2017/12/03

砂漠の国から来た港町の踊り子

 

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西の大陸に向かって、とてつもない速さで馬車が飛びすさぶ。馬車の周りには二人の人影と、人ではない影がある。大海原の遥か上を行く彼らを間近に目にすることができるのは、同じように海の上を行くカモメか、その他の渡り鳥、はたまた空を飛ぶことのできる魔物だった。しかしそのあまりの速さに、カモメも何も、突然吹く強風に、近くを恐ろしい何かが通り過ぎたと思うだけだった。
リュカたちはルーラの呪文でアルカパの町から港町ポートセルミに向かっていた。ルーラの呪文に保護された彼らは、何者もの影響を受けつけない状態で、ただひたすら速く空を飛んでいた。
天気は目まぐるしく変わり、先ほど太陽が照り付けていたかと思うと、すぐに急変して嵐が彼らを襲う。襲うとは言え、ルーラの呪文の保護膜に守られる彼らにとっては、それはただの景色に過ぎない。そしてまた青空が広がり、彼らを問題なくポートセルミへと運ぶ。
そんな状況を無邪気な子供のような目をしたガンドフが心から楽しんでいた。ガンドフは馬車の荷台から身を乗り出し、ルーラの効果に胸を躍らせていた。どこをどう見ても何も見えないルーラの保護膜を何とか見ようと目を細めたり、ラーの鏡を向けて鏡を覗き込んだり、呪文の不思議を確かめようとしていた。隣では退屈そうにプックルが欠伸をしている。
西の大陸が見え、いよいよ下降を始めようとする頃、突然ルーラのバランスが崩れるのをリュカは感じた。ふと後ろを見ると、何か大きくて茶色いものが海に向かって落ちていくのが見えた。
「キャー! ガンドフー!!」
ビアンカの声が響き、彼女がルーラの保護から抜け出そうとじたばたしているのが横目に映った。そうこうしているうちに海に水しぶきが上がり、一方でリュカたちはポートセルミの町近くに難なく着地した。慌てて駆け出すビアンカを制して、リュカが海の中に入ろうとする。足を一歩海に踏み入れたところで、既に海上を飛んで行ったメッキーがガンドフの様子を確認しに行った。間もなくぷかりと浮かんだガンドフを見て、メッキーが「ッキッキキー!」と高らかに声を上げた。
「良かった、大丈夫みたいだな」
リュカたちが眺める先には、海の上に浮かんだまま空に流れる雲をぼんやりと眺めるガンドフの姿がある。高度が下がってから落ちたのが幸いだったようで、ガンドフの体に異常はないように見えた。それなりの高さから海に落ちたというのに、ガンドフは何やら楽し気に口笛でも吹きそうな雰囲気で空を見上げている。呑気なガンドフをメッキーが呆れた様子で陸へ誘導していた。
「ガンドフ、楽しかったようですね」
「ワシじゃったら落ちた瞬間にあの世行きじゃったな……」
「とりあえず馬車ごと落っこちないで良かったよ」
「縁起でもないことを言わないでよ、リュカ」
海から上がってきたずぶ濡れのガンドフは、犬のように体を震わせて体の水気を切ると、初めてのスリリングな体験にまだ目をキラキラさせていた。楽しかったと言わんばかりのガンドフをリュカはただにこやかに見返したが、ビアンカは怒ったような表情でガンドフに語りかける。
「ガンドフ、みんな心配していたのよ。ルーラの呪文ってどうやら少し危なっかしいみたいだから、もう二度と危ない真似は止めてね」
楽しさを共有してくれると思ったビアンカに強い口調でそう言われ、ガンドフは言葉もなくしゅんと肩を落としてしまった。
「怪我もないようだからとりあえず良かったけど……あなたが怪我をしたらみんなが悲しむの。それを分かってね」
「……ウン、ワカッタ。ゴメンネ」
「みんな、みんな、大事な仲間なんだから。ね」
落ち込むガンドフの濡れた身体をさするビアンカに、ガンドフは大きな一つ目を細める。ガンドフの和らいだ表情を見て、リュカは自然と心が温まるのを感じた。
「まるでガンドフの母親のようじゃの、ビアンカ嬢は」
マーリンがそう言うのを聞いて、リュカは自分の心が温まった理由が分かった気がした。母親の温かさを、魔物の仲間たちは恐らく知らない。そして、リュカもそれを知らずに今までを生きてきた。唯一、母親の温かさを知っているビアンカだけが、それを分け与えることができるのかも知れない。亡くしてしまったとは言え、ビアンカは数年前まで母親の愛情をたっぷりと注がれてきたのだ。
「ねえ、リュカ。ルーラの呪文、もう少しどうにかならないかしら」
「え? うん、ごめん、もうちょっと上手くできるように頑張るよ」
「馬車ごと移動するってのがそもそも難しいんでしょうね……。でも使う魔力は変わらないの?」
「多分、そんな感じがするよ。馬車ごと移動するからってやたら疲れるってこともないみたいだし」
「ふうん、何だか不思議な呪文ね。なんたって古の呪文だものね。私も使ってみたいなあ。ねえ、今度教えてよ」
ビアンカが目を輝かせる時、リュカは決まって警戒心を抱く。共に楽しめる範囲のことを彼女が提案してくれればそうはならないのだが、彼女の期待に満ちた目にはどこか危険な要素があるのだ。リュカは怪訝な顔を隠しもせず、ビアンカに問いかける。
「僕が使えるのに、いつ使うつもり?」
「うーんと……リュカと喧嘩して実家に帰りたくなった時とか?」
からかうような笑顔を見せるビアンカに対し、リュカは彼女が怒って一人で山奥の村に帰ってしまった時のことを考えてみる。とても笑う気にはなれなかった。
「冗談でも止めろよ、そんなこと言うの……」
「あら、冗談じゃないかも知れないじゃない。もしリュカが浮気とかして、もうこんな人と一緒にいられないってなったら、あり得る話よ」
「僕が浮気すると思うの?」
「あなたはきっと、天然タラシだからね~。ちょっと心配よね」
「何か似たようなことを前にヘンリーにも言われたような気がする」
「ヘンリーさんは分かってるわよね~。さすがリュカの親友……」
ビアンカがそう言いかけた時、水がバシャバシャと楽し気な音を立てるのを二人は耳にした。見れば再び海に入ったガンドフが、スラりんも連れて水をかけ合い、海を楽しんでいる。スラりんには浮力があるようで、海に浮かびながら体ごと弾ませてガンドフに水をかけて遊んでいる。しかしガンドフが派手に水をかけるものだから、スラりんはたまに起こる大波に飲まれそうになっていた。
「ちょっと、ガンドフ! 遊ぶのはいいけど、相手をちゃんと見て遊んでよ!」
「エ? デモ、スラリンモ、タノシイ」
「ピーピー! ピー、ブクブクブク……」
「いや、楽しいんだろうけど、たまに危ないわよ。手加減して遊んであげてね」
「ワカッタ、テカゲン、スル」
「いい子ね、ちゃんと分かってくれるなんて」
そう言いながらビアンカに頭を撫でられると、やはり目を細めて喜ぶガンドフに、リュカはもはや彼女が旅になくてはならない存在なのだと実感していた。彼女自身は意識して皆の面倒を見ている気はないのだろうが、彼女の性質上、自然と魔物の仲間の面倒をみてしまうようだ。そしてその状況を楽しんでしまうのがビアンカだった。現に今も、魔物の仲間たちと一緒になって水遊びを楽しんでしまっている。服が濡れるのもお構いなしだ。
「ビアンカ、あまり服を濡らすと、これから町に入るんだから……」
「あ、そうだったわね。でも風も強いしお日様も出てるから、服もすぐに乾くわよ」
彼女の言う通り、海の上を吹く風は強く、沖に立つ白波は高い。港町であるポートセルミ近辺の海上には船の航行する景色があって当然なのだが、今は一艘も船が見当たらない。強風が吹くような日に船を出さないというのは、船旅をする者にとっての常識だ。ただでさえ危険の伴う船旅は、できる限りの危険を排除しなくてはならない。
「今日は一日風が強いのかも知れないね。誰も船を出してないみたいだ」
「どうやらそのようですね。まだ朝早い時間ですが、この風は一日収まりそうもありません」
「ガンドフがルーラから落ちてしまったのも、もしかしたらこの風が原因かも知れんのう」
リュカたちの会話を耳にし、ビアンカは初めて海の状況を冷静に見渡した。彼らの言う通り、海は落ち着きがなく、もしその荒波に船が来ようものなら、喜んで呑み込んでしまいそうなほど高い波を繰り返している。
「とりあえず港にある船を見に行きましょうか。今日港を出ないにしても、船を見ておいた方がいいと思うわ。初めて乗る船なんですもの」
リュカたちがポートセルミの港から乗ろうとする船は、サラボナのルドマンより結婚のお祝いとして贈られたものだ。ルドマンが用意した船に何かしら不備があるとは思えないが、初めて乗る船の操舵法などは事前に確認すべきことだと、リュカも頷いて答える。
「じゃあ僕とビアンカで確認してくるから、みんなはまた町の近くで待っててもらえるかな」
「いざ船に乗る時、我々はまた箱か何かに入って身を隠した方が良いでしょうね」
ピエールの言葉に、リュカは以前、東の大陸の港であるビスタ港からポートセルミに長い航海に出た時のことを思い出した。あの時はヘンリーが用意した大きな木箱を使い、魔物の仲間たちはその中に身を隠し、リュカは商人として馬車ごと船に乗り込んだのだ。
「あの時は他の人たちも一緒に乗る船だったからね。これからはルドマンさんからもらった船を使うわけだから、船にいるのは僕たちだけだし、そこまでする必要もないんじゃないかな」
「町の中には馬車で入るんじゃろ?」
「馬車の荷台に乗っててくれれば平気だよ。ほら、こうすれば中は見えないし」
リュカがそう言いながら荷台の出入り口の布を下ろす。すると馬車の荷台の中が外から見えることはない。しかしそれは荷台の後ろの出入り口で、前部にある馭者台には覆いがなく、中を覗き見ることができる。
「それならガンドフに隠してもらいましょうよ。ガンドフがここに背中を向けて立ってくれてれば、中は見えないわ」
ビアンカはそう言うと、ガンドフを連れて馬車の荷台に上がり、ガンドフを馭者台に背を向けて立たせてみた。それを外から見ていたリュカとピエールは、馭者台の入口を覆う茶色い毛皮のようなガンドフの背中に、低い唸り声を上げる。
「まあ、何とかなりますかな」
「そうだね、どうにかなるかな」
「町の中はさーっと通り過ぎて、すぐに船に乗り込むことにしましょう」
「それがいいね。じゃあ、ひとまず町の下見を僕とビアンカでしてくるね。みんなは近くで待ってて」
「恐らくこの風では今日は船は出せんじゃろうから、二人でのんびり町を回ってきたらいい。ワシらはいつも通り近くをふらふらしておるわ」
「がうがうっ」
いつの間にか馬車の荷台から下りていたプックルが、何かを思うように港の景色を眺めている。考えてみたら、プックルもまだ小さい頃、東の大陸から船に乗って西の大陸に着いているのだ。つい先ほどまでいたアルカパの町の景色と同じように、プックルは過去を思い出しながらこの港町の景色を眺めているのかもしれない。その目には決して楽しさや喜びは現れず、ただひたすら悲しみが滲み出ている。
リュカはプックルの赤い鬣を撫でつけて、優しく話しかける。
「プックル、今度は僕たち、一緒だよ。だからきっと、今度の船旅は楽しいよ」
「……がうっ」
リュカの言葉に、プックルは一声鳴くと、リュカの足元に体をすり寄せた。大きなプックルにすり寄られ、リュカの体は思わずよろめく。その体を、ビアンカが支える。
「みーんな一緒なんだから、楽しくないわけがないでしょう。プックル、そんな顔してないで笑って笑って」
ビアンカはそう言いながらプックルの両頬をくすぐるように両手で揉んだ。くすぐったさにプックルは思わず目を細めてビアンカの手から逃れようとする。
「そうそう、そんな顔よ。それがいいわ、プックル。いい顔をしていればいいことが起きるのよ、絶対にね」
ビアンカの言うことはいつでも自信が感じられる。彼女の元気な言動で、プックルだけではなくリュカも勇気づけられるのだ。彼女にそっと背中を支えられるだけで、今までにない自信を得ることができる。
「サカナ、タクサン、イル。ガンドフ、ミタ」
先ほど海に落ちていく時に、ガンドフは冷静にも海の中を泳ぐ魚の姿を見ていたらしい。ガンドフの大きな一つ目は想像を超える視力を持っているのかも知れない。
「海の幸も良いのう。今日は魚釣りでもして過ごすかのう」
「ッキッキー」
マーリンの意見に賛同するかのように声を上げたメッキーが、我先にと海に向かって飛んでいき、まるで海鳥のように上空から海の魚を狙う目を向ける。直接嘴で魚を取るようだ。そんな仲間の様子を目にして、リュカとビアンカは二人歩いてポートセルミの町の中へと向かっていった。



「ねえ、ところでどうやってこの町に飛んできたの?」
ビアンカの言うことが分からず、リュカは首をひねる。
「だって、ルーラってその場所のことを思い描いて使うんでしょ? ポートセルミの何を思い描いてルーラを使ったのかなって思って」
ビアンカにそう言われ、リュカはアルカパの町の外でルーラを発動した時のことを思い出す。ポートセルミは港町ということで、町の中も馬車が行違えるように広い通りが町の中を走っている。道の両側に備え付けられている街灯も洒落た雰囲気のあるものだ。町中に潮の匂いが流れ、港からは様々な物や人が出入りするため、町全体がよそ者を温かく迎え入れる空気が漂う。爽やかな青い海と青い空が似合う港町だが、リュカのポートセルミの印象は何故だか夜の街灯が町を照らす港町の景色だった。
夜の町を一人の女性と歩いた。港町の洒落た街灯が照らす石畳の道を、どこか孤独を感じさせる一人の踊り子と肩を並べて歩いた。リュカの記憶に濃いのは、その時の港町の夜の景色だった。
「クラリス……かな」
「…………え?」
ビアンカの声に少しの嫌気が混じったことに、リュカは気づかない。
「この町にクラリスっていう人気の踊り子さんがいてね、僕その人と一緒に歩きながら話をしたことがあるんだ。その時の夜の町の景色を思い浮かべてルーラを使った気がする」
「ふうん……よっぽど印象的だったのね、その踊り子さんとの時間が」
「そうだったのかもね。彼女、すごい人気の踊り子さんだったみたいだけど、何だか悩んでいるみたいだったし」
「どんな悩みだったの? そう言うこともお話したんでしょ?」
「踊り子でいられる時間は短いんだって。若いうちにお嫁さんにならなきゃいけないって、僕に『結婚してくれない?』って言ってきたこともあったかな」
リュカの言葉にビアンカは絶句した。引く手数多の人気の踊り子が自ら求婚するなど、恐らく彼女は本気でリュカにそう頼んだのだ。リュカと言う人物を見て、この人ならと、そう思ったに違いない。人気の踊り子ともなれば、男を見る目にも長けているだろうと、ビアンカは内心冷や汗を垂らす思いだった。
「もちろん、本気じゃなかっただろうけどね」
「……あなたが鈍感で良かったわ」
「え? 何それ」
「リュカはその時、そのクラリスさんって言う踊り子さんとそうなりたいとは思わなかったの?」
「だって僕はまだまだ旅をするつもりだったし、誰かと結婚するなんて考えられなかったよ」
「じゃあもし旅をしていなければ、クラリスさんと結婚していたかも知れないわね」
ビアンカがどこか断定的にそう言うのを見て、リュカはもし自分が旅をしておらず、単にクラリスと出会ったとしたらという場面を想像してみた。しかし想像してみようと思っても、すぐにその想像は遮断されてしまう。
「それはなかったよ」
「どうしてそう言い切れるのよ」
「だってクラリスさんと話してると、どうしても君と重なったんだよね」
思わぬリュカの言葉に、ビアンカは言葉に詰まる。まさか自分のことが出てくるとは思わず、返す言葉が見当たらない。
「クラリスさんって僕よりも少し年上みたいだったし、どこか君と似ているところがあったんだよね。こう……ちょっと偉ぶって話す感じとか、なんとなく面倒見が良さそうな感じとか、そういうところ」
「じゃあ……じゃあ、尚更クラリスさんと結婚していたかも知れないじゃない。……なんて、私が言うのもおかしいけど……」
「いや、それはないよ。だってクラリスさんと話してて君と似てるなぁって思うなんて、きっと僕はクラリスさんを好きにはなれなかったんじゃないかな。君のことは好きになれても」
さらりと好きなどと言う言葉を口にするリュカに、ビアンカは慣れない。まるで子供のように邪気のない好意なのだが、それが低い声で発せられることにビアンカは不本意ながらも顔を赤くする。
「そっ、そんなの分からないわよ。もうちょっとしっかりクラリスさんとお話して、彼女と打ち解けていたら……」
「ねぇ、ビアンカ、どうしてそんなにクラリスさんにこだわるのさ。僕は君と結婚して、こうして二人で町を歩いているのに、クラリスさんのことをそんなに話すなんて、何だかおかしいよ」
「おかしいって言われたって、気になるものは気になるんだから仕方ないでしょ」
「どうしてそんなに気になるの? クラリスさんが人気の踊り子さんだから? ああ、そう言えば僕、彼女の舞台はまともに見てないんだよね。今も舞台に立ってるんだったら一度は見た方がいいかな」
あくまでも現実的なリュカの言葉だが、そこにビアンカの感情は考慮されない。そもそもリュカには自然と女心を解するほどの鋭い感覚はない。
「あんたのそういうところよね、ああ、もうイライラするわ……」
「どうしてそんなに怒るのさ。訳も分からず怒れられるのは嫌だからちゃんと訳を話してよ」
「訳を話せですって? そんなの……ヤキモチに決まってるでしょ、バカ!」
「ヤキモチ……?」
「そうよ、だって結婚して一緒になれてこうして並んで歩いてるのに、他の女の人との思い出話をするなんてどれだけ無神経なのよ。しかもその人の舞台を見たことがないから一度は見に行った方がいいなぁなんて、私に言う? 踊り子さんの舞台なんでしょう? あれって、その、男の人たちだけが楽しむようなものなんでしょう? そんなに見たいならリュカだけで行ってきてね。私は行かないからね」
捲し立てるように言うビアンカの姿は幼い頃と変わらないなぁなどと、リュカは彼女が一気にしゃべるのを見ながらのんびり見つめていた。ビアンカが先に早足に歩き出し、その後を追うようにリュカは普通に歩いていく。
「僕にヤキモチ妬いてくれたの?」
「…………そうよ」
ビアンカが後ろ姿を見せながら、ごく小さな声で呟く。町を吹き渡る強い風にかき消されそうな小さな声だったが、リュカの耳にはしっかりと届いた。
「あはは、可愛いなぁ、ビアンカは」
「可愛いなぁなんて、誰にでも言ってそうよね、あんたって……」
「そう? でもやっぱり僕にはビアンカしかいないよ。他の人なんて考えられない。君と一緒になれて本当に良かったよ」
そう言いながらリュカがビアンカの手を握ると、ビアンカもそれを振り払うこともなくただそのまま歩き続ける。だがこうなると自分から言葉を発することができない。ただ彼の冷たい手を温めてあげようと思うだけだ。
「ありがとう、ビアンカ」
「何のお礼よ」
「僕と一緒になってくれて」
「……それはこっちのセリフだわ」
素直に想いを伝えてくるリュカに妬いて意地悪をするほど、ビアンカも捻じれてはいない。悔しい気もするが、繋ぐ手からは幸せしか感じられない。ビアンカはくだらない嫉妬を抱いた自分を惨めに感じるだけだった。
ポートセルミの町を強い風が吹き抜けている。当然海も波が高く、多くの船が港に停泊しており、港で仕事をしている男たちに聞くまでもなく本日の船は一つも港を出ていないのは明らかだった。港には様々な種類の船が係留されているが、その中でも一際大きな船が二隻並んで留められている。そのうちの一隻は東の大陸とを行き来する大型船で、リュカにも見覚えのあるものだった。そしてもう一隻の船は東の大陸とを結ぶ定期船ほどの大きさはないが、それでもかなりの人数と荷物が運び込めるような大きな船だ。もちろん、長旅にも十分に耐えられるほどの強度もあり、整備もしっかりとされているようだった。
大きな船の横を通る時、リュカは船の整備に当たっていた船員に話しかけた。サラボナの町でルドマンから船を譲り受けたことを話すと、途端に船員は目を輝かせて「おめでとうございます」と朗らかな表情でリュカとビアンカに祝福の言葉をかけた。
「ご結婚されたお祝いに、ということですよね。さすがルドマン様はやることが違いますよね」
「えっ? この船なんですか?」
「そうですよ、お二人に贈られた船はこちらです。すごいでしょう? こんな立派な船を結婚祝いに贈るだなんて、世の中広しと言えどもルドマン様くらいでしょう」
船員の言う通り、港に停泊しているリュカたちの船は他のどんな船よりも立派で、まるで王族が専用で使いそうな大層な船だ。華美な装飾などはないが、とても個人が個人に贈るようなものではない。目を疑うような大きな贈り物に、リュカもビアンカもしばし口をぽかんとあけて立ち尽くしていた。
「ですが今日はどの船も港を出ていません。こんな強い風の日に船を出す者はいませんからね」
船員の勧めで、リュカとビアンカは明日の出港に備えて船の内部を確認するのみにとどまった。水のリングを探す際に乗った船とほぼ同じ造りをしており、リュカはすぐに操舵法にも慣れそうだと確認した後は、ビアンカと共に再び町に戻って行った。



「今日出られないとなると、一日この町で過ごすとしますか」
「そうだね。早めに宿を取った方がいいかも」
「この風で出港を取り止めた人が多くいるでしょうからね。ま、いざとなったら馬車で寝泊まりしたっていいけどね。それも楽しいし」
「君は本当に冒険が好きなんだね。でもわざわざ危険な場所に身を置かなくてもいいと思うよ。と言うか、置いてほしくないから、やっぱり宿を取ろう」
ビアンカに任せると本当に町の外で馬車の中で一晩過ごすことになりそうで、リュカはさっさと港町の宿屋に向かって歩いて行った。
ポートセルミの宿屋は劇場と併設されている形で、一階が劇場、二階に宿の客室がある。リュカたちは宿の手続きを済ませると、一度部屋に向かって階段を上っていった。まだ昼前の劇場は何も公演されておらず、誰も立たない舞台はひっそりとしている。二階の手すり越しに舞台を見下ろすことができるが、誰もいない舞台はどこか寂しさすら漂っているように感じる。
「山奥の村へ行くとき、ここの宿屋にも泊まったのよ。父さんは『こんな宿屋でくつろげるか!』って文句言ってたっけ……」
「夜は賑やかだもんね、ここは」
「そっか、リュカもここに泊まったのね。でもさっき舞台は見てないって言ってたわよね」
「うん、他の人と話をしていたら、その間に舞台は終わってたんだよね。それでその後、クラリスに会いに行って……」
「会いに行ったの?」
「うん。昼間に話した時に『夜のステージを見にきて』って言われてたから。でも結局舞台は見れなくて、でも話はしに行った方がいいかなって思ったから行ったんだ」
「そう……。今日ももしかしたらいるかも知れないわね、クラリスさん。後で会いに行ったら?」
「そうだね。ビアンカも一緒に行こうよ」
「え? いや、私は行かない方がいいんじゃないかしら」
「どうして?」
「だって、そのクラリスさんって、あなたに結婚してほしいなんて言ったんでしょ?」
夜のポートセルミの町を歩きながらクラリスがそんなことを言ったのは事実だ。しかし彼女が本意ではなかったと、リュカは信じている。クラリスは自分の置かれている現状に不安を抱き、そんな不安から逃れたいがためにリュカにそんなことを口走ったのだと、リュカはそう感じていた。
「ああ、うん、まあそうだったけど、でもそれと何か関係があるの?」
「関係があるの? じゃないわよ。結婚して欲しいってお願いした男の人が、いきなり奥さん連れて現れたら……何かイヤでしょ?」
「そういうものかな……」
「じゃあ話を変えるわよ。リュカが山奥の村を訪ねてきた時、もし私が誰かと結婚していて、リュカに『この人が私の旦那さん。ステキでしょ』なんて言ったら、どんな気持ち?」
ビアンカの言葉に、リュカは水のリングを探す途中の旅で山奥の村に寄った時のことを思い出す。あの時リュカは、サラボナのフローラとの結婚に迷いを感じつつも、リングを探す旅を続ける覚悟を決めていた。そんな最中でのビアンカとの再会は、彼の運命を大きく変えた。
しかしもし、ビアンカが既にその時誰かと結婚し、家庭を築いていたとしたら、その現実を正面から受け止められただろうか。彼女を愛し、妻となった今では、山奥の村で再会した時の気持ちをはっきりと思い出すことすらできない。今となってはビアンカは己の最愛の人で、その人が他の男と一緒にいることなど、頭の中をよぎるだけで身震いがする。
「…………考えられない。だってビアンカは僕の奥さんだし」
「でもそれに似た感じだと思うわよ」
「そんなに辛いことなら、会わない方がいいかな……」
「だから私が一緒じゃなければいいのよ。二人でまたお話して来たらいいじゃない」
「あら、あなたはそれで平気なの?」
突然聞き慣れない声の乱入に、リュカとビアンカは思わず目を見合わせた。ビアンカが後ろを振り向くと、そこには薄化粧を施した艶のある女性がすらりと立っていた。
「話が筒抜けなんですけど」
背筋を伸ばし、少し斜めに立ち、小首を傾げて顎に手を当てる仕草は、まるで舞台に立っているように美しいものだった。女性は困ったように微笑みながら、リュカとビアンカを見つめている。その女性を見るなり、リュカは久しぶりの再会に思わず顔を綻ばせる。
「クラリスさん、久しぶり。僕のことは覚えてる?」
「もちろん、私の愛しの人だもの。覚えていないわけがないでしょう」
クラリスの返事に、今度はリュカが困ったような顔を見せる。そんなリュカの反応を、クラリスは楽しんでいるようだ。
「私と結婚できない理由ってそういうことだったのね。心に決めた人がいたのね」
「いや、決めた人ってわけじゃなかったんだけど、うーん、成り行きって言うのかな、この場合……」
「何よそれっ、リュカ、あなた成り行きだけで私と結婚したの!?」
「えっ、違うよ、そんなわけないだろ。どうしてそんな風に考えるんだよ」
慌てて訂正しようとする青年に、鋭い視線を投げる娘。そんな二人の姿に、クラリスはいかにも楽しげにクスクスと笑う。
「言い方が悪いのよ、あなたは。いつでも率直過ぎるから、知らない内にきっといろんな女の子を傷つけてるんだわ」
「ホント、その通りよ。もう少し女心を勉強してよね」
「勉強って、どうやって勉強したらいいんだよ……僕は男だし……」
一方的に責められ不満そうにぶつぶつ言うリュカを見て、クラリスはまたも笑い声を上げた。クラリスにとって女性に慣れていないような若い男をからかうのは一つの趣味のようなものだ。
「まあ、色々とあったんでしょうけど、結婚したってわけね。おめでとう」
「ああ、うん、ありがとう。とは言っても、結婚したのは本当についこの前なんだけどね」
「そうね、まだ何日も経ってないくらいよね。信じられないけど」
「新婚ほやほやかぁ。いいわねぇ」
「クラリスさんは? あの時から結婚したいって言ってたけど、誰かと……いてっ!」
リュカが言おうとしていることを遮るように、ビアンカがリュカの頭を叩く。そんなビアンカの反応を見て、クラリスはにこやかに金髪の娘を見つめる。
「あんたはどうしてそう……」
「いいのよ、この人って見た目に寄らず野暮ったいところがあるものね。でも、そう言うところもいいなって思ってたし、あなただってきっとそうなんでしょう?」
クラリスに顔を覗き込まれ、ビアンカは舞台の上に立つ者独特の輝きを持つ彼女の雰囲気に、何も言葉が出なくなってしまった。クラリスの放つ言葉がすべて演者のそれに見えてしまう。まるで同じ舞台に立たされたような気になり、ビアンカは必要のない緊張を身に感じていた。
「でも苦労しそうね、こういう人を旦那さんにしたら。私はもっと、苦労しない人を見つけてみせるわ」
クラリスが今もこのポートセルミの劇場で踊り子として輝きを放っていることは、今の彼女の雰囲気から容易に察することができた。劇場を見下ろせる宿屋の廊下に立つ姿にも、彼女の踊り子としての独特の眩い雰囲気が表れている。普通の娘なら可愛らしく着こなすワンピースも、クラリスが身に着けるとそのまま舞台にでも出られそうなほど煌くのだから不思議だった。
しかしその裏で、彼女の中に垣間見える苦労があった。決して表には出ないもので、クラリスの抱えるものはリュカにもビアンカにも想像がつかないものだ。光り輝く舞台の上の彼女とは裏腹に、舞台を離れた時の彼女の姿を、ほとんどの人が知らない。
「クラリスさん、でいいかしら?」
ビアンカが控えめながらもはっきりと呼びかけると、クラリスは舞台上で作り上げた笑みを崩さずに応じる。
「どうぞ。あなたは……」
「ビアンカです。この人はリュカ」
「そう、リュカって言うの。良く考えたら私、あなたの名前も知らなかったわ。笑っちゃうわね、そんな人に結婚してなんてよく言えたもんだわ」
そう言って笑うクラリスの姿もどこか演じているようで、ビアンカは何故だか彼女に憐れみを感じた。そこまで演じきってしまうような私生活と言うものは一体どれだけのものを積み重ねてきたのか。山奥の村で父と共に過ごし、自分をさらけ出して生活していたビアンカには、クラリスと言う女性がまるで分からなかった。
「クラリスさんはいつからこの町にいるの?」
一方でビアンカはクラリスと言う女性にどこか、自分たちと似たものを感じていた。今ではポートセルミと言う港町一の踊り子として活躍しているが、彼女も旅をしてこの港町に辿り着いたのではないかと思ったのだ。
ビアンカの率直な問いかけに、クラリスは思わず目を丸くした。自分のプライベートな話を聞いてくる者はほとんどいない。ましてや初対面で、恋敵とも呼べるような女性にそんなことを聞かれるとは思ってもいなかった。ビアンカと言う女性には、何一つやましいものを感じず、むしろ彼女が何か労りの心を持ってそう話しかけているのを、クラリスは機微に感じた。
「実は私、遥か南の砂漠のお城からこの町にやってきたの」
「南の砂漠のお城……」
「私が踊り娘になったなんて、誰も思ってもいないだろうなぁ……」
そう呟くクラリスの姿に、初めて彼女の本質を見たような気がした。寂し気に呟くクラリスに、光り輝く舞台の上での彼女を見ることはできない。彼女の心の中に常に潜む孤独は、まだまだ幼いままで、それはこれからも成長することはない。幼い頃から抱えてきた孤独は、これからもずっと幼いままの形をとどめるのだろう。
リュカはそんな彼女の姿に思わず自分の姿を投影した。幼い頃から抱える孤独、それはリュカの心の中にも存在する。そしてそれはこれからも消えることなく、小さくなったり大きくなったりしながら、ずっと心の中にあり続ける。
そんなことを感じつつも、リュカはふと、クラリスの言葉が気になった。
「君は南の砂漠のお城から来たの? そこってこれから僕たちが行こうとしているところじゃないかな」
リュカたちはサラボナのルドマンから、南にはテルパドールという国があることを知らされている。旅の手がかりが何もつかめない今、リュカは次の目的地をテルパドールという国に決めていた。ルドマンから贈られた船で向かう予定だったが、今日は風が強く船が出せないため、出発を延期している。
「地図で見たけど、とても遠いところだよね。君も長い旅をしてきたんだね」
「そうね、もう何年前になるか分からないけどね。旅人さんからの話だと、今もテルパドールは変わらずあるみたい。何年も離れて、もう二度と帰らないかも知れないけど、自分の故郷がなくなるのは嫌だものね。とりあえず変わらずあるみたいで一安心だわ」
クラリスがそう話すのを、リュカは同調するように頷きながらも、脳裏を掠めるサンタローズの景色にわずかに顔を歪ませる。
「ねぇ、クラリスさん、テルパドールの詳しい場所を知ってる? もし知ってたら教えてほしいんだけど」
ビアンカはそう言うと、リュカに地図を出してと声をかける。リュカは常に懐にしまい込んである世界地図を取り出すと、しわを伸ばしながら広げて見せた。クラリスは地図を見ながら「あの時もこうして地図を見てカボチ村の場所を教えたわね」などと過去を振り返りながら地図に目を走らせる。爪の先まで余念なく磨かれたクラリスの指先が地図にある南の大陸を指差し、大陸の西側で指が止まる。
「この辺りにテルパドールのお城があるわ。ポートセルミから船で南へ進んで、左手にセントベレス山を見ながらずーっとこの中央大陸沿いを行けば、ちょうど船が着岸できるような場所に着くと思うわよ」
「着岸できるような場所って、他の場所じゃ船を泊められないのね?」
「テルパドールのある南の大陸は、周りを岩山で囲まれているのよ。だから船が着ける場所も限られているらしいわ」
クラリスの言う通り、地図を見てみるとテルパドールのある南の大陸には陸沿いずっと岩山の絵が描き込まれている。ただ描き込まれているのは一部のみで、クラリスの言うような大陸全体を囲うような岩山ではない。恐らくクラリスの言うことが正しく、実際には南の大陸のほぼ全体を岩山が囲っているのだろう。
「大陸を岩山に囲まれて、尚且つ砂漠の真っただ中にあるような国だから、あまり詳しいことは知られていないのよね、テルパドールって。まるで要塞の中にあるような国だから」
「確かにこの広い砂漠を行くのは、ちょっとした旅支度じゃ間に合いそうもないね。船を下りて、馬車で行って、お城に着くまで何日かかるだろう……」
リュカはそう言いながら、過去砂漠を進んだ時の記憶を振り返った。いずれにしても良い思い出はなく、喉の渇きに死にかけたこともあった。テルパドールほどの広大な砂漠となると、一体どれだけの水と食料が必要になるだろうかと、頭を悩ませる。
「船を下りて直接お城に向かうのは危険よ。一度ここにあるオアシスに立ち寄って、水と食料を補充していかないと」
説明するクラリスの指が指し示すのは、南の大陸の東部だ。地図には何も記されていない場所だが、そこには彼女の言うオアシスがあるらしい。
「旅人さんはみんなここを中継点として通っていくのよ。それを知らずに、直接お城に向かったら……多分、無事ではいられないわ」
「砂漠って何だかわくわくするわよね。行ってみたいな。……って思ってたけど、そんな簡単なものじゃないのね」
冒険に夢を見ているビアンカも、クラリスの冷静な旅の忠告に、思わず身を引き締めたようだった。
「今日はこの風で出港を取り止めた旅人さんたちもたくさんいるでしょうから、他の人たちにも色々と聞いた方がいいかも知れないわね。テルパドールを離れて何年も経つ私よりも詳しい人だっているでしょう」
「そうするね。良かった、クラリスさんに色々と話が聞けて。今日もし出港していたら、南の大陸に着いてからとんでもない目に遭ってたよ」
「あまりにも無鉄砲過ぎるわよ、いきなり何も知らないようなところへ旅立つなんて。事前に情報を得るなんて、旅の基本じゃないの」
「今までが何とかなり過ぎてたんだな……。今日は色々と話を聞いて回ろう、ビアンカ」
「そうね、私もちょっと浮かれてたわ。新しい場所に旅立てるんだ~って。そういうことじゃないわよね、旅って」
「ま、浮かれるのも仕方ないわよ。新婚さんでしょ? 何をしててもきっと楽しいんでしょうね。……あーーー、私も誰かいい人いないかしら。今夜こそ絶対にイイ男を見つけてみせるわ」
クラリスはそう言うと、『じゃあね』と手を振って階段に向かって歩いて行った。下の劇場に行って、今夜の舞台の準備があるのだろう。彼女の後ろ姿にも、舞台で一番の踊り子らしい凛とした美しさが漂っていた。
「部屋に荷物を置いたら、すぐにテルパドールについて聞き込みよ」
ビアンカはそう言いながら、すぐに宿の部屋を探しながら歩き始めた。彼女の後ろを歩きながら、リュカは笑って言う。
「ビアンカ、やっぱり楽しそうだね」
前を歩く彼女の姿がどう見ても弾んでいて、リュカは思わずそんなことを口にした。振り返るビアンカは、予想通り楽しさを抑えられないような明るい顔をしている。
「楽しくない旅なんて嫌だもの。何でも楽しまないと、人生損よ、損」
旅に出て、新しい情報を得て、新しいところに旅立つための準備をするのが、彼女にとってはとても楽しいことらしい。見たことも聞いたこともないところに行けることが、彼女の心を楽しくさせている。
「気が合うね、僕もそう思うよ」
そんな彼女を見ているだけで、リュカも楽しくなってくる。リュカにとっては旅自体が楽しいものと言うよりは、旅を楽しむ彼女を見るのが嬉しい、と言ったところだ。
「だから私たち結婚したんじゃない」
「そうだね。良かった、ビアンカと結婚できて」
「私もよ、リュカ。ああ、テルパドールってどんなところなのかしら。砂漠の旅はしっかり準備して行かなきゃいけないけど、でもやっぱり面白そうよねー。砂漠の旅についてもいろんな人に聞いてみましょう」
部屋を見つけ、鍵を差し込んで扉を開けながらも、ビアンカはとめどなく話をしていた。そんな楽しそうな彼女を見ているだけで、リュカはテルパドールという国に新しい光を見つけたような気がしていた。

Comment

  1. ケアル より:

    ビビ様!
    原作Ⅴでも、クラリスはテルパドール出身という設定でしたか?
    小説の中で以前、リュカたちは砂漠を旅したことあったのは、ビビ様のどのあたりの、お話になりましたっけ?(汗)
    それにしてもビアンカの焼き餅は可愛らしいですね(笑み)
    嫉妬も素直に表現されると、怒りよりかは愛情が強くなるんだなぁ…なんてね(あはは)
    次回は、テルパドールでしょうか?
    それとも、クラリスの踊りを見ますか?
    酒屋のマスターに話をしに行きますか?
    次回も楽しみであります!

    • bibi より:

      ケアル 様

      毎度コメントをありがとうございます。
      原作V(DS版)のクラリスのセリフを引用してみました。砂漠の国から来た、というセリフがあったので、これはちょうどいいと。
      砂漠の旅は「青年時代(1)」の「塔の鍵」と、「青年時代(2)」の「花嫁修業を終えた令嬢」にちらっと書いています。山賊ウルフに助けられたり、パトリシアが猛然と砂漠を突っ切ったので、砂漠の大変さを伝えきれていないかも知れません^^;
      ビアンカさんは可愛いです。それもこれも、リュカの前だからかな。

      次回はまだポートセルミでの話になるかと思います。思います、ということは、まだ何も決まっていないということです……すみません^^;

  2. ピピン より:

    ビビさん

    ビアンカさんはホント苦労しますね(笑)
    リュカも一度似たような体験をすれば実に染みるかな。

    確かテルパドールにはクラリスの家族らしき人がいますよね
    色んな家族の形が描かれるのも5の面白さだと思います

    そう言えば、ポートセルミでビアンカのヤキモチと言えば人気の高いあの台詞がありますね。
    この小説でも再現されるのか非常に気になります(笑)

    • bibi より:

      ピピン 様

      コメントをどうもありがとうございます。
      天然タラシはタチが悪いですね。悪気がないからガーッと怒るわけにもいかない。
      テルパドールにクラリスの家族らしき人……えーっと、すっかり忘れているので調べてみます^^;
      話に反映できたらいいな。
      ビアンカのヤキモチセリフ……ありますね。あれですか?
      再現した後の空気とかを考えると、難しそうですが、挑戦してみようかしら(笑

      • ピピン より:

        ビビさん

        どうやら父親と弟がいるようですね
        そしてクラリスは青年期後半になるとテルパドールの実家に帰ってます

        怒ってる割に若干甘いビアンカが可愛いあの台詞ですね(笑)
        ヤキモチネタをやった後にまた…ってのは難しいかもですが、完全再現とはいかずとも上手くお話に落とし込んでくれたら嬉しいです( ̄▽ ̄)

        • bibi より:

          ピピン 様

          父親と弟……それを事前に分かっていれば、もう少し話を掘り下げられたかも^^;
          下調べ不足ですみません……m(_ _)m
          青年期後半ではテルパドールの実家に、ですか。
          ドラクエ5の良いところは、こういう時の流れと共に様々な人生模様が見えるところでもありますね。
          ビアンカさんの件は、ちょっと考えてみますね。できるかな~。

  3. はるか より:

    時間がかかりましたが、ここまで読み終えました!

    ビビさんの小説は、お話が面白いのはもちろんなんですが、食べ物や、飲み物の表現がリアルというか、想像力を掻き立てられるというか、なんかすごいです!
    特に、確か海辺の修道院だったとおもうんですけど、レモン水っていうのがでてきて、美味しそうだな~って思いましたwあと、道中でよく食べている木の実も食べてみたいな~って思いながら読んでました!

    あと、ビアンカとの絡みを読んでてめっちゃキュンキュンしてましたwできたら、これからもイチャイチャしてるシーンを増やしてくださると嬉しいです!!

    次の更新楽しみにしてます!

    • bibi より:

      はるか 様

      貴重なお時間を取らせてしまい、申し訳ございません……。
      コメントをどうもありがとうございます。
      食べ物飲み物が美味しそうに感じるのは、おおよそリュカたちが飢えているからかも知れません。
      旅は空腹との戦い。たまに立ち寄る町や村ではそれを解消すべく食事をするので、大したことのないものでも美味しく見えるというものです^^;
      ビアンカさんとはこれからもちょこちょこラブラブしていければと思います。
      彼の人生の中で最も幸せな時期……幸せな時を過ごさせてやらねば……(泣

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