盗賊の狙うもの

 

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王家の証が安置されていた祭壇の間はかなりの広さがあったが、数多くの火台に燃える炎のおかげでかなり温かかった。水の仕掛けで冷え切っていたリュカの体を温め、濡れていた服も予想以上に早く乾かすことができた。プックルも炎の傍で静かに温まり、悠長に寝息さえ立てていた。祭壇の間に現れる魔物は一匹もおらず、リュカたちはゆっくりと休息を取ることができた。
「今、どれくらいの時間なんだろうね」
洞窟内が常に魔法の力で青白く照らされ、尚且つ火台の炎があるため、辺りをまんべんなく見渡すことができる。しかし洞窟という閉ざされた空間のため、時間を知ることはできない。それでもまだ試練の洞窟に入って半日は経っていない感覚だった。サンチョたちの待つ洞窟の外に出れば、深い夜空に星が瞬いている頃だろうと、リュカは美しい星空を想像した。
「そろそろ外へ向かいますか?」
いつも通り話すピエールだが、緑スライムは大欠伸をしている。ピエールもしっかりと休息を取っていたようだ。ピエールとキングスは火台の炎から離れたところで休息を得ていた。彼らは炎の熱さはあまり得意ではないらしい。
「そうだね。来た道を戻ればいいから、それほど辛くはないかな。魔物にあまり会わなければいいね」
この試練の洞窟はグランバニア国が国王となる者の資質を試すために造られた洞窟だ。リュカは見事試練を乗り越え、王家の証を手にすることができた。リレミトという洞窟脱出呪文が使えるリュカにとっては、呪文さえ唱えれば一瞬でこの洞窟から出ることができるが、リュカはそれをしなかった。
生前の父が洞窟脱出呪文リレミトを使ったという記憶がなかった。恐らく父はリレミトという呪文が使えなかったのだろう。当時まだ幼かったリュカにはリレミトという呪文が存在すること自体知らないことだったが、もし父がその呪文を使えたのであれば、幼い頃にリレミトの呪文の不思議な体験をして、その記憶が残っているはずだ。リュカにはその記憶がなかった。
父はこの洞窟を自分の足で歩き、王家の証を手に入れた後も、歩いて外まで戻ったに違いない。リュカにとってこの試練の洞窟は決して王家の証を手に入れるだけの場所ではない。父パパスの後を無意識にも負い続けるリュカは、父と同じようにして試練を終えなければならないという思いがあった。
「さあ、そろそろ行こうか」
すっかり体も温まり、休まったリュカは再び祭壇に続く一本道の通路を歩き始める。通路の両脇に大きく口を開ける穴からは変わらず風が流れ込んでいる。大きい穴の底は見えず、まるで巨大な魔物が大きく口を開けているようだと、リュカは暗い穴から聞こえる魔物の唸り声のような音を聞いた。
「おっと、待ちな!」
通路をちょうど渡り切ったところで、突然人間の声が聞こえた。声は上に上る階段近くから聞こえ、階段の陰からまるで影のような人間が姿を現した。顔は頭まですっぽりと被った覆面でほとんど分からない状態だ。しかし覆面の中から覗く二つの目には、人間世界の闇の部分を見てきた暗い雰囲気がありありと漂っていた。特に鎧兜を身に着けるわけでもなく、外を歩くにしてはかなりの軽装で、上半身はほとんど何も身に着けていない状態で、下半身は丈夫な革製のズボンを履き、かなり使い込まれたブーツを履いている。手にしている武器は斧で、大木を切り倒す時に使うような大きな斧を軽々と片手で持っている。その斧を見て、リュカは思わず顔をしかめた。敵の装備するその武器に、どことなく嫌な臭いを感じたのだ。
姿を現したのは一人ではなく、仲間がもう一体いた。魔物の仲間を連れていた。見たことのない魔物で、大きなカバが全身を鎧で固め、手には頑丈な盾を持っている。人間の敵とは対照的に、この魔物の敵は防御に長けた格好をしているとリュカは敵を見ていた。
「君たちは、誰? どうしてここに入れたの?」
リュカはごく単純な質問をした。この祭壇の間に来るまではいくつかの仕掛けがあったはずだ。リュカたちはそれらを乗り越え、この場所にまでたどり着くことができた。それらの試練を目の前の二人の敵も越えてきたというのだろうか。
「どうしても何もねぇやな。俺たちゃあんたらの後をついてきただけだぜ」
「まったく気づかないなんて、おめでたい奴らだ」
会話をする一人と一匹。どうやら敵の魔物は言葉を話せるようで、そのカバの目には人間らしい嫌らしさが浮かんでいた。同じ魔物の仲間を連れて旅をしているという環境だが、リュカはその男に微塵も親近感を覚えなかった。生き方がまるで違うとすぐに分かった。男は恐らく、人間として、生き物として、自ら望んで世界の最も暗部で生きてきた人間なのだろう。
「貴様らは何者だと聞いている。この場所には入れない類の者であろう」
ピエールが既に剣を構えながら敵に強く問いかける。王家の証が安置されている神聖なこの洞窟に足を踏み入れる目の前の輩を、ピエールははっきりとした敵意を持って睨んでいる。スライムナイトに剣を向けられ、覆面の男はにやにやと笑いながら大きな斧を肩に担いだ。斧を構えない辺り、隙だらけの状態なのだが、それでいてどこにも隙は見当たらなかった。
「俺の名はカンダタ。世界を股にかける大盗賊だ。盗賊がお宝を狙って洞窟に入るのは当然のことだろ」
敵の素性を知ってリュカはすぐに合点が行った。敵のカンダタという盗賊は決して大きな口を叩いているわけではない。男は本当に世界を股に架けた大盗賊で、数々の悪行を働いてきたに違いない過去がすぐに想像できた。そして悪行に身を落とし、悪に染まり切ったこの男にとっては、もはや自らの欲望のために全てを滅してしまうことに何も罪を感じない。自らの目的が達成できれば、過程などはどうでもよい。むしろより残虐な方法を選択する残酷さを、その覆面の内側に漂わせている。
「悪いが王家の証を持って行かせるわけにはいかねぇな」
「これが王家の証だって、どうして知ってるんだ」
「そんな情報は俺くらいの盗賊になればすぐに手に入れられるってもんだ。野暮なことを聞くなよ」
「リュカさんが王になるのをイヤがる者もいるってことよ」
「シーッ。余計なことを言うな!」
カンダタ自身は抜け目も隙もない性質を持っているようだが、手下の魔物はそれほどの注意力を備えていないようだった。リュカは手下の魔物の言葉を聞いて、脳裏に一人の人物が過るのを止められなかった。そしてその瞬間、サンチョが洞窟の入口に残った理由に行きつき、折角火台の炎で温まった身体が再び凍り付くような感覚を味わった。
「サンチョ! みんな、すぐに洞窟を出よう。僕につかまって!」
リュカたちの後にこの洞窟に入った者がいるとするならば、洞窟前で待っていたサンチョたちに何かがあったに違いない。リュカは目の前の敵に立ち向かうことなどはすぐに考え捨て、リレミトの呪文を唱えようと集中し始める。最も大事なものは、仲間の命だ。
リュカたちが一塊になったところに、カンダタの斧が唸りを上げて飛んできた。まるでブーメランのように投げられた斧はリュカとプックルの間を突風のように吹き荒ぶ。プックルが咄嗟に前足をひっこめたおかげで、前足が切れて飛んでいくことは免れた。
「リレミトを唱えられるのか。そりゃ便利だな」
「親分も使えますがね、その呪文なら」
カンダタがどれほど長い間盗賊業に身を費やしているのかは知る由もない。しかし盗賊を生業としているこの男がリレミトの呪文を習得していることは何も不思議なことではない。今までカンダタは数多くの洞窟に潜り込み、様々な宝を手にしてきたに違いない。近年では魔物の数も多くなり、洞窟に潜ること自体が高いリスクを負うことになる。その中でリレミトの呪文を習得することは、カンダタにとって必要なことだったのだろう。
「とにかくそいつは返してもらうぜ!!」
カンダタが覆面の下で目を光らせるのを見て、リュカは手にしていた王家の証を懐深くにしまった。リレミトの呪文を唱えるには、仲間たちを集め、一塊にならなくてはならない。しかしカンダタがもうその隙を与えてくれるはずはなかった。
筋肉質な体格の割に、素早い動きを見せるカンダタに、リュカは虚を突かれた。しかも斧を使った攻撃ではなく、突然の体当たりだ。吹っ飛ばされ、リュカは地面に這いつくばる。すかさずカンダタが地を蹴って、リュカに追撃を食らわせようとする。鈍く光る斧を見上げたリュカの目に映ったのは、横から飛びかかってきたプックルのしなやかな身体だった。
カンダタの動きは鋭く素早い。飛びかかってきたプックルをひらりと避け、避けながらも斧を振るい、プックルに一撃を食らわせた。悲鳴を上げるプックルに、すかさずピエールが回復呪文を唱えた。深手を負ったプックルの傷は、血を流す間もなく塞がり、事なきを得る。リュカたちの戦いも、長い旅の中で培われた連携が生かされている。
カンダタに負けない素早さを持つプックルが、反撃とばかりにカンダタに飛びかかる。覆面の中でにやつくカンダタの前に、大きな影が現れる。仲間の魔物シールドヒッポが頑丈な盾を二つ前面に構え、プックルの攻撃をいとも簡単にはじき返してしまう。カンダタが鋭く重い攻撃を一手に請け負い、手下のシールドヒッポはカンダタの防御の役割を負う。カンダタとシールドヒッポもリュカたちと同じように、長年の旅の間で連携が培われているようだ。
キングスがその巨体を生かして、カンダタの護りを務めるシールドヒッポに突っ込んでいく。両手にそれぞれ盾を装備しているシールドヒッポに武器はない。完全にカンダタの盾として戦うとリュカたちは見ていたが、シールドヒッポの武器はその盾そのものだった。鉄の盾を手に持ち直すと、一つを円盤のようにキングス目掛けて飛ばしてきたのだ。盾の周りはまるで鋭く研がれた刃のようで、盾の刃はキングスの大きな体の一部を斬り、弧を描いて飛ぶ盾は再びシールドヒッポの手に戻った。盾でもあり、武器でもあるそれを、シールドヒッポは使いこなす。
キングスの傷が深く、動けなくなったところをリュカが回復に向かう。しかしすかさずカンダタが飛び込み、リュカに斧を振るう。回復呪文を唱える隙も与えられず、リュカはとにかく斧を避けるしかなかった。カンダタの斧の攻撃は凄まじく、父の剣を盾にしたら確実にへし折られてしまう。
リュカがカンダタと向き合う最中、回復はピエールが素早く行う。リュカには常にカンダタが付きまとう。カンダタの目にはぎらぎらとした欲望の炎が見える。覆面を被り、顔面のほとんどを覆っているが、目に現れる狂気に近い感情はリュカにはまるで理解できないものだった。
突然耳元で風の唸り声が聞こえ、リュカは後ろを振り返った。目前まで迫っていたシールドヒッポの盾に、リュカは思わず右手の剣を盾代わりに前に出す。敵が飛ばした鉄の盾はリュカの剣を弾き飛ばし、方向を変えてシールドヒッポの手に戻る。リュカの身体が斬られる事態には陥らなかった。
激しい音を立てて床に飛ばされた剣をリュカが追いかけようとすると、すかさずカンダタの姿が目の前に現れる。狂気じみた目を向けながら、リュカの体を斧で切りつける。リュカは腹を抑えて床の上に転がった。すぐに自身で回復呪文をかけ、腹の傷を塞ぐ。全身からさっと引いた血の気がすぐに戻り、冷たく感じた体に熱が戻る。カンダタの一撃を少しでも放っておいたら、リュカは命を落としていたかも知れなかった。
「ちっ、回復呪文ってのは厄介だな……」
その一言でリュカは気がついた。カンダタも手下のシールドヒッポも今までに遭遇したことのない強さを備えているが、一度も回復呪文を唱えていない。リュカたちがかなり攻め込まれているとは言え、敵も無傷ではないのだ。カンダタの腕にはプックルの爪の痕がある。大した傷ではないかも知れないが、舐めとけば治るという程度のものでもない。恐らく敵は回復呪文を使うことができない。
リュカの足元に父の剣が滑り込んできた。プックルが前足で蹴り、リュカの方へと寄越したのだ。リュカは素早く剣を手に取ると、意を決めたように敵に向かって一気に攻め込む態勢を取った。今までは攻撃を受けっぱなしだったが、相手の力量などが大まかにでも分かれば、攻め込む余地が見つかる。
カンダタらは既にリュカたちの力量を計っていた。リュカとピエールが回復呪文を使用できると分かると、集中的にリュカとピエールを攻撃し始めたのだ。プックルとキングスが幾度となく二人を助け、幸いにも致命傷は受けていない。逆に言えば、プックルとキングスの助けがなければ、リュカもピエールも既にこの場で命を落としていたかも知れない。
リュカはプックルがカンダタに飛びかかるのを目にするや否や、呪文を唱えた。慣れた呪文は短い詠唱で済む。リュカの手を離れたバギマの呪文がカンダタに襲いかかる。カンダタは身を固くし、バギマの渦巻きに飲み込まれる。全身を切り刻まれても尚、カンダタは傷など負っていないという雰囲気で、目の前のプックルに斧を払った。プックルの赤い鬣が切られ宙に飛んだが、咄嗟に身をよじらせたおかげで斧を身体に食らうことはなかった。
ピエールもリュカの完全な戦闘態勢の雰囲気を感じ、イオラの呪文を唱えた。洞窟内に爆発音が轟き、カンダタもシールドヒッポもその爆風でたまらず地面を転がる。しかしシールドヒッポが構えていた二つの鉄の盾に守られ、傷を負うことはなかった。すぐにその場で敵も立ち上がり、リュカたちに向き直る。
そこでリュカは間を与えなかった。立ち上がった敵にすかさず飛びかかり、カンダタに容赦なく剣を振るう。リュカには危機感があった。このカンダタという大盗賊は恐らく、リュカから王家の証を奪い取るだけの目的でこの場に来ているわけではない。
手下のシールドヒッポが「リュカが王になるのを嫌がる者がいる」という言葉を吐いていた。それはリュカがこの場でいなくなることを望む者がいるということだ。カンダタたちは誰かに依頼を受けて仕事をしている。その仕事は、王家の証を奪うことと、リュカの暗殺だ。そしてそれに対する報酬に、カンダタたちは目をぎらつかせているのだろう。
「あいにく、僕はここでやられるわけにはいかないんだ」
グランバニアでは妻のビアンカが大きなお腹でリュカの帰りを待っている。彼女はリュカの帰りを信じて疑っていない。城では魔物の仲間たちも待っている。オジロン王も待っている。そして亡き父の知り得なかった期待を裏切るわけにはいかない。リュカを生き延びさせる理由は今、いくらでもある。そのためにも、リュカはこの場で命を落とすわけにはいかないのだ。
そしてリュカには、カンダタという盗賊に容赦なく攻撃を加えられる理由があった。カンダタという男に、リュカは底知れぬ暗部を感じていた。カンダタは恐らく、ただの盗賊ではない。盗賊以外の残虐な仕事にも手をつけ、そしてそれを楽しんでいるように見える。それはまるで、魔物よりも魔の者になってしまった人間のように見えた。
カンダタは間を置かずにリュカに襲いかかる。振るう斧が風を斬る。その音が耳元に聞こえる。しかしリュカも幼い頃から旅を続け、魔物との戦闘の経験を積んでいる。初めは余裕の表情を見せていたカンダタだが、次第に振るう斧に切羽詰まった空気をまとわせ始める。リュカは父の剣も使いつつ、巧みに斧をかわし、カンダタの体力を削って行った。
プックルの鋭い声が響いた。リュカは即座に反応し、後ろを振り向く。寸前に迫っていたシールドヒッポの盾の刃を、リュカは剣の束で弾いた。まるで神業にも見えるリュカの行動に、カンダタもシールドヒッポも、そしてリュカ自身も目を丸くした。到底避けきれる位置ではなかった。しかしリュカの手にした剣はまるでそれ自体が意思を持つかのように盾を弾いて床に転がした。
リュカは剣を握り締めた。長年父が使っていた剣に、父の魂が宿っているのだと感じた。父は死んだが、思いがこの剣に残り、リュカを守っている。リュカは徐々に記憶に薄くなる父の優しさを思いながら、再びカンダタに向き直る。
「何者なんだ、あんた……」
そう吐くカンダタの覆面の内側で冷や汗が流れる。王家の証を狙うリュカという人間と、魔物の一味がいる。それらに王家の証を渡さず、必要であれば殺しても良いという仕事を受け、既に報酬の半分は前金として手にしている。そして楽に仕事の対象を仕留め、残りの半分をいただこうと軽い気持ちで考えていたカンダタだが、目の前のリュカという男は予想をはるかに超える強さだ。見た目はただの一人の青年に過ぎないが、見た目にそぐわず強さは一流の戦士だ。カンダタはもう少し金をふんだくっておくんだったと、小さく舌打ちした。
カンダタが一瞬の隙を見せた瞬間、リュカは一気に攻め込んだ。息もつかせず剣を振り、カンダタは徐々に通路の方へと押される。一本道の通路の両脇からは、底の見えない深い穴から温い風が吹き込む。地の底から響く唸り声のような不気味な音が聞こえる。穴に落ちれば、そのまま地獄へ連れて行かれそうな雰囲気がある。
「本当に地獄に繋がっているのかもな」
リュカがほんの一瞬、通路脇の穴を覗いた瞬間、カンダタの声が耳元で響いた。その直後、ドンッという激しい音と共に、リュカの体は宙に舞った。カンダタの体当たりで、リュカは通路脇の穴に足を踏み外した。ぐらりと洞窟の景色が回る。通路の先の鷲の像と目が合ったような気がした。
プックルの悲鳴にも似た叫びが聞こえた。真っ暗な世界に飛び込んだと思ったら、地の底から突然爆発が起こり、リュカの体を穴から吹き飛ばした。体中に爆発を浴び、リュカは体の骨が折れるのを感じた。しかし痛さを感じる余裕もなく、否応なしに身体が爆風で突き上げられる。
宙に飛ばされたところを、冷たく大きなものに包まれ、どこかに運ばれた。その感覚だけはあるが、何が起こっているのか分からない。ただ感触と音だけがリュカに届く。
怒り狂ったプックルの雄叫びが聞こえた。地を激しく蹴るあの音はプックルだ。リュカを包んでいた冷たい感触は去り、リュカは声ではない声を聞いた気がした。それがキングスの声だったと分かったのは後になってからだった。
「リュカ殿、大丈夫ですか?」
動けないリュカの傍には、ピエールが来ていた。すぐにベホマの呪文を唱え、リュカの全身の怪我を回復する。折れていた骨も無事に繋がったようだ。ほんの少しの間、身体がきしむような感触があったが、それにもすぐに慣れた。
「すみません、貴方を救うには呪文しか思いつかず……」
そう謝るピエールは、イオラの呪文を唱えたことを詫びていた。穴に落ちかけたリュカを救うため、咄嗟にイオラの呪文を唱え、爆風でリュカの体を地上に引き戻したのだ。何の構えもなく、イオラを直撃したリュカの体の骨が折れるのも無理はなかった。
「ありがとう、ピエール。助かったよ」
リュカは素直に礼を述べると、すぐにピエールと共に戦線に復帰した。プックルがカンダタに獰猛な獣の形相で飛びかかっている。その迫力にカンダタもさすがに押され気味だ。プックルの鋭い牙がいつでもカンダタの首を狙っている。カンダタはとにかく首だけは掻かれまいと、必死になって斧を盾にして防いでいる。プックルの前足の鋭い爪で裂かれることには構っていられない様子だ。
キングスはシールドヒッポの前に立ちはだかり、カンダタの盾をさせないようその行動を封じている。シールドヒッポは邪魔なキングスを盾の刃で攻撃するが、キングスは傷をこしらえながらもシールドヒッポをじりじりと通路脇へと押しやって行った。
「親分―――!」
そう叫びながら、シールドヒッポはキングスに押し出され、穴へと落ちて行った。深い闇に飲み込まれたシールドヒッポが再び現れることはなく、敵はそのまま消え去ってしまった。しかしキングスもかなりの傷を負っており、その場に力なくへたり込んだ。大きな青色の体の至る所に裂傷を作り、全身から力が抜けてしまっている。リュカがピエールにキングスの回復を指示し、ピエールが素早く向かうのを見てから、リュカはカンダタに飛びかかって行った。
カンダタはこの機を待っていた。カンダタが請け負った仕事は王家の証を取り戻すこと、そしてリュカと言う男の暗殺。リュカが連れている魔物の仲間などどうでもよい。リュカと言う男さえ仕留め、王家の証を取り戻せば、一生遊んで暮らせるほどの報酬が手に入るのだ。
カンダタの斧がリュカの首を狙う。プックルに左肩を鋭い牙で噛みつかれても尚、カンダタは手にしていた斧をリュカの首に振るった。カンダタの盗賊としての報酬に対する執念は異常なまでだった。自らの命を賭しても、金が大事だと思い込んでいるのだ。
リュカは咄嗟に腕を前に出し、カンダタの斧を受け止める。左腕に深く切り込まれたが、腕が切れることはなかった。その痛みもよく分からないまま、リュカは右手で剣を振り下ろす。斧を手放し、プックルに深手を負わされていたカンダタが剣を避ける術はなかった。リュカの剣をまともに食らい、カンダタはその場に膝をつく。そしてバランスを崩して後ろに倒れた瞬間、その姿は消えてしまった。
通路脇の深い闇が、まるで魔物の大きな口のごとくカンダタを飲み込んでしまった。風の唸りとは違う、深く低い魔物の咆哮のような声を上げ、カンダタは地獄へと落ちて行った。
戦闘が終わった瞬間、リュカは左腕の痛みに気づいた。カンダタの斧が刺さったままの左腕を見て、急激に痛みに襲われる。全身から冷や汗を垂らしながら、リュカは集中して自分にベホマの呪文を唱えた。カンダタの斧は傍らに転がり、床に跳ね、そしてカンダタを追って穴へと落ちて行った。
「みんな、大丈夫?」
自身が痛みから解放されると、リュカはすぐに仲間たちの様子を見渡した。キングスの深手はピエールが治したものの、ピエール自身の傷が癒えていなかった。プックルもカンダタの斧の攻撃を受けており、胴にいくつか切り傷が残っている。リュカは近くにいたプックルの傷を癒そうと呪文を唱えようとしたが、それをピエールが止めた。
「リュカ殿、まずはこの洞窟を抜けることを考えましょう。あなたにしかリレミトの呪文が使えません」
残された魔力の心配をしているのだとピエールに言われ、リュカは初めの考えを改めざるを得なかった。父もオジロンもこの試練の洞窟を歩いて戻って行ったに違いないと思い、自身もそうすべきだと考えていたが、残りの体力や魔力を考えればそんなことは言っていられない。あと一回、ベホマの呪文を唱えてしまえば、リュカの魔力は尽きてしまいそうだった。そしてピエールの魔力は既に尽きているようで、自身の傷を癒すこともできないようだった。
「……みんな、僕につかまって」
プックルがひょこひょこと歩いてくる。ピエールも力なく床を擦ってリュカに近づく。キングスは皆を心配そうに見つめながら、皆を包み込むようにしてまとめた。リュカは懐にしまった王家の証を手に確かめると、カンダタとその手下が落ちて行った暗闇を見つめながらリレミトの呪文を唱えた。



試練の洞窟のある砂漠は既に夜の闇に包まれていた。空には数多の星が瞬き、砂漠を囲む森は夜の鳥が鳴き、静けさに包まれている。魔物らの多くは森の中をうろつき、活動を強めているようだが、森を出ることはあまりない。砂漠に囲まれた場所にある試練の洞窟近くで、ストーンマンとオークキングが倒されたのを見て、他の魔物らはあまりその場所に近づかなくなったのだ。
今も動かなくなったストーンマン二体が、それぞれ離れた場所で動きを止めたまま、立ち尽くしている。片足を失い、バランスを崩し、そのために魔の力も弱まったため、ストーンマンはその場でただの大きな建造物と化している。
交代で休んでいたサンチョたちは、突然洞窟の中から溢れる光に目を見張った。大きな光の玉に包まれたリュカたちが洞窟から姿を現すと、歓喜の声で出迎えた。
「坊ちゃん! よくぞご無事で」
「うん、王家の証を取ってきたよ。これでいいんだよね?」
リュカが懐から王家の証を取り出し、手の平に乗せてサンチョに見せる。サンチョは見たことのあるその金色のメダルのような証を目にすると、しっかりと頷いてリュカを安心させた。
「これでもう坊ちゃんがグランバニア王になることに異を唱える者もいますまい。早々に城に戻りましょう」
「サンチョ、悪いんだけど、僕もう呪文が使えないよ。魔力が切れちゃって……」
リュカの魔力はリレミトの呪文を唱えたところで底をついた。グランバニアの城に戻るにはルーラの呪文を唱える必要があると今になって気づき、リュカはぐったりとその場に座り込んでしまった。
「坊ちゃん、しっかりなさってください。ご安心ください。このサンチョ、しっかりキメラの翼を持っております。これで城までひとっ飛びですぞ」
「えっ? メッキーの翼?」
「ちょっと違います。キメラの翼です。旅の必需品ですよ。まさかご存じなかったですか?」
「あ、ああ、そういえば聞いたことがあるなぁ。いつもルーラを使ってたから、すっかり忘れてた」
キメラの翼と言う名前を聞いて、メッキーが飛び上がってサンチョから離れたのは、メッキーが羽をむしられるかも知れないという恐怖を感じたからだった。現に人間が使うキメラの翼はキメラの羽を毟り、それに特別な魔法をかけて道具にしたものなのだ。メッキーが本能的に嫌がるのも無理はなかった。
「それにしてもずいぶんお疲れのご様子。洞窟内の魔物はかなり強かったんですね……」
「うん、まあそれなりにね」
リュカはそう言いながら左腕を無意識に擦っていた。カンダタの斧の一撃を受け、かなりの深手を負った左腕には既に回復呪文をかけてあるが、まだ違和感が残る。物理的に傷は癒せても、一撃を受けた衝撃はリュカの心に残っている。
「サンチョ、王家の証を取ったことって城に戻ったらすぐに知らせなきゃいけないのかな」
「いえいえ、今はまだ夜中です。明日の朝、オジロン王に報告申し上げれば良いでしょう」
「じゃあ、帰ったらビアンカのところに……」
「ビアンカちゃんのところに戻りたい気持ちもわかりますが、一先ず私の家においでください。ビアンカちゃんももうこの時間はゆっくり休まれていると思いますので」
「あ、そうか、そうだよね……うーん、でも一目だけでも……」
「たった一日です。我慢なさいませ、坊ちゃん」
「厳しいなぁ、サンチョ……」
「ビアンカちゃんのためですよ。さて、では皆さんでキメラの翼でグランバニアへ戻りましょう。皆さん、馬車の周りに集まってくださいね」
サンチョの声に皆がパトリシアの周りにぞろぞろと集まり、一塊になる。森の中を徘徊している魔物たちは、砂漠の一部で何かが起きていることに気付いていたが、遠目にその様子を見ているだけだ。サンチョが道具袋から出したキメラの翼を空高く放り投げると、それは夜の闇の中でぼんやりと明るく灯る。灯りの範囲を徐々に広げていくと、馬車の周りにいる一行を大きく取り込んで包んでしまった。そしていつもリュカが唱えるルーラと同じように、一行を灯りの中に取り込んだまま空を素早く飛んで行った。



部屋のカーテンが引かれ、部屋の中が明るくなる。それは朝の明るさで、外はどんよりと曇り、今にも雨が降り出しそうな空模様だった。眩しい朝陽が入り込まない部屋で、リュカは明るくなった部屋の中でも変わらず寝息を立てている。
「がうがう」
ベッド脇にプックルの声が聞こえる。リュカが幼い頃はまだプックルも大きな猫くらいのもので、サンタローズの家に一緒に入って生活をしていた。しかし今のプックルではサンタローズの家に入るには大きすぎる。それに村の人々が成長したプックルを一目見たら逃げ出してしまうだろう。リュカやビアンカにとっては猫みたいなものでも、一般の人々から見ればプックルは立派なキラーパンサーだ。
「外にも出られないし、それで家の中に入っていたんだね、プックル」
「にゃう」
まだ目をつむっているリュカに首を撫でられ、プックルは喉をゴロゴロと鳴らす。リュカにとっては今でも少し大きな猫と言う感覚でしかない。いくら成長してもプックルはプックルだ。小さい頃からずっと甘えん坊なのだ。
ようやく目を開いたリュカが目にしたのは、木造の家の景色だ。やはりここはサンタローズの村の家なのだと思った。とても長い夢を見ていて、いろいろなことがあったけれど、その全ては夢だったのだから、すべてはなかったはずだ。だからこうしてサンタローズの家にいて、プックルがいて、家の中にはサンチョの作るシチューの匂いだって漂っている。自分もプックルも何故か成長してしまったけど、この家にはいつもと変わらずサンチョがいて台所に立ち、そして父が机の上で調べ物をしているに違いない。
「坊ちゃん、お目覚めですか」
「サンチョ、おはよう。今日は朝からシチュー?」
「そうです。坊ちゃんが食べたがっていたのを思い出しまして、作りましたよ。さあ、そろそろ起きて顔を洗ってきてくださいませ」
「うん」
まるで幼い頃そうしていたように返事をして、ベッドの上に起き上がると、思いの外身体が重く感じた。成長している身体が重いのは当然だが、この重さが疲れによるものだとはっきりと分かった。夢の中で何か疲れるような思いをしたのだろうか。しかしそれもこれも、サンチョの作ったシチューを食べれば吹き飛んでしまうだろう。
ベッドから歩いて洗面所に向かったつもりだったが、リュカは玄関に向かっていた。その様子を見て、サンチョが困ったように話しかける。
「坊ちゃん、ここはグランバニアの私の家ですよ」
サンチョの一言で、リュカは突然夢から覚めた思いがした。ここはサンタローズの家ではない。サンチョが作るシチューの匂いも、プックルもここにいるが、父はいない。そしてプックルの他にも、ピエールとマーリンの姿がある。長い長い夢を見ていたと思っていたものは、夢ではなく現実だった。現実に戻ってきたリュカは、寂しい思いを抱きながらも、ほっと胸を撫で下ろしたのも事実だった。
「お疲れですね……」
「ううん、大丈夫。ありがとう、サンチョ。いい匂いだね、シチュー」
「たくさん食べて行ってくださいね。朝食を済ませたら、オジロン王の所に向かいますので」
サンチョが大きな皿によそったシチューをテーブルに運んできた。プックルには覚ましたシチューに大きな肉の塊を入れて、床に置く。幼い頃、こうしてプックルと食事をした記憶が蘇り、リュカはすぐに顔を洗うと、席に着いて両手を合わせた。
「いただきます」
「がうがうっ」
腹を空かせていた一人と一匹はまるで二匹の獣になったかのように物凄い勢いで食べ始めた。その様子をピエールとマーリンが安心した様子で見守っている。
「お二人は本当にいらないんですか?」
「ええ、私は外で食べるものを見つけますので……」
「うーむ、折角じゃからいただこうかのう」
「えっ? マーリン殿、食べるんですか? 話が違う……」
「なんじゃ、ピエールよ、痩せ我慢は良くないぞい。食べたいのなら食べたいと正直に言ったらどうなんじゃ」
「ううむ……しかし、私がいただいて良いものなのでしょうか?」
「どうぞどうぞ、たくさん作りましたので、皆さんで食べてください。私も一緒に食べますけどね」
「では、折角ですので……」
「何だかみんなでこうして食事をするなんて、楽しいね。これからはこういうことも出来るようになるのかな」
「そうかも知れませんね。坊ちゃんがグランバニア王になれば、そのあたりは坊ちゃんのしたいようになさったらいいのかと思いますよ」
「何だか……幸せだね。僕、本当に今、幸せなんだと思う」
試練の洞窟で無事に王家の証を手にすることができ、グランバニア王の王位継承に異を唱える者はこれでいなくなるはずだ。王位継承の条件をリュカは果たしたのだ。そしてリュカは正当な王継承者であり、それはサンチョもオジロンも証明してくれる。そしてビアンカが赤ん坊を産んだら、家族も増える。今までに味わったことのない幸福の中で、リュカは美味しいサンチョのシチューを啜る。
リュカはサンチョに試練の洞窟で会ったカンダタと言う盗賊のことは一切話していなかった。あの盗賊は単にグランバニアの国宝である王家の証を盗みに洞窟へ来たのではない。王家の証そのものの価値はあの盗賊にとってはそれほどのものではなかったはずだ。それ以上にカンダタが欲していたものは、リュカの暗殺に対する報酬だ。その目的があったから、カンダタは執拗にリュカを仕留めようとしていたのだ。そしてその報酬がどこから発生するかは自ずと分かることで、リュカは当然の様にその者を疑っている。
しかしその話をサンチョにする気はなかった。サンチョに心配をかけたくないというのが第一義だ。リュカのためにシチューを用意し、落ち着いた笑顔で一緒に食事をするサンチョの顔を再び曇らせたくはない。サンチョにとっては、リュカが無事に王家の証を手に入れてきたことで、ようやく完全に心配事から解放されたのだ。長年苦悩し、自身を責め続けたサンチョに心から安心して欲しいと、リュカは彼にとって余計なことは言わないでおこうと、ピエールにも話しておいたのだ。
食事のひと時はリュカにとってだけではなく、その場にいた皆にとってとても穏やかな時間だった。リュカの旅もひと段落し、グランバニア王を継承すればしばらくはこの国に留まることになる。その間も母を捜す目的を忘れるわけではない。グランバニアにある本をひっくり返して調べ、あの天空人の女性とももう一度話をしたいと考えている。生前、父が住んでいたこの国を深く知りたいと思うのは、父の背を追い続けるリュカにとって自然に湧き出る思いだった。
食事を終えると、サンチョは手早く片づけを済ませ、リュカと共にオジロンの元へ向かう支度を始めた。ピエールもマーリンも皿のシチューをぺろりと平らげ、サンチョに心からの賛辞を送っていた。ビアンカの手料理は何度となく食べている彼らだが、それは旅の途中の船の上でと言う場面だった。人間の家で落ち着いて食事など、未だかつて経験したことがない。その上、サンチョの作るシチューには特別な癒しの効果でもあるように感じたようだった。
「さあ、坊ちゃん。そろそろ参りましょうか。及ばずながら私もお供いたします」
「一緒に行ってくれると助かるよ。僕一人じゃ何をどうしたらいいのか、良く分からないからさ」
「大丈夫ですよ。オジロン王はあなたの叔父様なのですから。とてもお優しい方です」
「それでは我々は城の中でお待ちしています」
「リュカが王様にのう……盛大なパーティーでも開かれるんじゃろうか。楽しみじゃのう」
「そうですね。しかしまあ、準備にも時間がかかるでしょうし、しばらくは坊ちゃんにお勉強してもらうことになるかも知れませんね」
「えっ? 僕、何か勉強するの?」
「そりゃ、国王になる者としての様々なお勉強が待っていますよ。それに嫌気が差して逃げたりしないでくださいね」
苦笑するサンチョの顔を見て、リュカは彼の過去を垣間見た気がした。既にそのような経験があるような笑い方だった。そしてそれは恐らく、父パパスのことを思い出しているに違いなかった。
「まあ、坊ちゃんはもうすぐ子供も生まれるわけですから、逃げたりしたら父としての面目が立ちませんよね」
「……そうだね。覚悟することにするよ」
父はまだリュカが生まれる前、母マーサと出会う前のまだ若い頃に、何度か国王になるための勉強から抜け出していたのかも知れない。まだ逃げることができる気持ちの余裕がある時に、パパスはしばしば勉強の時間から逃げ出しては、外で遊んでいたのかも知れない。そんなことを想像すると、リュカは父がまるで子供の様に見え、思わず笑い声を漏らすのを抑えられなかった。



朝方曇っていた空の雲も東の森の彼方に移動し、グランバニアの城周辺は太陽が照らし、昼に向かって暑くなり始めていた。リュカは熱い日差しを浴びながら、グランバニア城内の回廊をサンチョと共に歩いていた。幼い頃、父と同じように大きく感じていたサンチョの背中は、いつの間にか自分よりも低い場所にあり、リュカはサンチョの後ろ姿を見下ろす格好で歩いている。しかし今のリュカにとっても、サンチョの背中は広く大きく、最も頼れる存在なのだと強く感じる。サンチョさえいてくれれば、たとえ自身がこの国の王になろうとも、彼が再び王の片腕となって王となるリュカを支えてくれるだろう。サンチョの忠誠心は他には類を見ないものがある。サンチョはリュカを支え、守るのと同時に、亡き先代の国王パパスに懺悔する深い後悔を抱いている。彼の強い意思は、彼だけのものではなく、かつて守り切れなかった主君への懺悔の気持ちの表れだった。
回廊を抜け、王室に続く大きな扉を開くよう兵に命じる。サンチョの一言で何ら迷いなく扉を開ける兵士たちは、サンチョとその後ろに立つリュカにも深々と頭を下げる。扉の前で王室を守護する二人の兵士はまだリュカが何者かを知らない。ただサンチョの客人である一人の青年に丁寧に礼をしているだけだ。
開かれた扉の向こうに、まだ見慣れない王室の風景があった。広々とした王室には日差しが差し込み、室内を明るく照らしている。扉を入ったところから赤い絨毯が真っ直ぐに伸び、その先に大きな玉座が堂々と構えている。玉座に座るオジロン王が開いた扉から入ってくるリュカとサンチョを目にして驚き、そしてすぐに喜びの表情に変わった。
「おお、リュカよ! よくぞ無事に戻ったな!」
オジロン王の声は王室内によく響く。パパスがこの国を去ってから後、オジロンはこのグランバニアで国王代理を務めていた。代理とは言え、一国を代表する立場柄、堂々とした振る舞いに気を遣っていたはずだ。それは彼の声の大きさにも表れている。
サンチョがリュカに先に行くよう道を開ける。サンチョが自然と後ろに退いたのを見て、リュカはここでサンチョを頼ってはいけないのだと理解した。グランバニアの国王の座を継ぎ、この国の王になることを覚悟したのだ。オジロンと言う現王と直接話をし、決断をしなければならないのだと、リュカは表情を引き締めて一人玉座の前に進み出た。
「昨夜、国に戻ってきました。朝を待って、ここに来ました」
「そうであったか。たった一日で戻ってくるとは……もう少し時間がかかるものと思っていたぞ」
あまりにも早いリュカの帰還に、オジロン王は少々困惑の表情を浮かべる。玉座の傍には大臣の姿もある。リュカは大臣の表情こそ見なかったが、どこか余裕のある雰囲気を感じていた。
リュカは懐にしまっておいた王家の証を取り出し、手の平に乗せる。玉座からオジロンが腰を浮かして、リュカの手の平に乗る証をまじまじと見つめる。リュカが王家の証をオジロンに手渡し、オジロンは自身も手にしたことのあるその国宝を様々な角度から眺めた。
「よくぞやり遂げた! 王家の証、しかと見届けたぞよ!」
「なんと! 王家の証を手に入れ無事に戻って来るとはっ! いや、戻られるとは」
オジロンと大臣の驚きの違いに、リュカは気づいていた。オジロンの驚きには温かみを感じ、自分を受け入れてくれる寛容さを感じた。一方、大臣の驚きはまさかリュカが王家の証を手に入れて戻って来るとは思ってもいなかったという、不信の驚きがあった。大臣はリュカが戻ってこられないと思っていた。戻ってきたとしても、決して王家の証を手に入れられないと思っていた。それがリュカにははっきりと伝わっていた。
「さすが先代パパス王の血を引きしお方。この大臣、ほとほと感服いたしましたぞ」
大臣はそう言うと、大口を開けて笑った。リュカは大臣の笑い方に、意外な感覚を得た。これまで大臣に対してはさほど良い感情は抱いておらず、むしろ彼は警戒しなければならない人物だと注視していた。試練の洞窟であの殺し屋にも近い盗賊をけしかけたのも、恐らくこの大臣なのだ。
しかし今の大臣は、リュカを認めてくれたように朗らかに笑っている。もしかしたら彼は本来、とても人の良い人物で、ただ大臣と言う立場上厳しくならざるを得ないだけだったのかも知れない。ましてやリュカは大臣から見ればまるで知らない旅人に過ぎないのだ。旅人が突然、パパスの息子であると名乗り、試練の洞窟に王家の証を取りに行くとなれば、リュカという一人の旅人を試すために何か罠を仕掛けるのも、彼の仕事の一部なのかもしれないと、リュカはふと客観的に自分のことを眺めてみた。そう考えてみると、大臣は何も悪いことなどしていないのかもしれない。彼は彼の仕事をやり遂げただけとも考えられるのだ。
「これで晴れてそなたに王位を譲れると言うもんじゃ。大臣! そなたももはや文句はないであろう?」
「文句とは心外ですな。私はただしきたりのことを言っただけで、文句などは……」
「そ、そうであったな。とにかく、リュカがこの国の王になるのじゃ」
そう言うオジロンは既に国王の座から解放されたような晴れ晴れとした顔をしている。国を去り、戻らなくなった兄の代わりを務め、ずっと玉座に縛られていたオジロンを解放できることに、リュカは喜びを感じた。そしてオジロンを介して父の後を継げるという状況にも、リュカは喜びを感じていた。国王と言う椅子に座し、果たしてどのような職務が待っているのかは何も分からない。しかしこれが本来の姿だったのだと、自分がこの国の王になる現実を自身に言い聞かせることはできた。自分が王になることでオジロンを解放し、サンチョを安心させ、亡き父には天から自分の姿を見て欲しいという子供のような思いが生まれる。周りの人々のために、と言う思いがリュカが国王になるという意思を固めた原動力だった。
「では、このことを国中に知らせなくてはいけませんな」
国王の座を引き継ぐのはオジロンとリュカの役目だが、ただ二人だけで静かに行うものではない。国の王が変わるのだ。大々的に国民に知らせ、認めさせなければならない。大臣は今後の多忙を考えているのか、口髭に手を当て、考え込むように唸っている。
「大臣よ、それほど難しく考えるものではない。もっと簡単にだな……」
「それに即位式の準備も……」
大臣の口から出る言葉に、リュカは改めて国王になる事への緊張を感じた。オジロンへ王家の証を渡し、それでグランバニアの国王を引き継ぐという簡単な話ではないのだ。大臣の言う即位式と言う式典を行い、国中に知らせ、認めてもらう必要がある。リュカは即位式と言うものが一体どのようなものなのか想像もつかなかったが、自分がその式典に主役として参加しなければならないことに、既に身体が硬直してしまっていた。
「坊ちゃん、今からそれほどカチコチにならないでください。大丈夫です、お父上も通ってきた道です」
「そうかも知れないけど……僕と父さんは違うよ」
「違うけれども、同じです。大丈夫です、及ばずながら私も式の準備をお手伝い……」
「その役目。この大臣が引き受けましょうぞ」
サンチョがリュカの心をなだめていると、大臣が意を決したようにオジロンにそう告げた。
「おお、そうか、大臣。そう言ってもらえると助かる」
「当然のことをするまでです。オジロン王即位の時も私が取り仕切ったではありませんか。あの時と同じように……いや、パパス王のご子息が国王になられるのですから、より盛大に行うのがよろしいでしょうか?」
「そうだな、それがいい。兄上の息子のリュカが無事にこの国に戻ってきて、この国の王になるのだ。国民もさぞかし喜ぶであろう」
「さて、そうと決まったらこうしてはいられないわい」
「大臣殿、もし人手がいるようでしたら、私もお手伝い申し上げます」
サンチョがリュカの後ろから言葉をかけると、大臣はサンチョをじっと見つめ、ゆるゆると首を横に振った。
「ご心配には及びません、サンチョ殿。サンチョ殿はリュカ殿の傍についていてあげてください。リュカ殿もこれからのことを考えると何かと不安でしょうから」
大臣の言葉にサンチョは大人しく引き下がった。大臣は既に即位式の準備など、国王の即位に関する物事を経験し、把握している。それらを任せることに、サンチョも特に異論はなかった。経験のある大臣に任せるのが、最も良い判断だとサンチョもオジロンも思っていた。
「では、これにてっ!」
大臣は吹っ切れたように張り切った声を出すと、皆の前で一礼をして、王室を後にした。意気揚々と王室を出ていく大臣の後ろ姿を見ながら、リュカは一つの重い肩の荷が下りたような気がした。
「ふーむ……。反対していた割には大臣も気が早いことだな……」
オジロンは小さく唸りながら大臣が去って行った王室の扉を眺めていた。リュカが王位を継ぐことに唯一異を唱えていたのは大臣だ。
オジロン自身は兄の息子が無事国に戻ったというだけで、その奇跡はリュカが王位を継ぐに十分値すると考えていた。サンチョもリュカが生きてグランバニアにたどり着いたことに涙し、パパスの息子であるリュカが王位を継ぐことに異を唱えるはずもなかった。しかし大臣にとって、リュカは特に思い入れのある人物ではない。先代の王パパスの時、大臣はまだ大臣の座に就いておらず、グランバニアに済む学者の一人に過ぎなかった。それがパパスが妻マーサを求めて城を出てしまい、パパスの弟オジロンが国王代理を務めなければならなくなった際、学者から政治家へ転身し、その手腕から間もなく大臣の座に就いたのだ。
「オジロン王、大臣殿は決して反対していたわけではないのでしょう。坊ちゃんを試したかっただけなのだと思います」
サンチョは本心とは異なる心をオジロンに伝える。サンチョは決して大臣を完全に信用したわけではない。あの試練の洞窟に魔物の集団をけしかけたのは、恐らく大臣の仕業だとサンチョは思っている。魔物たちは明らかに洞窟の入口を破壊し、リュカを洞窟の中に閉じ込めようという意思を持っていた。しかしその企みはサンチョが未然に防ぎ、リュカも無事王家の証を手に入れて戻って来ることができた。
大臣は既にリュカの即位式に向かって動き出した。それは大臣がリュカのことを認めたということなのだろうと、サンチョは内心勝ち誇ったような気持ちを抱いていた。表立って大臣が悔しがる様子は見られなかったが、リュカが無事に戻ってきたのを見て、大臣は本当は飛び上がるほど驚いたに違いなかった。
「僕もそう思います。大臣さんにとっては僕なんて全然知らないわけだから、そんな人間にこの国の王位を継がせるなんてできなかったんだと思います。だから……色々と試したかったんだと思います」
リュカはそう伝えながらも、試練の洞窟で対峙したカンダタと言う盗賊のことを嫌でも思い出していた。ただの盗賊の割には、今までに人を何人も殺めたことのある顔つきをしていた。リュカにも魔物の仲間にも容赦なく切りかかり、まるで王家の証と言うグランバニアの国宝はどうでもよいと思っているほど、その先にある報酬に目が眩んでいるようだった。
リュカが王家の証を手にしてこの場に戻ってきたということがどういうことか、大臣自身がよく分かっているはずだ。カンダタがリュカに敗れたということを、大臣は悟った。そして大臣はもうこれ以上リュカを試すことなどできない、リュカと言う人物を認めざるを得ないと、即位式に向かって動き出したのだろう。初め、非常に嫌な感情を大臣に抱いていたリュカだが、いざ国のために動き出せば彼ほど頼りになる人物もいないのではないかと、大臣が去って行った王室の扉をじっと見つめた。
「それもそうかも知れんな。私にとっては可愛い甥だが、大臣にとってはそういうわけにはいかんだろうからな」
「さて、坊ちゃんもこれから忙しくなりますよ。私もパパス様の頃を思い出して、いろいろとお世話させていただきますね」
「うん、よろしくね、サンチョ」
「即位式まではひと月かふた月はかかるであろうから、それまではリュカも入念に準備をしておくようにな」
「はい、よろしくお願いします」
リュカの清々しい返事を聞いて、オジロンは柔和な笑みを浮かべながらうんうんと頷いた。グランバニアに新しい国王が誕生するまで、あと数か月。その間、ビアンカともゆっくり話をすることができるだろう。彼女のお腹の中の赤ちゃんが動く様子も見ることができるだろう。グランバニアの城に入った魔物の仲間たちの様子も見たり、城の住む天空人の女性や、学者たちとも話をしたり、もちろん国王の座に就くためにこれまでにしたこともない勉学にも励まなければならない。したいことも山ほどあり、しなければならないことも山ほどある。
その中でまず初めにしたいことをするため、リュカはオジロンとサンチョに正直にその旨を伝えると、二人に微笑まれながら快く見送られた。そしてリュカは王室上階でお腹の子と過ごしている妻の所へとほとんど駆け足の速さで向かっていった。

Comment

  1. ケアル より:

    bibi様
    息も詰まる死闘でしたな。
    bibi様の言うとおり、カンダタの痛恨の一撃をリュカにしてしまうと、小説がバットエンドになってしまいますね。

    プックルの剣を前足で蹴り飛ばす、ピエールのイオラによるリュカ吸湿劇、キングスの大きな体を生かした攻撃と防御、皆すごいですが…。

    やはり、リュカの戦闘力は、父パパスを超える強さですね。

    カンダタとシールドヒッポ、強すぎでしたね。
    まさかリュカの腹や腕に致命傷をおわす一撃と、シールドヒッポの縦ブーメランは、反則レベルの強さでした。
    まさか、リュカが落とし穴に落とされるとは思っていませんでした。
    ピエールの判断は、仲間モンスターの中でも、マーリンとサーラに並ぶ賢さですね。

    盗賊たちの最後、穴に落ちるのは、読んでてスカっと致しました!

    リレミトの不思議な力、リュカの考えに納得!。
    やはり、父と同じ道を辿りたいですもんね。

    メッキーの翼…笑いました(笑み)
    メッキーも、はぐれメタルを凌ぐ逃げ足ですね。

    サンチョに大臣の策略を話さないリュカ…これから起こる最悪な宴と誘拐事件。
    今から思うだけで、怒りが立ちますな。
    リュカ…大臣を信用しちゃ駄目だよぉ(涙)。
    その前に双子ちゃん登場!
    楽しい描写、期待しています!。

    • bibi より:

      ケアル 様

      いつもコメントをどうもありがとうございます。
      今回は戦闘シーンがほとんどだったので、かなり力が入りました。
      でも、BGMはFFの戦闘曲集だったりして(笑)
      戦闘シーンは皆が活躍できるように、いつも気を配っています。ゲームではどうしてもスタメンに偏ってしまい、馬車組は装備品さえ整えられない悲劇に見舞われますが、私の話の中では何とかみんなに活躍してもらおうと、ない頭をひねって考えています。話を書いていると、いつも体力を奪われます(笑)
      リレミトはそういうことにしました。不思議な力にかき消されるのもアリだと思ったんですが、気持ちの方を優先させてもらいました。
      メッキーはこれからサンチョに対して警戒心を持ったりして。あの人、キメラの翼をむしる人だ!みたいな。

      これから彼の人生が急転直下することになりますが、それまでの時間は大いに楽しんで安らいでもらいたいと思います。
      と言うことで、次回はオリジナルのお話になると思います。即位式までの日々を書ければと。

  2. ケアル より:

    bibi様
    もう一つ。

    戦闘においてプックルがリュカにたいする服従と愛情。
    bibi様の描写はプックル大好きな感じ。
    それが自分も同じ気持ちでして…(笑み)。
    やはり、プックルには良い意味での忖度してあげたいですね!。

    bibi様。
    小説に関係ないですが、すぎやま先生のホームページを知っていますか?
    おそらく存じていると思うのですが、ウェブサイトの入力場所にurlをコピペしたいです。
    いちおう貼り付けますが、もし駄目なら削除してくださいね。

    like  a  windに合わせたら素敵な気がします。
    宜しく、お願いします。

    • bibi より:

      ケアル 様

      追加でコメントをどうもありがとうございます。
      プックルはやはり特別です。リュカももちろん苦労してますが、プックルもリュカたちと離れてからの日々、かなりの人生ならぬパンサー生を過ごしているので、プックルにも幸せになってもらいたい。
      ああ、でも、デモンズタワーでは……というのは今は考えないことにしよう。

      すぎやま先生のホームページの件ですが……すみません、これはどういうことでしょうか?
      理解力に欠けていて申し訳ないのですが、もう一度ご説明願えればと思います。
      気になる……。

  3. ケアル より:

    bibi様。

    以前にお聞きした時、bibi様に何か見せたいサイトがあれば、コメント覧の下にあるウェブサイトに、urlを入れても構わないと、おっしゃってくださったので、すぎやまこういち先生のhpをbibi様に紹介しようと思って、リンクしたのですが…。

    もしかして、場違いなことをしてしまったでしょうか…?。

    • bibi より:

      ケアル 様

      おお、そうでしたか! すぎやま先生のHPのアドレス、ありがとうございました^^
      私も以前より存じておりましたが、最近はお訪ねしていなかったので久々に拝見しました。
      ご高齢ですが、精力的に活動されていて、見習わなければならない部分がたくさんある方ですよね。
      それに、あのドラクエを支えておられる方ですし。競馬場のファンファーレもすぎやま先生の作曲なんですよね。一度耳にしたら離れない、あのメロディー。
      作曲家と言うのは本当に芸術の塊なんだなぁと、思ってしまいます。

  4. ケアル より:

    bibi様。
    いやそうなんですよ!
    すぎやま先生は本当にすごいお方ですよね。
    以前にコンサートを2回ほど聴きに行きました。
    ドラクエ3と4を生演奏フルオーケストラで!
    あの年令で、まだタクトを振っておられるんですよ!
    自ら指揮者をするパワフルな、お祖父さま…感動いたします。
    もちろん、東京都交響楽団、通称都響の演奏は、1度は聴いた方がいい素晴らしい演奏であります。
    お金を出して聴きに行く価値有りです!
    bibi様も聴きに行かれてみてください!
    感動のあまり涙がでちゃうかもです(笑み)
    すぎやま先生のおかげで、ドラクエが出来上がりましたと言っても過言でないです(感謝)

    • bibi より:

      ケアル 様

      私も以前、ドラクエ1と2のコンサートに行ったことがあります。涙が出そうでした。いや、ちょっと出ました。
      オーケストラの演奏というのは本当にド迫力ですよね。しかもゲームの画面とシンクロするから、その情景が思い浮かび、自然と涙が出てくるという。
      しかもその時は、アンコールでドラクエ3の冒険の旅とそして伝説へが演奏されたので、会場の盛り上がりも凄いものでした。「おおおおおーーーーー!」みたいな。
      また行ってみたいものです。すぎやま先生のHPを見ると、全国でコンサートを開かれてるんですよね。ああ、行きたいなぁ。

  5. ピピン より:

    bibiさん

    今回は作品始まって以来、屈指の死闘でしたね。
    読んでいてとても読み応えがありました。
    ゲームでは愛嬌のあるカンダタですが、このカンダタには藤原カムイのロトの紋章に出てきそうな悪人面が浮かびました(笑)

    次回はビアンカやドリス達と久しぶりの日常を楽しみにしてます( ´∀` )
    もしや、ピピンも出たりして…(笑)

    • bibi より:

      ピピン 様

      コメントをどうもありがとうございます。いつも励みになっております。
      カンダタはドラクエの中でも思い入れのある敵なので、ちょっと力を入れて書きました。ロトの紋章に出てくるカンダタも同じような悪人面を持っているんですね。ロト紋、有名だから一度は読んでみたいと思いつつも、未だ読んだことがないです……時間があれば読んでみたいなぁ。
      次回はリュカたちの日常をお届けします。ピピン君、できれば登場してもらいたいですね^^

  6. ピピン より:

    bibiさん

    こちらこそ、毎月楽しみにしていますよ( ´∀`)b
    カンダタは覚えてないですが、似たような覆面のへびておとこが出てきたのは記憶にあります。

    リアルな作風で、モンスターがとても格好良いのですが、斬られて真っ二つになったりするので苦手な人もいるかもしれません(^^;
    自分にとってはドラクエ好きを確固たる物にした、ロマンの詰まった思い出の作品です(笑)

    あの事件がより辛くなるような、平和な時間を楽しみにしてます…!

    • bibi より:

      ピピン 様

      おお、ありがたきお言葉……これからも頑張ります。まだ先は長いですが^^;
      ロトの紋章は息子を児童館に連れて行くと、そこにも置いてあったりして、かなり有名な漫画なんですよね。モンスターがかっこよいのか~。興味ありますねぇ。
      あ、でも真っ二つは夢に出てきそうですね^^;
      しかしその漫画でピピンさんのドラクエ好きを確固たるものにするとは、凄い作品ですね。
      今はちょうど、平和な時間を書いている所なので、心が落ち着いています。しかしその後の事件を書く時には、また心が荒ぶると思います……^^;

  7. ピピン より:

    bibiさん

    やはりドラクエ屈指の人気を誇る3の百年後を舞台にしているのが人気の要因かもしれません。

    バラモスゾンビやヤマタノオロチ等の有名ボスが出たり、後でゲーム本編にも逆輸入された合体魔法も魅力的でした。

    ロト紋は語ると長くなりそうなのでこの辺りで止めときますね¯∀¯;)

    • bibi より:

      ピピン 様

      ドラクエ3の百年後を舞台にしているんですね。それはまた奥が深そうな……。その後の1に繋がるわけですもんね。作品を作る側としては、よくそこに手をつけたな、と思ってしまいます。勇気ある行動ですね……。
      合体魔法が逆輸入されるなんて、相当な作品なんですね。スクエニさんからのお墨付きをもらっているということかぁ。いいなぁ(憧)

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