閉ざされた塔の中で

 

この記事を書いている人 - WRITER -

神の力が封印されているという塔には窓と言う窓が一切なかった。完全に閉ざされた空間の中に魔物の気配がするのは、それだけで異様に感じた。神々しささえ感じる太陽の光が一切入り込まないこの空間が魔物の性質に合っていることは分かる。魔物は総じて光を嫌い闇を好む。しかし神の力が封印されているというこの塔に棲みつくことを、魔物が好むかと考えれば自然と疑問が浮かぶ。第一、この塔に棲みつく魔物らは一体どのようにしてこの塔の中に入り込んだのだろうかと、考え始めれば疑問ばかりが頭に浮かぶ。
リュカたちは峻険な山々の合間を縫ってこの塔を目指し進む中、広い島に棲む魔物らの姿を目にしている。その者らは皆、元々この山に棲んでいた動物たちが魔物化したような一角兎や大鼠や大木槌などで、それも魔物の獰猛さには今一つ欠けるような愛くるしい姿を見せる魔物も多かった。サーラやアンクルにつかまって宙を飛んで行くリュカたちを、目を丸くして見上げている山に棲む魔物らの姿を見て、リュカは思わず微笑んでしまった。サーラとアンクルを休ませるために徒歩で進んでいた時も、数日をかけて移動する中で休息を取っている時でも、弱き魔物らはリュカたちに襲いかかるようなことがなかった。ティミーが魔物除けの呪文を使っていたせいもあるが、たとえその呪文の効果を得ていなくとも、果たして山の魔物はリュカたちに襲いかかってこなかったのではないかと思う。もし言葉が話せたら、良い話し相手にでもなってくれそうだったとさえリュカは思っている。この山に棲む魔物たちは人間を知らないのではないかと、リュカは一角兎や大鼠の疑いのない目を見ながらそんなことを考えていた。
今リュカたちが入り込んだこの塔には、山々に棲む小動物の様な魔物とは異なる気配を感じていた。もしこの塔の中に棲む魔物が、塔から解き放たれたら、山に棲む魔物たちはその生活を脅かされることは間違いないだろう。階段を降りるに従い感じる魔物の気配は、山に棲む魔物たちとは全く異なるものだ。全身に緊張が張りつめ、手は常に剣を取ろうとするほどに切羽詰まるものになる。
鋭い鳥の悲鳴のような声が響く。その声に先頭を歩いていたリュカはトンネルのような螺旋階段から出る手前で立ち止まり、後ろを振り返る。すぐ後ろについているティミーもポピーも、ポピーの肩にのるスラりんも、後に続くプックルもピエールも、言葉を交わさずとも状況を飲み込んでいるのが分かる。階段から姿を現した瞬間に、塔の魔物たちは容赦なくリュカたちに襲いかかってくるのだと、皆が戦闘に備える。
リュカが身を潜めながら窺う階段の先の様子は、魔力により灯る明かりに照らされて隅まで見渡すことができた。大きな燭台から立ち上る炎は煙を吐くこともない。燃料は魔力であり、その魔力は恐らくこの塔がこうして立ち続けている限りは延々と滾々と沸き続ける。塔全体が魔力に満ちており、その力に塔の中に棲みつく魔物らは抗うことができない。
広い空間の中空に、一目では数えきれないほどの魔物の鳥がいた。明るい魔力の炎に照らされたその身体は青く冷たい色をしている。燭台の端に止まる鳥が口から吐き出す吹雪で炎を消し去ろうとしているが、塔の中を駆け巡る果てしない魔力はそれを許さないとばかりに炎を大きくするだけだ。その姿を見て、リュカは肝を冷やした。
「一気に終わらせよう」
「話は通じない相手ですか?」
最後尾にいるピエールが静かに話しかけてくる。すっかりリュカの感覚に感化されたように、ピエールが相手の魔物との交渉を視野に入れていることに、リュカは場違いに笑いそうになった。
「ちょっと無理かな。話ができるとも思えないし、それに数が多すぎる」
「数が多いですか。それでは呪文で一気にカタをつけるということですね」
「飛んでるしね。剣が届かないよ。床に下りてるのもいるけど、半分以上は上にいる」
リュカがそう言ったと同時に、目の前に一匹のホークブリザードが現れた。魔物らもリュカたちに気付いていたかのように、間髪入れずに鋭い嘴を大きく開き、喉の奥から凍える吹雪を吐き出した。至近距離から吐き出された吹雪に対抗するべく、リュカは咄嗟にバギマの呪文を唱えた。それでも押し込んでくる吹雪を感じ、後ろにいる仲間たちを守るために魔力を温存する考えなど無くし、リュカは両手を突き出してバギクロスを放った。目にも冷たい青い巨大鳥が竜巻のような呪文の威力を正面から受け、吹っ飛んで行った。それに合わせてリュカは階段から飛び出し、両手を頭上に構えた。
考える時間などない。中空にはあちこちを飛び回る青の巨大鳥がけたたましい鳴き声を立てながら、一斉にリュカたちに襲いかかってくる。外の世界とは隔絶されたこの塔の中に閉じ込められている魔物は、外の山々に棲む小動物の様な魔物らとは異なり、人間たちを襲う本能を確かに持っている。
リュカは両手から再びバギクロスを放つ。父の背に背を合わせるようにして立つ双子が、揃ってベギラマとイオラの呪文を放てば、ぎゃあぎゃあと五月蠅い鳥の鳴き声をかき消すかのような轟音が塔の広い空間に響き渡った。
その脇をプックルが放たれた矢のように駆け抜けていく。地に降り立つホークブリザードは宙に飛び攻撃を躱そうとしたが、逃げ切れなかった二匹の巨大鳥にプックルが大きな頭を突き出して体当たりを食らわせる。吹っ飛んで行く鳥を更に追いかける。鳥にしては太いが、プックルにとってはちょうど良い太さの鳥の首に噛みつき、反撃など許さないと言わんばかりに一気に仕留めた。もう一匹の逃げ損ねた巨大鳥にもすぐに飛びつき、前足をひっかけて捕らえると床に押さえつけ、やはり首に牙を立て、猫型の動物がそうするように正しく得物を仕留めた。
しかし敵陣の中へ突っ込んでいくプックルは、当然反撃も食らいやすい。宙に飛ぶホークブリザードらが怒りを滲ませるように一斉にプックルに急降下する。鋭い嘴をその背に受けるプックルだが、思いの外傷は深くない。ポピーの肩に乗るスラりんが既に守護呪文スクルトを唱えている。見えない鎧を着たプックルは怖い物などあるかと言わんばかりに猛獣の雄たけびを上げ、自分を襲う敵に飛びつき、床に叩きつけた。暴れ出してしまえば、リュカ以外はプックルを止めることができない。そしてリュカも止めない。今は誰もが全力を出さねばならない時だ。
ピエールがイオラを連発する。彼が本当は最大級の呪文であるイオナズンを唱えたいと考えているのが分かる。しかし彼の持つ能力では中級呪文が限界なのだと、彼自身が悟っている。呪文の力は、努力ではどうにもならない壁がある。向き不向きで、使える呪文の性質も異なる。その壁を彼は超えることができないのだと、悔しさを滲ませながらもその手から呪文を放つ中で、宙に飛ぶ青い巨大鳥が爆発の中で叫び声を上げている。
どういうわけか、この広間にいる魔物はホークブリザードという青い巨大鳥だけだった。他の種族の魔物の姿は見られない。まるでこの広い空間が閉ざされた鳥かごのようだった。狭い鳥かごに押し込められ、発狂するように魔物らが耳障りな声を上げている。もしかしたら彼らはこの鳥かごから外へ出たいだけなのではないかと、リュカは一瞬でも敵の魔物らに同情する気持ちを寄せてしまう。
心の隙間を狙うかのように、リュカの全身に冷やりとした感覚が忍び寄ってきた。空を狂ったように飛び回る魔物が放った呪文だと気づいた時には、遅かった。身体ではなく、心臓そのものが凍りつくような、一息に息の根を止められる絶望に襲われる。
「……ティミー! ポピー!」
子供たちの名を呼び、自らをこの世に留まらせる。この絶望に立ち向かうには、自分だけの力では不可能だと知っている。自分にはこの世に留まろうと強く思う理由が浅い。父の死を目の前にしてからというもの、リュカの心の奥底にはいつ死んでも良いと言うような諦念が常にまとわりついている。
子供たちの存在が最も、リュカをこの世に留まらせる力になる。リュカの声に答えるように、倒れそうになった身体を支えるように双子の体温を背中に感じた。子供たちにも死の呪文ザラキの力が及んでいたはずだ。しかも敵が放つこの呪文は、一斉にあちこちから唱えられていた。この広い空間が一時、死の絶望に覆われ、目の前に飛ぶ青の鳥も、燭台に灯る橙の炎も色を失い、全てが黒く塗りつぶされそうになった。
リュカは敵の固い嘴攻撃を激しく食らい、床を滑って行った。しかしそれはこの世に留まれたという実感だった。床を擦った左肩に痛みを感じ、安堵する。直後に周りを見渡し、絶句した。
ティミーとポピーはまるで対になるように背中合わせにして、しっかりと両足で立っていた。互いに互いを支えるようなその格好は、その通り互いが互いを支えているのだろう。ティミーが震える両手で天空の盾を身体の前に構えていた。盾を中心に、二人の身体が光を帯びている。そして二人の周りには十匹を越えるホークブリザードが死に絶えていた。ティミーの天空の盾が死の呪文から二人を護るだけではなく、悍ましい呪文を弾き返して敵にそのまま浴びせたのだ。
無事を認めた二人に安堵したのは一瞬だ。その目でリュカは床に倒れた仲間を見た。ポピーの肩に乗っていたスラりんが床に落ちていた。重力に逆らえないと言うように、あの可愛らしい弾力が失われかけ、床にその雫を広げようとしている。
広間に響き渡っていた爆発が止んでいた。敵陣の中に入り込んだまま、ピエールが身動ぎ一つせず倒れていた。開かれたままの緑スライムの目に、光がなかった。
「……嘘だろ」
プックルの悲鳴のような雄たけびに、広間の空気が激しく震えた。青い目が真っ赤に染まったかのように思えた。怒りに燃えるプックルは近くにいる鳥を次から次へと殴りつけ、蹴りつける。この空間にはまだ、敵の姿が二十以上はある。再び死の呪文を唱えられればどうなるのかと考えそうになる思考を止め、リュカは倒れている仲間に駆け寄る。自分にしかできないことを、やらなくてはならない。
自身に飛びかかってくる敵がいる。リュカは腰の剣を素早く抜いた。プックルに劣らないほどの激しい怒りを表情に出すリュカは、魔物よりも魔物らしい顔つきをしていた。ポピーの攻撃補助呪文バイキルトを受けずとも、リュカの激しい一太刀で鳥の首は落とされた。
「邪魔をするな!」
リュカが滑り込むようにしてスラりんに手を伸ばした時、再び背中から死の気配が忍び寄るのを感じた。自分を上から見下ろす巨大鳥が愉快そうに顔を歪めているのが見なくとも分かる。仲間が倒れたまま自分が倒れてなるものかと、リュカは死の呪文に抗うべく気を高める。
その時、リュカの頭上で呪文が弾けるような音を聞いた。何かが割れるような高く響く音と共に、宙に浮かぶ巨大鳥が叫び声を上げる。そしてリュカとスラりんの周りにバラバラと四体のホークブリザードが落ちてきた。全てが息の根を止めていた。
「お父さん! 早く、早く……二人を!」
ティミーの声はほとんど泣き声だった。彼も正確にスラりんとピエールが死んでしまっていることを理解しているのだ。そして今は、リュカにだけ蘇生する術が備わっている。
「お父さんも大丈夫よ! 今は呪文を跳ね返せてるから! アイツらの呪文、全部跳ね返してやるんだから!」
兄の動揺に比べ、妹のポピーの方が落ち着いているように見えた。いつもとは逆の立場にも見えたが、彼らはどちらかが落ち込んでいれば、もう一方が励ましているのが常なのだと、双子の絆の強さを目の前に見る。
ポピーがリュカに背を向けたまま、プックルに向かって呪文を放つのが見えた。飛んで行く呪文は強い光を纏い、その光がプックルの身体を大きく固く包み込む。彼女が防御力を上げるための呪文を使う場面を、リュカは今まで見たことがない。しかし彼女は確実に、プックルの身体に防御の壁を作り出していた。強く光るマホカンタの壁は、プックルの素早い動きに合わせて、獣の身体をあらゆる呪文から守り始めた。
再び広い空間の中に、火炎と爆発の凄まじい音が響き渡る。二人の子供たちが作り出す呪文の力を信じ、怒りに爆発するプックルの力を信じる。リュカは手の平に乗るスラりんの命を呼び戻すことを強く願いながら、その小さく冷たい身体に蘇生呪文ザオラルを唱えた。
スラりんの身体は変わらずリュカの手の上で横たわっている。蘇生呪文が届かない。リュカはスラりん自身の生きたいと思う魂に呼びかけるように、もう一度ザオラルの呪文を唱える。呪文が届いた瞬間に、スラりんの身体に弾力が戻るのが分かった。手の平で身体を揺らし始めるスラりんに安堵すると同時に、小さな仲間を肩に乗せてすぐさま後ろを振り返る。
息絶えているピエールに群がろうとする巨大鳥を牽制するように、プックルが全身の毛を逆立ててホークブリザードらと対峙している。一匹のホークブリザードがまるで歌を歌うように死の呪文ザラキを唱える。しかし今となっては、死の呪文はリュカたちには届かない。ポピーの呪文マホカンタの加護を受けたプックルは全身にまとわりつく光の壁で死の呪文を弾き返すと、それは呪文を唱えた魔物自身に跳ね返る。自分で唱えた死の呪文で、巨大鳥は悲鳴を上げて床に落ち、そして息絶える。床には既に二十以上のホークブリザードが転がっていた。
リュカも自身に光の壁があるのを目にすると、プックルが対峙する魔物の群れの中へと飛び込んだ。ピエールは変わらず、時間を止めてしまったかのように動かない。緑スライムの目は虚ろに開かれたままだ。光の宿らないその瞳に生きる力を取り戻したいと、リュカはピエールの弾力を失った緑スライムに手を当てながらザオラルの呪文を唱える。
ピエールはすぐに生き返ってくれると思っていた。しかし彼はリュカの期待を裏切る。まるで手応えのないザオラルの呪文に落ち込んでいる暇はない。すぐさまリュカは蘇生呪文を唱える。やはり手応えがない。ピエールの魂がどこか遠くへ行ってしまったのかと不安になる。その姿が見えれば何が何でも掴んでやるのにと、リュカは思わず宙に視線を巡らせる。
死の呪文を封じられたも同然と気づいた敵は、今度は宙から吹き下ろすように吹雪を放ってきた。吹雪に対抗するように竜巻を起こして応戦したいところだが、時間が経てば経つほど蘇生呪文の効果は薄れてしまう。すぐに魂を呼び戻さなければならない。吹雪に背を向け、背中が凍りつくのにも構わず、リュカは動かないピエールに大声で呼びかける。
「ピエール! 戻ってこい! お願いだよ! 自分で生きたいって、願ってくれ!」
仲間の死を認めることはできないと、リュカは彼の魂がまだ近くを彷徨っていると信じて呪文を唱える。まだ生き返らない。ピエールは自ら強く生きたいと願っていないのかもしれない。もしかしたら彼もまた、いつ死んでも良いと思うほどの後悔を抱えていたのだろうかと、リュカは旧知の仲間を失う恐怖に負けそうになる。
「僕が、みんなが、お前を必要としてるんだ! 戻れよ! 勝手に死ぬなんて許さない!」
ザオラルの呪文は、その者が生きたいと願う強い心に反応するのだとリュカは理解している。それ故に、恐らく自分には効果のない呪文なのだろうと密かに思っている。いつどこで死んでも良いなどと心のどこかで常に思っている自分は、この蘇生呪文をたとえ施されたところで、その効果は恐らく現れないまま、この世を去ることになるだろう。
何て身勝手なことを考えていたのだろうと、動かない仲間を見ながら思う。まさか仲間自身が生きたいと願う力が弱いなどと、想像したこともなかった。少なくとも自分よりは、生きる力が強いだろうと、リュカは仲間の魔物たちのことを信じていた。
それでも、とリュカは諦めずに両手に蘇生呪文の力を集中させる。仲間が息を吹き返すまで何度でも唱える覚悟は当然のようにある。出会った時から長い間ずっと一緒に歩んできた仲間の心に届くように、呼びかけ続ける。
「ピエール……ピエール! お前を諦めるわけにはいかないんだよ! お前が戻らないと、僕たちはここで、みんな……」
涙は出なかった。ピエールがこの世に戻ることだけを信じた。悲しい未来などないと信じた。これまで様々な死線を共に潜り抜けた戦友。戦いの中でいつ命が尽きるとも知れないのは、頭では理解していても、決して心から理解できるものではない。
「ピエールまで僕を……置いていくのかよ……!」
リュカが寂しさを叫ぶ。悲痛なその声が両手を伝い、蘇生呪文に乗る。ピエールの強い責任感に思いが届く。

主と認めたたった一人の人だった。この青年について旅を続けるのは、不遜ながらも楽しかった。彼が負う宿命の重みを少しでも軽くできたらと、常に共にいることでその役割を負いたいと思った。
しかし自身が判断を誤ったせいで、主は八年もの間、石の呪いから解放されることはなかった。人間の人生の八年と言う時間がどれほど大事なものか、双子の子供たちの成長にそれを感じていた。あっという間に成長してしまう人間。主が時を止めてしまった間に、彼が宝物と思っている双子はみるみる立派な子供に成長してしまった。
時を戻すことはできない。それは神の力でも不可能だと言う。主はいつでも穏やかに笑いかけてくれる。しかしその笑みの中には常に、取り戻せない八年への戸惑いや侘しさが見えてしまう。それに気づく度に酷い後悔の念に襲われる。
一体、自身は何のために生きているのか。これ以上、主が寂しさの中に置かれることを見ているのは辛い。たとえ隣に立ち、戦っていても、自分には既に力の限界が見えている。
主には他にも心強い仲間がいる。それならば、果たして自分が彼の傍に居続ける理由などあるのだろうかと、全てを放り出しそうになる。
その一歩手前で、主の悲痛な声が聞こえた気がした。
主が、寂しいと叫んでいる。光を届けてくれようとしている。その光は、こちらから掴まなければ永遠に自分には届かない。
自分が戻らなければ寂しいのだと、主の声を感じる。これ以上彼に寂しい思いをさせたくはない。ただでさえ、自身は主に、そして二人の子供たちにも、寂しい思いをさせ過ぎてしまった。
戻らなければならない。やはり、自分は彼らの傍にいたい。寂しさも悲しみも全てを抱えて、その中でも楽しい時間を過ごすことができることを教えてくれたのもまた、彼なのだ。
暖かな光が消えそうになる瞬間、ピエールはその光を強く掴んだ。

リュカの背中に吹きつけていた吹雪が、激しい爆発音と鳥の激しい叫び声と共に止んだ。ピエールがリュカを守るように立ち上がり、再びイオラの呪文を唱えた。この世を旅立ちかけた者の行動とは思えぬほど、ピエールはすぐに戦線復帰した。
リュカは座り込んだまま動けなかった。背中が完全に凍りついていた。全身から体温が抜けて行くようだった。ティミーが吹雪の威力を和らげようとフバーハの呪文を唱えていたが、それはポピーのマホカンタの呪文によって跳ね返されていたのだ。呪文と言う呪文を全て跳ね返してしまうマホカンタという呪文は強力な防御呪文だが、それだけに融通が利かないもののようだった。
震えて動かないリュカを背に守り、ピエールが連発してイオラの呪文を放つ。生き返ったピエールの調子に合わせ、ポピーも同じように飛ぶ鳥たちに爆発を浴びせる。ばたばたとホークブリザードが落ちて行く。逃げ場もないため、魔物らは負け戦と分かっていてもリュカたちに向かってくる。向かってくるところをプックルが容赦なく横から飛びかかる。ティミーは敵の吹雪から天空の盾で自身とポピーを庇いつつ、その視線は宙にふらふらと飛ぶ残り四体の敵を見つめる。
リュカの頭の上に飛び乗ったスラりんが、小さな全身から強い光を放った。まさかたかが一匹の小さなスライムからそれほどの光が溢れるとは思ってもいなかった青い巨大鳥らは、その眩しさに目を眩ませる。そしてその一瞬後には二匹のホークブリザードが姿を消していた。ニフラムの呪文の生み出す光の彼方に、魔物の身体は強制的に引きずり込まれたのだ。
リュカが顔をしかめながら後ろを振り勝った時に見たのは、ピエールが巨大鳥の首を斬るところと、プックルが吹雪の中に頭から突っ込み、その喉元に食らいついて敵の身体を振り回している所だった。
いたるところに、巨大鳥の身体が床に転がっている。閉ざされた広い空間には、リュカたちの息遣いと、何事もなかったかのように燃え続ける燭台の炎の音だけが響く。静まり返ったこの場所には二度と、鳥のけたたましい鳴き声が響くことはないのだろう。
ポピーがピエールに抱きつくと、ピエールは困ったように体を揺らした。スラりんが床に下り、ピエールの緑スライムの元気を確かめるようにぼよんぼよんと何度も身体を弾ませる。自分と同じ弾力を感じると、スラりんは満足したように一声「ピィッ」と鳴いた。
「ピエール……もう戻ってこないかと思ったよ」
先ほどまでの動かないピエールを思い出し、ティミーは再び涙声になる。ぐすっと鼻をすするティミーに、ピエールは丁寧に「ご心配をおかけして申し訳ございません」と謝りの言葉を述べる。
「ピエール」
床に座り込んだままリュカが呼びかければ、ピエールは主の正面に回り込み、頭を垂れる。
「ありがとうございました、リュカ殿」
「これからも生きる気持ち、沸いた?」
「……そうですね」
「これからもよろしくね」
「はい、こちらこそ」
それだけの言葉を交わすと、リュカは安心したように笑った。ピエールの緑スライムもまた、主の和らいだ表情を見て、口元を和らげた。交わす言葉は多くないが、それで十分だった。リュカの背中に張り付いていた氷が、取り戻せた温度に溶けるように、床にずるりと滑り落ちて行った。凍傷になりかけていた背中にピエールの回復呪文が届くと、リュカは魔物の彼のこれ以上ない心の強さと温かさに、吐く息を震わせた。



青い巨大鳥との戦闘の激しさから心を落ち着け、リュカたちは下の階を目指して螺旋階段を下りて行く。この塔にはどこもかしこも魔物が棲みついているのかと思っていたが、下の階に向かう中、魔物の気配も音も、何も感じ取ることができなかった。螺旋階段を抜けようとする出口が、揺れる炎の明かりに照らされて見えている。
トンネル状の螺旋階段を抜けた先には、何の姿も認められなかった。高い天井にまで炎の明かりが届き、照らされる景色に、上の階ほどの広さはないのだと分かる。階段を下りた左手には高い壁が聳え立ち、壁の向こう側からは魔物が棲みつくこの塔には似つかわしくない清浄な空気を感じることができた。
「お父さん、壁の向こうにも明りがあるのかな」
ティミーが指し示すのは、高い壁の向こう側に揺らめく炎の影だ。壁の向こうには明らかに別の空間がある。しかしサーラやアンクルのように翼があるわけでもないリュカたちは、壁を一足飛びに飛び越えて行くことはできない。
「誰かがいますよ」
魔物の感覚はやはり敏感だ。ピエールとプックル、スラりんは壁の向こうに何者かの気配を感じていた。魔物の気配であればリュカにも敏感に感じ取ることができたかもしれないが、彼らがその気配を感じているのは魔物ではない。閉ざされたこの塔の中に魔物ではない何者かがいるという想像が追いつかない。
「もしかして天空人の誰かなんじゃないかしら。だって、ここって神様の力を封印している塔なんだもの。塔を管理する人がいてもおかしくないんじゃない? 天空人だったら、この塔の中でも生きられる……」
ポピーの言葉を遮るような、女性の悲鳴が響き渡った。明らかに魔物ではないその声に、リュカたちは目を見合わせた後、壁の向こうに揺れる炎の影を見上げた。高い天井にその景色がぼんやりと映し出される。
炎に照らされる何者かの影が見えた。人間とは思えないほどに大きい影だ。しかしその姿は人間の立ち姿に見えた。全身をマントか何かで包んでいるのか、全貌がはっきりとはしないが、袖から伸びる手が人間のようでもあり、魔族のようでもあった。
炎の影さえ切り裂くように振られたその影に、リュカは目を見開いた。大きな鎌のように見えた。
リュカは思わず高い壁に向かって両手を構えた。壁を壊してしまえば、すぐに向かうことができる。敵を逃すわけには行かないと本能が叫んだ。しかしその手を強く掴まれる。
「リュカ殿、落ち着いてください。この建物に呪文で壊せるような場所はありません。恐らく神の力を封印するための強力な魔力が働いているのでしょう」
先ほどまでの戦闘でも、リュカたちは塔の壁や床など全く配慮せずに呪文を放ちまくっていた。しかし爆発を浴びても火炎を浴びても、竜巻が起こっても、塔の壁も床も傷一つついていなかった。塔全体を包む封印の力は強大で、そのせいで塔の中に棲みつく魔物らは外に出ることもできない。あらゆる影響を無にしてしまう力が、この塔にはある。
「がうっ!」
プックルが皆と離れた場所で赤い尾を揺らしている。壁に阻まれている向こう側には行けないが、リュカたちがいる場所は先に道が続いていると教える。プックルの顔つきに切羽詰まったものを感じるのはリュカだけではない。本心ではプックルも、この高い壁を飛び越えてすぐにでもあの影の元へ向かいたいと思っているのだ。
プックルが走る後を、リュカたちも懸命について行く。行きついた先には、見慣れ始めてきたトンネル状の螺旋階段があった。下に続く階段だが、他に行く道はない。プックルにもその先の景色を見通せるわけではないが、とにかく進んでみるしかないとリュカは先頭を行くプックルを促した。
下の階にも何故か、魔物の姿は見当たらなかった。ただ気配は感じる。
階段を下りた左手、塔の中央に近いところで水の気配があった。近づいて見てみると、魔物を寄せ付けないような力を秘めた聖なる水が、広い石の囲いの中に満ちていた。まるで人工の池のような造りの囲いの中を覗き込むように、リュカが身を乗り出すと、その顔はひどく険しい顔をしていた。
自分の表情に驚いたリュカは、途端に冷静になり、息苦しく感じていた肺の中の空気を一度吐き出し、今度はゆっくりと息を吸う。一度、深呼吸をしてから仲間たちを振り返ると、ようやく皆の顔をはっきりと見ることができた。
「ピィ?」
「うん、大丈夫。ちょっと落ち着いたよ」
肩に乗るスラりんに、いつもの穏やかさを持って返事をすることができた。広い石の囲いの脇を抜けたところに、神への信仰を示すような二本の石柱が建ち、その近くには二つの大きな燭台に炎が立ち上る。この階にはどこか魔物を寄せ付けない清浄な空気が満ちている。しかしそれを押し通れるような強い魔物の気配も確かに感じられる。
二本の石柱の間、二つの燭台の間に、清浄な空気が満ちる区切られた空間が広がっていた。この階に漂う聖なる力は恐らくこの場所から滲み出しているものだろうとリュカは思った。一つの大きな部屋とも思えるその空間には、ゴレムスほどではないがキングスやベホズンほどに周囲がありそうな太い石柱が一本建っている。そしてその石柱に絡みつくようにして上に続く螺旋階段があった。手すりもなく、トンネルのように壁に囲まれているわけでもない、裸同然の螺旋階段が一段一段をその太い柱から突き出し、上まで続いている。上の区切られた場所へ入れるのだと、リュカは迷わずにその階段に向かう。その後を子供たちが無言のまま続く。プックルの赤い尾が螺旋階段を掃除するかのように這っているのを、ピエールはその後ろから不思議に感じながら見つめた。
階段の上にたどり着く手前で、リュカは上には教会か何かがあるのだろうかと感じていた。それほどに魔物を遠ざけるような聖なる力の強さを感じた。その力は、階段を上ったところにある大きな祭壇と、それを挟むようにして置かれる巨大な燭台の炎に感じられた。
祭壇の手前で、一人の女性が倒れていた。聖なる光を背にして、身体を折り曲げるように横になって倒れる彼女は、町や村で見かけるシスターのような衣服に身を包んでいた。両手で胸の辺りを抑える彼女の青色の服が、濃い紫色に染められようとしている。身体から溢れ出す血が、彼女の命をみるみる削って行くのが分かった。
リュカは階段から飛び出すと、すぐに女性の傍に屈みこんだ。女性の両手をどけるまでもない。夥しい血が床に流れ、彼女自身も溜まらず口から血を吐いた。すぐにでも回復呪文を施さなくては手遅れになると、手に魔力を集中させる。
「はあはあ……。二匹のとてつもない魔物が竜の目を……」
必死に何かを訴えようとする彼女の言葉に、リュカの集中が途切れる。二匹の途轍もない魔物。その内の一匹は、先ほど炎の影に見たばかりだ。巨大な鎌のようなその影が脳裏をかすめ、視線が泳ぎ、回復呪文が未完成に終わる。
「その二匹はまだこの塔のどこかに潜んでいるはず……。見つからないうちに早くお逃げください」
それだけを言うと、彼女は再び血を吐き、そのまま動かなくなってしまった。半開きのままの瞳からは命の灯は消え、即座に体温が失われ始める。背後で子供たちが立ち尽くし、息を呑んでいるのが感じられた。リュカはまだ諦めてはならないと、再び両手に魔力を集中させる。何の罪もないであろうこの女性をこのまま旅立たせるわけには行かない。
しかしリュカが蘇生呪文ザオラルを唱える直前、床に横たわる彼女の胸の傷から黒い靄が滲みだした。それは彼女の身体に当てられたリュカの手を払いのけるように、女性の身体全体を包み始める。リュカは本能的に、その黒い靄から女性を引き上げなければならないと感じたが、たとえ靄に触れてもそれはリュカの手の影響を一つも受けずに、徐々に彼女の身体を蝕むように包んでいく。
渦巻く黒い靄の中に包まれた女性の姿が見えなくなった。悍ましい小さな地獄を目の当たりにしているようだった。黒い靄は暗黒そのものだ。この空間には祭壇があり、聖なる炎が巨大な燭台に灯されている。そんな聖の力などは意味がないのだと、彼女を包んだ暗黒が蠢き、嗤う。
リュカたちが為す術もなく、女性の身体は彼女を包む暗黒に飲まれていった。渦巻く黒の靄が徐々に小さくなっていく。そこにはもう、女性の亡骸さえも残されない。流した血の跡さえも残らない。この場所には初めから、神の力の封印を守る女性などいなかったのだと言わんばかりに、暗黒の塊は彼女の全てを地獄へ連れて行ってしまった。
リュカは床に両手をつき、詰めていた息を小さく吐き出した。目の前で生きていたというのに、自分は救う術を持っていたというのに、救うことができなかった悔しさが拳を固める。目の前に何も残されなければ、もうどうすることもできない。
「い……今の人、死んじゃったの?」
目の前で起こったことが信じられないと言わんばかりに、ティミーがぽつりと零す。先ほどの戦いで、スラりんとピエールが命を失ったその場面が、彼の中に蘇っているのかも知れない。仲間たちはリュカの蘇生呪文に反応し、この世に命を留めることができたが、目の前で消え去ってしまった女性はあっという間にこの世から切り離されてしまった。
「そんな……。ボクたちがもうちょっと早く来ていれば……」
リュカと同じように悔しさを声に滲ませるティミーに、リュカの胸の中にも同じ後悔が押し寄せる。しかし果たして女性を手にかけた敵を相手に、「間に合う」ことができただろうか。自分はいつでも、この場面に間に合わない。いつでも目の前で、大事なものを攫われてしまう。
左腕にしがみつくポピーの高い温度を感じた。泣いてはいないが、その小さな身体が小刻みに震えている。女性が黒の靄に包まれ消えた光景にも恐怖を感じているだろうが、娘は恐らく、この場に残る敵の邪悪な余韻を無意識にも感じて、身体を震わせているのだろう。
「お父さん……手、つないで……」
ごく小さな声で言われたその言葉に従い、リュカはポピーの手を優しく握った。まだまだ小さな手だ。よくぞこれほど小さな手から様々な呪文を生み出すものだと、彼女の手を包み込んだままその心に寄り添う。
「竜の目って何? どうしてそんなもののために……」
父の手が温かいことに少しの安心を得たのか、ポピーが静かに言葉を口にする。ポピーの不安を少しでも慰めるように、スラりんがその肩に乗って小さく揺れる。
「……二匹の魔物はまだこの塔の中にと言っていました。逃げろ、とも……」
ピエールの言葉に異を唱えるように、プックルが激しく吠える。牙を剥き出しにし、低く唸るプックルに逃げるという選択肢はない。しかし同時に、その猛獣の身体が僅かに震えていることにもリュカは気づいていた。
「逃げないよ」
当然、リュカの強い意思もあった。逃げたくはない。たとえここで逃げても、いずれは立ち向かわなくてはならない。また、逃げるにしてもこの閉ざされた塔のどこから逃げることができるだろうか。窓も扉もない、呪文を放っても傷一つつかない頑強なこの塔に、リュカたちは閉じ込められているも同然なのだ。
「間に合わなくて、ごめんなさい」
リュカは目の前の何もない床に向かって頭を垂れる。何の罪もない彼女が強制的に連れ去られてしまった場所を想像すれば、やり切れない。この閉ざされた封印の塔に、羽の無い天空人の女性はその管理を一手に任され、それこそ命懸けで神の力の封印を守り続けていたのだろう。塔の中には魔物たちも棲みつくが、この場所の強い神聖な空気に触れることはできず、この場所への魔物の侵入は今までになかったに違いない。
その神聖な結界を破る敵がいる。しかもあっさりと、聖なる結界を破ってしまうほどの者だ。どれほどの者かと考えれば、リュカの脳裏には死神の鎌の影がちらつく。目の前で横たわっていた彼女は恐らく死神の鎌の一撃を胸に受け、全身にまとわりつく強い呪いの力と共に地獄へ引きずられてしまった。
「二匹の魔物を捜す」
リュカはそう言って立ち上がると、ポピーの手を掴んだまま、正面に置かれる大きな祭壇を見つめた。左右に離れて立つ巨大な燭台の炎に照らされ、祭壇の上に被せられている布の赤と白がやたらはっきりと浮かび上がる。布の上には足のついた鈍く金色に光る器が二つ置かれていた。何かが足りないと思わせるのは、その器が虚しく空になっているからだろう。
「塔はまだ下に続いているはずです」
「うん。行ってみよう。……二人とも、行けるかい?」
本心は、二人の子供をどこか安全な場所へ遠ざけたい思いだけがある。しかし今のこの状況で、一体どこに安全な場所があるのかも分からない。神聖な空気に満ちるこの場所も決して安全な場所とは言えなくなってしまった。
「ボクたちはお父さんについていくだけだよ」
「置いていかれる方が怖いんだもの」
「そうか……そうだよね。じゃあ、絶対にみんなと離れて歩かないようにね」
リュカが祭壇に背を向けて歩き出そうとした時、ティミーとポピーは息を合わせたように揃って祭壇に向かって両手を合わせた。目の前から消えてしまった女性の命がどうにか天国へと導かれるよう、祈りを捧げていた。心優しく育っている子供たちの姿に胸が温まる。たとえ彼女の魂が地獄に引きずり込まれていても、その現実にさえ抗うことが大事なのだと、リュカも再度祭壇に向かい、手を合わせた。

Comment

  1. ケアル より:

    bibi様

    ホークブリザード、アヤツの得意な特技は凍える吹雪とザラキ!
    そんな大鳥ホークブリザードといえば、ザラキと言っても過言ではない専売特許みたいな印象が強いですよね。
    嫌な予感したんです…ぜっったいザラキが来るんではないかとハラハラしながら読み進めました…。
    今まで、ザキとザラキの描写は、たぶん二つ?もしかしたら三つありましたか?
    死の火山にて、人食い箱からザキをリュカが喰らいプックルに血が出るほど手を噛みつかれて助けられた。
    グランバニアにて、ビアンカ誘拐の時、ビアンカがキメーラ軍団にザラキを使ったが、キメーラの方が上回っていたため連れ去られた。
    まだありましたか?…サーラがどこかで仕様した記憶があるんですが違いましたか?…もし三つ目があったら教えてくださいますか?

    bibi様、本気でまじでピエール永久離脱させるんでないかと……。
    初期メンバーであり、子リュカのことを唯一知っている仲間モンスター…プックルとピエール、そのピエールを……。
    デモンズタワーで、リュカビアンカ石像を守るどころか、判断ミスでプックルに殺されそうになりかけた所をスラりんに助けられたピエールを……。
    いつもリュカのことを1番に思い、いつも仲間の先頭のポジションにいて、戦況を冷静に判断できるリュカの右腕と言っても過言では無いピエールを……。

    チゾットへの山道で、デッドエンペラーの雷攻撃でプックルが死んでしまった時や、今回のザラキでスラりんが死んでしまった時も、ザオラルですぐに助かったのに…今回のピエールの蘇生だけ…そんなそんな……。

    ん~~…涙が出ました…、いやbibi様はまたしても読者を泣かせに行きましたよね(泣)
    ザラキの描写、すごかったでした!

    天空の盾とマホカンタ、とうとうポピー新たな呪文習得ですね(笑み)
    ザラキを撥ね返すためにマホカンタの描写をここでしようと思っていたんですね(笑み)

    最後に見た「ヤツ」のローブ、リュカとプックルはゲマだと気がついたんでしょうか?…これからどうなるのか…、早く正面ドアを開閉して、アンクルとサーラと合流しなくては…。
    次話も楽しみにしています(春休みはいつもどおり気長にお待ちしています)

    • bibi より:

      ケアル 様

      コメントをありがとうございます。
      ゲームでは一つの区画に一種類の魔物しか出ないなんてことはないんですが、こちらの都合でそうさせてもらっています。
      ホークブリザードばかりが出る場所なんて、絶望的ですからね。絶対に行きたくない場所です(汗)
      サーラがザラキを唱えたのは地下洞窟を探索していた時でした。「プサンの不思議」のようです。
      ピエールは多分、自分から強く生きたいと思う力が弱いんじゃないかなと、そんなことを思いこんな仕上がりになりました。それと、ゲーム中にもザオラルってなかなか効かない時があったように思うんですよね。あれを表現してみたかったんです。DQ5だったかどうかはちょっと覚えてないんですが、MPが尽きるまでザオラルを唱えたことがあった経験があり・・・「なんでこいつは生き返ってくれないんだー!」って思ったことがあります。
      ポピーのマホカンタは、偶然の産物です(笑) 攻略本を見ながらちょうどマホカンタを覚える頃だったようなので、ここだ!と覚えてもらいました。もしタイミングばっちりと言うことならば、そのように呪文の覚え方を調えた堀井さんが素晴らしいということですね。
      リュカもプックルも恐らく・・・逸って二人で飛び出さないように、子供たちや他の仲間たちに抑えて欲しいところです。

  2. ケアル より:

    bibi様

    すみません、前回のコメに、ローブと書いてますが、修道女の天空人を殺した死に神の釜です…間違えました(汗)
    リュカとプックルは感づいていそうですね。

    ザオラル連発、ドラクエあるあるです!
    何度もザオラルしても復活しないで、MP切れすれすれで復活、おいおい結局MP回復で街に戻って宿屋(汗汗)
    ドラクエ5は、人間キャラでは、リュカのザオラルとメガザル、ティミーのザオリクしか、生き返る手段無いですもんね。

    ゲームでも小説でも、ピエールのイオナズン問題、これはほんっとに思いました。
    もし、ピエールがイオナズンを使えたらゲームでは最初から最後までレギュラー決定です(笑み)
    呪文にある程度体制が有り、攻撃力もそこそこ、ベホマも仕え、吹雪の剣も装備できるという、最強キャラになりますよね。

    • bibi より:

      ケアル 様

      ローブも特徴的ですもんね。本当に、死神そのもののような奴です。
      ザオラルを覚えた当初は蘇生手段がようやく手に入ったとめちゃくちゃ嬉しいんですが、なかなかクセものですよね、この呪文。確率何パーセントくらいで生き返ってるんだろうと、疑問に思う時がよくありました。
      ピエールがイオナズンを覚えたら最強なんですが、そこを敢えて覚えない、というのが個人的には好きなところです。不完全な仲間が大好きです。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

 




 
この記事を書いている人 - WRITER -

amazon

Copyright© LIKE A WIND , 2021 All Rights Reserved.