ、あなたがパパス王の息子だって」
パパスに寄せられる国民の信頼ぶりを感じて、ビアンカはこの国の先代の王パパスがリュカの父であることを確信したようだった。これまでにも彼女はパパスがグランバニアの国王であることを信じて疑っていない節があったが、今はそれがより強固な思いになったようだ。そしてパパスが先代の王であるならば、リュカがこの国に受け入れられないはずがないと、リュカが早々に認められるようにグランバニアの兵士に話をしようと、城下町の入口へと歩いて行こうとする。
「ちょっと待って、ビアンカ。僕たちがそう思っても、この国の人達は僕のことを全然知らないんだ。冷静になって」
「でも、正直に話をすればきっと分かってくれるはずよ」
「……そうだ、僕たち、まだ教会に行っていないよ。旅で新しい場所に無事着いたら、父さんは必ず教会に行って神様に無事に旅が済んだことを知らせてたよ。もしかしたら教会には父さんのことをよく知ってる人がいるかも知れない」
旅の途中では必ず教会に立ち寄り、祈りを捧げることを欠かさなかったパパスが、自国の教会に立ち寄らなかったはずがないと、リュカはビアンカに教会に行くことを勧める。パパスの名を出され、彼が旅の途中必ず教会に行っていた話を聞き、ビアンカも教会に行くのがパパスに近づく方法であり、リュカをグランバニアに近づけることができるのだと、迷いなく賛同した。
グランバニアの教会は町の奥まった場所にあると聞き、二人は無数の明かりに照らされる明るいグランバニア城下町を歩いていく。町の人々は魔法の明かりの中で元気に生活しており、民家の側にはちらほらと子供の姿も見えた。巨大な建物の中に造られた町だが、ところどころ壁に大きな窓があり、外から日の光も差すようにできている。この城下町で生まれ育った子供たちは決して外の光を知らないわけではなく、日の差す窓際の庭でかけっこをしていたりと、他の町や村で見るように元気に走り回って遊んでいる。
城下町の真ん中にずっと大通りが伸び、通り沿いに商店や民家が並んでいる。一般の町や村なら空が望める上には、当然建物のため天井があるが、その天井にも無数の明かりが提げられている。外の日差しを浴びるほどの強い光を放つことはないが、それでも建物内の城下町を照らすには十分すぎる明かりの量だ。まるで小さな太陽がいくつもあるようで、ずっとこの場所に住んでいればこの光だけで十分生活できるのだろうとリュカは思った。
大通りをずっと進むと、大通りから小さな通りに変わる場所に行きついた。リュカたちが今まで歩いてきた場所は店や民家が立ち並ぶ区画で、大通りの先にはこれまでとは異なる区画が広がっているようだ。今までの明るい大通りとは違い、先に見える場所は明かりが落とされ、人々の賑わいも見られない。人の姿は見えるが、話し方も静かで、途端に厳かな雰囲気に包まれてしまったようだった。
道の先には上に上る階段が見え、その先から色とりどりの光が零れていた。教会の建物こそないが、そこが教会であることは遠くからでも分かった。グランバニアは城の中に城下町を造っているため、城の建物の一部として大きな教会を構えているようだ。広い階段を上り下りする人々の数は多くはないが、教会の周りには絶えず人の気配が漂う。それはグランバニアの人だったり、リュカたちと同じような旅人だったり、日課や習慣として教会を訪れる者は多い。
リュカたちも静かに階段を上り、教会とされる場所へと上がった。ステンドグラスの光は教会内部に置かれる長椅子に留まらず、階段の下にまで伸びている。城下町の最も端に位置する教会の大きな窓からは、惜しげなく太陽の日差しが降り注いでいる。当然のように明かりもついているが、日中は明かりを必要としないほど、眩しい日の光が教会の中を照らしているようだ。
広い教会には点々と椅子が置かれ、人々は思い思いに腰かけ祈りを捧げている。リュカは教会の正面の祭壇近くに神父の姿を見ると、ビアンカと共に真っすぐ神父の所に向かって歩き出した。
「どうしたのかしら? 今日はサンチョさん、来ないわね」
教会内を歩いている時に、リュカは通りすがりの女性がそう口にするのを耳にした。ビアンカもしっかり聞いており、同時に足を止める。女性は静かな声ながらも、心配そうな面持ちで話し続ける。
「ちょっと前までは毎日のように教会に来てお祈りしてたのに……」
「サンチョさんももうトシだからねぇ……」
女性と立ち話をしている少し年配の女性も、同じように心配そうな顔をして相槌を打っている。二人の女性としては他愛もない立ち話なのだろうが、その話を耳にしたリュカは女性に話しかけずにはいられなかった。
「あの、すみません。あなたたちが話してるサンチョさんって……」
「あら、旅の方? サンチョさんを知ってるの?」
「旅の方なら知っていてもおかしくないかもねぇ。サンチョさんも長い旅をして戻ってきたんだもの。旅の途中で色んな人に会ってるでしょうから」
「……そうなんです、もしかしたら旅の途中で会った人かも知れなくて……。それで、そのサンチョさんは今、どこにいるんでしょうか?」
今会ったばかりの女性たちにリュカが何者でサンチョとは旧知の仲だと明かすわけにも行かず、リュカは一先ず女性たちと話を合わせて会話を続ける。
「サンチョさんだったらお城の方に……」
「違うわよ。旅から戻ってきてからはお城に戻っていないらしいわ。何でも、城下町の外に小屋を建てて、そこに一人で住んでるらしいわよ」
「ええ? どうして? 城下町の外にだなんて、危ないじゃない。魔物に襲われでもしたらどうするのかしら」
「サンチョさん、ああ見えてもかなり強いのよ。だって先代の王様のお付きをやってらしたんでしょう? 見た目に寄らず、かなり強いらしいわよ」
「城下町の外に住んでる? 一体どの辺りですか?」
「私たちがここに入る前に、そんな小屋みたいな建物は見なかったわよねぇ」
ビアンカはそう言いながら、グランバニアの城下町に入る前の景色を思い出していた。魔物の仲間たちは辺りに人間も魔物もいないことで、いつになく気軽な調子で休み始めていたが、近くには何も建物などなかったはずだ。この巨大な城下町の建物の周りには、木々や草花しか見当たらなかった。
「さあ、私も詳しいことは知らないのよ。ごめんなさいね」
「だけど、どうして教会に来なくなったのかしら。本当に少し前までは毎日欠かさず来ていたのに」
教会で話し続ける女性たちに軽く礼を述べ、リュカは教会で祈りを捧げることなく城下町へと引き返してしまった。ビアンカも教会で祈りを捧げないという本能的な罪の意識を抱えつつも、止まりそうもないリュカの後を追いかけて、教会の階段を下りて行った。



「その人が私たちの知ってるサンチョさんなら、リュカの無事をずっと祈ってたんだと思うわ……」
リュカとビアンカは再び城下町の外まで出てきていた。外の景色は昼を過ぎ、日はすでに西に傾いている。リュカとビアンカが外に出てきた気配を感じた魔物の仲間たちが、のんびりと休んでいた体を起こし、二人の所へやってきた。
「どうかされたのですか?」
「ここはなかなか良いところじゃのう。何とものんびり休めるわい」
マーリンの言う通り、魔物の仲間たちは思い思いに体を休めており、人間に見つかることもなく、魔物に見つかることもなく、今までにないほどしっかりと休息を取れているようだ。プックルは昼寝をしていたようで、大欠伸をしながらリュカの足元に擦り寄ってきた。
「みんな、この辺りに小屋を見なかったかな?」
「小屋、ですか。私は特別そのようなものは見ませんでしたが」
「キッキー!」
ピエールが首をかしげるすぐ後ろで、メッキーが元気な声を上げた。メッキーはリュカとビアンカが城下町を歩いている間、ずっとグランバニアの城壁沿いを飛んで見て回っていたらしい。その時、木々の中に小さな小屋らしきものを見たという。
メッキーに教えて貰った通り、リュカとビアンカはさっそく城壁沿いを歩き始めた。他に人間の気配もないため、魔物の仲間たちもこぞって一緒に歩いていく。人間が住む国に人間と魔物が共に歩く景色は何とも異様なものだったが、リュカにとっては魔物の仲間たちが付いていてくれるのはとても心強いものだった。
しばらく歩いていくと、木々の景色の中にぽつんと小さな建物が建っているのが見えた。小屋というには大きな建物だが、民家というにはこじんまりとした建物だ。しかし家の手入れはしっかりされているようで、周りの雑草は取り払われており、窓も磨かれ、日の光を浴びてきらりと光っている。リュカは太陽の光に照らされる一軒の小さな家を見て、その長閑な光景に既視感を覚えた。
「城の中に町があるんじゃろ? それなのにこんなところに住むなんぞ、よほどの物好きじゃのう」
「でも、ここは城の中とは違って日が当たってる。僕はこっちの方が好きだな」
「そうね、やっぱりお日様を浴びて過ごすのが身体にも良いと思うわ。私もこっちの方がいいかも」
「この国が建物の中に町を造ったのには、何か訳があるのでしょうね」
ぞろぞろと魔物の仲間たちもついてきて、一軒の小さな家に向かうリュカたちだったが、中から人の気配を感じると、魔物の仲間たちは自ずと後ろに下がって身を隠そうとする。そのような気配を感じるまで、魔物の仲間たちも人間の建物を目にしてもまだ外の世界にいる気分だったのだ。それほどにこの場所は人間の生活とは無縁で、人間も魔物も近づかないような場所なのだ。
「我々はそこらの茂みに身を潜めております」
「ちょっと中を覗いても見たいがのう」
「一応、隠れていてくれると助かるよ。いつもありがとう」
リュカがそう言うと、プックルが鼻をひくつかせて困ったようにリュカを見上げたが、そのまま大人しく他の魔物の仲間たちと共に茂みに隠れた。
リュカとビアンカが家の扉の前に立つと、中から人の声が聞こえた。女性の声のようだが、控えめな話し声のためか何を話しているのかはわからない。女性の声に応じる男性の声もぼそぼそと話すだけで、こちらも何を話しているのか聞き取れない。思わず扉に聞き耳を立てていた二人だが、ふと罪の意識の囚われ、ようやく扉を軽く叩いて人が来たことを知らせた。
「あら? お客様がいらしたみたいね」
今度は女性の声がはっきりと聞こえ、扉に近づいてくる足音が聞こえた。静かに開けられた扉の向こうには、修道服を身にまとった一人のシスターが立っていた。
「それでは私はこれで……」
シスターはそう言うと、明らかに旅人と分かる二人に、少し顔を窺うような会釈をしながら家を出て行った。近くに魔物の仲間たちがいるはずだが、皆しっかりと近くの茂みに隠れているようで、シスターに見つかることはなかったようだ。
開かれたままの扉に、一人の男性が歩いてくる。リュカは男性の顔を見た瞬間、この家がサンタローズの村にあった父と住んでいた家の景色と重なる感覚を得た。外から見たこの小さな家に既視感を覚えた理由を理解した。そして外から見た家の外観だけではなく、家の中の風景は更に過去の景色を思い起こさせた。
「はて? どちらさまでしたかな?」
サンタローズの家の全てを取り仕切っていたのは、サンチョという父と同年代の男だった。母のいないリュカにとっては、母も同然の存在で、家のことはすべてサンチョがこなし、数年ぶりにサンタローズに戻ったリュカを喜ばせるために、リュカの大好きなシチューを作ってくれた。
「サンチョ……」
十年ほど前になる記憶は、はっきりとは思い出せない。目の前の男性は、記憶の中のサンチョよりも少しほっそりしており、顔の皺も増えている。そしていつもにこやかだったサンチョの面影はなく、やつれたようで、暗い目をしている。家に客人が来たということで頑張って声こそ張っているが、全身から滲み出る苦労をリュカはありありと感じた。
しばらく見つめあっていた二人だが、男性がリュカの目をじっと見つめていると、徐々に男性の目に生気が戻る。小さな目を驚きに丸くし、口が少しずつ開き、震えている。
「ん? まさか……!」
「サンチョ、なんだね?」
男性の反応を見て、リュカはようやく呼びかけることができた。いくら体系が変わろうとも、苦労で外見に違いが生じようとも、かつてパパスをずっと陰ながら支えてきた笑顔のおじさんのことをリュカが忘れるわけがなかった。
「もしかしたら……!」
「そうだよ、僕だよ」
幼い頃は太った大きなおじさんをいつも見上げていたリュカだが、今は少しやつれてしまった彼を少し見下ろすほど、リュカは大きく成長した。子供の頃に見ていた大きなおじさんが、今は自分が抱きしめてやりたいくらいに小さく見える。
「もしや、まさかっ!」
「リュカだよ、サンチョ」
「リュカ坊ちゃん!?」
その呼び名に、リュカは過去の幸せな記憶が溢れ出すのを止められなかった。それは彼の住むこの家の風景にも溶け込む。サンタローズで父とサンチョと暮らしていたあの小さな家の景色と、この家の景色が似ているのも当然だった。サンタローズの村の家のことはすべてサンチョが取り仕切り、家の調度品などはすべて彼が揃えたものだったのだろう。グランバニアのこの家の中も、すべてサンチョが調えたもので、サンタローズの家の景色と似るのは必然のことだった。
「やっぱりリュカ坊ちゃんだ! 間違いない!」
サンチョは苦しそうにそう言うと、震える手を伸ばしてリュカの両肩に手を乗せる。サンチョの分厚い手を久しぶりに感じ、リュカはありありとその優しさを思い出した。何を言っても何をやっても、決して怒ることのなかったサンチョ。リュカが父に叱られた時などは、必ず後でリュカに優しい言葉をかけてくれた。決して長い時間一緒にいたわけではない。しかしサンタローズの家で過ごした父とサンチョとの日々は、今となってはリュカにとってかけがえのないものだ。
「生きて……生きていなさったんですね……」
「サンチョも、よく生きていてくれたね……。色々と迷惑をかけてごめんね。突然いなくなってごめん……」
「何を仰るんですか! 坊ちゃんこそ、一体どれだけご苦労されたか……。どれ、もっとよくお顔を見せてください」
サンチョの分厚い手がリュカの両頬を包む。子供の頃によくそうして優しく包み込まれた記憶が蘇る。サンチョの手はいつでも温かい。それは今も変わらず、やはり温かいままだ。リュカはその温かさに触れると、たまらず涙を零した。この人は一体どれだけ自分のことを思ってくれていたのだろうかと、深い愛情を感じずにはいられない温度だった。リュカが腕で涙を拭くのと同時に、サンチョも同じように自分の涙を手で拭った。
「本当に……立派になられて……」
サンチョの記憶の中では、リュカはずっと六歳のままだったのだ。六歳のリュカはまだ父のこともサンチョのことも世界のことも、何も知らない子供だった。プックルを助けてからは、毎日のようにプックルと外に遊びに出かけ、家に戻ってきたら腹が減ったと騒ぐだけの、他愛もない少年だった。小さかった一人の少年が、今は自分よりも少し身長も高くなり、声も変わり、長旅で日に焼け、生きて戻ってきた姿に、サンチョも涙を零さずにはいられなかった。
そんな二人の姿に、後ろで同じように涙するビアンカに、サンチョはふと気づき声をかける。
「ところでそちらの美しい女性は?」
サンチョは鼻をすすりながら、知らない客人に気遣うように扉を大きく開けて二人を家の中に入れた。ビアンカも家の中に入りながら、かつてリュカやパパスが住んでいたサンタローズの家に似た景色に胸の内が熱くなり、再び涙が目に滲む。
「私よ、サンチョさん。分からないかしら?」
「はて……、私はこれほど綺麗な女性は知り合いには……」
「ビアンカよっ」
ビアンカはかつての自分を演じるように、元気な声で元気な仕草で、目に涙を滲ませながらも精いっぱいの笑顔を見せた。サンチョはそんな女性の仕草に、かつてリュカと一緒に仲良く遊んでいた女の子の姿を思い出した。女の子はアルカパの宿屋を営むダンカン夫妻に育てられる可愛らしくもお転婆な女の子で、勝気な性格だが根は優しく、リュカのことを弟のように思ってよく一緒に遊んでいたものだった。隣町に住んでいたためそれほど頻繁に会っていたわけではないが、それでも会えば必ず一緒に遊んだ。挙句の果てには、夜にこっそりと町を抜け出し、子供二人だけでレヌール城のお化け退治に行ってしまうなど、大人をはらはらさせる冒険に出てしまったこともあったのだと、後にパパスから話を聞いた。
「ひゃー! あのビアンカちゃんかっ! なんとまあ、きれいになって」
「うふふ、ありがと」
「それで、どういうわけで二人でグランバニアへ来たんですか?」
「私たち、結婚したのよ。ねっ、リュカ」
「うん。大人になって偶然再会してね。それで、何だか色々とあって、結婚することになったんだ」
「結婚してからは、私が勝手にリュカの旅についてきちゃってるんだけどね」
「そんなことないよ。ビアンカのおかげでどれだけ助かってるかわからないくらいだもん」
「そ、そうだったんですか。何やらもう胸がいっぱいで……。うう……………」
「サンチョさん……」
リュカが無事に生きていて、幼馴染のビアンカと結婚していて、幸せを感じながら旅を続けてグランバニアに辿り着いた。そう考えただけで、サンチョはもう何も言葉に言い表せなくなってしまった。
教会にいた人々が話していたように、つい数日前までサンチョは毎日欠かさず教会に通い、祈りを捧げていた。それは失踪してしまったリュカの無事を祈るためだった。
サンチョはかつてサンタローズの村がラインハットによって焼き払われる前に、サンタローズの村を後にし、パパスとリュカの消息を追い求める旅に出た。パパスが用があると出かけたラインハットに向かい、パパスがラインハット王子を誘拐したという不穏な噂を聞きつけた。そんな噂など信じなかったサンチョだが、噂は広まってしまえば真実に近い状況になる。ラインハット国内では既にパパスは誘拐犯として扱われており、サンチョはラインハットの人々の話を聞いているうちに、誘拐犯は東の遺跡に逃げ込んだのではないかという情報を掴んだ。
当然のように、サンチョはラインハットの東にある遺跡に向かった。遺跡の入口に禍々しい気配を感じ、サンチョは思わず探索をためらったが、意を決して遺跡に足を踏み入れると、そこには激しい焦げ跡があった。古くからある遺跡にしては、新しくできた焦げ跡に、サンチョは本能的にその周辺を明かりを灯しながら調べた。一つの破片を手に取ると、サンチョはその場で膝から崩れ落ちた。
パパスが旅の最中、愛用していた胸当ての一部だとすぐに分かった。パパスは間違いなくこの場所にいた。生きてこの場所にいたにも関わらず、サンタローズに戻ることはなく連絡も途絶えてしまった。明かりを照らし、辺りを見渡せば、激しい戦闘の跡が窺えた。信じたくはない現実が、サンチョに迫った。
パパスはこの場で命を落としたのだろう。決して誰にも敗れるはずのないパパスが魔物の前に倒れた原因、それは愛する息子を守るためだったに違いない。サンチョにはその時、パパスの背中が見えたような気がした。
それからサンチョは主君の胸当ての欠片を胸に抱き、再び旅に出る決意をした。パパスがリュカを守ったとすれば、リュカはどこかで生きているはずだと、サンチョはパパスの命を賭した守りの力を信じた。パパスが無駄死にをすることなど考えられないことだと、サンチョはただ一心にリュカの無事を祈りながら旅を続けた。
世界を回り続け、必死にリュカの消息を捜したが、長い年月を経ても見つけることはできなかった。一人で旅をするにも限界を感じ、自分にしか伝えることのできない事実を国に伝えるために、彼は一路グランバニアを目指した。そして数年ぶりに帰郷した彼は、主君の弟である現国王オジロンに事の次第を伝えたのだ。
グランバニアに戻ってからも、サンチョはひたすらリュカの無事を祈り、亡き主君に懺悔をし、毎日欠かさず教会に通った。そうでもしないと、自分の存在が許されない気がした。主君を失い、その子息までも連れて帰ってこられなかった従者が、一人で生きて故郷に帰ってくるなど、あってはならないことだ。サンチョは毎日暗い面持ちで教会に通い、神父やシスターに慰められ、城の中に住まうことは拒み、こうしてグランバニアの城下町の外の小屋でひっそりと一人で暮らすようになったのだ。
それほどの絶望に包まれたサンチョの前に、成長したリュカが現れ、子供の頃のように笑顔を見せている。それがどれほど嬉しいことか、サンチョ自身にも想像できていなかった。リュカの無事を祈りつつも、やはりどこかでリュカも同じように命を落としてしまったのだと思ってしまっていた。サンチョの信念を曲げてしまうほどに、年月が経っていた。
「サンチョ、とにかく座ろう。何だか、旅をしてきた僕よりも疲れていそうだよ」
「本当にそうだわ。サンチョさん、座って。私がお茶を入れるから。ね」
「はは、私も年を取ってしまいましたな……。坊ちゃんとビアンカちゃんにこれほど気遣われてしまうとは……」
笑いながらも、サンチョの目からは涙が止まらない。元気なリュカが目の前にいるだけで、サンチョは信じられないほどの幸福を感じることができた。敬愛していた主君を失い、その子供までも捜しきれず、絶望に包まれていたサンチョの前に現れた光なのだ。
そしてそれは、自分のみならず、グランバニア国民にも示さなくてはならない光なのだと、サンチョは涙をゴシゴシと強く拭い、呟く。
「とにかく坊ちゃんが帰ってきたことをオジロン王に知らせなきゃ」
「え?」
「すでにご存じでしょうが、旦那様は……パパス様はこの国の王だったのです。今はパパス様の弟オジロン様が国王になられていますが」
オジロンという名はリュカもビアンカも既にグランバニアの城下町で耳にしていた。グランバニアの国政は現在、パパスの弟であるオジロンが取り仕切っているらしい。その話を聞いた時、リュカは思わずラインハットを思い出していた。ラインハットもヘンリーの父である先代の王が亡くなり、ヘンリーが失踪している間は、彼の弟であるデールが国政を握っていた。そうは言っても、実際に国政を牛耳っていたのは魔物だった。リュカはパパスの弟のオジロンが国政を務めていると聞いて、すぐにラインハットの出来事と結びつき、無意味にも僅かばかりの不安を感じていた。
「さあ、坊ちゃん、私についてきて下さい」
「どこに行くの?」
「もちろん、オジロン様のおられる王室です。大丈夫です、私についてきてください」
生きているリュカの姿を見て、サンチョも生き返ったような気分だった。しかし相手は亡き国王パパスの息子、リュカ王子なのだ。グランバニアの国に関わる重要な事実を一人で握っているわけにも行かず、サンチョは時を置かずにこの事実を国に知らしめなければならないと責任を感じていた。
そんなサンチョを見て、リュカは小さい頃に見ていたサンチョとは別の人物が彼の中にいるのだと感じた。考えてみれば、グランバニアの国王であったパパスと共に旅に出るほどの、国王の側近を務める人物なのだ。ただの優しく話を聞いてくれる、料理の上手なおじさんではない。突然、別人になってしまったかのような緊張感を漂わせるサンチョに、リュカは同じような緊張感を感じながらただ彼の後をついて行くだけだった。

Comment

  1. ケアル より:

    ビビ様!
    思わず脳裏に、すぎやま先生の哀愁物語がリピートしてしまいましたよ。
    サンチョは、マーサのことを知っているから目を見て感じたんでしょうね。
    う~ん…今回の話は、もう感動の一言に尽きますな!
    ビビ様、このままオジロン王に行くんですか?
    リュカの事情をサンチョに話ませんか?
    魔物の仲間たちは一緒につれて行くんですよね?
    しかしビビ様、サンチョがあの遺跡に行ってパパスの形見を見つけるだなんて、よくまあ思いつきましたね流石ですよ!
    次回は、感動の連続ですね。
    いよいよビアンカ妊娠発覚ですね。
    どのように描写なさるのか楽しみであります。

    • bibi より:

      ケアル 様

      いつもコメントをどうもありがとうございます。
      あの哀愁物語はDQ5の感動を更に深めてくれますよね。
      サンチョはマーサをかなり身近に見ていたので、リュカの目を見てピンとくるものがあったに違いありません。
      オジロン王のところに行く前に、魔物の仲間たちのことはどうにかしないといけませんね。どうしよう。
      グランバニアではパパスが既にこの世にいないと知れ渡っているようだったので、それを伝えられるのはサンチョしかいないだろうと、特別にちょっと話を考えました。かなり端折りましたが。ここをちゃんと話にしようとすると、それだけで一つの話になってしまうので……。
      次回はまためでたい話になりそうです。良いですね。書いている私も幸せな気分になります^^

  2. ピピン より:

    ビビさん

    ついにグランバニア来ましたね!
    5は思い入れが強いので初プレイから何年経ってもここは泣いてしまいます…
    オリジナルエピソードで補完されたのがとても良かったです。
    次も楽しみにしてますね。

    • bibi より:

      ピピン 様

      コメントをどうもありがとうございます。
      ようやくグランバニアまで来られました。長かった……。
      オリジナルエピソードを入れないと、サンチョの涙が伝えにくいなぁと思ったので、ちょっと入れさせてもらいました。
      次も楽しんで書き進めたいと思います^^

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