竜神との対話

 

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ルーラで移動する際のように、周囲の景色は目で追い切れないほどの勢いで後ろへ飛び退って行く。しかしそれも束の間、景色はすぐさま空の雲を飛び越え、常に抜けるような青空広がる上空へと移り変わった。
年が明け、二月経ったところでマスタードラゴンの飛行能力には問題がなくなった。いまや竜神はかつてのように思い通り大空を行くことができる。海辺の修道院のある陸地に降りていた天空城も今はその場所にはない。結局天空城が陸地に留まっていたのもそれほど長くはなかった。人間や魔物が生きる地上では、この世のものとは思えぬ荘厳で巨大な天空城は、その存在自体が特殊でどうしても目立ってしまう。修道院に住まう修道女らの目につくことには問題ないにしても、地上に棲む魔物らや、はたまた旅する人間の目に留まれば、無駄に攻撃を受けたり、要らぬ噂を生み出しかねない。地上に問題を起こすことなど望まない天空人らは再び天空城を上空へと浮上させ、今はその位置を海辺の修道院とセントベレスの間に定め、誰の目にもつかぬようにと広大な海の遥か上空をゆっくりと雲に乗って浮かんでいるらしい。
「しかしこの竜の神様とやらの背中に、わしら魔物が乗っておるというのも、妙なものだのう」
「今日は上空、雲が多いですね。地上の景色が全く見えません」
「空を飛べる魔物も、ここまで空高くに上がることは不可能でしょう。しかし遥か上空がここまで気温の低い場所だとは知りませんでした」
「僕なんか初めてここまで来た時、寒さで死ぬかと思ったよ」
マスタードラゴンの、まるで一つのなだらかな丘のような背中の上に座るのは、リュカにマーリン、ピエール、それにサーラだ。上空に浮かぶ雲さえも遥か下に見下ろせる高度を移動しているために、周囲に何もない景色の変化を目にすることはできない。ただ周りには不思議なほどに青だけが視界に広がり、まだ日の出からそう時間の経たない今は地上を照らす太陽さえも下に見下ろせる。
胡坐をかいて座るリュカは自身の目の前に、ドラゴンの杖を立てている。竜神の力を宿すその杖に、リュカは無言のまま向かい合っている。魔物の仲間たちはリュカのその姿を見て、今彼が竜神と静かな対話をしているのだと分かる。
「竜神は何と言っておるのじゃ?」
「……杖先を背中に立てるな、だって」
「何か杖の先から強い波動を感じるのでしょうか」
「いや、ただかゆいだけみたい」
「…………」
リュカが小さく溜め息を吐きながら杖を両手に持ち直すのを、魔物の仲間たちは何とも言えない表情のまま見守っていた。
「リュカ王は城でも杖を通しての対話をしていると王子にお聞きしたことがありますが、どのような会話をされておいでなのですか」
リュカは以前マスタードラゴンから言われた通り、ドラゴンの杖を通しての竜神との対話を何度か試みている。グランバニアの自室で双子の子供たちが傍にいる時にも、ドラゴンの杖に念じるように竜神との対話をしているし、屋上庭園で一人になって対話を行う時もある。子供たちがいる時には他愛もない話をするのが主だが、屋上庭園など一人で杖を通じた対話をする際には竜神から世界の様子を聞くことができた。その時の情報を基に、リュカは今魔物の仲間たち数人を連れて、マスタードラゴンの背に乗って空を移動している。
セントベレスに長く建設中の大神殿の様相がいよいよ完成間近に迫りつつあると、天空城に住まう天空人から報告を受けたと竜神が語れば、リュカはすぐにでもその状況を確認しなければならないと、今回仲間たちを連れて竜神の背に乗っているのだった。
「大体、何でもないことが多いよ。その中でもよく、『もう一度人間に戻ってみたい』なんて罰当たりなこと言ってたりもするけどね」
「罰当たりと言っても、一体神様に対して誰が罰をくだすのでしょう……」
返答に困りながらもそう言葉を返すピエールもまた、リュカと同様にこの竜神に対してどこか不審がるところがあるに違いないと、リュカは思っている。
「しかし神様だけあって、色々と便利な特技があるものだのう。暑さ寒さなど、自由に環境を変えられるのじゃから」
竜神にしても、天空人にしても、彼らは水を自在に操る能力を有している。それ故に天空城は常に雲をまとうことができる。また、マスタードラゴンは人間の姿であったプサンの時にも水を操る能力をリュカたちに何とはなしに見せていた。深い湖底に沈んでいた天空城に身体一つで突入したようなリュカたちは全身ずぶ濡れの状態だったが、その水気を不思議な力で取り去ってしまったのが人間のプサンに姿を変えていたマスタードラゴンだった。またリュカたちが深い湖のそこから地上へ脱出する際にも、彼は湖の水の中に空洞で道を作り、リュカたちを無事に地上まで送り出した。
今、リュカたちは本来息もできないほどに空気も薄く、軽装などでは決して耐えられないような極寒の上空に、いつも通りの姿で在ることができる。それは彼らを乗せて飛行するマスタードラゴンがその巨大な身体ごと包むような薄い水の膜を作り出し、その中に安全な空間を保たせているのだ。その効果はティミーが使うことのできるフバーハという呪文や、ポピーが唱えるマホカンタの呪文に似たようなものだなと、リュカは二人の子供たちに確実に受け継がれている天空人の血をこんな時にふと感じていた。
なだらかな丘のような竜神の背中が極端に傾いても、リュカたちはその背から落ちることはない。それは竜神が飛行している間は、竜神の背がリュカたちの地上となり得るからだ。リュカたちを背に乗せている間、竜神はその背を地球そのものと見做すように、重力を発生させている。そのお陰でたとえ竜神が飛行中に宙がえりをしても、リュカたちは地上に落とされる心配はない。それもまた、竜神がリュカたちとの飛行訓練の間に生まれた能力らしかった。これほど不可思議な能力があるのなら、竜神自ら敵と戦う術も身に着けられるだろうとリュカが責めたこともあったが、戦うとなれば話は別だと竜神はのらりくらりと話を躱してしまうのだった。竜神が戦うという意思を持った時から世界は均衡を失い、壊れ始めるのだと竜神は語るが、リュカにとってはその言葉をそのまま受け取れるほどの竜神に対する信頼がない。ただ大空を飛んで、人間や仲間の魔物たちを安全にどこへでも運べるくらいのものならば、果たして竜神が竜神である必要などないだろうとまでリュカの考えが及ぶと、リュカの思考をそのまま受け取る竜神は落ち込んだように空中を激しく滑空したりするものだから、リュカは今では竜神を下手に叱責するような考えをなるべく持たないように努力していた。
ただ竜神の移動速度は地上のどんな乗り物よりも、魔物の仲間が全力で飛ぶよりも、遥かに速いものだった。それこそ竜神は移動呪文ルーラを唱えているのではないかと思うほどの速さで大空を翔ることができた。海辺の修道院付近からセントベレス山を目指し、飛び始めて一時間ほどで世界一高い山の頂が遥か下方に見えていた。以前、天空城で向かった際にはセントベレス山周辺には雲が立ち込め、まるで聖なる山を守護するかのように厚い雲が周囲を取り囲んでいたが、竜神の飛行はセントベレス山の遥か上方に位置している。まさに神の視線だとリュカだけではなく、魔物の仲間たちもその景色に知らず溜め息を吐いていた。
セントベレス山の上空には雲もなく、万年雪に覆われる山頂の景色を下に望むことができた。人も獣も魔物も生きるのに選択しないような世界最高峰の山の頂に、小さな一つの正方形の箱が置かれたような景色をリュカたちは見た。太陽はまだ地平から顔を出したばかりで、山頂を照らすほどの高度に達していないが、天を昇った陽光に照らされるだろう正方形の箱はその時間を迎えれば神々しいばかりの光を天に跳ね返すのだろうと想像できた。
「大神殿が完成……してるのかな」
竜神の位置する高度はセントベレスを遥か下方に見るほどの高さで、リュカの目に映る大神殿の姿もまた片手に乗る小箱程度にしか見えていない。
「マスタードラゴン、もう少し下に行くことはできるかな」
リュカはドラゴンの杖を片手に、声に出して竜神に意思を伝える。竜神の返答がリュカの心の中に直接響くと同時に、空の高みに留まっていた巨大な竜はセントベレスを目指していた時のような速度ではなく、まるで遥か上空を優雅に飛ぶ鳥のようにゆったりと空を旋回しながら、徐々にその高度を低くしていった。まだリュカが大神殿周辺の様子をその目に捉えきれないほど離れた場所からでも、魔物の仲間たちは早くも山頂の景色をはっきりとその目に捉えていた。
「何とも立派な建物ですが……神々しいのは外目ばかり、と言った印象があります」
斜めに傾く竜神の背に乗りながら、ピエールが大神殿の様相を、真実を見極めたような言葉で表す。天空城を目にしたこともあり、竜神の背中に乗る体験を今まさにしている者としては、人の犠牲の上で建てられた単に厳かさを着ただけのような大神殿の薄っぺらさに否応なく気づいてしまうものなのかも知れない。
「見張りの者でしょうか、人間が数人いるようです。果たしてこのような場所に見張りなど必要なのでしょうか」
サーラが考え込むように言う理由は、セントベレスのような厳しい土地に侵入するような魔物も人間もいないだろうという考えからだ。常識的に考えれば、セントベレスに自力で登り下りできるような人間はおろか、魔物でさえも好んでこのような険しい山を上ろうとは思わないに違いない。
「外の危険を問題としないのであれば、中の危険を問題としておるのではなかろうかの」
マーリンの言葉に、リュカはかつてこの場所にいた時のことを思い出す。何度となくヘンリーと共にこの場所からの脱出を考え、試みた。その度に見張りの看守に捕まり、牢に入れられた。食事も碌に与えられない牢の中での時間は、休息の時間でもあり思考の時間でもあった。再び脱出の策を練るが、空腹の状況では頭が上手く働かず、結局大した考えなど浮かばずに牢から出され、再び労働の日々が始まった。
しかし十年の時を経て、リュカとヘンリーはマリアの兄ヨシュアの助けにより、マリアを連れてあの場所からの脱出に成功した。生きて地上に戻れるかどうかなど、賭け以外の何物でもなかった。それほどの賭けに出なければ、あの場所からの脱出など不可能だったというのが現実だ。
あの場所で脱出を何度も試みていたリュカとヘンリーの二人は、常に看守たちに目をつけられていた。ヘンリーの鮮やかな緑色の髪も相俟って、彼ら二人は常に目立つ存在だった。そんな二人がある時を境に忽然と姿を消したのだ。恐らく間もなく彼らの脱出は看守たちの知るところとなり、その後見張りの目が強化されたのは想像に難くない。
マーリンの言う通り、外にいる看守たちは恐らく中の危険を見張っているに違いない。二度と奴隷たちをこの場から脱出させてはならないと、あの時から見張りを強化していると想像するのは容易い。
ゆったりと旋回しながら徐々に高度を下げる中で、リュカにも山頂に立てられた大神殿の姿が見えて来た。リュカやヘンリーが働かされていた時のような、まだ大神殿の欠片も見えなかった時のような姿ではない。彼らが脱出に成功し、地上での人生を歩んでいる時にもこの場所では絶えず大神殿の建造が進められ、そして今や完成間近の姿と見えた。
一体これまでに、どれほどの人々が苦しめられてきたのだろう。その間、自分は地上で自身の命を繋ぎ止め、愛する者にも出会い、可愛い二人の子供にも恵まれた。完成間近の大神殿の様相がリュカに問いかけ、責め立てる。中にいるであろう奴隷たちの恨みつらみが聞こえてくるようだった。リュカは思わず竜神の背に両膝を着き、手にしていたドラゴンの杖を取り落として、その手で口元を抑えた。呻き声が漏れる。吐き気が込み上げるが、そんな弱々しい心情に打ちのめされている場合ではないと、どうにか吐き気を抑える。
「大丈夫ですか、リュカ殿」
長らく自分を支えてくれるピエールに、リュカはごく小さな声で「平気」とだけ答えた。この忌まわしき地に対する気持ちは、ヘンリーとしか共有できない。厳密に言えば、ヘンリーとも共有できないものだと感じている。どちらがより重く辛い思いを抱いているのかも分からないのが本当のところだ。
リュカに大神殿の姿が見えるようになると同時に、大神殿の見張りに勤める人間らも、大空を旋回する巨大な生き物の姿に気付くのは必然だった。攻撃を受けるだろうかとリュカたちは竜神の背に立ち身構えたが、大空を優雅に飛ぶ巨大な竜の姿に圧倒されたのか、大神殿を守護する立場の人間たちはその場から身じろぎもせずにただ竜の姿を目で追うだけだ。
「あまりにもマスタードラゴンの身体が大きいために、我々のことは見えていないようですね」
「……ふむ。何やら手を合わせて拝んでいるようじゃ。この竜を神と理解しているのじゃろうか」
かつて天空城は敵の攻撃を受け、ゴールドオーブを地上に落としてしまった神の城は空に浮かぶ力を失い、永らく湖の底に沈む運命となった。敵は確実に天空城の存在を知っており、その城の主であるマスタードラゴンのことも当然知り得ているだろう。大空に旋回する巨大な竜がマスタードラゴンだと気づきつつも、警戒する様子もなくむしろ手を合わせて拝む仕草を見せているのであれば、今大神殿の外に見えている彼らは本当の敵ではないのだとリュカは思った。
「本当に神様だと思っているのかも知れないね」
リュカの考えに、敵は正当な悪ではないという思いがある。正当な悪とは言わば敵である人間を恐怖や絶望にそのまま陥れてしまうような存在であり、そこに寄り道や迂回などはない。一方、正当な悪ではない敵は卑劣だ。敵である人間に幸せな夢を見せ、浸らせたのちに絶望へと突き落とす。優しい顔をして救いの手を差し伸べたかと思えば、その優しい顔のままその手をあっさりと引っ込めて目の前に剣先を突きつける。その非道に喜びを見い出すような存在がリュカたちの敵なのだと、リュカの脳裏には父の仇である死神のような魔物が思い起こされる。
巨大な竜神の背に乗るリュカたちの姿はどうやら大神殿から竜神を見上げる者たちの目には映らないらしい。あまりにも竜神の姿が圧倒的で神々しく、その姿に神殿を見張る者たちは目を奪われるばかりだ。しかし用心のために、リュカたちは竜神の背に腹ばいになるようにして、なるべく山にいる者の目に付かぬよう身を潜ませることにした。
リュカは手にドラゴンの杖を持ち、竜神との無言の対話を始める。その間も竜神はセントベレス山の上を旋回し、リュカたちに山頂の大神殿の景色を広く見せている。リュカの黙す声に応えるように、竜神はふと旋回を止めて大神殿の裏へと回り込んだ。
セントベレス山山頂よりほど近い場所から、一部崖が突出した場所があった。リュカはその場所を知っている。ヘンリーと共にこの場所からの脱出を考えたこともあった。しかしその場所は、苦しみに耐えられなくなった奴隷たちが身を投げる場所でもあった。そしてその脇には激しく水しぶきを上げて流れ落ちる滝がある。大神殿建造のために働かされる奴隷たちは自ら崖を飛び降りて命を絶つか、命が尽きてから粗末な樽に身体を詰め込まれ、この滝に流されるか。どちらにしてもこの場所から一体いくつの人間の命が流されて行ったのか、想像するだけでリュカは思わず怒りに歯ぎしりをする。
「あの崖から内部へ入れそうですな」
大神殿を作る者にとって奴隷たちが逃げ出すのを回避するべく見張りを固めている現実はあるが、労働の苦しみに耐えきれない者たちが自ら命を絶つ場所にまで見張りをつける必要はない。自ら命を絶とうとする者たちを止めないのは、その不足分はいくらでも外から連れて来られるという、それだけの理由だ。ましてやこの断崖絶壁の突端から何者かが忍び込むことなど、流石に想定していないだろう。
「サーラさんなら僕を連れて中へ入れそうですか」
「それは今ということですか」
リュカの問いにすぐさまサーラは問いで応える。ピエールもマーリンも無言でリュカを見つめる。仲間たちのその視線に、リュカはふっと笑みを見せて彼らの心を落ち着かせた。
「本当はそうでもしたいところですけどね。でもオススメしてくれないでしょ?」
「リュカよ、お主がこの内部に入って成し遂げたいことは何なのじゃ」
マーリンの言葉が全てを明確にする。リュカがこの大神殿の内部に入り込んだとして、成し遂げたいことは中で苦しむ人々を全て外へ解放することだ。一人として取りこぼしのないよう、全ての人々をこの呪われた土地から解き放ち、地上で人としての生活を取り戻して欲しい。そして今の自分にはそれを成し遂げるだけの力があるはずだと、竜神の背中に乗るリュカは既に確信している。
しかしそれは仲間たちの力を得てこそ成し遂げられることなのだ。リュカ一人でこの光の教団の総本山でもあるセントベレス山に建てられた大神殿の中にいる人々を解放することなど到底できない。竜神の力を借りるにしても、その力は強大過ぎ、その身体も巨大過ぎるために共に内部に入り込むことなどできない。やはり頼れる仲間たちの力を借り、力を合わせて成し遂げるべき事案なのだとマーリンの言葉に冷静に頭の中を整理した。
「何をするにしても、今の我々だけではあまりにも数が少ないと思われます。それに今回はあくまでも視察と聞いています。今はこの地の状況をできうる限り細かに見て、一度グランバニアに話を持ち帰るべきでしょう」
「とりあえず申しておきますと、私のような空を飛べる魔物であれば、竜神の背に乗りここまで来られれば、あの崖から内部へ入ることは可能と思われます。ただそれほど大人数は無理でしょうな」
「うん、そうだよね。それだけでも分かれば一歩も二歩も進んでる。良かった、ここへ来てみて」
リュカは竜神の背に腹ばいになりながら、ドラゴンの杖を片手に再び竜神との対話を試みる。相変わらず大神殿の見張りについている人間からの敵意は感じられない。ただ近くを竜神が飛行すれば驚きはするものの、神の御利益にあやかるような仕草で両手を合わせ祈りを捧げている。それを良いことにリュカは竜神に心の中で声をかけ、何度もセントベレス山の周りを旋回するように望む。
人間のリュカには大神殿の様子が手に取るように分かるというわけではない。ただ竜神が飛行する際に見えるその建物が小さく見えるだけで、その周りにいる人間の姿も豆粒のように小さく見えているだけだ。人間よりも遥かに目の利く魔物の仲間たちが見えていれば後で教えてもらえば良いとは思いつつ、この場所を過去より知っている自分こそが細かに見ておかねばならないという口惜しさも胸に滲む。
リュカのその口惜しさは、ドラゴンの杖を通して竜神に伝わる。リュカの視界がぐらりと歪んだかと思うと、完成間近の大神殿の景色が彼の視界いっぱいに広がった。見えるその世界は、いつも魔物の仲間たちが目にしているような景色なのだと竜神に心の中で語りかけられた。今、リュカの目は竜神の目と同一となり、セントベレス山山頂の景色を具に確かめることができた。
大神殿完成が間近なのは、神殿の一角に積まれている石材の量で凡そ分かった。まだ数本、細かな装飾が施されていない石柱もある。大神殿外部の床となる石材もまた、ところどころ未完成のままだ。しかし今、それらを運んだり整えたりする労働に従事させられている人間の姿は一人たりとも見当たらない。
竜神は優雅に空を旋回していたが、ふとその動きを空中で止めた。宙に留まる竜神の姿に、大神殿の見張りにつく兵士らは神の畏怖に触れるように、その場で両膝を着き頭を垂れる。神の御姿を直視するなど無礼極まることだと感じているのか、彼らは一様に竜神から目を逸らし、自らの足元に視線を落としている。宙に留まる竜神が鋭く見る景色が、リュカの目にも映る。
大神殿の入口を入れば、中には人間がぎっしりと詰め込まれているような状態だと分かった。人の頭が無数に見えるが、それらは一様にリュカたちに背を向けている。大神殿の奥に向かう人々の後姿に個々などなく、どれもこれも皆同じように見える。それが全て人形だと言われれば、そのまま信じてしまいそうなほどに彼らが自ら生きているという命を感じられなかった。
それなのに、大神殿の中は熱気に包まれているようだった。熱気と言うよりも、狂気に近い。リュカが人間を人形のように感じたのは、その者たちが人としての命を持ちつつも人としての思考を持っていないからだと気づいた。リュカが奴隷として生きている時にも、少なからず自ら考えることを手放す者たちはいた。リュカが話しかけても返事もせず、虚ろな目を向けて来るだけの、完全にこの地の奴隷と化してしまった者たち。しかし今は、それがこの大神殿の中全てに広がっている。
大神殿の内部に集められた者たちが唐突に熱狂する様子が見えた。常に開かれた入口から、人々が上げる声が漏れ出てくる。しかし何を口にしているのかまでは分からない。
その時、リュカたちを背に乗せた竜神が大きく羽を羽ばたかせた。リュカの視界がぐらりと揺れ、それはすぐにいつものリュカの目に戻る。もう大神殿の内部の様子など見えるはずもなく、人間のリュカの目には大神殿の外部のおおよその景色しか確かめられない。
「やはりいるようですね、魔物が」
サーラだけではなく、ピエールもマーリンも同時に気が付いていた。大神殿本体ではなく、その脇に建てられた倉庫のような建物から何者かが姿を現していた。戸口に半身になって立つその者は一見すれば人間の姿をしている。しかし魔物の仲間はその正体が魔物だということをはっきり認めていた。
「下手な攻撃を食らわないためにも、マスタードラゴンはこの場を離れようとしたのじゃろう」
竜神がリュカたちを守るべくその巨大な羽を大きく羽ばたかせただけでも、恐らく神殿の守りにつく兵士たちを吹き飛ばすほどの威力があるだろう。人間を徒に傷つけることはリュカにとっても竜神にとっても本意ではない。リュカが手にするドラゴンの杖を通じて、竜神が『視察は終わりだ』と語りかけ、竜の神は再びセントベレス山の周りをゆっくりと旋回しながら遥か上空へと高度を上げていく。
「これはわしの勝手な推測だがの」
空ばかりが周囲にある景色の中、マーリンが難しい顔をしてリュカに話しかける。
「人間と言うものは祭りが好きであろう。グランバニアでもラインハットでも、新年を祝い祭りを催す。無事に新年を迎えられたことを祝う一つの行事じゃ」
今年の新年祭は生憎と敵の襲撃に遭い、消化不良のまま途中で終了となった。しかし来年も無事に新年を迎えることができれば、人々は新年の祭りを変わらず行うのだ。
「あの大神殿も完成間近と見える。完成の暁には、恐らく祝いの行事を行うのではなかろうか」
リュカが働かされていた頃には、大神殿建造の完成など夢のまた夢と思っていた。終わりの見えない労働に人々は心を失い、しかし逃げることもできずに恐らく死ぬまでこの場所の縛り付けられているのだろうという絶望だけを抱えて生きていた者が殆どだ。しかしその労働の終わりが見えて来た。大神殿が完成すれば、建造に従事させられている奴隷たちは用済みとなる。むしろ、邪魔となる。
「グランバニアは過去に二度、祝いの場を狙われた。それと言うのも、祝いの場と言うのは必然的にその地にいる者たちが一堂に会するために、何か事を起こすにはちょうど良いからじゃ」
グランバニアでのリュカの戴冠式の際、グランバニアには密かに魔物が侵入し、王妃ビアンカを攫った。そして今回の新年祭に乗じて、敵は襲撃をしかけてきた。敵地の内部に潜り込むにも、一堂に会した人々を一揃いに恐怖の底に叩き落すにも、都合が良いのはマーリンの言葉の通りだとリュカは思った。
「そのような話を私はトレットに聞いたことがあります。神殿完成の暁には、光の教団の教祖の言葉が直接もらえるのだと、そんなことを話しておりました」
「そうとなれば、恐らく祝いの場が設けられる可能性は濃厚でしょうな」
「今度はこっちがそこに乗り込むってことだね」
リュカが目指しているのは、完成した大神殿を破壊することではない。中で働かされている人々をどうにかこの地から解放することだ。そのためには人々が一つの場所にまとまっていてくれた方が救出の手間は省ける。
「とりあえずこの場所のおおよその状況はこちらも掴んだ。それ故に、グランバニアに戻り、今度は具体的にこの地に降り立つ算段をつける段階に入ったということじゃな」
リュカはマーリンの冷静な声を聞きながら、遠ざかるセントベレスの景色を遥か下方に見下ろす。恐らく今回のリュカの行動で、敵にも竜神の姿は知れたに違いない。しかし敵にしても竜神そのものに攻撃を仕掛けるような無謀はしない。光の教団という組織を築き、その紛い物の神の力によって徐々にその勢力を強めて来た敵は決してこの後も急ぎはしない。緩やかに緩やかに、世界を闇へと変えていくことに喜びを見い出しているようにも感じられる。寿命の短い人間とは異なる魔物だからこそ、じわじわと人間の世界を追い詰めているのだろう。
敵がその構えならば、こちらもそれに乗じるだけだと、リュカは性急になりそうになる心を抑える。改めて大神殿に囚われている人々を解放する方法について考えることが必要と、マーリンの顔を見ながらしっかりと頷いて見せた。



グランバニアの森に夜の帳が下り、森には静かな夜の鳥が鳴くようになる。空を見上げれば雲は晴れ、グランバニアの城を月と星が見下ろしている。敵襲を受けてから大分時が経ち、グランバニアには常の平穏が国を包んでいる。それでも城の見張り台には昼夜問わず見張りの兵士が立ち、グランバニアの森にも兵士や魔物の仲間たちが目を光らせている。
国王私室にてリュカも双子の子供たちも既に身体を休めていた。ティミーもポピーも連日のように学びに運動にと忙しく過ごしている。本来子供の生活と言うのはそうあるべきものなのだと、リュカは二人が真面目に城で過ごしてくれていることに心の底から満足していた。面倒事は大人が引き受ければよいという思いは、二人の子供たちに隠すこともなく、むしろ二人に言葉で伝えたりもする。リュカの言葉に、ティミーもポピーも笑顔で頷くだけだった。
父の寝息が深くなったことに先に気付いたのはポピーだ。今年十歳になろうとする子供は一般的に両親とは別の場所で床に就くものだと聞いたこともあるが、グランバニア王の使用するベッドは通常のベッドを二つ足しても足りないほどに広い。その状況に甘えるように、父と離れ離れでいた八年を埋めるように、ティミーもポピーも未だ父の隣で眠るのが日常だ。
父リュカは子供たちの成長を見届けていないからか、身体も心も成長した双子をまだどこか赤ん坊を見るような顔で見つめることがある。その度にポピーは父の思いと自分の思いとの差を感じた。生まれてから既に十年が経とうとしている。もう赤ん坊ではないし、そろそろ子供の領域をも出始めても良い頃だ。現に父は、まだ六歳と言う子供の頃に母であるビアンカと子供二人だけで町の外に冒険に出たことがあるという。そんな父の思い出話を聞いてその場では楽し気に笑いつつも、それならば自分たちだってと思う反発心も持つのが成長したポピーの心に沸きあがるのは止められない。
父の寝息は深い。今日も一日、城のあちこちへ移動して何事か仕事をしていたようで、疲れているのだろう。体力的な疲れと言うよりは、精神的に疲れているのが感じられる。眠りの深い父は、今ポピーが隣で目を覚ましていることにも気づかない。
ポピーはごく静かな動きで、ベッドをするりと抜け出した。父の向こう側で同じような深い寝息を立てている兄ティミーの側へベッドを回り込み、声もかけずにただ兄の鼻をつまんでみる。本当は兄を起こしたくはなかったが、兄から頼まれているために渋々起こしにかかっているのだった。
ティミーは一度息苦しそうに口から息を吐き出すと、その拍子に目を覚ました。その音で父が目覚めるかもとポピーに緊張が走ったが、今は眠りの深い時間帯にある父は変わらず規則正しい寝息を立てていた。その様子に静かに胸を撫で下ろし、目覚めた兄の鼻から手を退けた。
二人の兄妹はこそこそとベッドを離れ、ほとんど真っ暗な部屋の中を床に四つん這いになるようにして移動する。幸い今日も月明かりが彼らの視界を仄かに照らしてくれる。父が目を覚ましていないからと言って、他の目がこの部屋を見張っていないわけではない。国王私室の警備に当たる兵士は部屋の外に立っているし、見張り台からもこの部屋に何か異常があれば確実に気づくだろう。部屋の中で明かりを灯すことなど、言語道断だった。
しかしこれまでにも何度も、二人は夜中に起き出してはこうしてこそこそと部屋の中を移動していた。初めの内は何度か父に気付かれ、その度にお手洗いに行く、喉が渇いた、お腹が空いたなど、適当な嘘でその場を誤魔化していた。子供たちがつまらない嘘を吐くことなどないと信じている父リュカは、当然子供の言葉を信じた。そしてその場は、吐いた嘘の通りに行動して、ティミーもポピーも大人しくベッドに戻ったりしていた。
しかし父が決して目覚めない深い眠りの時を、常に父を観察していたポピーはふと見つけた。その時だけを見計らい、彼女はこの時を逃すまいと起き出し、兄をも起こして二人で部屋の隅へと向かうのだ。
彼らが向かう先にあるのは、父が日中常に手にしているドラゴンの杖だった。その杖は父が目を覚ましている時には決して近づくこともできない。父は近頃、ドラゴンの杖を頻繁に手にしている。それと言うのも、ドラゴンの杖を通じて天空城にいるマスタードラゴンとの対話を続けているからだった。何を話しているのかも二人は詳しくは知らない。特別興味もない素振りすら父や周りの者たちにも見せている。
二人の子供たちを信じているからこそ、父リュカは部屋の隅に無造作にドラゴンの杖を立てかけてあるだけだ。その父の信頼を裏切るような行動だが、ティミーもポピーももうただの指示に従うだけの子供ではない。自らの考えで行動し、自らの目で様々なことを確かめたいのだ。
二人は音もたてずに、ドラゴンの杖を手にして隣の部屋へと移動する。もし父に見つかった時には、小腹が空いたから飴を探していたと言えば済む。移動した場所は普段食事のための広いテーブルが置かれ、部屋の引き出しには瓶に入った林檎の飴がしまわれている。ドラゴンの杖は見つからないように、戸棚の隙間に押しやればよい。全て、ポピーが事前に立てていた対策だった。
「じゃあ、やってみるわね」
「うん」
それだけの言葉を兄妹で交わせば、ポピーはドラゴンの杖を両手に持ち、いつも父がするように目を閉じて念じてみる。父は今や何の造作もなく、ドラゴンの杖を通じてマスタードラゴンとの対話をすることが可能だ。日に日に、このドラゴンの杖は父リュカの手に馴染み、そのうち父が呼びかければ、たとえ離れていても杖は自ずと父の手に向かって飛んでいくのではないかと思うほどだ。ドラゴンの杖には確実に、マスタードラゴンの力が宿り、その力は今のポピーにも感じることができるようになっていた。
静かに念じる。耳にはグランバニアの森に鳴く夜の鳥の声が聞こえる。風はないようで、森の葉はざわめいていない。その他は静まり返った部屋の雰囲気だけがあり、更に耳を澄ませば隣の部屋で眠る父の寝息すらも聞こえそうだった。
「この前はこの玉が光ったのに」
「しっ! 静かにしててよ、お兄ちゃん。集中したいんだから」
変化を待ちきれないティミーが話しかけると、ポピーが目を閉じたまま厳しく兄を叱る。ティミー自身、ドラゴンの杖に向かって念じたこともあった。しかし彼は、竜神の力が宿るこの杖と自分との間に、何の力も通じていないのだと分かっていた。杖を手にしても、それはただ重いだけで、念を送るにしても一体どうすればよいのかも分からない。それはまるで、ティミーはあくまでも世界を救う勇者であって、その力は既にティミー自身に存在しているのだと、突き放されたようでもあった。
そうとなれば、ティミーとしては妹ポピーがドラゴンの杖の力と通じるのを願うばかりだ。彼ら二人の思いは一つ。父一人に全てを背負わせなどしない。父が秘密裏に進めようとしている物事を、竜神から聞き出してみせるのだと、ポピーは杖の力を引き出すべく集中して念じ続け、ティミーは妹の念がマスタードラゴンに届くようにと隣で祈る。
仄かに月明かりだけに照らされる部屋の中に、淡い桃色の光が部屋の中に染み込むように広がって行く。ティミーは慌ててその光を包み込むように、ポピーと一緒になって杖を二人の間に閉じ込める。双子が頭を突き合わせる小さな空間の中で、ドラゴンの杖は淡い桃色の輝きを放っている。
ポピーの心の中に直接、竜神の声が響いた。ティミーには当然その声は聞こえていないが、妹がはっと目を開いたのを見て、状況を察する。
「マスタードラゴン、一つだけ、教えて欲しいの」
ポピーの小声の問いかけに、竜神が応えているのが妹の様子に分かる。ティミーはその様子にもどかしさを覚え、思わず自身も杖を両手で握った。するとそのティミーの手も受け入れるように、ドラゴンの杖は二人の子供の手を通じて対話を始めた。
「お父さんは今、何をしているの?」
「ボクたち、知りたいだけなんだ。お父さんが教えてくれないから……」
同じグランバニア城にいても、リュカはオジロンやサンチョと話をして、マーリンたちと打ち合わせを行い、ジェイミーに兵たちの状況を確認し、トレットを呼び出して個別に話をしたりと、子供であるティミーとポピーをその輪には入れようとしない。そして移動呪文を使ってどこかへと向かっていたりもするが、その行き先すらも教えてくれない。素直な良い子でいて欲しいという父の思いに応えるように、ティミーもポピーも表面上は言うことを聞いているが、その裏でこうしてドラゴンの杖をこっそりと持ち出して竜神との対話を何度も試みていた。
しばらくの間、沈黙が続いた。ティミーもポピーもドラゴンの杖を通じた竜神との対話が途切れたのかと思ったが、二人の間に光る桃色の宝玉はその光を失っていない。よほどこちらから話しかけようとも思ったが、極力話し声は立てたくはない。いつ父が目を覚ますか分からない。その切欠はできるだけ少ない方が良い。
ドラゴンの杖を通じ、二人の心に頭に、直接竜神の言葉が流れ込んでくる。竜神から語られる二人の知らない現実に、ティミーとポピーは互いに目を見合わせ、まるで鏡に映るように同時に二人で頷き合う。
父がその場所に向かう時、自分たちも共に向かう。多くの人々を救い出す計画を実行している最中に、世界を救う勇者たる自分がのんびりとこの城で過ごしているなど、後世の人々の笑い者だとティミーは内心父に対する怒りが込み上げた。まだティミーのことを子供だと思っている父リュカには、凡そ知り得ないティミーの一人の勇者としての怒りだ。王子としての高等な教育を受け、間もなく十歳を迎えようとしているティミーはもうそれほど子供ではないのだ。
一方でポピーの胸には悲しみが込み上げた。それほどの大事を、子供である自分たちには一切知らせずに行おうとしている父の心情は一体どれほど強いものなのだろうという尊敬の念も生まれたが、やはり何もかもを秘密にしてきた父に対して、信じてもらえないという悲しみが胸に込み上げる。まだ子供ではあるものの、父が思っているような幼い子供ではないのだと、ポピーもまた兄ティミーと同じようにその時その地に向かうことを望んだ。
隣の部屋で父が目を覚ます気配を感じた。途端にポピーはドラゴンの杖を戸棚の脇に押しやり、その拍子にドラゴンの杖先にはめ込まれている桃色の宝玉は光を失った。竜神との対話は終わり、二人は何食わぬ顔をして引き出しから静かに小瓶を取り出す。ラインハット土産の林檎の飴を一粒ずつ口に含み、口の中でころころと転がしていれば、夜中に目が覚めて小腹が空いたからという理由がすぐさま使える。
寝起きの顔を覗かせた父リュカに、二人はつまみ食いがばれてしまったと言うように気まずい仕草を見せる。そして起きたついでに用足しでも済ませてベッドへ戻れば、後は早朝にでもどうにかドラゴンの杖を元の位置に戻せば万事問題ない。父リュカは旅に出ている時にはほとんど寝ずに過ごす代わりに、グランバニアにいる時には眠りが深く、そして朝にも弱いことを二人は知っている。父が二人に秘密にしていることがある一方で、二人もまた父に秘密にしていることがある。それは子供の成長の一つなのだと、サンチョ辺りならば気づくのかも知れないが、幸いにも気づかない父と共にティミーとポピーは大人しく二人でベッドまで戻って行くのだった。

Comment

  1. ケアル より:

    bibi様。いつも執筆お疲れ様です。

    リュカにしかできないと思っていた、ドラゴンの杖でのマスタードラゴンと対話。ポピーにもできるようになったんですね。やはりポピーの潜在能力なんでしょうか?

    さて…ティミー・ポピーは、どうやって大神殿探索について行くのか?リュカの許しを得るためにはどうすれば?
    bibi様、自分なりに考えてみました。もし、予想が当たっていたら褒めてくださいね(笑み)

    真っ向正面からリュカに懇願しても、いっしょに行くことは難しいと思われる、しかも、テルパドールとラインハットに無断単独行動をしてしまったばかり…、リュカの逆鱗に触れた…。
    そこでティミー・ポピーは、誰かの協力を得ようと考える。
    一人はサンチョ、サンチョにどうにかリュカを説得して貰うように頼み込む。
    しかし、サンチョはリュカの見方をしているかもしれない…。見方になってくれない可能性があるため、サンチョにお願いできなかった。
    そこで、ティミーはアイシスに頼み込む、勇者をぜったいとしているアイシスならば、ティミーの言う、「勇者なのに大神殿の奴隷たちを解放できないなんて」
    その気持ちを理解してアイシスはリュカを説得する、そしてポピーはというと、ヘンリー・マリアに頼み込む。
    最初はヘンリー・マリアも反対したが、大神殿の話が出ると、ヘンリー・マリアの雰囲気がガラリと変わる。大神殿の人たちを解放したいという強いポピーの気持ち、そして大神殿に関わっているヘンリー・マリア、リュカの説得に入るヘンリー・マリア。
    そして、ヘンリーは言う…
    「お前、ティミー君ポピーちゃんと離れることはないと言っていたじゃないか⁉旅に連れて行きたくはないけど、そうすると子供たちと離ればなれになってしまう…だから、子供たちを旅に連れて行くよ…て言っていたよな?」
    ヘンリーはリュカを説得する。

    う~ん無理がある設定でしょうか…。
    それとも、マスタードラゴンがリュカに…
    「勇者と勇者の妹を連れて行かないと大神殿には行けない、あそこには子供たちの力が必要なのだ」
    みたいなことを言うのか?なぜならばマスタードラゴンにはビアンカ石像が見えているから…無理がある設定なきが…。

    bibi様、もし描写の内容に少しでも触れていたら褒めてください(笑み)
    次回の話は…パーティ編成、そして大神殿!
    次話を心から楽しみにしています!

    • bibi より:

      ケアル 様

      コメントをどうもありがとうございます。
      ポピーは本質的にリュカに似ていると考えています。ティミーにはビアンカが継いできた勇者としての血が受け継がれるのと同時に、ポピーにもまたリュカが継いできた血が濃く受け継がれている・・・そんな感じでしょうか。まあ、受け継ぐものなんてそう簡単に割り切れるものではないですが、雰囲気としてはそんな感じを想像しながら書いています。

      ケアルさん、色々とご考察いただいてありがとうございます。実のところ、まだ次のお話の内容は詰めておらず、これからじっくり考えて一気に書くので、ケアルさん考察のお話が合っているかどうか・・・まだ分かりません(汗) 次のお話がアップされるまでのお楽しみ、ということでしばしお待ちいただければと思います。うふ。
      正直、ケアルさんが考えるお話の方がより内容も詰まったものかも。プレッシャーと共に、次のお話を考えて参りたいと思います(汗汗)

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