怪物の塔

 

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何の仕切りもないだだっ広い空間の先に、二つの上り階段が見えた。下の階で見たような怪しげに光る床もなく、悪魔を象る床の彫刻もない。しかし広い空間に魔物がおり、リュカたちは敵との戦闘に備えて隠れようもない空間で戦闘態勢を整えた。
しかし敵である魔物がリュカたちに襲いかかってこないのを見て、リュカは眉をひそめた。この塔に棲みつく魔物らはちらちらと床を見ながら、まるでリュカたちが攻撃を仕掛けてくるのを待っているかのように、笑いを浮かべたりしている。リュカは敵が襲いかかってこないのを見て、あえてここでこちらから戦いを挑んで消耗することもないと、敵の様子を注意深く見ながら前に進み始めた。
リュカが上り階段の方へと歩き出そうとすると、何もない床がぼんやりと光り、次の瞬間、リュカのつま先ぎりぎりの所から目に見えない速さで何かが飛び出してきた。風を感じるほどの速さで飛び出してきたのは、床から突き出た槍だった。リュカが少しでも前傾姿勢で歩いていたら、顎から脳天にかけて槍で貫かれるところだった。
「……こういうことだったのか」
敵が床を注視している理由がはっきりした。恐らくリュカが踏んだ床だけではなく、この部屋の床にはこのような槍が突き出る仕掛けがそこここにあるのだろう。それは敵である魔物たちにも及び、魔物たちもこの階の部屋をのんびりと歩いて移動できるわけではないようだ。
リュカはその状況を察すると、敵である魔物の行動にはあまり注視しないようになった。床から突き出る槍が敵味方関係なく襲いかかるのだとしたら、この場所での敵は槍の仕掛けだけだと考えても問題ない。敵である魔物らも自由にリュカを襲うことはできないのだ。
敵の魔物に対して唸り声を上げるプックルを制しながら、リュカは足だけをゆっくりと動かし、床の仕掛けを探る。少しでも床の仕掛けに触れようものなら、仕掛けは容赦なく発動し、リュカの鼻先をかすめてくる。リュカの動きを見て、ピエールも同じように静かにゆっくりと床の仕掛けを探り始めた。次々と床から飛び出してくる仕掛けだが、仕掛けのない床との違いは誰にも見分けがつかない。敵の魔物もリュカたちの動きをじっと見つめるばかりで、一向に戦いを挑んでこようとはしない。敵のその動きを見ても、この階の床に仕掛けられている罠は広範囲に及んでいることが分かる。そして敵の魔物たちはただこの塔に侵入した者たちを挑発し、槍の罠の餌食にしようとするためだけにこの場にいるのだろう。
一度プックルが飛びだそうとし、前足に大怪我をしたが、すぐにガンドフが傷を癒し事なきを得た。一度痛い目を見たプックルはその後無茶をすることもなく、じっくりと床を調べるリュカとピエールの後を静かについて行くだけだった。ガンドフがうっかり床に倒れそうになり、全身串刺しになりかけたが、プックルが飛びかかってガンドフを突き飛ばした為難を逃れたこともあった。
リュカの気持ちはビアンカを救うために逸っていたが、リュカの動きが速くなるのを見ると、ピエールがすぐに一言忠告をした。ピエールの忠告が少しでも遅れていたら、リュカ自身も槍の餌食になっていたかも知れなかった。最も冷静なピエールでさえも、集中力を欠き、うっかり槍の床に踏み込みそうになったことがあった。しかしリュカがピエールの手を引き、後ろに下がらせたため、傷を負うこともなかった。もしこの場に一人で来ていたら、この槍の仕掛けの階で全てを終えていたかもしれない。そう思うとリュカは改めて魔物の仲間たちのありがたさを感じた。
一度床から突き出た槍は突き出たままの状態のため、今や部屋中が突き出た槍でびっしりと埋め尽くされようとしていた。それほどまでに歩ける範囲が少なく、果たして先に見えていた上への階段にたどり着けるのかどうかも怪しい。床から突き出る槍は人が通れるような隙間もなく視界を遮るほど大量の槍が一気に突き出るため、リュカたちは今、上の階へ上る階段を見失っていた。
ちょうど広い空間をまわりこむようにしてたどり着いた先に、ようやく再び階段が見えた。リュカは思わずその階段に向かって真っすぐに歩き出そうとしたが、後からガンドフにマントを引かれて止められた。槍の仕掛けが終わったわけではない。案の定、リュカが踏み出そうとした床から視界を遮るように大量の槍が突き出て、再び上り階段を視界から消し去ってしまった。
「階段近くにいた魔物たちは上に行ったようですね」
ピエールの言う通り、リュカたちを槍の罠にはめようとただ挑発を繰り返していた魔物たちの姿がなくなっていた。魔物たちにとってもこの場は戦闘に不向きで、たとえリュカたちに戦いを挑まれても恐らく戦うことなく上の階に逃げていただろう。この広い空間での敵は、リュカたちにとっても魔物たちにとっても床から突き出る仕掛けの槍だけだった。今までにどれほどの人間がこの塔に侵入したのかは知れないが、魔物たちを倒せるほど強い戦士であっても、この仕掛けの前に倒れた人間も多くいたのかも知れない。
リュカたちが上に上る階段を目の前にした時、突然広い空間に閃光が走った。一瞬目のくらんだリュカたちだが、すぐに辺りを警戒して見渡す。特別魔物がいるというわけではない。ただ上を見上げると、天井には大きな穴が開いており、空が覗けることに今更気がついた。しかしたとえ空が覗けても、外に見える空は青く澄んだものではなく、暗雲が立ち込める暗いもので、この魔物の塔には永遠に朝は来ないのだと思われるような景色が広がるだけだった。先ほどの閃光は、暗雲の中に生まれる稲光によるものだった。窓のない魔物の塔からは他の景色を望むことができない。ただ上から迫るような暗雲を希望なく見つめることしかできなかった。
この塔のどこかで、ビアンカも同じような思いを抱いているはずだと、リュカは無事たどり着いた上への階段を急ぎ足で仲間たちと上って行った。
上の階に逃げていた魔物たちが、リュカたちを待ち受けていた。下の階と吹き抜けの構造となっているため、風が両側を通り抜ける通路を渡らなくてはならなかった。その通路をガンドフよりも大きな魔物に道を塞がれてしまったり、空を飛ぶ魔物からの襲撃に遭ったり、到底すんなりとは通過できない場所ではあったが、リュカたちは互いに慣れた連携でどうにか前に進むことができた。通路から落ちてしまうと、下の階層にある無数の槍の餌食になってしまうことが分かっていた。下に広がる槍先を目にしつつ、リュカたちは絶対に下には落ちられないと歯を食いしばって敵の魔物たちとの戦闘に挑んだ。巨大だが動きが鈍重な魔物ベロゴンロードはプックルとガンドフで飛びかかり、下の階に落としてしまった。宙を飛ぶ魔物ホークマンも多くいたが、リュカとピエールが呪文を連発すると、無駄な戦いはしないとでも言うようにどこかへ飛んで消え去ってしまった。この塔の魔物たちからはそれほど熱心に敵を倒そうという気迫が感じられないとリュカは思っていた。もし人間が自分たちの町や村を魔物に襲われたら、必死になって魔物を追い出すだろう。しかしこの塔に棲む魔物たちにはどこか遊び心すら感じられた。塔に侵入してきたリュカたちの遊び相手をしてやるというような雰囲気で、誰もが必死に塔の侵入者を排除しようとはしていなかった。
その影響もあり、リュカたちは着実に塔を上へ上へと上って行った。塔に棲む魔物を威嚇して退けられるのなら、それに越したことはない。無駄な戦闘はしない方が良いに決まっている。リュカはピエールと協力して魔物を呪文の威嚇で退け、プックルも時折雄叫びを上げて小さな魔物たちを震え上がらせて退け、先に進んだ。
魔物の塔の壁には一切窓がなかった。閉ざされた空間には一体誰のためのものなのか分からないが、小さな灯が壁に灯されており、それはあたかもグランバニア城のような景色だとリュカは思った。グランバニア城も建物の中に全てを収めているため、四六時中、内部には明かりが灯されている。どこか似ている雰囲気に、リュカは安心するのではなく、不気味さを感じていた。
上へ上へとひたすらに上を目指していたリュカたちだが、上り階段のない場所に辿り着いた。それまでの大きな空間ではなく、少々こじんまりとした小部屋となり、辺りを調べるにも少し歩けば事足りる広さだった。上り階段はないが、塔の一部がまるで出入り口のように開いており、そこから冷たい風が吹き込んでくる。近づき、外を覗いて見ると、そこから先に一本の通路が伸びているのが見え、通路の先には双子の塔のもう一つの塔への入口がぽっかりと開いていた。この橋のような渡り廊下を進んで、東の塔に移る必要があるのだとリュカもピエールも状況を悟った。
「何かの罠がないか、慎重に参りましょう」
ピエールの言葉にリュカは小さく頷きながら、手すりも柵もないただの渡し板のような橋をゆっくりと進み始めた。渡り廊下の中ほどに着くと、頭上に広がる暗雲に再び閃光が走り、雷が爆発のような音を立てて近くに落ちた轟音を耳にした。リュカもプックルも、ピエールもガンドフも一様に飛び上がり、渡り廊下も雷の轟音に揺れたが、特に仕掛けが発動するようなこともなく、一人と三匹は無事渡り廊下を渡り切ることができた。
渡り廊下を抜け、東の塔に移ると、上に上る階段は目の前にあった。床には魔物を象った彫刻がなされていたが、それはただの彫刻で仕掛けではなかった。ただ階段の前まで来ると、強烈な異臭が漂うのを誰もが感じた。リュカは顔をしかめ、この強烈な臭いが一体何を意味しているのかを考えながら、ゆっくりと階段を上って行った。



上る階段の途中、階段にどろどろとした液体が落ちているのをリュカたちは目にした。もしかしたらこの液状のものは魔物かも知れないと十分に警戒したが、階段に流れ落ちていたどろどろとした液状のものは魔物ではなく、何かが腐り液状になったものなのだと分かった。
階段を上り切ったところにはその液状のものが沼のように一面に広がっていた。ぶくぶくと泡を立てる毒の性質を持つ液状のものは、階段から塔の壁に向かって広範囲に渡って広がっていた。リュカはあまりにも鼻をつく臭いに頭がどうにかなりそうになり、思わず鼻をつまんで階段を飛び出し、毒の床から離れた。塔の中心に向かっては単に道が続いているようで、毒の床は塔の中心には及んでいないようだった。内部は広々としており、リュカの立つ場所から遥か遠くに上り階段があった。ビアンカを救うにはとにかくこの塔を上り詰めなくてはならないと、リュカは小さく見える上り階段に向かって歩き出そうとする。
すると階段の見える場所より左手から、魔物が姿を現した。宙をバサバサと飛ぶホークマンに八つの手足を持つアームライオンだ。ホークマンは二体おり、リュカたちの姿を目にすると、笑うように口を歪めてただその場で宙を飛び続けている。アームライオンも遠慮なくかかってこいと言わんばかりに雄叫びを上げてリュカたちを待ち受ける。リュカたちは他に上り階段がないかどうかを見渡すが、今彼らのいる場所からは何も特別なものは見当たらなかった。見える上り階段に進むためには魔物たちを倒さなくてはならないようだ。
リュカたちは一様に戦闘態勢に入った。敵となる魔物たちが近づいてくるのを待つ。あえて自ら戦いを挑んで消耗することもないというのがリュカの常の考え方だ。逃げられるものなら逃げて先に進みたいと、リュカは剣を手にしつつも、魔物の間をすり抜ける方法はあるだろうかと辺りを見回していた。
「あの魔物らは一向にこちらへ来ませんね」
暫く時間が経っても、リュカたちと対峙している魔物たちはまるでその場を動かなかった。ただリュカたちが来るのを待っているという雰囲気だ。人間を襲う魔物としてそれはあまりに不自然だった。リュカは魔物らがその場に留まる理由があるのだろうかと、じりじりと前に進みながらも辺りを注意深く見渡す。また先ほどの槍の仕掛けのような罠があるのかも知れない。
リュカたちの進む道の両側には、竜の頭だけの大きな像が置かれていた。口を開けた竜の像は両側からリュカたちのいる中ほどに向かって向いて立っている。それ自体が魔物と言うわけではないが、今にも人間に襲いかかりそうな恐ろしい形相だ。石の竜の像の両眼にはきらりと光る宝玉のようなものが埋め込まれているようだった。竜の像近くにある燭台の炎に照らされ、竜の目は赤々とそれ自体が光を放つかのように光っている。
リュカと共に横を歩いていたプックルが、遥か前方にいる敵の魔物を見ながら、唸り声を上げてじりじりと前に進む。リュカが慎重に進んでいるためにプックルも歩調を合わせていたが、気が逸っていたのか、リュカよりも一歩ほど前を歩いていた。
プックルがちょうど竜の像の前に足を踏み出した瞬間、竜の像の赤い目がひときわ明るく光った。像の口がより大きく開いた。石のきしむ鈍い音が聞こえたと思ったら、竜の口から炎が噴き出した。突然横から迫る炎に、プックルもリュカも避けることができず、何も分からないまま炎に飲み込まれてしまった。
「リュカ殿!」
ピエールが助けに行こうとするが、あまりに強烈な炎の勢いに近づくことも出来ない。その直後、リュカとプックルは転げまわりながらピエールとガンドフのところへ戻ってきた。ガンドフが冷たい息を吐き出し、慌ててリュカとプックルの体にまとわりつく炎を鎮める。すぐに炎は鎮まったものの、リュカもプックルも大火傷を負い、ピエールがすぐに彼らを回復呪文で癒した。
「あの魔物たちが襲ってこない理由はあれだったんだ」
リュカが咳き込みながらそう言う。プックルは炎に焼け焦げた身体の毛を舐め、不味そうに顔をしかめる。リュカとプックルが竜の像より一歩退いた場所に逃れると、竜の口から噴き出した炎はぴたりと止み、口も元の通り小さく開いているだけで、ただ目だけを赤く光らせて侵入者を見つけようとしている。
「確かに、こんな場所では互いに戦えませんね」
「さっきの槍みたいに、この場ではあの竜が敵だってことだね」
リュカはそう言って、竜の像を遠くからまじまじと眺めた。竜の目は相変わらず赤い光を帯び、侵入者を探しているように見えた。あの目を隠してしまえば、侵入者を見つけることも出来なくなるのではないかと、リュカは竜の像の目を自分のターバンやマントで隠すことを考えたが、万が一至近距離であの炎を浴びてしまえば、今回のように運よく助かるという可能性が低くなる。竜のあの赤い目が一体どこまで見ているのかは分からない。うっかり近づいてしまえばそれだけ危険が高まるような気がした。
リュカは竜の像の周辺を観察した。像の前方、リュカやプックルが通ろうとした場所には、これまでにも侵入者がいたのだろう、炎に焼かれた焦げ跡が黒く煤けて残っていた。しかしその焦げ跡も途中までで、反対側の壁にまで及んでいるわけではない。竜の炎は激しいながらも、反対側の壁にまでは届いていないようだった。
「こっちの壁ぎりぎりの所を通ってみよう。ここまでは炎が来ていないみたいだから」
リュカの説明に、ピエールも状況を見て頷いた。竜の像のある反対側の壁は今までに何も傷を受けたことがないほどきれいなままだった。リュカは竜の像から反対側の壁にぴたりと寄り、試しに手にしていた剣を竜の像の前に出してみる。すると竜の像は侵入者に反応し、赤い目を光らせ、再び大きな口を開けて炎を噴き出した。しかしリュカのいる場所に炎は及ばず、ただ激しい炎の熱を感じるだけだった。リュカはそのまま足を踏み出し、竜の像の前に身体を晒すが、やはり竜の炎は届かず、侵入者を完全に排除することはできないようだった。
リュカに続き、プックル、ピエール、ガンドフと続く。身体の大きいガンドフもぴたりと壁に張りつくように進めば、問題なく激しい炎をやり過ごすことができた。ただ少しでも油断して壁から離れると、炎は容赦なくリュカたちに襲いかかってきた。ガンドフが少し炎を浴びてしまったが、茶色の体毛を少々焦がしただけで済み、回復呪文も必要ないほどだった。
竜の像は左右に交互に並べられていた。リュカは今はじっくりと竜の炎と対峙していた。ビアンカを救い出す気持ちを抑えているわけではない。しかし彼女を救い出すには、ここを確実に進んでいかなければならないのだと、心を落ち着けていた。恐らく一人でこの塔に侵入していれば、これほど落ち着いた気持ちにはならなかっただろう。魔物の塔の仕掛けに冷静に対処できているのは、魔物の仲間たちがいるからだった。彼らと共に進まなければならない、彼らを危ない目に遭わせるわけには行かない、彼らの力無くしては先に進めないのだと、リュカは自分でも驚くほどの落ち着きで前へと進んでいた。
竜の像の仕掛けをあと一つ残したところで、待ち構えていた魔物の群れがリュカたち目掛けて攻め込んできた。魔物の数が増えており、アームライオン二体に、ホークマン四体。魔物らはリュカたちを炎の餌食にしようと、戦うというよりは押し戻すのが目的で戦いを挑んできた。
前には魔物の群れ、後には竜の像の炎となれば、前に進むしかなかった。後ろに下がれば強制的に炎に焼かれてしまう。プックルが先陣を切って魔物の群れに突っ込んでいった。アームライオンに突進するプックルは、動きの速さでは敵に勝る。一体のアームライオンを突き飛ばすと、プックルはすぐに態勢を整え、もう一体のアームライオンに一撃をお見舞いする。存分に暴れられる状況に、プックルは本来の魔性を発揮するかのように敵の中を引っ掻き回した。
宙を飛ぶホークマンは様子を見ながら時折滑空してきてはリュカたちに手にした剣で切りかかってきた。じりじりと竜の像の方へ押しやられ、ピエールが危うく炎の餌食になりかける。リュカはその状況を横目に見ながらも助けに行くことができず、ただひたすら目の前に飛んでくるうっとうしいホークマンを追い払うことしかできない。
リュカの所へ飛んで来たホークマンを、まるで飛ぶ鳥を素手で捕まえるかのようにガンドフがわしづかみにした。両手でつかんだホークマンを容赦なく握りしめ、叫び声を上げるホークマンをそのまま壁に叩きつけてしまった。ガンドフはその大きな一つ目でホークマンを捕らえる時を窺っていたようだった。そして今度はずんずんとピエールの方へと歩いて行き、ホークマンが飛びかかって来るのをじっと待っている。仲間が一体あっさりと倒されたのを見て、残る三体のホークマンもガンドフを警戒し始めた。迂闊に近づけばあっさり掴まり、倒されてしまう危機を感じたようだった。
敵の群れが一瞬宙で考えたのを機に、リュカとピエールはすぐさま呪文を発動した。バギマとイオラの呪文が合わさり、爆発の嵐がホークマン三体に襲いかかる。けたたましい音と共にホークマンは嵐の渦に飲まれ、三体とも床に落ちた。敵に一瞬の隙も与えることなく、リュカはすぐに床に落ちてきたホークマンに切りかかる。もう一体にピエールが切りかかる。残る一体はガンドフが両手でつかみ上げ、竜の像の方へ投げてしまった。敵味方関係なく炎を吐き出す竜の像は、獲物が目の前に来たのを認め、容赦なく炎を吐き出した。ホークマン一体は叫び声を上げながら炎に焼かれて焦げてしまった。
「プックル!」
アームライオン二体に対峙していたプックルが床に倒れていた。強烈なアームライオンの一撃を食らい倒れたプックルを、アームライオンはその大きな手で前方に払おうとしていた。払う先には竜の像がある。起き上がろうとするプックルに、リュカはすかさず回復呪文をかける。回復呪文を身体に浴びたプックルだったが、アームライオンの巨大な手を避けられず、弾き飛ばされた。
竜の像は目の前の獲物に忠実に反応した。大きな口が開き、炎が勢いよく噴き出す。しかしプックルが炎の直撃を浴びる寸前、プックルの体はガンドフに押し戻された。代わりにガンドフに炎が迫る。炎を浴びて、叫び声を上げながらも、ガンドフは自ら冷たい息を吐き、自身にまとわりつく火を消し鎮めた。ピエールがすかさずガンドフの火傷を癒した。
アームライオン二体の大きな体が行く手を阻む。魔物の向こう側に上に上る階段が見える。リュカはアームライオンの隙を縫ってでも階段に向かうことを考えていたが、手足が八本もあるアームライオンが二体いたのでは、その作戦も上手く行かないと思った。大きな体の割に動きは速く、もしアームライオンの隙をすり抜けられるとしたらそれはプックルにしかできないだろうと感じていた。
プックルが飛びかかる。アームライオンの大きな手がプックルを払いのけようとする。その間にピエールが切りかかる。しかしそれもアームライオンの手で防がれる。その間にもう一体のアームライオンが攻撃を仕掛けてくる。ピエールに迫る凶暴な魔物の手をリュカが剣で払う。互いに進展がなく、体力が尽きたら負けるという戦いだった。
茶色の体毛に焦げ痕を作りながらも回復していたガンドフが、閉じていた大きな一つ目を突然見開いた。辺りが眩い光に包まれ、一面が真白な世界になった。リュカにもプックルにも、ピエールにも何が起こったのか分からなかった。ただ一瞬、暗い塔の景色が明るさに満ち、すべてが見えたような気がした。
塔の中はすぐに暗くなり、ちりちりと燃える燭台の明かりだけとなった。一体今のは何だったのかと思いつつも、リュカたちはすぐさまアームライオンに向き直り、攻撃に備えた。するとアームライオンは二体とも両眼を抑えてもがいており、目を抑える以外の六本の手も何か支えを欲するようにあちこちを彷徨っている。リュカたちは好機を得たと感じ、すぐさまアームライオンに攻撃をしかけた。
視界を失ったアームライオンはもう敵ではなく、リュカたちの一斉攻撃で気が抜けるほどあっさりと倒れた。近づくリュカたちに手を振り回すものの、視界を失ったままでの攻撃が歴戦を潜り抜けたリュカたちに当たることもなく、空を虚しく切るばかりだった。倒れた二体のアームライオンを見つめながら、リュカはまだ目の奥に残る眩しい光の余韻を脳裏に見ていた。
「ヨカッタ、ミンナ、ブジ」
ガンドフが大きな一つ目を細めてにっこりと笑っている。どういうわけか、ガンドフがその大きな目からまばゆい光を放ち、アームライオンの目を眩ませたようだった。その光は辺り一面を照らすものだったが、目くらましの効果はそれを正面から受けた敵にしか及ばなかった。
「ガンドフ、おかげで助かったよ」
「ガンドフ、ミンナヲ、マモル」
ガンドフは鼻息荒くそう言うと、リュカとプックルとピエールを一緒くたに抱きしめた。苦しいと言わんばかりにもがいてプックルが抜け出すと、赤い尾を振りながら「先に行く」と言うように上の階段に向かって歩き出した。リュカたちもすぐにプックルの後を追って階段に向かって行った。



下の階と一部吹き抜けのような構造になっているためか、階段を上った先の階層には不気味な風の音が鳴り響いていた。塔のかなり上の方へと上ってきたのだろう、少し寒さも増してきたようだった。洞窟のように曲がりくねった道ではないため、視界は開けており、その中に上へ上る階段は見当たらない。壁に灯る明かりが風で心許なく揺れているが、魔力が働いているのか消えることはなさそうだった。
単に吹き抜けの構造と言うよりは、まだこの塔の一部が建設途中のようにも思えた。リュカは下の階が見える穴に近づき、下を覗いてみる。床に開いている穴は規則正しく四角に切り取られたような形で、その穴の近くには床材となるような大きな岩がごろごろとそこかしこに置かれたままだった。この塔をどのように造ったのかは分からないが、先に外観をしっかりと造り上げ、内部は一部放っておかれたままなのかも知れないとリュカは思った。
今の状況がどうあれ、リュカはとにかく上へ上る階段を見つけるべく動き出した。今の場所から見渡す場所には階段はないようだった。大きな穴の開いた床の横を通り過ぎ、先に進もうとすると、見覚えのある魔物が姿を現した。リュカはその姿を見て全身に思わず鳥肌が立つのを抑えられなかった。シールドヒッポというカバの顔をした魔物で、それは王家の証を取りにグランバニアの試練の洞窟に入った時、カンダタという盗賊の仲間として隣に立っていた魔物と同じだとすぐに気がついた。プックルとピエールもすぐに気づき、警戒心を高める。
リュカたちの目の前に現れたのはシールドヒッポ二体とメイジキメラ三体。魔物の群れはリュカたちがまだ確認していない場所から現れた。リュカは魔物が潜んでいた場所に階段があるのかも知れないと、魔物の群れの間を縫って先を確認しようと、魔物の隙を見つけるべくじっと様子を窺う。
リュカの意図を得たプックルがいち早く魔物の隙を抜け、まだ見ぬ場所へと風のように駆け抜けた。プックルの後ろからシールドヒッポの盾がブーメランのように襲いかかる。プックルは耳をピクリと動かし、唸りを上げて飛んでくる盾の刃を後ろに飛び退って避けた。そしてリュカに向かって一声吠える。その声でリュカは、プックルの確認した先に階段はないのだと分かった。
魔物の群れが一斉にプックルに攻撃を仕掛けようとしているのが分かり、リュカはすぐさま呪文を唱えた。バギマの呪文が宙を飛ぶメイジキメラの群れに襲いかかる。真空の刃に身体を傷つけられたメイジキメラはすかさずホイミを唱えて自身の傷を癒してしまった。
「リュカ殿、一気に参りますよ」
「うん、こんなところでのんびりしている時間はないからね」
リュカは再びバギマの呪文を唱える。ピエールも後から追うようにイオラの呪文を唱える。塔の中に激しい爆発音が炸裂する。シールドヒッポの投げる盾をかわしながら、プックルが呪文で傷を負ったメイジキメラにとどめを刺し、倒していく。メイジキメラが使う回復呪文がホイミだけだということに気づいたピエールは、相手に回復の間を与えないよう連発してイオラの呪文を浴びせた。弱る魔物をリュカとプックルが次々と倒していく。
その後ろでじっと身体を丸くしていたガンドフが、大きな目をかっと開くと、猛烈な勢いでシールドヒッポに襲いかかった。全身に漲る力がガンドフの大きな両拳に宿り、ガンドフはその巨体からは考えられない跳躍力で地面を蹴ると上から飛びかかり、一体のシールドヒッポが両手に持つ鉄の盾を二つとも砕いてしまった。武器と防具を同時に失ったシールドヒッポ一体はオロオロと慌てた様子で逃げ場を探し、リュカたちの隙を縫ってどこかへ行ってしまった。もう一体のシールドヒッポもガンドフの迫力ある一つ目に出遭うと、必死に二つの盾を前に出して防御に徹し始めた。
後ろががら空きとなった敵の背中を、リュカが攻撃する。プックルも激しい一撃をお見舞いする。倒れこんだシールドヒッポにガンドフがのしかかり、鉄の盾ごとシールドヒッポを押しつぶしてしまった。
敵の群れを一掃し、傷の一つも負わなかったリュカたちだが、リュカとピエールの魔力の消耗が激しかった。しかし宙を飛ぶ魔物に対してはどうしても呪文に頼らざるを得ない。リュカはシールドヒッポの持つ鉄の盾が良い武器になりはしないかと、倒れた敵が持っていた鉄の盾を拾い上げてみたが、とてもリュカのような人間が飛ばせるようなものではなかった。持ち上げるのがやっとの重さで、これを持って敵と戦うことはできないとすぐに悟った。
「ガンドフなら軽々と持てそうだね」
リュカがそう言うと、ガンドフは倒れたシールドヒッポの鉄の盾を二つとも手に持ってみた。大きな鉄の盾を二つとも持つガンドフは、まるでおもちゃを扱うように軽々と盾を振り回す。
「ガンドフ、コレ、モッテイク」
真剣な表情で二つの鉄の盾を持つガンドフはまさに頼れる戦士だった。ガンドフは重々しい二つの鉄の盾を片手に持つことができるほどの怪力だ。シールドヒッポのように鉄の盾を武器にして投げるほどの器用さはないかも知れないが、強力な防具を手に入れ、ガンドフ自身の「仲間を守る」という意思により強さが備わったような気がした。
リュカたちは再び塔の中を歩き回り、上へ上る階段を探したが、どこにも見当たらなかった。ただリュカたちのいる階層には床に大きな穴が開いており、その脇に大きな岩がいくつか転がっているだけだ。
「もしかしたら下の所に、他に階段があったのかな」
「そうかも知れませんね。一度戻ってみましょうか」
ピエールの同意を得たリュカは少し疲れたように近くの大岩にもたれかかった。恐らく建設途中のこの塔の内部に、床材として運ばれたこの大岩は、結局このままこの先もこの場所で大岩として転がり続けるのかも知れない。この塔に棲む魔物たちにとって、既にこの大岩の存在はどうでもよいものとなってしまったのだろう。
リュカが威勢よく大岩から身体を離すと、その大岩はまるでリュカに擦り寄るかのようにごとりと動いた。大岩の不思議な動きに、リュカは思わず岩を間近に見つめた。すると岩の一部分がゆっくりと動き、そこから二つの目が現れた。その凶悪な目つきに、リュカの背筋に汗が伝う。
「この岩……見たことがある……」
プックルが警戒の唸り声を上げ、大岩から後ずさるリュカの脇を駆け抜け、大岩に飛びかかった。大岩はプックルの一撃を受けて床を勢いよく転がり、床に開く大きな穴に落ちて行った。落ちた先で、穴から眩い光が飛び出したかと思うと、耳をつんざくほどの大きな爆発音が響き、砕け散った岩が大きな石の群れとなってリュカたちにはじけ飛んで来た。リュカたちは全身に石つぶてを食らい、激しい攻撃を受けたような状態になった。全身が傷だらけになり、リュカもピエールもガンドフも、各々回復呪文ですぐに傷を癒さなければ手遅れになるほどだった。
「ただの岩じゃなかったのか」
「ではここにある他の岩も……」
ピエールがそう言いながら他にもそこここに転がる大岩を恐る恐る見ると、いくつかの大岩が自らごろりと転がり、リュカたちを物騒な眼差しでじっと見つめていることに気がついた。爆弾岩の群れに囲まれたリュカたちは、思わず後退るが、後ろには床に開いている大穴が待ち受けている。
ここにいる爆弾岩は元々はここの床材として置かれていたものだったのかも知れない。しかし長くこの場所に留め置かれ、魔物の集団が棲むこの塔の魔の力に染まり、大岩は爆弾岩となってしまったのだろう。魔物と化してしまった岩はリュカと言う人間の姿を見ると反射的に攻撃を仕掛ける性質でも備わったのか、迷わずリュカ目掛けてごろごろと勢いをつけて転がってくる。リュカは必死になって爆弾岩を避け、リュカに避けられた爆弾岩はその勢いのまま大穴へと落ちていく。その途中で先ほどのように爆発してしまうものもいれば、そのまま下の階層に落ちて気絶してしまうものもいる。大穴の下から三度目の爆発が起きた時には、飛び散る岩の大きな破片の攻撃を受けたリュカたちは、息も絶え絶えの状態にまで陥っていた。
運良く急所への直撃は免れ、リュカたちは命を落とすことはなかった。しかし回復呪文を使える仲間が一人でも欠けていたら、リュカたちは皆この場で命を落としていてもおかしくはなかった。
この場にいるすべての爆弾岩をやり過ごし、一行はぐったりとその場に座り込んだ。プックルは尻にまだ軽い傷を負っているらしく、身体を丸めて舐めている。ガンドフも傷こそは癒したものの、まだ足に受けた痛みの余韻に目をしょんぼりとさせている。ピエールもその場に気丈に立っていたが、思わぬ魔力の消耗に緑スライムから笑顔が消えていた。
そんな仲間たちの間に、リュカはまだ魔物の気配がするのを感じた。リュカ一人でも動かせるくらいの岩だが、その岩がひとりでに小さくごろりと動いたのだ。そして皆に声をかけようと思った時には、もうその小さな爆弾岩は仲間たちの方へと突進してきていた。
「みんな! 穴に飛び込んで!」
リュカの声に、仲間たちは即座に反応する。仲間たちはリュカへの信頼の元に、後ろを振り返って確認することもなく、迷わず大穴へと飛び込んだ。リュカも仲間たちと共に飛び込み、皆を包み込んで守るように、ルーラの呪文を唱える。今までにも使ったことのあるルーラの応用で、皆を無事に下の階層まで運ぶことができた。周囲には先ほど落ちて行った爆弾岩の大きな欠片がいくつもごろごろと転がっている。リュカたちはそれぞれ即座に判断し、その大きな欠片の陰に身を潜ませた。直後、上からリュカたちを追って落ちてきた爆弾岩が光を放ちながら爆発を起こし、四方八方に鋭い武器となる岩の欠片を飛び散らせる。空気を揺らす衝撃を感じながらも、リュカたちは爆弾岩の大きな欠片の陰に隠れて、爆弾岩の爆発をどうにかやり過ごした。
魔物とまともな戦闘をしたわけではないが、辺りには爆弾岩の大きな欠片があちこちに散らばっていた。中には爆発を起こさずにそのままの形をとどめ、ただ気絶している爆弾岩もいる。それらを起こせば、再びあの爆発を浴びることになると、一行は小声で会話をしながら、先ほどまだ行ったことのない場所へと静かに進んでいった。
進んだ先の左側に新しく開けた場所があることが分かった。しかし開けた場所に待ち構える光景に、リュカたちは言葉を失った。同じ階層にあったあの火を噴く竜の石像が広い通路の両側に無数に並んでいるのだ。隙間なくびっしりと竜の像が並び、その先に上に上る階段があり、上に上る階段の向こう側には広く悪臭を放つ毒が発生する液体が床に広がっていた。
「でもあそこに階段があるから、行くしかないな」
「しかしリュカ殿、先ほどは火を避けながら進むことができましたが、今度は両側から火にあぶられることになります。この道は進めないのではないでしょうか」
「一体ここの魔物はどうやって上まで行ってるんだろう。像が火を噴くのを止める仕掛けか何かがあるのかな」
竜の像は魔物に対しては火を噴かないというわけではない。動くものであればありとあらゆるものに平等に火を噴く。リュカはこの塔の魔物だけが知っているスイッチのような仕掛けがあるのだろうかと、辺りを探り始めた。恐る恐る竜の像の近くに行って像の横や後ろを調べたが、何も見当たらなかった。もしかしたら塔に棲む魔物だけが知るまじないで竜の像の火を止めることができるのかも知れないとも考えた。
「この塔の魔物は恐らく話をまともには聞いてくれませんよ」
リュカの危険な考えを察知したかのように、ピエールが先回りをして釘を刺す。リュカはあわよくばこの塔の魔物に道を教えてもらい先に進もうかと考えていた。しかし少しでも冷静に考えれば、それが不可能なことはピエールに言われなくても分かることだった。
「リュウ、コワレテル」
リュカと同じように辺りを調べていたガンドフが、一つ目を細めて遠くを見つめながらそう呟いた。リュカはガンドフの立つところから同じように目を細めて遠くを眺めると、ガンドフの言う通り一つの竜の像が何かに破壊され、頭の部分がそっくりなくなっていた。破壊された像の破片が床に散らばっているが、既に竜の形をとどめず粉々に近い状態だった。
「そうか、壊せばいいんだ!」
思いついてしまえば、どうしてこれほど単純なことに気がつかなかったのだろうかと首をひねるほど、簡単なことだった。リュカはすぐに呪文の構えを取り、素早く呪文を唱え、竜の像に向かってバギマの呪文を浴びせた。鋭い真空の刃が竜巻の様に竜の像に襲いかかる。しかし呪文を浴びた竜の像はびくともせずに、ほとんど傷を受けないままその場に立ち続けている。続けてピエールがイオラの呪文を唱え、爆発を起こすが、やはり竜の像は少し傷を受けただけで壊れることはなかった。呪文を複数回浴びせ続ければいずれは壊れるのかも知れないが、その前にリュカたちの魔力が尽きてしまう。
その時、呪文の爆発の音で目を覚ました爆弾岩がごろりとリュカたちの後ろに近づいてきていた。プックルが怯えたように「ギャン!」と言ったのを聞き、リュカたちは一斉に後ろを振り返った。すぐそこまで来ていた爆弾岩はリュカたちを見据え、不敵な笑みを浮かべている。爆弾岩の中から不穏な光があふれ始め、今にも爆発しそうな状況だ。
リュカもプックルもピエールもすぐさま避難する場所を求める中、ガンドフは一人爆弾岩に足早に近づき、両手で岩を持ち上げてしまった。リュカの制止の声も聞かず、ガンドフは爆弾岩を頭の上に掲げるようにして運ぶと、光を帯びる爆弾岩を思い切り竜の像が並ぶ広い通路の真ん中に投げた。まさか投げられるとは思っていなかった爆弾岩だが、既にメガンテを唱えた後のようで、大きな岩は空中で激しく砕け散った。塔の壁やら天井やら灯りやらに岩の破片が飛び散り、リュカたちも再び爆弾岩の破片を容赦なく浴びる羽目になった。
大怪我を追ったリュカたちは、命からがら回復呪文をかけ、どうにか死は免れた。最後にぐったりとしていたプックルもリュカの回復呪文ベホマで体力を取り戻し、ゆっくりと立ち上がる。
リュカやピエールの呪文などものともしなかった竜の像だったが、爆弾岩の爆発には耐える強さは持っていなかった。竜の頭だけが破壊され、床にごろりと転がっているもの、台座ごと粉々に砕け散ったもの、さほど爆発の影響を受けていないものと、状態は様々だったが、広い通路を挟むように並ぶ竜の像の約半数ほどは爆弾岩の爆発で機能しなくなったのではないかとリュカもピエールも目視で確認した。
「ガンドフ! よくやったね」
「アブナカッタカラ、ナゲタダケ」
実際、ガンドフはそう考えただけなのかも知れない。しかしもしガンドフがあの場で爆弾岩を遠くに放り投げなかったら、リュカたちはあえなくこの場で全員命を落としていただろう。爆弾岩が唱えるメガンテという呪文は自分の命と引き換えに敵をすべて倒すという非常に危険極まりないものなのだ。
「まだ階段の所にまではたどり着けないかも知れません」
ピエールがそう言うのは、まだ両側に対になって竜の像がある場所へは進めないという意味だった。竜の像が対に立っていては、両側から火を噴かれてしまえば確実に炎に身を晒すことになる。いくらかは前進することができるようになったが、通路を抜けることはまだできないようだ。
「とにかく進めるところまで行ってみよう」
リュカの言葉に仲間たちは異論なくすぐに賛成した。それというのも、彼らのすぐ後ろにはまだ気絶して目の覚めない爆弾岩が数体床の上に転がっているのだ。危険な魔物から離れるためにも、前に進んで爆弾岩から離れることに皆同意した。
上に上る階段はすぐそこまで迫っていたが、竜の像があと三対、無傷のまま残っていた。爆弾岩の爆発が及ばなかったようで、相変わらず二つの目から赤い光を放ち、侵入者を捕らえようとしている。
「駆け抜けるのは……やめた方がいいよね」
「無謀です。絶対にやめてください」
リュカたちは再び竜の像を見つめながら対策を考え始めた。ガンドフが竜の像を強く殴りつけても、それだけで壊れることはなかった。爆弾岩の爆発ほどの威力があってようやく、この竜の像を壊すことができる。しかしわざわざ眠る爆弾岩を起こしてここまでおびき寄せ、爆発を起こさせるという危険を冒すのも無謀だ。その作戦が上手く行くとは限らない。むしろ失敗する確率の方がはるかに高い。
背をかがめて周囲を窺っていたプックルが、うっかり竜の像の前に踏み出してしまったらしく、赤い目が怪しく光ったのをリュカは見た。プックルに「下がれ!」と呼びかけようとした時には、既に竜の口から激しい炎が吐き出されてしまった。プックルはその場に飛び上がり、慌てて後ろに退いたが、炎がプックルに届くことはなかった。炎は竜の像の前に真っ直ぐ勢いよく吐き出されることなく、口から四方八方に飛び散るように吐き出されている。プックルが像の前から消えると炎は止み、再び静かな竜の像に戻る。
リュカは竜の像の口の中をまじまじと見てみた。すると口の中に先ほど砕け散った爆弾岩の破片が挟まっているのを見つけた。破片が噴き出す炎の邪魔をし、噴き出す炎の量自体を抑えてくれたようだった。
「これで通れるかも知れない」
リュカはそう言いながら床に落ちている爆弾岩の大きな破片を手にしようとした。しかし非常に重い物質でできているようで、リュカには持ち上げられない。それを見ていたガンドフが片手でひょいと大きな破片を手にすると、リュカの意図を汲み竜の像の口に押し込むように破片を脇から差し入れた。その具合を確かめた後、リュカがそろりと竜の像の前に足を踏み出す。像の赤い目が光り、侵入者を捕らえた竜の口から炎が吐き出されるが、やはり真っ直ぐには吐き出されず、あちこちへと炎が分散している。おかげで竜の像の目の前をそのまま通ることができた。
一つが成功すれば後は同じことをするだけだと、ガンドフの手で次々と竜の口に岩石が押し込まれる。侵入者を焼こうとする凄まじい炎は音こそ轟音を響かせていたが、炎がリュカたちに襲いかかることはもうなかった。
無事に竜の像をやり過ごしたリュカたちは、床に広がる毒の臭気に顔をしかめつつも、上へ続く階段を上って行った。



階段を上った先には魔物の群れが待ち受けていた。リュカは仲間たちと連携を取りながら魔物の群れに挑んでいった。ビアンカの安否を思うとリュカは全身から力が自ずと湧き出るのを感じた。この塔に棲む魔物らが憎いと思った。大切な妻を、双子の赤ん坊にとって必要な母を攫った魔物たちを許せないと、リュカは魔物に対する憎しみを顔に表し、必要以上に剣を振るった。常に冷静なピエールも敢えてリュカの感情を抑えることなく、自らもリュカの激しい感情の勢いに乗るように剣を振るう。プックルは次々と魔物の群れに飛びかかり、宙に飛ぶ魔物にも大きく跳躍して襲いかかった。敵から鉄の盾を奪い、両手に身につけたガンドフも、まるで鉄の盾を敵を殴りつける道具の様に振り回し、襲いかかってくる魔物の群れを圧倒した。
リュカたちの気迫に、襲いかかってくる魔物の群れも躊躇する様子を見せたり、逃げ出したりする魔物も出てきた。プックルが上に上る階段を見つけリュカに呼びかけるが、リュカは目の前の敵を倒すことに躍起になり、プックルの呼びかけに気づかない。ガンドフに抱き上げられ、剣を振るうのを止め、ようやく我に返り仲間たちと階段を駆け上がって行った。
上の階層には部屋の中に風が吹き込んでいた。冷たい嵐のような強い風が巻き起こる。敵の仕業かとリュカたちは再び身構えたが、それは塔の外から吹き込んでくる風が生じさせているものだった。塔の壁に四角く切り取られたようにしっかりとした出入口のような穴があり、そこから激しい風が流れ込んできているのだ。リュカは周りの壁に張りつくようにして進み、その大きな出入り口から外を覗き込んでみる。
広い橋のような渡り廊下が突き出し、途中まで続いていたが、跳ね橋のように鎖で上から吊るされ、途中で道が途切れていた。鎖が下ろされればこの道は繋がるのだろう。リュカは以前にもどこかでこのような形の橋を見たことがあるような気がした。
「この塔に棲む魔物は空を飛べる魔物が多くいますから、この橋を使う者は限られているのかも知れませんね」
ピエールの言葉にリュカも小さく頷いた。この魔物の塔には高い場所まで難なく移動できる空を飛べる魔物が多く生息する。しかしアームライオンやシールドヒッポなど空を飛べない魔物ももちろんいる。それらの魔物はこのような通路を渡って東の塔に移動することがあるのかも知れない。
「リュカ、カイダン、アル」
強風の音に負けない声で、ガンドフが部屋の中を指さしながら言う。リュカは出入り口の脇から見える場所に、ガンドフの指し示す階段を見た。さらに上へ上る階段を上らない手もないと、リュカは仲間たちと壁伝いに歩きながら階段へと向かい、部屋の中の竜巻のような風に飲み込まれないように階段をゆっくりと上がった。
上がった先は一転してしんと静まり返った場所で、窓もない広い一つの部屋だった。壁の明かりも揺らめく程度の空気の揺れで、部屋の中を仄かに照らしている。魔物の気配はなく、リュカは落ち着いた様子で部屋の中を歩き回り始めた。
壁で仕切られた場所に、不思議な光る床があった。見覚えのあるその床は、まだ下の階層を歩いている時にアームライオンやオークキングが出現した床だったと、リュカたちは揃って戦いの構えを取った。しかし今は、ただ静かな黄色味がかった光を帯びているだけで、何かが起こる気配はない。リュカたちは光る床に警戒しながらも、辺りを見渡してみた。
部屋の中央に当たる場所、壁に囲まれるようにして一本の大きな棒が置かれていた。壁に立てかけてあるのかと思った棒だが、棒の下には半円形の大型の土台があり、その土台の中で自立して斜めに立っているようだった。
「これは、何だろう」
「明らかに何かの装置ですね。こちら側に倒れているので、反対側に動かせば何かが動くのかも知れません」
「反対側に……やってみよう」
「いや、リュカ殿、お待ちくだ……」
ピエールの制止の言葉を聞かず、リュカはすぐさまレバーを反対側に倒してみた。それで危険な何かが起こるかも知れないとも思ったが、とにかく今は何事もやってみるしかないのだと思った。
レバーが反対側に倒れると、どこか外で大きな音が鳴り響くのを聞いた。それは魔物の仕業ではなく、ただ大きなものが動くだけの機械的な音だった。しばらく鳴り響き、やがてその音は止まった。その音が鳴り止むまでには、リュカたちはこのレバーが何を動かしたのか、見当をつけていた。恐らく下にある跳ね橋が動いた音だった。もしかしたら下の渡り廊下が渡れるようになったのかも知れないと、リュカは急いで階下に戻ろうとした。
「ワタリロウカノスイッチ、ソノイチ」
後に聞こえたガンドフの声に、リュカもプックルも足を止めた。ガンドフの隣で、ピエールも同じように壁に刻まれた何かを見上げている。そこには人間が使わない文字が落書きの様に刻まれていた。魔物だけが読める文字なのだろう、リュカには何が書いてあるのかさっぱりわからなかった。
「これはスイッチの一つということですね。ならば他にもスイッチが……」
「がうがう」
プックルの声に、リュカも下の階層で見た渡り廊下の跳ね橋は双子の両方の塔から吊り下げられていたのを思い出した。このレバーの仕掛けがその内の一つだとしたら、もう一つのスイッチがどこかにあるのかも知れない。リュカたちは逸る気持ちで部屋の中を見渡すが、他に同じようなレバースイッチはない。ただ部屋の南側に怪しく光る床が、依然としてぼんやりと光り続けているだけだ。
「僕、乗ってみるよ」
「一人でさせるものですか」
「ミンナ、イッショ」
「がうっ」
光る床から魔物が現れたのをリュカたちは塔の下の階層で見た。魔物がどのように光の床から現れたのか、リュカたちは知らない。光る床の上に乗っても何も起こらないかも知れないし、もしかしたらこの先に魔界が広がっている可能性もある。先に何が待ち受けるか分からないが、リュカたちは試してみるしかないと思った。
アームライオンやオークキングを楽々生み出す光る床には、リュカたち全員が一緒に乗ることができる。リュカが掛け声をかけると、仲間たちは一斉に床の上に飛び乗った。光の柱が上がり、彼らを包み込む。黄色味がかった温かさを感じる光だが、その中でリュカは異常なまでの冷たさに身体が包まれるのを感じた。魔物を生み出すような装置だからか、人間のリュカにとっては苦痛を感じる場所だった。しかしそれも一瞬の間で、次の瞬間にはリュカたちは景色の異なる場所に着いていた。
目の前に先ほど動かしたものと同じレバーがあるのを見たリュカだが、その前に多数の魔物の群れが待ち受けていた。リュカたちが来るのを待っていたかのように、魔物の群れは楽し気にリュカたちに襲いかかってきた。ホークマンの群れに一気に襲いかかられたが、ガンドフが両手に鉄の盾を構え、攻撃を力ではじき返した。その隙にプックルがホークマンに襲いかかる。猛烈な勢いで飛びかかり、一度の攻撃でホークマンを仕留めてしまった。ピエールもホークマンと剣を交える。リュカも滑空してくるホークマンと剣を交えて戦った。
この空間にはホークマンしかいないとすぐに分かった。次々とホークマンを仕留めていくプックルを横目に確認し、リュカは最もレバーの近くにいたガンドフに叫ぶ。
「ガンドフ! レバーを動かせ!」
リュカの声を耳にし、ガンドフは鉄の盾を持ったまま、大きなレバーをその怪力で軽々と動かした。しかしガンドフの力に耐えられなかったレバーは、反対側に倒されたところで、根元から無残にも折れてしまった。それを見て真っ先に声を上げたのは、敵であるホークマンたちだった。まさかレバーが根元から折られるとは思っておらず、皆して顔を見合わせ、焦りの表情を浮かべている。その隙に、リュカは仲間たちの呼びかけ、再び光の床に一斉に飛び乗った。
のんびりしていては後ろから追いかけられると、リュカたちは先ほどまでいた空間に戻るとすぐさま階段を下りていく。風が吹き荒れる部屋の壁伝いに歩き、先ほど跳ね上がっていた渡り廊下を確認する。二つのレバーの操作で見事に渡り廊下は繋がり、歩けるようになっていた。広い渡り廊下は恐らく大型の魔物たちが渡るために広く作られているのだろう。下から風が吹きあがり、上から風が吹き下ろす状況の中だったが、渡り廊下が広く頑丈に造られているため難なく渡ることができた。予想通り、魔物の群れが後を追ってきたが、リュカたちは渡り廊下の出入り口で魔物を一体ずつ倒していった。幸い、後ろから魔物が現れる気配はなく、出入り口におびき寄せ、一体が襲いかかってきては倒し、再び一体が襲いかかってきては倒しという戦い方を繰り返した。そして追いかけてくる魔物がいなくなるのを見てから、リュカたちは落ち着いて移動してきた空間を落ち着いて見渡した。
石柱が並ぶ場所まで歩いていくと、その先にもう何度目になるか分からない上り階段があった。迷わず階段を上ろうとした時、上の階からうめくような声が聞こえた。それが人間の声だと分かると、リュカはまるで飛ぶように階段を駆け上がって行った。

Comment

  1. ピピン より:

    bibiさん

    更新お疲れ様です。
    こうして読むと、RPGで難なく進んでいる場所やトラップも実際は命懸けなんだろうなと改めて思わされますね。
    リュカの必死に冷静さを保っている精神状態を思えば尚更です。

    もしヒーローズのようにアクションリメイクされたらストレスフルなステージになる事でしょう…!

    盾装備ガンドフは面白いですね( *´∀` )
    元々装備システムありますし、オリジナリティあって好きです(笑)

    • bibi より:

      ピピン 様

      どうもコメントをありがとうございます。
      きっとゲームを作る側の方々は、そういうゲームの一コマ一コマをじっくり考えて作っておられるのだろうなぁと、攻略本に載るデモンズタワー内部を見ながら話を書き進めております。ここに明かりを設置して、ここに魔物の彫刻を入れて……とか。細かいお仕事をされているんだなぁと、また違った見方で改めて感心させられます。
      ヒーローズはプレイしたことがないのですが、きっとこのデモンズタワーが舞台になったら、リアルに炎に巻かれる場面が出てきそうですね。怖い怖い。
      ガンドフもゲーム中ではしっかり装備をしているのですが、私の話の中では誰もが軽装備(というか、ほとんど装備してない……)ので、ちょっとこの辺りで盾だけ持ってもらいました。この盾で今後も活躍してもらいたいです^^

  2. ピピン より:

    bibiさん

    確かにそうですよね。
    そう言えば、11の発売前に特番で堀井さんがスタッフが作ったダンジョンのデザインについて細かく指摘していた事を思い出しました。

    恐らく別のゲームで似た状況を経験しているのでしょうが、吹き抜けで落とそうとしてくる敵とか絶対ヤバいです。
    今回読んでいて一番リュカ達を心配したシーンです(笑)

    5主もターバンやマントのイメージしか無いですが、ゲーム中では普通に鎧とか装備してますもんね。
    読んでいてもガンドフは今回一番頼もしく感じました。

    • bibi より:

      ピピン 様

      やはり細かく作り上げられているんですね、ゲームって。一つ一つを積み上げて完成させる……地道な作業なんだろうなぁ。
      ゲーム上はさらっと過ぎていく場面ですが、実際に体験するとなるとかなりヤバイ場面であることが伝わって良かったです。あの塔に棲む魔物たちも命がけです(笑)
      装備品はしっかり描ければ、その都度町などで揃えて装備させることも可能なのでしょうが、そこまで話に組み込むのがちと面倒で……あ、こんなこと言っちゃいけないか^^; ガンドフにはこれから盾で敵を蹴散らしてもらいたいと思います。頼もしい^^

  3. ピピン より:

    ビビさん

    溶岩だったり砂漠だったりは特に、ゲームじゃ絶対に伝わらないですよね。
    リアルにしちゃうと常にステータス異常になりそう。

    面倒ですか…、凄く説得力があります(笑)
    まぁ、リュカなんかはパパスの剣とドラゴンの杖だけ出せば充分でしょうね。

    • bibi より:

      ピピン 様

      ゲーム中では溶岩はトラマナで回避できちゃうし、砂漠なんてちょっと敵に会いやすいかなぁくらいですもんね。リアルだと常にステータス異常……ある種戦闘よりも厳しい状況ですね。
      ゲームでは装備品も細々変えたりして(お金がなくてそのまま突っ走ることもありますが)楽しみますが、いざ小説にその辺を起こすとなると、武器や防具の描写だけで私がやつれそうです(笑)なのでここはほとんど装備品変更なしということで進めて参ります。
      そうそう、主人公のリュカでさえもその二つの装備品があれば充分にお話が書けると思っています。ただドラゴンの杖の装備になった後は、今までと描写が変わるだろうなと今からちょっと恐怖です。どう書いて行こうかな……(汗)

  4. ケアル より:

    bibi様。

    いやぁ息も詰まる描写でありますな。

    ヤリの描写は、たしかに!…て思いましたよ。
    普通に考えたら、通せんぼでなく、一撃必殺ですよね。
    そして、ドラゴン像、岩を落とすでなく、爆弾岩を利用し、像をぶっ壊すだなんて、よく考えつきましたね!

    そして、なによりも大活躍のガンドフ!
    眩しい光と、もう一つは気合い貯め?
    そして、爆弾岩を投げるやら、盾を装備するなんて、怪力大爆発ですな!

    ガンドフ皆を守って欲しい!
    今回は、ガンドフに金メダルです。

    bibi様が、今回の描写をどのようにするか、楽しみにしてましたが、像の口に爆弾岩の破片を入れこむだなんて、斬新で楽しかったですよ。

    次回は、大臣が息絶える前にリュカに言い訳し、いよいよ、あの魔物2匹と、もしかしたらジャミ登場になりますか?

    早く読みたいです~!
    bibi様、更新を涙が出るほど待っていますよ。

    • bibi より:

      ケアル 様

      いつもコメントをどうもありがとうございます。
      この辺りはひたすら戦闘シーンなので、力が入ります。次回もこんな感じ、というか、次回はもっと緊迫した感じになると思いますが。どうなるのやら。私が怖いです。
      上から落とす岩の中に本当に紛れてるんですよね、爆弾岩。折角なので利用させてもらいました。役に立ってくれてありがとう、爆弾岩。
      ガンドフの眩しい光はもうちょっと話を作りこみたかったんですが……頭が働かず、ちょっと物足りない話になってしまいました……。もうちょっと練りたかったなぁ。
      このパーティーではガンドフが大きな体で活躍してくれますが、ここにゴレムスが入ると、また違った戦いになっていたでしょうね。パーティーによって戦い方が色々なので、それも書く楽しみになっています。
      ゲーム中では竜の像の前まで岩を動かして炎を回避する、というものですが、現実的にはちょっと難しいかなぁと思ったので、ちょっと設定を変えさせてもらいました。
      次回は大臣などなど出てきますが、果たしてどこまで書けるのか。まだ私にも分かっておりません……。一気に進めたいところですが、うーむ。

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