ぶつかりあう炎

「何だか曇って来たな」
城の屋上、見張り塔から望む地上の景色に、特別な変化は見当たらない。ただこれから夏本番となる時期、北西の方角からじわりじわりと覆ってくるような灰色の雲が押し寄せ、地上の草原地帯を暗く染めてしまうことに思わず眉根を寄せる。
「オヤジ、この時期に北西から雲が流れて来るなんて、あんまりないことだと思うけど……」
ラインハットの王子は城の兵士と一緒になって見張り台に立ち、空を眺めるのが好きだった。学ばなければいけないことは多くあり、これからもずっとその状況には変わりない。その状況の隙間に、こうして空を眺めていると、自身の抱えるものの全てが小さくちっぽけなものに感じられ、その感覚がコリンズは好きだった。ましてや、地上世界を治めると言われる竜神の存在を知ってからは尚更、己の存在の小ささに、世界の大きさに、細かなことなどどうでも良くなった。自身のことではなく、他の者たちの存在の方がより大きく感じられた。それが、王として大事なことなのだと伯父に柔らかく言われた時には、その言葉はすんなりと胸に染みたものだった。
好きで空を眺めるのが趣味とも言えるコリンズにとっては、空に異変があればそれに自然と気づくこともあった。当然、塔で見張りを務める兵にも、その異変は同じように感じられた。
数か月前に実際、ラインハットは魔物の襲撃を受けているのだ。魔物との戦いの場所はラインハットより北西に広がる大平原だった。まだ雪解けの時期で、地はぬかるみ、馬は泥を跳ねて駆けた。その戦いは、コリンズの祖母である先太后の罪滅ぼしとも言える献身により勝機を見い出し、今もラインハットの国は変わらぬ平和を保つことが出来ている。
その大平原に今、灰色の雲がじわりじわりと迫ってきている。平原に魔物の群れがあるわけではないが、季節にそぐわぬ冷たい北風が見張り塔の旗をなびかせ、灰色の雲が遠くに立ち込める空を見るだけで、不安が胸に沸いてくるのはヘンリーも同じだった。
「今は何が起こってもおかしくはないからな」
友が旅立つ前に、ヘンリーはグランバニアに向けて一通の短い手紙と、助けになれば良いと一振りの剣を贈った。止めても無駄だと知っていた親友リュカには余計な言葉など要らないだろうと、ほんの一言だけを描いた手紙。それと合わせ、親友を長年に渡って支え続けている忠臣の助力になるようにと、特別に仕入れた竜の鱗をも切り裂く剣を、送っていた。剣技だけは上達しているだろうに、持つ武器を一向に変えようとしなかったのは、それまで持っている剣に愛着を感じていたというわけでもなかったのだろう。ただ単に、己のために強力な武器を用意することに対する遠慮があっただけだと、ヘンリーはあのリュカにだけは従順なスライムナイトに対してそう思っている。
それ故に、勝手に一振りの剣を送りつけた。ドラゴンキラーという固い鱗を持つ竜に対しても相応の攻撃力を持つ剣は、リュカと共に旅立つにしても、グランバニアに残るにしても、彼の戦力を強力なものにするために必要だと、ヘンリーが個人的に仕入れ送ったものだった。そして予想を裏切ることなく、あのスライムナイトはリュカたちと共に魔界へと旅立った。
「……アイツ、平気、だよな?」
隣で空を見上げるコリンズの頭の上に、ヘンリーは息子の心を落ち着かせようと手を置いた。己の子供の頃とそっくりだと言われる息子だが、それは見た目ばかりで、内面においては息子コリンズの方が遥かに強く、聡いとヘンリーは親馬鹿を越えたところでもそう思っている。
「何だよ。ティミー君の心配もしてやれよ」
「しっ、してるよ! 何言ってんだよ、オヤジはさぁ!」
焦るコリンズの言葉に嘘はないのだろうが、より深く心配している相手が彼の頭の中に浮かんでいることも間違いない。よりにもよって、ラインハットの時期国王となるコリンズの友人が、勇者とその妹という、特別極まりない双子なのだ。特別な運命を背負う二人が、特別な運命に導かれるように、地上世界を離れて魔界などという未知の世界へ旅立ってしまったことに、よく耐えているなとヘンリーは我が息子ながら内心で感心している。こういうところでの彼の忍耐強さは母マリアからのものだろうかと、腕白ばかりではない彼の様子に嬉しくもある。
「オヤジは心配じゃないのかよ」
言い返してくる辺りが素直でもあり、負けず嫌いなところでもある。コリンズの言葉や気持ちに触れる度に、ヘンリーは己の幼い頃を思い出し、ただ胸の内で深い後悔と反省の念に駆られている。
「心配したってなぁ、どうしようもないだろ」
「何だよ、冷たいなぁ」
「あいつはしぶといヤツだから、平気だろ」
「でもちょっと優しすぎるような気がするけど」
「俺にはあんまり優しくないんだぞ、あいつ」
「それはオヤジに問題があるんじゃないのかよ」
「まあ、ポピーちゃんのお前に対する態度に比べれば、マシかもな」
「う、うるせぇ! なんだよ、もう……」
言葉に元気を失くし、俯いてしまうコリンズの頭をヘンリーは再び撫でてやる。その父親の手を払い除けることもなく嫌がることもなく、ただ撫でられるがままになっているコリンズはやはり素直なものだと思う。からかって悪かったと謝るつもりで撫でるヘンリーの手は、もう十年近くもコリンズの頭を撫で続けているようなものだ。隣に立っていれば、勝手に手は息子の頭を撫でている。
「俺はあいつから、地上世界を頼まれてるからな。あいつを心配してる場合じゃあないんだよ」
そう言いながらヘンリーは北西に広がる大平原を遠く眺めるように、目を細めて見渡す。季節に合わない北風が吹きつけ、思わず目を瞑る。瞬時、悪寒がしたように思え、ぱっと目を見開く。
平原には今も昔も、魔物はいる。しかし昔に比べ今はその数を増し、人が旅をするにも昔よりも数段危険が増していることは確かだ。このラインハット城の見張り塔からも、点在する魔物の姿を確認することはできる。凡その魔物は森の中や山陰に隠れているものだが、平原に堂々と姿を現している魔物の数が昔に比べて多いのだ。
マスタードラゴンの復活により、地上世界は今のところ平穏が保たれているのだと、ヘンリーは話に聞いている。それ故に今が好機なのだと理由もあり、グランバニアの王らは未知の世界へと旅立った。今は平和が保たれている、はずだ。しかし北西の大平原の更に彼方から迫りつつある灰色の雲の景色を目にして、季節にそぐわない冷たい風を浴びれば、知らず表情は険しくなる。
見張り塔から地上の景色を見る。ラインハット周辺には昔から、スライムナイトという魔物が棲息しているが、今もヘンリーの目にはごく小さな豆粒のように見える緑のスライムに跨る騎士の魔物が映る。いざ外で遭遇すれば戦わざるを得ない敵であることは確かだが、長らく親友を支えてくれている忠臣のようなピエールを思えば、スライムナイトという魔物と戦うことに戸惑いが生まれるのは仕方がない。それほどにヘンリーの中では、リュカには従順な癖に、己には生意気な口を利くピエールと言う存在は特別なものだ。
「ま、とんでもねぇヤツらが仲間なんだから、俺が心配することもないだろうよ」
ラインハットとは異なり、グランバニアは人間と魔物が共生するような類まれな国だ。人間に比べ、魔物の力と言うのは途方もなく強力なものだということは、ヘンリー自身が人よりは深く理解している所でもある。それをただの人間に過ぎない自身が心配して見せたところで、何の足しにもならないと、胸の内に渦巻きそうになる不安を無理に押し込める。
遥か遠くに見えている灰色の雲の中、一閃の稲光が走ったのを見た。親友の息子である勇者は、天から授かったその力に、雷を操る能力を持つ。しかし、今見えた稲光に、勇者のような正義を感じなかった。何者かの命の一瞬を見たような気がして、ヘンリーは無意識にも眉を顰めつつも、光の残りを探すように彼方に広がる曇天の空をじっと見つめた。
「……オヤジ?」
静かに隣に立つだけのヘンリーに、コリンズが直感的な悪寒を覚え、ごく小さな声で父を呼ぶ。
「おう。一度戻るか。デールに話しておかないとな」
息子に今何を聞かれても答えようがないと、ヘンリーは自らこの場を切り上げ、コリンズの肩に手を置くと見張り塔から去るように階下へ通じる階段へと促す。見張りの兵には引き続き北を注視しつつ見張りをするよう声をかけ、ヘンリーは瞼の裏に残る稲光の幻影に心を残しながらも、弟である国王デールに今の状況をと、見張り塔を後にした。
死神の鎌の刃が、魔界の世界を象徴するように、無情に煌めく。周囲にはマーサが今も尚保ち続けている聖なる青の光が朧げに灯り、聖の気を帯びた水の気配が辺りに漂う。マーサは今、祭壇の上で両手を優しく組み合わせ、一念に祈りを捧げ続けている。その姿は今は誰の目にも捉えられないが、彼女は祈りを捧げることを止めない。
リュカは己の胸に収まっているはずの心臓が、どこかへ吸い込まれ、無くなったように感じた。それまで保っていた力も意思も、目の前の光景に途端にそれらが無くなったように感じていた。
ピエールがいない。戦いに倒れ、床にその身を横たえているわけでもない。もしそうならば、彼の息を吹き返す方法をリュカたちは持っている。そんなことならばすぐにでも蘇生の呪文を施し、唯一無二の仲間をこの世に呼び戻すことに躊躇などしない。
「うう……」
噛み合わない上下の歯の奥から、呻き声しか出てこない。これが一体どのような感情なのか、リュカには分からない。前進し続けてきたこれまでの旅路に、あらゆる未来を想定していたはずだった。しかし想定していたつもりが、それらは全て抽象的だったのだと思い知らされた。むしろ抽象的ですらなく、想定していたつもりに過ぎなかったのだと、今受けている衝撃にそうと知った。
この隙に、仇敵ゲマは隙なく、宙へとその身を逃していた。プックルに噛みつかれた首からは、夥しいほどの青い血が流れ、身に帯びているマントもローブも著しく汚している。ゲマに回復の術はない。生き物本来の姿であれば、首をあれほど酷く獣に噛みつかれてはもう生きてはいられないだろう。しかしゲマは宙に浮かび、口元に歪んだ笑みさえ浮かべ、リュカたちを見下ろしている。元は人間だったであろう仇敵だが、人間が完全に魔に染まればあのような姿になるのだろうと思わせる様相を呈している。
プックルが雄たけびを上げた。しかし雄々しいはずの叫びが今は、まるで悲しみの絶叫のように響き渡り、戦友のその声にリュカも既に熱くしていた目頭から涙を零した。ピエールがいないことが、プックルの叫びに深く知らされる。共に過ごした期間としては、プックルはリュカよりも長くピエールと共に生きてきた。リュカとビアンカが行方不明となった後も、生まれた双子を彼らは共に守り続けてくれた。リュカがプックルの無二の戦友だとすれば、ピエールもまた、プックルの無二の戦友だった。それを思えば、彼の悲しみもまた計り知れない。
故に、プックルの悲しみの叫びに、リュカは救われた。ピエールの献身を決して無駄にしてはならないと、力を失いかけていた手に力を込める。馴染んだ父の剣の柄を握る自身の手に、温かな感覚が戻る。プックルと共に並び立つ。今更弔い合戦などと言う気はない。そもそもが、ゲマに対する思いはそれが始まりであり、それは何としてでも遂げねばならない意志なのだ。
アンクルが声も上げずに、ゲマの背後から急襲を仕掛けてきた。祭壇の上に在るマーサの救出を試みようとしたアンクルだったが、起こった悲劇に思わず宙に磔にされたように止まってしまった。軽口を叩きつつも常に誰よりも冷静に物事を見ているようなアンクルだが、彼は情にも厚い。アンクル自身、ゲマの死神の鎌の攻撃を食らい、この世でもあの世でもないどこかへ連れ去られそうになったことがある。死神の鎌を受ける恐怖を味わっている。大切な仲間であるピエールの姿がこの場から姿を消え去ってしまったのを目にして、冷静さを保ち続けることはできなかった。
背後から大槍を手にして滑空してくる魔物を、ゲマはあっさりと横に飛び避けて、攻撃を躱した。濃紫色のマントの端にすら、槍先は当たらなかった。見た目に大怪我を負っているゲマだが、動きに鈍さは見られない。その表情にはむしろ、これまでよりも生き生きとした力さえ感じられる。その理由は恐らく、リュカの大事なものを目の前で一つ、奪ってやったと言う喜びだ。己の力を誇示できたのだという喜びだ。その純粋な喜びが、ゲマという人間から魔物へと身を変じた者に力を与えている。
死神の鎌が再び振り上げられる。宙高くに身を留めるゲマとアンクルに手の届く者がいない。ゲマの身は今もまだ、受ける呪文を跳ね返す障壁によって守られている。リュカたちが攻撃の呪文を仇敵に向けたところで、それはそのままの勢いでリュカたちに跳ね返されてしまう。
「うう……」
リュカは己と似たような声でそう呻き声を漏らすのを、近くに聞いた。ティミーだ。彼は今、両目から溢れんばかりの涙を流していた。勇者としてこの世に生まれた彼は、世界を救うための力をその身に帯びている。この世を去った者の魂をその強い力で呼び戻し、再び命を与えることすら可能だ。しかしいくらそれほどの強烈な力を持っていたとしても、亡くなった者の器となる体が目の前に無ければ、たとえ魂を呼び戻したとしても、それは一切の無駄に終わる。
ピエールと言う大事な仲間を失った現実が、ティミーの身にもじわじわと染みている。突然目の前から姿を消してしまったスライムナイトの仲間は、ティミーとポピーの最も信頼する保護者の一人だ。己の手で蘇生することもできない状況に、ティミーの身体も心も冷えて行く。
元来朗らかで、先頭で元気にいようと努めている彼には、驚くほどに負の感情がない。物事を素直に受け止め、素直に理解し、素直に発するその性格は、元来彼が持つものと併せて、グランバニアという国で伸び伸び育てられたことが由来となっているのだろう。父母であるリュカとビアンカが行方不明となった後、ティミーやポピーの心を支えたのはグランバニアに残るサンチョでありオジロンでありドリスであり、グランバニアの人々であり、魔物の仲間たちだった。その中でもピエールはプックルと並び、双子の面倒を大いに見ていたことは疑いようもない。
ゲマが振りかざしてきた鎌を、アンクルは力の盾に受け、流した。同時にデーモンスピアで敵への攻撃を試みるが、ゲマは再び鎌を持ち直し、槍を振り払う。巨大な武器同士のぶつかる重々しい音が宙に響く。ゴレムスがまるでいきり立った巨人の如く前へ踏み出すと、宙に浮かぶゲマを指を失ったままの拳で殴りつけようとするが、それすらもゲマは軽々と避けてしまう。マントとローブをばさばさと宙になびかせ、宙を舞う姿はまるで毒蛾のようだ。
ゴレムスの手も届かないほどの高みに移動し、遥か高みからリュカたちを見下ろすゲマ。アンクルがその隙にちらと祭壇上のマーサの様子を窺うが、距離にしてもいる場所にしても、ゲマの隙を突いて救い出せる状態ではない。第一、アンクルが妙な動きをすれば、即座にゲマは呪文を放つに違いない。今、仇敵が呪文を使わないのは、まだ到底本気で戦ってはいないのだ。
青白い光を放ち、水気を含む辺りの空気が、唐突に冷えるのを誰もが感じた。同時に魔力を感じるその冷たさに、リュカは思わずポピーを見た。しかしポピーはピエールを失った衝撃に、立っているのもやっとの状態で、その身体を半ば母ビアンカに支えられているような状況だ。彼女が魔力を放とうとしているのではない。
常に勇気と元気を表に出し、皆の心を明るくしてくれる勇者が、天空の剣を両手に構え、両頬から止まらない涙を落としながら立ち尽くしている。どうにもしようがないという絶望がティミーの心の温度を失くしていく。初めて味わった手段のない絶望の心に反応するように、彼が手にする天空の剣も盾も、鎧も兜も、本来神々しい光を放つべきそれらが一切の光を失っている。
「ピエールを……返せよ」
リュカも聞いたことのない声だった。ティミーに似つかわしくない、暗く濁ったような声だ。彼は今、初めて何者かを“憎む”という感情を抱いたのだ。
「許さない……」
ゲマが祖父パパスを殺し、父リュカに惨い人生を送らせた張本人であることを、ティミーは当然知っている。しかしそれはやはり聞いた話であり、ティミーの目の前で起こったことではなかった。許してはならない敵だと言うことは理解していたが、許してなるものかとここまで強く思ったのは初めてだった。
勇者の持つ天空の剣が冷たい光を静かに放つ。剣先をゆっくりと宙に浮かぶゲマへと向ける。ティミーの目は、恨みに燃えている。そのような息子の姿を目にして、リュカはまるで自分自身を外から見ているように感じた。恐らく自分はあの時からずっと、今のティミーのような目をしていたのだろう。
神々しいはずの天空の剣がこれほど冷たく光るものだとは誰も思っていなかった。ティミー自身も当然そんなことを思ったことはなかった。しかし天空の剣自体はどうやら、勇者の心がこれほどまでに絶望に包まれることがあることを知っていたかのようだった。かつての伝説の勇者に、そのような過去があったのかも知れない。
剣先から、一筋の白い光が放たれ、宙に浮かぶゲマへと向かった。光に攻撃性は感じられなかった。ただ、ティミーの冷たく沈んだ心を天空の剣が取り込み、憎しみの心がそのまま凍てつく波動となってゲマへと飛んで行った。ゲマを守護していた呪文反射の効果が、ティミーの剣先から放たれた凍てつく波動の力によって、まるで泡が弾けるように消え去った。
呪文に頼れなかった状況が一変した。当然、ゲマ自身がその変化に気付いた。呪文反射の護りを再びと、マホカンタの呪文を唱えようとするところ、それを許すまいと言った動きがある。ゲマの身体にそのまま当てるかのように、ポピーが遠隔呪文を唱えた。呪文に長けた彼女が唱えたのは、辺りにいる仲間に配慮するものではない。容赦なく、ゲマを中心とした大爆発が起こる。
爆風が辺りに巻き起こり、リュカたちは皆一様にその場で防御態勢を取った。宙に浮かぶアンクルは堪らず爆風に圧される。その中でもリュカは視界に収めずとも、まるで獣の如く感覚を研ぎ澄ませ、仇敵の気配に注意を払う。ポピーの放ったイオナズンの大爆発で倒れるような敵ではない。
頭上に赤い光が生まれたのが、収まる爆発の中に見えた。これまでに何度も目にしたことのある、リュカを誘うような赤い火が、宙に浮かんでいる。それはみるみる大きくなり、それを操る敵の青く禍々しい手が、爆発の中に見える。
その炎は、父パパスをこの世から消し去ってしまった炎だ。ポピーの呪文を食らったというのに、やはりゲマはそれで倒れることもなく、爆発の中から現れたその表情には冷酷さが増していた。敵の赤い両目は、蔑むようにポピーを見下ろしている。
「勇者のなり損ないが、生意気ですね……」
そう呟いたゲマの手により、敵の頭上に浮かぶ炎が爆発的に力を増した。そしてそれは躊躇うことなく、ポピーへと向かう。凶悪なまでの力を持ったメラゾーマに対抗するべく、ポピーは咄嗟にマホカンタの呪文を脳裏に浮かべる。しかしあれほどの巨大な炎の球をたった一人で跳ね返そうとも、近くにいる兄と母への影響は免れないと、胸に躊躇いが生じた。
ゲマの放つ巨大な火球に、ポピーの目の前で、もう一つの火球がぶつかり、押し返そうとする。ポピーを庇うように左手で肩を抱き、もう片方の手を突き出し、自らも火球メラミを放ったビアンカがゲマに対抗する。その母娘の姿を見下ろしながら、ゲマは憐れむような顔つきで、宙にぶつかり合う二つの火球を弄び始める。
「惨めですねぇ、たかだかメラミごときで対抗してくるなど」
相手を挑発するような口を利くのは、もはやゲマ自身も気付いていないような癖のようなものだろう。
「あの時、お前を守れなかった男のように、この女どもにも惨たらしく死んでもらいましょうか」
ゲマが己の生み出した炎の球の威力を更に高める。宙でぶつかり合う二つの火の球は、まるで大人と赤ん坊ほどの差がある。すぐにビアンカとポピーに炎の球を落とさないのは、この瞬間がゲマの楽しみだからだ。ゲマの持つ力に恐れ、絶望し、惨めに抵抗する様を眺めるのが、この悪魔の喜びそのものなのだ。
「私たちは、負けるわけには行かないのよ」
圧倒的な差を頭上に見るビアンカだが、たとえ死んでも敵に屈してならないという思いが彼女の胸の内にある。それはあらゆる人々が彼女の胸の内に育て上げたものだ。
己がこの場に生きているのは、ただの奇跡だ。ダンカン夫妻に拾われ育てられ、幼い頃にリュカやパパスと出会い、別れた後もリュカと再会し、夫婦にまでなり、双子を授かるという幸せにも恵まれた。ビアンカ自身、勇者の子孫という、恐らく特別な血を引く者の一人だ。それ故に、それは神が決めた運命なのだと言う人もいるかも知れない。しかし今までに出会った人々との細やかな会話に至るまで運命づけるほど、神様も暇ではないだろう。
「みんなのために、負けるわけには行かないのよ!」
ビアンカの負けん気を今のこの場で最も知っているのはリュカだ。そして彼女のその言葉や勇気にいつも救われてきたのもリュカだった。
炎と風はきっと、相性が良い。ビアンカの生み出したメラミの炎に、リュカがバギマで風を起こして混ぜる。風が火を踊らせる。ゲマの放ったメラゾーマの巨大な火球を受け止めるような形で、ビアンカとリュカの操る炎と風が一体となってまとわりついている。
ゲマが更に魔力を放ち、巨大な炎の球は辺り一帯を焼き払いそうなほどに膨れ上がった。リュカもまた魔力を高め、その風をバギクロスの竜巻に変える。ビアンカはそれまで支えていたポピーの肩から手を離し、両手で己の放つ火球に集中する。アンクルが、ゴレムスが、ゲマへの攻撃の機会を窺っているが、今下手に手出しをしたところで、既に膨張し切っている巨大な炎の球の暴発を招きかねないとただじっくりと見守るに行動を留めている。じりじりと変化する状況の変わり目にすぐに動けるようにと、常に狙いを定めている。
「少し残念ですが……家族揃って消え去ってもらいましょうか」
ゲマの言う意味は、本当はもっと楽しみたかったというところだろう。一人一人、手にかけて痛めつけてこの世から葬ってしまうことを望んでいた。それができないと見切ったゲマの言葉には、それほどの余裕はなくなったという意味が含まれているのだと、リュカは自ら竜巻を起こしながら耐えていた。しかしこの状況も、ゲマが本気を出した瞬間に忽ち返されてしまうと、焼けるような熱さを感じつつもリュカのこめかみに冷や汗が流れる。
「誰が……消えてやるもんですか」
幼い頃からビアンカは火の呪文を上手く操るものだと、町の人々にももてはやされ、彼女自身も自慢げにそれを見せていた。その力を彼女はあくまでも周りの人々のために使ってきた。ただ破壊を楽しむために使うような陰惨な気持ちで火の呪文を扱ったことはない。生活に必要であればそのために、外を旅している最中に皆を守るために必要であればその為にと、一見すれば何もかもを燃やし尽くしてしまいそうな火の力を、彼女は彼女の持つ正義に準じて行使してきた。
それは、今も同じだ。彼女には彼女の正義がある。大事な者を守るために、というよりも、大事な者を傷つけることは許さないという、強い正義感だ。彼女の本質は、プックルを助けるためにアルカパの町を飛び出したことにある。何かを守るために、自ら動き出さずにはいられないのがビアンカという勇者の子孫であり、勇者の母なのだ。
リュカの目の前に、あの時の悍ましい光景が蘇る。父パパスは、この巨大火球の中に黒い影を浮かび上がらせ、耳を塞ぎたくなるような叫び声を上げ、燃え尽き消えてしまった。その時の思いが胸の中に思い出されると、応じてリュカの心はほんの僅かに怯んだ。同時に、ゲマの口角が引きつるように微かに上がる。
ゲマの操る巨大な炎の球が一気にリュカとビアンカを包み込もうと、勢いを強めた。それを見ても感じても、ビアンカは怯まなかった。大事な者たちを思うことで、己の力が強まるのをはっきりと感じていた。全身のあらゆる場所から力が湧き出し、それは放つメラミの火球へと注がれる。
「消えるのは、あんたよ!」
目の前に浮かぶゲマという悪魔のような魔物を、ビアンカは範囲も分からぬ皆のために倒すのが正しいことだと思った。彼女が放っていたメラミの火球が爆発的に威力を増した。ゲマの操るメラゾーマの炎球に対抗する、もう一つのメラゾーマの炎の渦が、敵対する炎を丸ごと飲み込んでしまった。
その景色の向こう側に、リュカはゲマの隙を見た。赤い両目を一瞬見開いた仇敵に向かって、リュカはビアンカ生み出したメラゾーマの炎球にバギクロスの竜巻を重ね、ゲマへと放った。巨大な火炎の竜となり、竜は大口を開けて、仇敵を飲み込んだ。赤い炎の中で、ゲマと思しき黒い影が揺らいでいる。その光景にリュカは思わず表情を歪める。
あれは父ではないと分かっている。憎き仇敵だと分かっている。大切な仲間ピエールに報いるためだと強く思っている。故に倒さねばならないと思っている。ビアンカの表す正義は正しいのだと信じている。それよりも何よりも、あいつはこの手で殺してやりたいとずっと憎んできたのだ。
炎竜の体の中に閉じ込めたはずの悪魔は、必死に死神の鎌を振るい、己を包む炎竜の身体に内側から傷をつけるや、そこから飛び出してきた。宙高く飛び出してきたゲマの身体を、すかさず狙うのはアンクルだ。上から飛びかかってくるアンクルに、下から追ってくる炎竜に、ゲマはそれらから逃れるべく、咄嗟に横へと飛び退いた。魔力放出の保持に耐えられず、ビアンカとリュカの生み出していた炎竜は宙で霧散する霧のごとく消えた。
流石に体力は削られていたのだろう。いくらか下方へと身体を落としたゲマに向かって、プックルが跳躍し襲い掛かる。濃紫色のマントも、黄金色のローブも炎に焼かれ、すっかり焦げてボロボロになっているゲマだが、それでもまだ驚くほどに動ける状態だ。向かってくるプックルに死神の鎌を振り上げ、確実に牽制する。プックルもまた敵の行動は予想の範囲内で、向けられる死神の鎌の長い柄を蹴って刃を避け、しなやかに体の向きを変え、ゲマの顔に炎の爪で激しく攻撃した。爪から炎を上げて掻かれたゲマの左目は潰れ、残る右目で辺りを見回す余裕もなく、ゲマは我武者羅にも見えるような状態で再び宙へと逃げた。
追い詰める仇敵をこの場で倒さねばならないと、ティミーとポピーも当然構えていた。敵が距離を取り、宙に浮かんでくれた時が好機だと、ポピーはイオナズンの構えを、ティミーもギガデインの準備をしていた。しかし彼らの操る呪文の効果は強大過ぎて、周りへの影響を考慮すれば簡単に放てるものではない。今が好機だと、魔力の放出のために息を止めた瞬間、凄まじい勢いで彼らに向かって飛んできたものがあった。
ゲマが操る死神の鎌が、まるでそれ自体が意思を持ったように勇者とその妹へと向かう。乱暴に回転しながら、向かってくる凶暴な鎌に対し、ティミーがポピーを庇いながら立つ。スクルトの呪文を唱える余裕はなく、ティミーは天空の盾の加護を信じ、守りに専念する。
死神の鎌はゲマの意思通り、極端に方向を変えると、ティミーとポピーの後ろ側へと回る。そのままポピーの後ろ首目がけて刃を光らせた。ポピーが後ろを向く暇もない。
激しい金属音が響いた。恐るべき速さで間に入ったのはリュカだ。目立たず、静かに、密かに、しかし確実に行動するのは、ピエールの得意とするところだった。リュカはゲマの操る死神の鎌を、父パパスの剣で受けながら、そんなことを思った。彼がいない今、その役目を己が遂げねばならないと、死神の鎌を力任せに押し返す。
ゲマは鎌を魔力で操りながらも、大きく息を吸い込む。宙に留まり、死神の鎌へ魔力を集中させつつ、攻撃的な息を吐くことも可能であることをその状況に見る。隙だらけの姿勢に狙いを定め、ゴレムスがビッグボウガンで矢を放つ。鏃は確実に仇敵の首元に直撃した。一体、敵の命が何で支えられているのか分からない。片目は潰れ、首元に巨大な矢を受けたにも関わらず、ゲマは地に落ちることもなく、そのまま吸い込んだ息に魔力を吹き込む。
口の中に赤い炎を見たポピーが、遠隔呪文の余裕はなく、ただ対抗するべく両手から氷系呪文ヒャダルコを咄嗟に放った。ティミーも皆を守るためにと、防御呪文フバーハを唱える。己に向かってくる吹雪を、ゲマはいともたやすくぼろついたマントで跳ねのけてしまった。そもそも温かみなどを持ち得ないゲマは、受ける氷系の攻撃は全て無効化してしまうのだと、その動きに知れた。
ゲマの口の中に見えていたはずの炎の赤い光が消えた。リュカが抑えていた死神の鎌がふっと退き、ゲマの元へと飛び去る。と同時に、ゲマの口から吐き出された輝く息に、再びリュカたちの視界は奪われ、心臓ごと凍り付きそうな冷酷に皆は一斉にその場から動けず、ただ身を縮めて耐えるだけだ。
ティミーのフバーハの効力の中でどうにか耐え切ったアンクルが、身体のあちこちを凍り付かせながらもベギラゴンの炎の力で仲間たちの身体を強烈に温める。凍り付きかけていた皆の身体から氷は蒸発していくが、受けた損傷が同時に癒されるわけではない。ビアンカはどうにか意識をしっかりと保つと、賢者の石に祈りを込め、大事な皆に癒しの力を届かせた。
状況目まぐるしく、リュカは仲間たちの状況を確かめている余裕がない。常にゲマから目を離してはならないと、その動きを視界に収める。狡猾な敵の武器がいつ誰を襲うとも限らないと、やはり間近に飛んできた死神の鎌を、父の剣で弾き返す。一度、リュカの大事な仲間を奪った鎌は、それ自体が欲望を持つかのように獰猛に、更なる獲物を捕らえるべく宙を飛ぶ。狙うのはリュカ以外の者たちだ。決してリュカを狙わない。ゲマと共にその生を生きてきたような死神の鎌は、リュカと言う人間を苦しめるのが目的であるかのように、リュカの大事な者たちを一人一人、仕留めようとしているのがその動きに分かる。
賢者の石を手に持ち、祈りを捧げるビアンカを狙う鎌を、ティミーが天空の盾で弾き返す。目を閉じ、集中しているビアンカは己に何が起きているのかも分かっていないほどに、集中している。荒々しく回転をし、今度はポピーに襲いかかろうとするが、リュカが防ぐ。守りの固い家族を一度諦めるように、鎌は鋭く宙に浮かぶアンクルへと向かう。真正面から向かってくる攻撃に対応できないほど、アンクルは鈍くはない。デーモンスピアで応戦し、鎌の直撃は決して喰らわない。むしろアンクルは己にゲマの攻撃を引き付けることで、仲間たちに攻撃の機会を与えようとさえしている。
死神の鎌を遠隔で操るにしても、凶悪な息を吐くにしても、呪文を唱えるのは当然のこと、ゲマは常時魔力を酷使している。しかし敵の魔力には底がないのか、まるで衰える様子がない。プックルに首を噛みつかれ、ゴレムスの矢を首元に受けているにも関わらず、不死身であるかのように身体の動きにもさしたる鈍さを感じない。その一方で、ゲマの表情に現れる下劣さは増しているようだった。絶えずリュカたちに攻撃をしているその口元には卑しい笑みが浮かび、この戦いを心の底から愉しんでいるように見える。
笑みを浮かべている口の中に、再び底なしの魔力が込められる。口の中に炎を見たような気がしたポピーだが、先ほどのこともあり、容易にヒャド系呪文を放つことができない。直前までじっと、ゲマが次にどのような行動を起こすのかを待つしかない。
ポピーの逡巡を嘲笑うように、ゲマの口から激しい炎が吐き出された。しかし、吐き出された炎を受け止める目には見えない膜があった。ティミーの防御呪文フバーハの効力とは異なるものだ。
宙に、ゲマの吐き出した激しい炎がそのまま霧散していくのが分かる。リュカたちの周囲広くに、聖なる水は存在している。その水が今、巨大な水玉となって、ゲマの身体を包み込んだ。
祭壇の上で瞑想をしていたマーサが、真っすぐにゲマを見つめていた。その両手は揃ってゲマに向けられ、マーサの力で浮かび上がった聖なる水の球が、ゲマの身体を丸ごと包んでいる。その異質にも思える優しさに、見上げるリュカの表情は無意識にも険しくなっていた。
Comment
bibi様。
今回のゲマ戦は、まだまだ終わらないんですね、今回は決着かなって思ってました、もう凄まじい死闘にケアルは興奮しております。
戦闘描写から始まると思っていたら、え?ラインハット?
思わず違ったお話を閲覧しちゃったかと思いました(笑み)
ヘンリーそうですよね…ピエールとは長い付き合いですもんね、最初のころなんてピエールにバカにされながらリュカとの態度の違いに、いつもピエールと言い合いをしていましたよね。
ドラゴンキラーの経緯、ヘンリーの思いやりだったんですね。
コリンズ、ポピーとラブラブな関係が続いているんですね(笑み)
ポピーのことばかりでヘンリーに突っ込まれている所はニヤニヤしちゃいますね。
ヘンリーは黒い雲を見て嫌な予感をしたと…。
bibi様うまいですねぇこういう描写(笑み)
とくに確信したわけでないんだろうけど今までとは違う様子に…てやつですよね。
ティミーようやく天空の剣の凍てつく波動来ましたね、ピエールのことで覚醒したティミー、ティミーのピエールに対する怒りの描写…そうですよねピエールとプックルは特別双子に対する思いは強いんですよね、それこそボブルの塔でピエールがプックルの言うことを聞いていればリュカとビアンカは…もしかしたら…。
ティミーポピーにとってピエールは、特別な存在なんだろうと感じます。
ポピーのイオナズン喰らってもあまりダメージないみたいですね…ていうか片目潰されてピエールに背中へのドラゴンキラー会心の一撃、プックル執念の喉への攻撃でもゲマは無敵なんでしょうか…強すぎであります。
ゲマの勇者のなりそこないがっていうポピーへの罵声はムカつきますよね、ポピーのコンプレックスを!(怒)
ポピーにイオナズン遠隔3連発やって欲しいです。
あ!そういえばbibi様、プックルの気合いため、ゴレムスの力ためと気合いため、描写をするのは難しいですか?
ゲマだからこそ、攻撃力はバイキルトだけでは倒すのが難しいかもしれません、この特技を描写するのはいかがですか?
来ましたビアンカメラゾーマ!
まさにドラゴンボールの必殺技の押し合いですね。
ビアンカ覚醒感動であります。
メラゾーマプラスバギクロスの火の玉竜巻を喰らってもゲマは余裕な感じ、戦闘はまだまだ続きますね!
bibi様、マーサはゲマのメラゾーマ喰らって瀕死になっていたと思うんですが、お祈りをして水結界を張るぐらいまで回復しているということですか?
てことは、結末は、bibiワールドでは、もう1度メラゾーマを喰らうことになるということに…。
いつも長々とコメントすみません、書きたいことたくさんあって…(笑み)
次回もゲマ戦、なんか嫌な予感がする終わり方フラグ…。
ピエールの顛末は?
リュカのメガザルはあるのか?
プックルの凍てつく波動はあるのか?
ティミーのミナデインは、やっぱりここでなくてミルドラース?
バギクロスとメラゾーマとギガデインとイオナズンの同時攻撃は?
ゲマの最後の描写が気になります!
まだまだおわらなそうなゲマ戦、次話なるべく早くお願いします。
ケアル 様
コメントをどうもありがとうございます。
今回、ちょっとだけ地上の描写を入れてみました。ピエールにはヘンリーを、ということで、ラインハットの様子を少しだけ。コリンズも、勇者とその妹という友人を持ったために心配が尽きず、なかなか大変な立場です。ヘンリーやマリアやデールなどが支えているからどうにか保っていられるという感じでしょうか。
リュカにとっても大切な仲間であるピエールですが、一緒にいた年月で言えばティミーやポピーの方が長く一緒に過ごしているので、双子たちのピエールへの思いもリュカに負けず劣らずのものがあります。そこらをお話の中では描写していないので、なかなか感じにくいところではありますね…。しかしその辺りを詳しく描写するとなれば、その辺りで主人公は一体誰だ?みたいな流れになりそうです。あくまでも、ドラクエ5の主人公は白服紫マントの青年ということで。
ゲマはもはや不死身に近い状態ですね。ゲームではそんなことはないですが、こちらのお話では、どんなにボロボロの状態になっても死なないような存在として書いています。じゃあどうやって倒すんだよ、と、今私が頭を悩ませています(笑) まあ、そこは気合いでどうにか。
ゲマ戦はもう今までの全てを出さなくては、と思っていますが、そうするとただでさえ影の薄いと言われるラスボスの存在を更に薄めてしまいそうなので、そこそこにしておこうとは思っています(笑) 気持ちではここで全てを出し切って、マーサを連れて悠々と地上に戻りたい気分ですけどね。それをやっちゃうとドラクエ5ではなくなってしまうので、できませんが。
ビアンカのメラゾーマはまさしく、ドラゴンボールのかめはめ波のぶつかり合いみたいな状況ですね。そんな映像を頭の中に思い浮かべながら書いていました、というのはここだけの話です(汗) それでもヤツは倒れません。一体何でできているのやら。
マーサの設定はちょっとゲームとは違う、私個人の設定で動いてもらっています。それぞれ、キャラクターによって属性をなんとなく考えていて、リュカは風、ビアンカは火、ティミーは雷、ポピーは氷、それで、マーサは水。祭壇で祈りを捧げていたように見えていたマーサは、実はゴレムスと同様、瞑想によって自身を回復させています。これからマーサにも少し活躍してもらう予定です。
ホント、まだまだ終わらなさそうですよね、この戦い。困ったなぁ。しかしどうにか描き切ってみたいと思います。
bibi様。
すみませんまた書き間違えました…。
ボブルの塔でなくデモンズタワー。
う~ん…すみません。
ゲマの死に神のカマ、魔力で自由に動かせて空中移動できるなんてずるいです(汗)
ボブルの塔でもbibiワールドでそうでしたか?
bibi様の描くゲマは戦闘面でもゲマ自信も空中にいて、ラスボス級ですよ。
リュカも、ダイ大のポップのように飛べルーラで、空中戦ってのはどうでしょうか?
ケアル 様
間違えるの、分かります。私もよく名前を間違えてしまう……。
死神の鎌を自在に操る力は元々持っていたゲマですが、今まではそれを使っていなかったということで。本気を出していなかったというところでしょうか。憎たらしいヤツですね。
実際、空中に浮いている敵って剣なんかじゃどうしようもないよなぁと思いながら、アンクルに頑張ってもらったりしています。オレばっかり酷使しやがってと文句を言っていそうです。飛べルーラ、あれ、便利ですよね。今はゲマがそれを使っているようなものですね。ふーむ、どうしたものか(悩)